2018年08月08日

グリザイアファントムトリガー Vol,5

 こちらはシリーズものとして淡々とリリースが続いてはや5作目、ここでメインヒロイン4人のメイン回も一段落となり、そしてその掉尾を飾るのはミステリアスニンジャのムラサキと言う事で、とても楽しみにしていました。


シナリオ(20/30)

 高く高く跳ぶ前の。


★概要

 今作はファントムトリガーの5作品目で、順当にここまでの4作の流れや蓄積を引き継ぎつつ、今回はムラサキにスポットを当てた物語になります。


★テキスト

 もはやいつものノリ、の一言で済みそうですが、相変わらず蘊蓄やご意見番的な面白い思想性が合間合間に組み込まれつつ、それをキャラ性と綺麗に融合させてやり取りのおかしみ、奥行きに繋げてくるセンスの良さはさすがですね。
 今回もマニアックなネタは多かったですが、それを口にするキャラの熱量が非常に強いので、読み手としてもなんとなくふーん、と納得させられるところも含めて、安定した内容だったと思います。


★ルート構成

 完全一本道です。ここもいつも通りっちゃそうですね。
 次辺りからより現在的に大きな事件に巻き込まれていく流れが見えていますから、そういう部分ではせめてバッドエンド派生とか少しはゲーム性を意識した構成をしてくれれば、と期待します。


★シナリオ

 基本的にここまでの1〜4作目は、当事者的に色々な事件に巻き込まれつつ、その中で仲間の信頼や成長、新たなる仲間の取り込みなどが平行して行われていましたが、今回の場合その戦闘的な部分がほぼ回想に特化しているのが特徴的です。
 回想である限り、現在無事にぴんぴんしているキャラは、という意味でのネタバレは避け得ませんので、その先がどうなるのかというハラハラ感はやや減衰する部分はあります。
 ただ今回披露されたムラサキとその実家にまつわるニンジャの本領、という部分は、正直ミリタリー的な要素としては眉唾というか幻想的というか、少しファンタジーに近い部分はあって、無論それをそれなりに理屈に落とし込んで実証的な解釈を提示してきますが、そういう説明的な部分をバランス良く組み込むためにも、あまりリアルタイムな事件の中で、とするより都合が良かったのかな、というイメージにはなりますね。

 その回想とムラサキの想いの披歴に繋がる姉の来訪自体は、次か更にその次くらいに繋がる重大な伏線のひとつとして機能する事は明白ですし、現在的な視座としてはやや箸休めというか束の間の安息というか、そういう時間の中で新たに加わった仲間たちとの横の繋がりの強化、交流と賑わい、そして本分としての戦闘力強化の面をしっかり丁寧に追いかけているのが今作においては味わい深いところです。
 特に前回のラストで一時的にクリスがいなくなって、戻ってきて改めてその有難味がわかる、的な部分や、その穴を埋めるように獅子奮迅の働きを見せている健気なタイガの愛らしさなどは本当に素敵でしたし、またユーキという独特な立ち位置のキャラの投入によって、今まで見えてこなかったハルトの影や重荷の部分にもスポットが当たって、ヒロインズとしてもより多角的な想いを抱く契機になっている、というあたり、やや荒唐無稽になりがちなバトルに依拠しなくても充分面白いね、と思わせてくれました。

 ムラサキとユーキの特異な姉妹感情のありようや、それを踏まえてのムラサキの秘めたる想いの開示などもなるほど、と思わせるところは多々あり、また切り札的な部分の提供によって今後どこでそれが切られるのか、というワクワク感もしっかり付随してきたなと。
 本当に1作目あたりからするとメインのヒロインズはみんなそれぞれに随分と柔らかく、奥深く成長していってると思いますし、個人的には今回もトーカが安定してめちゃ可愛かったのと、タイガ様が微笑まし過ぎてすごく楽しめたな、と。
 ただ地味に思ったのは、流石にこの尺でユーキが数か月も滞在していた感ではないし、それなのにライフルの手引きを中途半端で放り出していっていいんかい、って。。。まあきっとぶつぶつ文句言いつつトーカが引き継ぐんだろうなぁ(笑)。

