2019年09月12日

抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?2

 1+2のセット買いなので当然こちらもですね。


シナリオ(27/30)

 幸福追求権がもたらすもの。


★あらすじ

 この作品は、2018年7月に発売された、抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?の正式な続篇になります。
 メインコンテンツとしては、無印では文乃以外のヒロインと対になる形でピックアップされていたSS三巨頭にスポットを当て、本編トゥルーエンドの流れで誰とも結ばれなかった展開の先、彼女達3人と異世界に飛ばされて……という、本編のテーマを踏襲、敷衍した形のストーリーがあります。
 加えて本編ヒロインのアフター、更には強い存在感を放つ妹の麻沙音とのifルートも収録した、FDとしての側面も強く兼ね備えた豪華な一本になっています。

 メインのシナリオにおいては、主人公が受け取った同志作成のオナホールでのセンズリがあまりに気持ちよく、その手淫が光速を超えてしまい、時空の歪を起こして、たまたま居合わせたSS3人衆と共に並行世界に飛ばされてしまう、という、中々に強引過ぎる展開からスタートし、そしてその世界の自分と入れ替わる中で、主人公だけがその世界線では、類い稀なる逸物を武器に、SS四天王の一人・性帝として君臨している世界でした。
 いわばそれは、主人公が妹の身の安全の為に、桐香の誘いに応じて自己のポリシーを曲げた可能性世界であり、ここではすでに廃止になったはずのドスケベ条例が普通に生きているばかりか、より矯激な気配すら醸していて。
 4人は、この世界線での桐香の思惑がどんなものだったのかを探ると同時に、元の世界に戻る為の手段をも模索していきますが、その中で子の世界に内在する問題にも直面する事になっていく、という展開です。

 果たしてこの世界で反交尾勢力を率いているのは何者で、その思惑はどこにあるのか?
 それを打破し、理想の世界を打ち立てた上で、元の世界に戻る事が出来るのか?
 その過程でSSの3人との間に芽生えた絆と愛情は、どのような形に帰結していくのか?

 これは、勝ち得た自由のその先を見据える物語です。


★テキスト

 相変わらずテキストメイクは神かがって面白いですね。
 語彙の多彩さと言い回しの組み立ての巧さは本編同様かそれ以上、でありながらよりメタネタやパロネタなども含めてギリギリを攻めるエッジの効いた部分は進化していて、それに対する善し悪しはありますが、総じて息つく暇もなく面白おかしい、と言えます。
 キャラの個性もより色濃く反映されていると同時に、横の繋がりをこの個性的な口癖でクロスオーバーさせたり、様々な工夫の中で関係性の深化までをもフォロー出来ているのは見事で、読み手にとってはストレスなくスルスルと読めてしまうけれど、やっぱりこれを書き上げるのにどれだけ頭を捻って、一行一行魂を込めているかはよく伝わってきますね。


★ルート構成

 この辺正確にはわからないんですが、最初にプレイできるのは本編文乃以外のヒロインアフターと、メインルートだけっぽいですね。
 メインルートを誰か一人でクリアすると、その流れの中で麻沙音ルートやおまけHイベントがプレイできて、そして全員クリアした上で文乃ルートを最後まで進めると、大団円のグランドエピソードが開陳される、という形のようです。

 メインルートの本筋は一本道で、それなりに序盤でどのヒロインに傾斜するかを選択すると、その本筋の合間合間にそれぞれと絆を深めるエピソードが展開され、そして首尾よく元の世界に戻ってきてから恋愛模様が花開く、という構造になっています。
 その意味では誰からクリアしてもいいんですが、独断と偏見が許されるなら、この本筋の流れの中での、思想的な面も含めてのメインヒロインはやはり桐香になると思うので、シナリオとの連動性や驚きを一気に味わいたいなら桐香を最初に、改めてメインルートを掻い摘みつつじっくり楽しみたいならラストに回すのが妥当かな、と感じます。
 勿論全体としては文乃ラストがベターです。文乃ルートだけは、最後の戦いで負傷した文乃が病院で療養している内に、主人公達は世界線を超えて戦っていた、という複合設定になっているようなので、そこも含めて最後にした方が話の通りがいいでしょう。


