2019年05月17日

Missing-X-Link〜天のゆりかご、伽の花〜

 発表当時はノーマークだったのですが、体験版が出てみてふとプレイしてみたら、タイトルのイメージとは裏腹に超好みで、メーカー的にも1月のソーサレスに続いての勢いを感じたので購入。


シナリオ(26/30)

 誰しもが、そこを想い流離うもの。


★あらすじ

 時代設定は近未来、今より少しばかり科学技術が進歩し、限定的ながらも人類の介助役としてオートマタ、という存在が社会に溶け込んでくる過渡期において、主人公は幼い頃から何より大切な姉の優灯の庇護の下で幸せに暮らしてきました。
 その姉は、エディテットと呼ばれる、人工的に遺伝子を操作されて生まれた天才児で、けれどその生まれに拘る事なく家族を何より大切にする、その名の通りの優しい心根の持ち主で、母親こそ主人公を生んだ時に他界していたものの、それでもその生活は彼女の奮闘と心配りによって平穏に保たれてきたのです。

 しかしある日、崩壊は突然訪れます。

 篠月事件。
 彼らが住む町の名前を冠して名付けられたその災厄は、実験中のオートマタの暴走に端を発して、その研究に臨んでいた地区を、天の裁き、とばかりに衛生上に設置されたレーザーが焼き尽くし、その場に居合わせたほぼ全ての人間を死に追いやりました。
 主人公もまた、姉と共にその場にいたものの、彼女の機転と、そしてとある幸運があって唯一の生存者となり、しかしその事は彼の精神に深い傷をつけ、その時期から元々研究バカでほとんど家に帰ってこない父親とも疎遠になり、殻に閉じこもって誰とも触れ合わない拒絶的な生き方をするようになってしまったのです。

 そんな日々が続いたある日、誰もいない家に帰宅した主人公は、父親から贈られてきた荷物を見て驚嘆します。
 それは、今現在稼働しているものともまたレベルの違う、人間と見紛うばかりの精巧なオートマタで、しかし彼女の起動のさせ方すらもわからぬまま数日その存在感に心を振り回されて。
 けれどある日、何も言わぬ彼女との語らいから、姉のふとした言葉を思い出し、隣家の火事でその個体の消失の危機を迎えた事で、なりふり構わずにその予感に準じて、彼女の唇に自信の唇を重ねます。

 架橋――――クロスリンク。
 彼女と触れ合った瞬間、想いが一つに溶け合い、そして主人公の悲しみが、慟哭が、それを心から支え、慰める事が、その彼女−姫風露−の存在意義として確立されます。
 姉を失ってからずっと切望していた家族の温もり。
 最初は違和感もありつつ、けれどやがて主人公は姫風露の存在を受け入れ、彼女の無制限の愛を受けて、少しずつ傷を癒していくのでした。

 そこから更に2年余り。
 背も伸び、成長した主人公は、それでも未だ姫風露の庇護の下で狭く安らかな安寧を貪っていました。
 けれど、世界はどうしたって移り変わるもので、そしてそれは望む望まざるに関係なく誰しもに平等に、そして無慈悲にもたらされます。

 はじまりは、姉と酷似した養子を持つエディテット、遊離の転校。
 それは主人公の瘡蓋の下で未だに疼く痛みをこれ以上なく刺激し、また彼女も主人公の存在を最初から複雑な思いを持って見ており、彼女に振り回される日々は、これまでの安寧が一気に吹き飛ぶほどに刺激的で疲弊するもので。
 その流れの中で出会った病気の少女・ひなや、そのひなのヒーローで、各地を流離う正義の味方を標榜する晶との出会いも、今まで主人公がいかに狭い世界で、狭い視野で生きてきたかを突き付けるものでした。

 同時に、再び篠月の街を舞台に蠢く不穏な空気。
 それは主人公達にも他人事でなく降りかかり、やがて彼らはその根源を断つべく世界の残忍さと、そして自身の傷と直面していかなくてはならなくなるのでした。
 これはそんな、深い悲しみや絶望、憎しみの連鎖が生み出す複雑怪奇な人間模様を綴った、絆と成長、そして赦しの物語です。