 ともあれ、どうしてもシナリオ、という観点では跳躍の前の雌伏、一呼吸いれるタイミングではあるので、ダイナミズムなどにおいてはあまり高く評価出来ませんが、日常の楽しさという点ではシリーズ屈指の出来だったと思います。
 次はいよいよハルトの謎というか最大の傷に迫るのか、同時により大きな事件に巻き込まれていく気配もびんびんに感じますので、今のこの面々がどれだけ世界の不条理に立ち向かい、食い下がっていくのか凄く待ち遠しいですね。


キャラ(20/20)


★全体評価など

 基本的に新規キャラはユーキくらいだし、まあ私の趣味的に言えば過去回想でのユーキくらいがベストなので(笑)、そのあたりでの新味的な魅力は薄かったのかなと。
 ただ2作目以降からの追加ヒロインズの横の繋がりや変化などは本当に見ていて微笑ましく楽しかったですし、グミちゃんとかちゃんと立ち絵で横幅調整されていたりと芸が細かいなー、って。

 やっぱり私としてはトーカが一番好きなので、相変わらずのツンツンぶりと時折見せる甘えの破壊力が素敵だなー、ってなるし(お風呂のシーンとか可愛かったよねぇ)、日常の諸々に積極的に首を突っ込んで一日でも早く役立つべくあれこれ吸収しようと息巻くタイガ様の背伸びっぷり、献身性に非常に心温まるものがあって癒されました。
 ムラサキも上で書いたように、普段無表情の影に隠している複雑な思いが程よく滲み出て、今までどこか独立独歩的なキャラと思わせておいたところからの変化の幅が魅力的でしたし、しかし結局元々のヒロインズってなんだかんだでみんなハルトスキーなんだなー、ってのも。
 勿論単純な好き、というよりは、立場と関係性に密着した依拠に近い部分はあるし、一番そういう色が薄いクリスでもそれはあるけれど、どちらにせよそのあたりが明快に報われるような筋立ての話ではないと思うので、あくまでもそれは隠し味になっていくのだろうと思えば切ないところです。

 そいや次辺り、2作目で出てきた姉妹校の双子ちゃん出てこないかなー、地味に好きだったんですけどね。


CG(17/20)


★全体評価など

 質量ともに普段通りかちょい少ないか、くらいで、1枚絵なんかも良く考えると差分的じゃね?ってのがあるので評価が難しいですが、つくりとして安定しているのは間違いないですね。いつもよりSDが少なかった気がするのは残念。

 立ち絵的にはユーキ全般と、あとタイガの衣服くらいしか追加はないけど、タイガ様のメイド服かーいぃよねぇ。
 1枚絵としては、雨宿りハルト、みんなでお風呂、ムラサキ寝込み、じゃれ合う過去ユーキ&ハルトあたりが好きです。


BGM(17/20)


★全体評価など

 新規追加はBGM5曲かなと。
 どれも過去のシーンでの使用が多かったですが、その中でもバトルシーンを盛り上げた『Unlimited』は鬼のようにカッコ良くてめっちゃ気に入りました。
 あと姉妹の絆をイメージした『Wordless Link』もかなり名曲で、この2曲がすごく好みだったのでいつもより評価上乗せしています。


システム(9/10)


★全体評価など

 ここは過去作準拠ですね。特に目新しいものはなかったと思いますが、安定したいい出来です。


総合(83/100)

 総プレイ時間4時間ちょいくらい。
 相変わらず長いとは言えませんが、明確なリアルタイム的バトル展開がオミットされた中でも、様々な要素をしっかりバランス良く組み込んで弛みがないつくりに仕上げていますし、また次回作以降への繋ぎ、伏線の引き方としては非常に精緻なものを見せていて、早く続きが読みたいなー、とワクワクさせてくれる内容に仕上がっていたと思います。


 最終的に彼らの前に立ち塞がる不条理が如何様なものになるのか、このシリーズの根幹的な部分に関してはまだなんとも、という感じですが、一通りのヒロイン掘り下げが終わって、次辺りからそのポテンシャルを活かす形での展開が増えてくると思えば素直に楽しみですね。


 
posted by クローバー at 03:56| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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