★シナリオ(ネタバレ)

 今作はFD的な側面も強く、また無印の流れを思想的には継続発展させた部分も多いので、大枠、としてサラッと触れるよりは、最初からネタバレであれこれ踏み込んで書いた方が楽かな、と思い、いきなりこういう形式にしました。

 とりあえずはメインルートの思想的解釈から始めましょう。
 これは単純に言うと、民主主義世界における愚行権、もしくは幸福追求権と呼ばれる思想の投影と言えます。
 本編の感想で、この島の当初の在り方が共産主義的、そしてその揺り戻しと復讐心で防人老人が作り上げた世界が絶対王政的と示唆し、その共通項は思想的・身体的自由が失われる事で、それを取り戻し、誰もの思想が反映される民主主義的な着地点を作り上げた、と記述しました。
 ただし、この時点ではこのかりそめの民主主義は、より正しい意味での自由、すなわち愚行権を反映出来ていなかった、と言えます。

 愚行権、もしくは幸福追求権とは文字通り、他者のそれを侵害しない限り、傍目にどれだけ愚かな行為でも、本人がそれを実行する事で幸せを感じるのであれば、公権力としてそれを阻害せず容認する、というものです。
 この2の世界観で言うと、性産的行為の自由が生まれた中で、けれどLGBT的な視座、すなわち性的マイノリティの権利にまで想いが行き届いておらず、彼らの愚行権をきっちりと容認出来ていなかった形になり、また移動した世界線においては、未だ性的自由が薄い上に、よりその性産的行為のマニュアル化が強化されていて、故にこそそれを梃子に戦う、という想いが強く可視化していた、と言えるでしょう。

 そもそも、この視座そのものは無印の時点でも、妹の麻沙音、という存在をもって提示されていた、とは言えます。
 ただ本編の時点では、よりシンプルで大枠的な、主義思想の選択がメインターゲットになっているため、そこからすると巨視的とは言えないマイノリティのノイジーさは捨て置かざるを得なかったのでしょう。
 もっとも、無印OPの展開がこの2のメインルートの山場を踏襲している、という繋がりからも、ライターさんの思惑としては最初からそこまで視野に入れての構成だったのかな、という感じはあって、水引、というキャラを上手く世界観に盛り込むことによってそれをより強く投影し、世界に認めさせることが出来たからこそ、はじめて麻沙音とのルートもこの世界線で可能になった、という理路を立てる事が出来ると思います。

 それはともかくとしても、総体的な思想性としては容認、となりますが、それが個々人の関係性に及ぶと、メインルートでの桐香との問答で出てくるように、許容、という概念に集約されていくのだと思います。
 元々桐香は、自身の特異能力もあり、誰とも理解を深める為にこの島の在り方を容認していた、という面は強く、けれどそれ自体は夢物語だと主人公は無印の時点で喝破しています。
 そして、無印の時点では、奈々瀬の思想に寄り添う形で、わかってもらえる人にだけわかってもらえばいい、という地点が一応の着地点になっていましたが、ただそれでは二分化が過ぎて、桐香にとっては納得のいかないものでもあったのでしょう。

 けれどその部分、理解してもらいたいごく一部以外の相手に対するスタンスとして、感情的にそれが不快であろうと、自分のポリシーとは反していようと、それが当人にとって幸せであるならそれを許容し、更に出来るならば理解しようと努めていく、その継続性の価値を認識した時、一度の粘膜接触で全てを理解し、だからこそそれ以上を知ろうとしなかった、人の可塑性を理解していなかった桐香にとっても納得のいく思想に昇華した、と言えると思います。

 実際、桐香はどちらの世界でも、マイノリティ的な立場に追いやられて苦しむ身内を、そのままに捨て置かないために動いていました。
 明快な言葉として思想を保持していなくとも、現状が誰しもの幸せに繋がらない事を直観的に理解し、その為に必要なものも見出すせる、という才能は、偏に彼女の天才性に依拠する部分ではありますが、反面それは人並みの日常生活を、しない、ではなく出来ない、というラインで犠牲にするものでもありました。