★テキスト

 全体的にとても雅趣があり、かつきめ細やかな語り口で、錯綜する心理模様の描写がとりわけ丁寧で、エロゲとしては昨今珍しいくらいに文学的な香りを漂わせるテキストでしたね。
 多彩な教養をベースにした、奇を衒わないアクセスや、それでもその中で深みを追求する事でしっかり読み手に驚嘆や納得をもたらすつくりはかなり質が高く、知識欲的な面でも、読み口の面でも、上質なものを口にした、と感じられる出来に仕上がっていたかなと思います。

 それでいて決してテンポが悪いという事はなく、キャラ同士の掛け合いなどもお約束的な部分はある程度踏襲して、メリハリをつけてしっかり面白味を出せていますし、その心理の変遷そのものを少しばかり強引にシナリオの状況に援用していたり、くらいの違和感はありますけど、トータルで見てこれは読んでいて本当にワクワクするテキストでした。
 もっとも現代的にはこれでもくどい、と受け取られる向きはあるかもしれず、正直それは贅沢の極みだろうと私なぞは思いますが、そのあたりどう評価されているのかは気になりますかね。


★ルート構成

 構成は脱落式、階段式を採用しています。
 一応主要な分岐点以外にもそこそこ選択肢はありますけど、多分実際的に分岐に影響を及ぼすのは直近の部分だけっぽくて、順序で言うと晶、ひな、遊離と姫風露、という形になっていますね。
 その合間にバッドエンド的な展開ながら、散桜花とのシーン回収なども一応補完されていて、それなりに多彩な展開を楽しむ事が出来ます。

 多分全員クリアするか、もしくは姫風露をクリアすると、ラストエピソードにタイトルから入る事が出来る仕様で、基本的には示唆通りに、階段順にクリアしていく方が面白いしわかりやすいでしょう。
 ラストも姫風露編と地続きの内容なので、彼女を最後にするとより話の通りがいいと思います。


★シナリオ(大枠)

 大枠で言えば、これは喪失と再生の物語ですし、なかんずく何を?と言われれば、自身の居場所、心の拠り所、安全基地という、誰しもが生きる中で切実に求め、それでいてそれがある時にはその大切さに中々気付けないものについてがテーマだったかな、と見ています。
 序盤の展開だけでも、主人公が何より大切な姉を失い、心を挫いて、自分の家にいてもそこが休まる場所にすらならない苦悩の中に漂っていたのを、姫風露の存在が救ってくれた、という部分が大きくクローズアップされており、そこで疑似的、かつ最低限の安全基地を構築できたことで、その後の荒波、様々な人間模様の中で主人公が自分の意志を貫き、抗い、望むものを本当の意味で手にするための覚悟を抱く土台になっていて、その力がヒロインの想いにも波及していく、という構成になるでしょう。

 この作品のヒロイン達もまた、それぞれに背負った重荷は大きく苦しいもので、上手く世渡りをしているようでも常に煩悶や自己嫌悪、絶望の中を漂っているようなありさまで、その相互的な影響は、本来無色に近い姫風露の心にも、より人間らしい葛藤や自問を生み出す契機になる、というのが面白いところです。
 その土台になる科学技術の進歩の部分の説明も微に入り際に穿ち、オートマタの存在の定義なども通り一遍のものから踏み出した、より精緻で実体的な骨格を定義できており、それでいて決して説明臭い、冗長という感覚は与えないバランス感も含めて良く出来ている物語、だと思います。

 ただ逆に、誰しもが普通の在り方とは違う自己を確立している分、ごく普通の恋愛模様とはかなり様相が違う心のアプローチや迷走が必要とされていて、そちらの解消を説得的に見せるだけの尺や展開は当然必要なので、ありきたりな恋愛を想定すると肩透かしを食らう部分は確実にあるかな、と思います。
 というか正直、サブタイトルをパッと見てのイメージって、今流行りのバブみ系物語、って雰囲気ありません?私はなんとなくそんな印象を抱いていたから、ギリギリまで購入候補にすらなっていなかったのですけど。。。
 勿論姫風露との関係性はそういう側面もなくはない、ですけど、全体としては本当に心の交流がメインで、かつそれがそれぞれにひび割れ、ねじくれたものを土台に、臆病に、探り探りに、という色合いが強いので、恋愛を通じて心の治癒を求めている、という感覚は強く出ますね。