 言い換えれば、桐香自身がマイノリティであればこそ、そういう些細な機微を鋭敏に嗅ぎ取る事が出来る、とも言えます。
 大枠的に言えばSSの面々の大半がそういう社会的マイノリティである、という設定ではあり、マイノリティならではの矜持や強さ、絆の深さと重さが色濃く出ているシナリオではありますが、やはりその中でも桐香の存在と思想性が一番話に寄り添った形を取っているとは言えて、礼や郁子を選択した時とは親和性が断然違う、と個人的には感じましたね。

 また面白いのは、この作品はひたすらに、そのマイノリティ、という観念が入れ子構造になっている所です。
 メタ的、というか、プレイヤーの視座的に言うなれば、普通の男性向けエロゲーでBL展開があったり、強いスポットの当たるヒロインがほぼ全て非処女であったりするのは、構造的に間違いなくマイノリティです。
 でもこの作品は、その本来忌避される部分を逆手に取った物語の構築と、それを思想的に理論武装するのがとても上手で、そういう構図を基本的には好まない、概ねは処女厨であろうエロゲプレイヤーをもしっかり虜にしているのですから、その時点で文字通り業界の風潮に風穴を開けたエポック的な作品、と評しても間違いはないでしょう。

 水引との関係性は、勿論あの異世界での大仰すぎる戦いの中でのしつこいまでの問答に全てが集約されていますし、それだけの思想を戦わせた末の相互理解と共感性が生んだ関係ならば、という意味で納得できるのだろうと見ています。
 そしてヒロインの処女性に対する処置としては、これはSSの三人に、それぞれ別のスタンスでその問題に対峙する形を作り、それが各々のキャラ性とも見事にリンクしている事で、その境遇に対する納得と哀憐を生むことに成功しているのかなと感じました。

 3人の中では、実は無印の時の印象とは裏腹に、郁子が一番まともで大人、という感じであり、またそれは彼女の、苦しい境遇でもそこに楽しみを見出していける前向きさに裏打ちされています。
 だからこそ郁子の場合は、自分が主人公が本義的に望んでいた処女でないことをそこまで苦にしませんし、むしろ性の関係性の主導権を握る事で、主人公の意識をそこから上手くそらしつつ、堅実に実際的な関係を積み立てていけているのかな、と思います。
 まあもっとも、それ故にシナリオとしては最も軽くコミカルになっているとも言えて、ラストの射精管理が影響しての隕石破壊は流石に失笑ものでしたけどね。。。

 裏腹に礼の場合は、元々性産的行為に対する嫌悪感が強く、理想も清らかであったが故に、自身を穢れた存在だと強く思いこみ、主人公の想いをだからこそ受け入れられないと思いつめてしまうわけで、実は一番年上なのに、情緒的な部分では一番幼いというのがギャップになっています。
 だからこそ彼女の場合は、あの悲惨な性暴力のシーンを敢えて見せる必要があったと言えます。
 読み手としては、あんな形が端緒であると知れば当然嫌悪より同情が強く出てきますし、その上での「はじめてを捧げてあげられなくって、ごめんねぇっ」的な展開は、むしろ庇護欲や独占欲を喚起するスパイスとして有益なものに転換するわけですね。

 私も例に漏れず、こういう罪悪感を拭う展開は大好きなんですが(昔、恋剣の二次創作で似たような話を盛り込んだくらいですし)、基本的にこれって、ヒロインが処女、という前提の中ではほぼほぼ有効的には使えないものなんですよね。
 それこそあっても悪戯をされた経験とかその程度に縮小化されてしまうし、ここまではっきり穢されてしまう形からの転換はまず純愛寄りのエロゲーでは楽しめないファクターなので、その点でもこの作品はすごく評価出来ると思っています。
 また礼のシナリオ、という意味では、本編に続きヒナミとの関係性、彼女の全てを赦す大らかさと温かさが救いになっていて、その辺りは丼展開でもいいものはいい、と言い切れるあたりです。

 桐香の場合はその中間的な形で、まともな形でのはじめては差しだせないけれど、それでも、という思案の先にある、彼女らしいやり方だなぁとは思いました。
 失われてしまったものには拘泥せずに、あるものにより付加価値を生み出していく手腕と天才性は正に桐香、って感じですし、けれど当然それを主人公の為だけを思って、純粋に一途にやり遂げてしまうところまでが流石の一言です。