 個別の展開もある程度その土台がありつつ、全体の底流として機能している事件の有様、黒幕の思惑が影響した流れの中でのやや強引な分岐、という感覚もなくはなくて、特に前半は尺と質、両面で少し食い足りないものはありました。
 ただ流石にメインとその対抗馬である姫風露と遊離あたりはかなり面白く、また全員の物語や内面をしっかり踏まえた上でのラストエピソードも、一握の切なさは残しつつも綺麗にまとめていて、非常に総合力の高い、エンタメ性も強いのにメッセージ性・物語性も相当に優れている傑作・力作になっているな、というのが素直な感想ですね。


★シナリオ(ネタバレ)

 個別評価はほぼ階段順そのままで、ただ姫風露ルートはある意味ラストエピソードと不即不離なので、単にそこまで、という水準で見れば、その触媒としての影響度も含めて遊離ルートが一番良く出来ていて面白かったかな、と思います。

 基本的にヒロインひとつずつの分岐の合間にもかなり長いエピソードが入り込みますし、概ねのその変化の基盤としては、今この街を揺るがしている事件の黒幕の手先として動く、散桜花の処遇に大きく影響を受けている感じですが、逆に言うとそれは脱落した序盤のルートではあくまでも限定的かつやや強引な形にはなります。
 あの叔父が納得いくところまでやり遂げない限りは、常に潜在的な不安は残っているのと、特に序盤で脱落してしまうと残されたヒロインの不遇がきちんと解消されたとは思いにくい、という両面的な意味、更にその分岐に至る心理模様が強引かつ超越的に過ぎる、という意味で、やはり晶ルートだけはあまり高く評価出来ないな、というのが私のスタンスですね。

 少なくとも主人公とひなに劇的な影響を及ぼした、という視座で、晶の存在意義は絶大なのですが、あの程度の疑似家族生活で、彼女との関係が一足飛びに恋愛要素を、しかも相互的に抱くほどのものか、となると、流石にその時点で姫風露と遊離がいるのに、そこまで傾倒するのはこれだけのエピソードでは苦しいだろう、という感覚はあります。
 しかもそのルート分岐において、今までの全てを捨てて彼女についていくという過激な選択を必要とするわけで、確かに散桜花との戦いを経てそういうクソ度胸が付いた事、いざとなれば安全基地として姫風露が待っていてくれる、という信頼はあってでしょうけど、それもちょっと強引ですよね。

 そもそも、クロスリンクを前提としての電脳空間で能力を奮うならまだしも、今まで特に体を鍛える事もなにもせず、安逸を貪っていた貧弱な少年が、少しばかり決意を強く持ったところであんな殺伐とした世界で影響力を及ぼせる、超人的な活躍が出来るか、って話にはなります。
 彼が介在した事で散桜花を捕らえられた、というのも、その後の逃亡劇の中での対峙なども、それが付け焼刃で出来るくらいなら世界中に英雄が溢れかえっている、と思わせるレベルではあり、勿論それは心の変化を具象的に、物語として大袈裟に披瀝した、という意味では一貫していますけど、他のルートでの活躍ぶりには、それまでの下積みや担保がきちんとあったのに、このルートの関わり方だけは説得性を著しく欠いている、と言わざるを得ませんでしたね。
 個別、としてもイマイチ盛り上がりは薄い、恋愛要素も性急すぎて入り込みにくい、という感じで、この作品での減点要素はほぼこのルートかな、という感覚です。