 そしてそれも、大枠で言えばメインルートで観取した思想性とリンクしているわけですね。
 他者の幸せの在り方を許容し、そして理解しようと努める、という部分を踏まえて考えれば、主人公の処女厨を許容しつつ力押しで誤魔化している郁子と、許容されないと絶望して自分から離れようとする礼に対し、許容しつつその代替的方法を模索し実行した桐香は、実にバランスが取れた立ち位置を得ていると考えられます。

 元々桐香は、自身に潜む障がいを克服しようとはせずに、現状のまま、自分の能力が活きる舞台でのみ生きられればそれでいい、というスタンスだったわけで、そこからの発展という意味でも大きいものがあります。
 主人公に対し無印の時点で唾をつけていたのは、おそらく直観的に、主人公が自分の中の言葉にならない想いに答えをくれる存在であると感じていたからだろうな、というのも、この流れの中でより鮮明に見えてきたのが良かったですね。

 勿論エピローグに至っても、彼女が実際に出来るようになったことはほぼないのですが、大切なのはその成果ではなく、持続する意思そのものにあるのだ、という思想をも提示していて、それは人と人との関係性でも同様に、相手をわかったつもりで理解する努力を怠れば、それだけ溝が開いていくというシビアな現実に対し、もっとも淳良な形での正しさを、自由の価値と責任を体現しているのではないかと感じました。
 ストーリー展開として桐香ルートに大仰さはなにもないのですが、それでもこの作品で図抜けて素晴らしいシナリオは桐香ルートだったと個人的には確信しています。

 アフターなどに関しては、それぞれの特異性を踏まえて面白おかしいものに仕上がっていますね。
 単純に笑い転げられる、という意味では美岬は抜群に面白かったですし、ヒナミの大らかさと優しさ、バブみがたっぷり楽しめたのもよいよいで、奈々瀬ルートは爺が暴れなかった理由づけがないのが気にはなるけれど、らしさを見せつつラストではちゃんと文乃救出してくれてやはりよいよい、ではありました。
 麻沙音ルートも、いかにもこの二人らしいアホらしい形からの関係性の進展で、けどそこに気負いはなく本当に幸せそうなのがいいですね。ただ思想的な観念で言うと、ロリはダメなのに近親相姦にはなんでここまで大らかなんだこの島?というところは解決してくれないのが玉に瑕ですけれど。
 ただこのルート、女子制服の文乃が尊過ぎる。もっと他でも見せて欲しかったし、立ち絵も実装して欲しかったぜぐぬぬ。

 文乃ルートだけは、無印と2のそれぞれのメインルートを経由した、という条件付けになっているので、その分だけ人間関係に膨らみがあってそこはより楽しいですね〜。
 元々文乃の思想は共存にあるわけで、当然それはマイノリティの包摂も含まっていますから、文乃自身が直截的に関係しなくても(勿論向こうの世界の文乃が、ってのはありますけど)、彼女と結ばれた主人公がその思想を内包し、伝播させていくというのはより説得性を有する形にはなります。
 当然それだけで完璧に幸せな世界、となるわけではないのもまた道理なので、それを少しずつでも改善し続けるべく、ずっと彼らが地下組織的な活動を通じて、社会の変革と意思の発現を継続している、という最後のエピソードは、シナリオにおけるテーマ性と、身内の人間の幸せを綺麗に両立させた形になっていますし、文乃の可愛さも含めて、やはりメインヒロインの風格を感じさせるものですね。

 実は、常に文乃が桐香に対し生得的にマウントが取れるのも、その立場のメタファーなのかなとひっそり笑いつつ、まあともあれ全般的に、FDとしても続編としても申し分ない出来にはなっていると思います。
 無印より荒唐無稽だったり強引だったりするシナリオ展開もなくはないので、そのあたり全く手放しで褒められるとまではいわないですけれど、それでも物語のけん引力と、思想性に上手くリンクさせたキャラの在り方とシナリオ構成は素晴らしいものがありました。
 これだけのものを1年で作ったというのも中々で、やはり元よりその先までイメージしたシナリオ構成だったのかな、とも感じますし、こういうマイノリティ的な要素強く含んだ作品が世に受け入れられ、スマッシュヒットを飛ばしているというだけでも高く評価すべき作品なのではないかと思います。