 ひなルートに関しては、まずルートに入る前のオートマタにとっての神、偽神事件の顛末や思想性、そこでのひなの想いや他の面々の活躍、とりわけここからは遊離の存在感が凄く出て来るのでとても面白かったです。
 この作品の場合、作られた天才としての土壌がある程度しっかり説明されていて、かつその在り方の不幸性まで含めて劇的に描写されている事で、逆説的にその天才性が遺憾なく発揮されることに対する説得力を有していますし、彼女の助けを存分に借りての展開は、晶とコンビだとどうしても肉体言語的になってしまうわけで、その違和感と比べるとやはりしっくりくる柔軟性があったと思っています。

 オートマタにとって最も大切なもの、という定義に端を発しての、ロボット三原則を超越したレイヤー機構の精緻な設計も含めてすごく見事ですし、けれどそれを上手く操れば、という危機性もしっかり内在要因の中で担保出来ていて、またその解決策が本当に奮っているというか、まあ性善説っぽい構成ではありますけど、実際に作られた存在としてはそういう明確な、けれど開示は出来ない承認欲求が満たされる事の意義の重さを強く理解させてくれるところでした。

 ひなとの関わり、という意味でも、心通わせるにおいて性急な部分はありますが、ただ同じ痛みを背負うもの、という意味での共感性は、晶との乖離性によるショックからの変転よりはわかりやすく納得しやすく、まあこの辺は私の好み、ってのは絶対にありますが、少なくともひなが恋愛を含む全ての想いを主人公に向けるようになるには足りる土台ではあるなと感じています。
 その上で彼女を選ぶことは、ある意味で直面すると確実に痛みしかもたらさない予感があったであろう遊離との対峙を避けた、という意地悪な見立ても出来るのですが、その点も含めて立ち位置としてはやはり本来は妹的存在、がベストなのだろうな、とは思います。晶が恋人ではなく、ヒーロー的存在である事より違和感はないですけどね。
 ただそれはそれとして、彼女を選んだ上でのひなの心理の変遷と拘りを、きちんと下支えのある形の中でショック療法的に解消してきたのは、まぁ見え見えとは言え面白かったですし、やっぱりここでも遊離って良い奴だなぁとしみじみ思うのでした。あと+エピソードでの晶の狼狽ぶりが面白かった。。。この二人のコンビはやっぱり全般的に光っていましたよね。

 遊離に関しては、彼女の生まれそのものに根付く劣等感とトラウマ、そして忌避感という様々な要因がかき乱す中での展開であり、シナリオとしては多少強引、特に散桜花との関わりを得る場面の油断などは、いかにもらしくない、という在り方がちょっと行き過ぎていた気もしますが、それも含めて彼女の複雑さをとても上手く処理しているルートだったとは思います。
 勿論元々の関係とそこまでの積み重ねの中で、互いに素直に認めるような形ではないにせよ、惹かれざるを得ないものがあったのは確かで、それを如何に後押しするか、また根っこの痛みを克服するか、ってところは難問だったと思うのですけど、その辺りは優灯様様、って感じですかね。
 もっとも彼女がそれを為せた、クロスリンクの向こう側にある未来予知、という能力自体は少し眉唾にもなってしまいますが、一応理路としては納得いくラインで成立していますし、結局二人ともに、優灯の言葉がなければ超えられないものはあった以上正しい処置なのかな、とも思います。

 恋愛模様としては間違いなく一番面白かったですし、というか、お前らそこまで思い合ってるのにどこまで足踏みと寸止めすれば気が済むの?的なやきもき感が凄かったですが(笑)、負ける事でしか自己を肯定できない遊離の在り方に最後まで付き合って、盤外の戦いで上手く自分の土俵に持ち込んでいく伏線の使い方はすごく良く、ヒロインとしてはやはりこの子が断然好きでしたね。

 姫風露は、オートマタ故に抱いてはいけない想いとの葛藤、という部分はありきたりと言えばそうですが、それを強引に開いたのが遊離、というあたりの構成はすごくしっくりきていて、ある意味姫風露に負けるならば遊離としては本望に近い部分もあったのだろうな、というのは透けて見えますね。
 互いが写し鏡の様な心を最初から抱いている故の純粋さと臆病さ、初々しさという意味では独自の味わいがありましたし、またその恋の歓びを謳歌する中でのちょっとした悪戯が、最後のエピソードの内在的要因になっている、という意味でも上手く出来ていると思います。

 その最終幕はかなり劇的で波乱に満ちた展開ですし、その中でそれぞれの想いを貫くが故に食い違う、という悲しみも背負いつつ、最終的には綺麗なところで上手くまとまっていくあたり、エンディングにふさわしい盛り上がりと感動を提示出来ていたと感じました。
 しかしここでもやっぱり二人の天才の影響力半端ない、って感じで、最後の復活は当然あるものとはわかっていたとはいえ、そこから伏線として繋がっていて、かつそれを内心でずっと温めていたという発想力、それをあの時点に至っても保険として打てる冷静沈着な有り様など、この物語はそれぞれに誰が欠けても成立しない、とはいえ、対処的な意味ではブレーンとしての遊離の活躍ぶりが本当に目立っていました。

 ロリ風露も大変に可愛らしくてすこぶる美味しい結末だったとは思いますし(笑)、色々切ない余韻は残しても、それでも此の先、未来を歩む中で最も大切なものだけは失わずに済んだ、という着地点が、この物語のテーマ性を浮き彫りにしているのかな、と思えて、やはり完成度としては相当に高いですね。
 まあ総合評価としては、もう1点上でもいいか悩んだところはあるのですけど、細かい部分での不満やエロゲとしてのちょっとした物足りなさ(イチャラブ不足とかシーン数とかね、特に遊離の本番少ないのがぐぬぬ、ではあったり)を踏まえてこの点数に落ち付けました。



キャラ(20/20)

★全体評価など

 単純に優しいだけの世界ではない分、刺々しさや痛ましさも存分に感じられる構成ではあったものの、そういう部分も含めてのキャラの深みはすごく高いレベルでまとまっていましたし、特にヒロインはそれでも、きちんとそういう負の部分も含めて魅力に転化するだけの肉付けが丁寧になされていて良かったと思います。

 ヒロインとして好きなのは、最初からそうなりそうとは思っていたけどやっぱり遊離でしたねぇ。殿堂入りレベルで好きです。
 まぁ少なからず主人公が抱く姉への思慕とオーバーラップして、という感覚は読み手にも出てきてしまうとは思いますし、その天才性を遺憾なく発揮してのお助けウーマンとしての活躍度、その影に潜む自身の想いの複雑さと哀切を踏まえると、本当にどんな形であれ救われて欲しいヒロインではあって、その点どうしてもひなルートまでだと十全ではない、と思えるので、やはり正史的には、という考え方をしたいところです。
 見た目とCVが鬼のように良かったですし、性格もめんどくさいところは強いけどチョロ可愛いところの方が目立っていて、正直もっと素直になった遊離とのイチャラブを見せてくれ〜、と切望してしまいますね。ロリ風露とのその後も含めてFDぷりーず。。。

 勿論姫風露もメインヒロインたる堂々とした魅力を誇っていて、純粋にただ優しい、包容力のあるヒロイン、というだけではない、オートマタならではの新鮮さ、無垢さとのバランスがとても優れていたと思います。
 ひなも年下ヒロインとしての姫風露とはちょっと違うベクトルでの無垢さと愛らしさ満点で良かったですけど、私生活編でなぜメガネっ子にしたし!とは言いたい(笑)。

 晶もヒロインとしてはちょっと、状況的にもどうかな、と思う向きはあったのですけど、彼女の影響力と真っ直ぐさ、気風の良さはすごく清涼感があって良かったと思います。

 あとキャラとして最高に楽しかったのはQPね。
 本当に人外ウサさんのこの破壊力たるや素晴らしいの一言でしかないし、地味に色々全編に渡って活躍もしていてとても楽しませてもらいました。



CG(18/20)