キャラ(20/20)


★全体評価など

 今回も奇抜でけれど気持ちのいいキャラ造型に徹していて本当に楽しかったですし、ヒロインそれぞれの独特の心のひだに丁寧に入り込んでの魅力の引き立ても健在で、実に満足度の高いものでしたね。

 やはり今作でより好きになったのは桐香に尽きる、とは言えますね。
 まあお世辞にも、自分がトーカちゃん係を全うできるとは微塵も思いませんが(笑)、そういう子だからこその真っ直ぐさ、純真さと、要所での無死の精神の煌き、カッコよさが光っていて最高でした。

 当然文乃も更に好きになれる可愛さでしたし、むしろもっと色々なところで絡んで欲しかったなぁと思うくらい。
 新規としてはスス子はかなり可愛かったのにシーンなしは勿体ないね。


CG(17/20)


★全体評価など

 無印よりは進化している感はあるけど、好みか、と言われると微妙なのは変わらず、値段を踏まえてのボリュームゾーンも含めて、やはりここでそこまで高い点数はつけにくいのはありますかね。

 勿論立ち絵の新規投入も多く、1枚絵はカットイン含めて74枚にSD8枚と先ず先ず、質自体は安定感が高まって、あとそれぞれの個性がより強く反映されていてそこは良かったと思うのですけどね。
 特に麻沙音添い寝、桐香抱っこ、桐香と娘、文乃騎乗位あたりは好きです。


BGM(18/20)


★全体評価など

 新規曲はボーカル2曲、BGMは9曲でしょうか。
 しっかり必要な場面に対するアプローチは出来ていますし、全体のスタイリッシュな雰囲気も踏襲していて、やはりいい出来だなと思います。

 ボーカルは特にOPがかなりカッコよく、奥行きもあっていい曲で、EDもこの世界観の独特さを柔らかく受け止めていい余韻を残しており、どちらも好きです。
 BGMでは『Sentences will be…』が、無印『Sentence know』の深化系、って感じで好み度高いですし、それ以外も安定してらしい出来だなと思います。


システム(10/10)


★全体評価など

 演出はより進化して楽しくなりましたね。
 立ち絵の自在性がより強化されて躍動感と奇抜さがマシマシですし、一方で情感演出もしっかり強化、要所要所の迫力と雰囲気作りはかなり綿密で丁寧であり、とても満足度の高いものになっていると思います。
 ムービーも特にOPがめっちゃカッコ良く出来ていますし、インパクト充分ですね。

 システムは、正直こういう一本道の途中途中に個別イベント、って形だと、シーンジャンプは欲しいなあと思ってしまう向きはありますけれどね。
 まあシナリオセレクトがあるので後々、という意味での不便さはなく、ただ音楽鑑賞は手を付けて欲しかったかな。


総合(92/100)

 総プレイ時間24時間くらい。
 メインルートの本筋が8時間くらいで、SS三人の個別が2,5時間ずつ、アフターは一人1,5時間くらいで、文乃と麻沙音は2時間ちょっとくらいでしょうか。
 尺的には本編同様にかなりボリュームがあり、けれどその一刻たりとも読み手を飽きさせる、だらけさせるところはなくて、前作同様、むしろそれ以上に密度の高い、素晴らしい熱量を持った作品に仕上がっていますね。

 世界観として、性を主体とした理念としてはほぼこれ以上盛り込めるものもないかな、ってくらいにはしっかり紡がれていますし、更にこの先はもうないでしょうけど、それが惜しい、ずっとこの世界に浸っていたいと思わせるくらいには楽しいものでした。
 希有なヒロインや情景にも出会えましたし、やはり食わず嫌いは良くないなと改めて思わせてくれた、そしてエロゲーの可能性を切り拓いた素晴らしい作品だったと思います。

posted by クローバー at 05:26| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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