★全体評価など

 原画さんによって少しイメージの違いや出来の差はありますが、総合的には概ね完成度高く美麗で、しっかりヒロインの可愛らしさが強く出ていて良かったなと思います。
 量的にも一枚絵88枚なのでまぁ水準クラスはありますし、立ち絵もそんなにバリエーションがあるわけではないですが、リップシンクなどの威力もあって全体的に躍動感はあったので、満足できる水準でしたね。

 お気に入りは、立ち絵だと遊離の正面照れ焦り、ひなのやや横膨れ、姫風露のやや横しょんぼりあたり、一枚絵だと姫風露のダンス、ロリ風露抱擁、遊離騎乗位素股、チャイナ背面座位、ひな髪梳き、涙の抱擁あたりでしょうか。


BGM(19/20)

★全体評価など

 量は水準ラインなのですが、質が非常に高いです。
 ボーカルの出来もどれも素晴らしいのですが、個人的にはBGMがかなり好きで、情緒と奥行き、一握の哀愁が漂うメロディラインは、ちょっともしらばやさくらッセあたりの時期のぱれっと作品を思い出すものでした。
 まあボーカル3曲、BGM25曲で、BGMはかなり短いループものもそこそこあるので、物量的に満点までは、という感じですが、本当に出来はいいんですよねぇ。

 ボーカルはOPにEDのどちらも印象的ですけど、より好みだったのは挿入歌、ラスト直前のチェスバトルで流れてた曲ですねー。
 全部で12分弱とか中々に頭の悪い構成ですが(笑)、すごくあのシーンの超越性と神秘性、哀しみと覚悟がヒシヒシと伝わってくる、そんなイメージを丁寧に刻み込んだ迫力のある曲調で、なんかアトリエのラストバトルっぽいなー、とかちょっと思ったりもしたんですが(笑)、そういう方向性も含めて私の趣味にズバコンと嵌った感じです。

 BGMだと3・6・9・11・12・15・17・21・22番あたりがどれも高いレベルですごく好きですね。


システム(10/10)

★全体評価など

 演出に関しては非常に高いレベルで頑張っていると思います。
 単純にエモート搭載で立ち絵からHシーンからそれなり以上にしっかり動くのは魅力的ですし、まあその動きそのものはちょっと雑というかぎこちなくて、ナチュラルさは足りなかったのが玉に瑕なんですけど、それでもゲームの流動性を上手く担保する一翼を担っていたと思います。
 またそれ以外でもしっかり舞台演出などが精緻で、特にチェス絡みの演出はかなり印象深く、最後のバトルシーンとか本当に神秘的で迫力がありましたよね。クロスリンク絡みで多少重くなる場面がありましたけど、それくらいはご愛嬌で。
 ムービーの出来も高いレベルにあると思いますし、良く出来ています。

 システムは、操作回りが未来ガジェット感の演出なのか少しわかりにくいところはありましたけど、基本的なものは揃っていますしプレイしにくい、という程ではなかったので、そこを理由に割り引くほどではないかな、という感覚です。


総合(93/100)

 総プレイ時間21時間ちょっとですね。
 共通、というのをどこまで区切るかが難しいのですが、プロローグで2時間、そこからの分岐に至るまでもヒロイン編と見做すなら、素直に共通と思えるラインまでで3時間、晶編が個別とまとめて4時間、ひな編も4時間、遊離編もやっぱり4時間で、そこから派生する姫風露編は1,5時間くらい、ラストエピソードが3時間弱、あとバッドやビター派生で30分くらいはあるかな、という感じです。

 尺としては、これだけの精密で濃厚な話をよくこの長さに詰め込んだな、という感じで、贅沢を言えばもう少し肉付けが欲しいくらいですけど、道中は基本的に文句なく面白かったですし、ラストに至るまでの必然性をしっかり意識した、理路に則った骨組みは私好みで、もっともっとこの世界観に浸っていたい、と思わせる出来にはありました。
 それなりに人を選ぶ雰囲気もありますが、完成度は高くヒロインもみんな、癖はあるとはいえ文句なく可愛いので、ちょっとでも琴線に触れる部分があるならば、プレイしてみる価値は充分にある作品ではないか、と思います。


posted by クローバー at 13:43| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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