2019年09月16日

若葉色のカルテット

 正直体験版はさほど面白くなかったんだけど、キャラデザとCVはいつものように好みだったし、8月あまり買うものもなかったので。


シナリオ(14/30)

 平凡を極めている。


★あらすじ

 主人公は飼い猫のアイを溺愛していて、その為にペット可の古い寮がある今の学園に進路を決めたのですが、そこは古いゆえに他の学生には敬遠されていて、結果的に長い間、主人公とその幼馴染の都の二人にアイを加えた静かな聖域となっていました。
 ただある日、アイ繋がりで主人公に一目惚れした下級生のひよりが、思いが暴走するあまり自身をメイドとして売り込んできて。
 更には同時期に、エリデュローネというケモミミ種族の住む、謎の多い国から留学してきた王族のソフィアが、しかしこの国でまともに一人暮らしが出来ずに自堕落になっているのに気づいてしまい、ひよりと共に入寮する事になります。
 おまけにソフィアが、ずつとネコだとばかり思っていたアイが、実はエリデュローネの人間だった事も暴露してくれて、突如華やかで賑やかな日々が現出する事になります。

 それぞれの理由と想いで集った面々は、やはり年頃らしく共同生活の中で互いの想いを深めていき、そして各々が抱える問題と対峙していく、これはそんなタイトル通り若葉色、淡い恋情から発展していく関係性と未来を描いた爽やかな青春譚です。


★テキスト

 特に癖はなく、読みにくいという事はないですが、特別面白い、という事もないですね。
 基本的にほのぼのした雰囲気がモットーではありますし、いわば日常系のイメージなのですけど、あまりにもスパイスが効いていないので基本的に退屈もといゆったりした空気感を楽しむものなのかなと。
 ただアレですよ、ずいぶん昔にHOOKの作品が睡眠導入剤、と呼ばれていたのをちょっと思い出してしまうくらいには、本当に平坦で笑いどころや心を打つシーンも少ない、淡々としたテキスト回しになっていましたね。


★ルート構成

 キャラ選択肢がひとつだけ、というこれ以上ない手抜きもといシンプルな構成です。
 シナリオ的に見ても、どうして互いが好き合うようになったかの契機がわかりづらいルートが多く、だったらせめてもう少し共通の段階で上積みしておけよ、って感覚は強く出る作品ですし、ゲーム性という意味でもあまりに淡泊で、なんというか徹頭徹尾どれだけ簡便に作れるかギリギリをチャレンジしているような印象すら受けますね。


★シナリオ

 平凡、と一言でいいかなー、と思うくらいに中身の薄い作品です。
 どのヒロインも判を押したように、精々ひとつふたつのきっかけで好き同士になり、祝福されてイチャラブエロスして、終盤にひとつだけ問題が持ち上がるもサラッと解決して万々歳、大団円ですー、って顔をしており、なんともキャラの個性や魅力を生かし切れていない憾みが強いですね。

 しかもこの作品の場合、ひよりという一目惚れヒロインがいて、ほぼほぼ告白に近い形で押しかけメイドをしている、という状況があるわけで、本質的には恋愛観の距離はマチマチであるべきなんですよね。
 でもそこを画一化してしまっている上に、ルートによってはそのひよりの想いに対するフォローすら碌々しない、って事もあって、そのあたりは正直気に入らなかったです。
 また元々身内側のヒロインとしても、アイはまだネコから人間というビックインパクトがあるからいいにしても、都は幼馴染としてはあまりに凡庸な心情変化ではありました。
 無論他のヒロインがやってきて危機感に火が、的なイメージも持てますけれど、そういう部分も含めてもう少し「好き」の理由づけと意識の浮上に複層的な積み重ねが必要なヒロインはいただろう、という感じです。

 終盤のシリアスにしても、結構全体的に降って湧いたような適当な味つけのものも多く、しかもその解決はほぼ、最初に思い付いたやり方で我武者羅に頑張ったらなんとかなっちゃいましたー、くらいの軽さで、徹底的にシリアスを深めない軽さを意識しているイメージです。
 そりゃダメシリアスを連発しろ、とは言わないけれど、ここまで他に特色もない淡泊な作品ならば、せめて終わり方くらいはきっちりしていて欲しかったですし、それをイメージさせるのにシリアスの克服は程よい要素ではあるのだから、色々勿体ないなと思いました。

 また、全体的な方向性としてもふんわりとした色付けはあるにしても、もう少し明快に指針として打ち出すべきだったかなと思います。
 いくつかのルートでサラッと触れられる、エリデュローネの留学生の受け皿としての場所、という観点そのものは悪くなかったと思いますが、それをより具体的にするために、ソフィアやアイのルートではもっとエリデュローネという国の実態や奥深さ、文化の違いを意識させる記述、展開が欲しかったなと思います。
 更にそれぞれの問題の解決策としても、もっと重層的にそこに結び付ける事が出来れば面白かったと思いますし、ひよりなんかは特に、お世話をする立場で風俗の違いなど苦労した部分、けれどそこに見出した楽しさとやりがい、みたいな話とセットで説得していけばいいのに、と思ったりしましたね。

 それにソフィアの問題自体は、共通で変身できないという最大の懸念が払しょくされている以上、ある程度どのルートでも波及すべき課題ではあって、それに伴ってのアリアの使い方など、もっと世界観に広がりがある組み立ては、他のルートでもいくらでも出来たでしょう。
 最終的なベクトルとして、二国間交流のモデルケースと受け皿、という土台をきちっと決めておけば、そこに向けて落とし込んでいくのは難しくないですし、そうすれば退屈寄りのシナリオでも一匙の感動や共感が生まれたろうに、ここまで簡素で表面的だと、全く読み手の心にそれが解決できてよかったね、的な想いが生まれてこない感じはしちゃいますよね。

 総合的に、絵の可愛さを楽しむ、という意味で阻害はしないシナリオですけど、でも全く何も後押ししてもいない、それこそBGMと似たような存在感のお話、というイメージです。
 私はやっぱりシナリオには、多少賛否はあっても棘や山谷がもっと欲しいとは思ってしまうので、最初からそれを放棄したようなつくりのこの作品には納得は行かないですね。
 しかもこれ、最近流行りの公式情報解禁時点でマスターアップタイプなわけで、今のところこういう売り方を選択した作品で、申し分なくシナリオが練り込まれていた、というパターンを知らないのですが(笑)、その中でもとりわけ無難過ぎるラインで妥協してしまっているなぁと思います。
 なので点数的にも最低限、にはなってしまいますし、シナリオとして水準にも足りていなかったと判断します。まあ敢えて言えばソフィアくらいですかね、そこそこまともなのは。


キャラ(19/20)


★全体評価など

 基礎スペックは相当に魅力的だと思うのですけど、シナリオがそれを引き出す努力を怠っているので、なんとも印象の淡い、若葉色カルテットヒロインにはなってしまいましたね。
 
 一番好きなのは一応ひよりだけど、ただシナリオは褒められたものではないし、基本的に脇で誰かを支えている方が光っていたのも勿体無いところではあります。
 アイも当然めっちゃ可愛かったですし、実は一番大人、ってのも含めて要所でいい味を出していたかなと思いますが、もう少し実家絡み含めてインパクトは欲しかったですねー。

 あともっとアリアさん出そうよ。折角美人さんなのに勿体ない。紅木の葉の時もこういう真面目タイプのほおずきさん好きだったけど、ここまで出番がないと魅力もへったくれもないでしょ、という話。


CG(19/20)


★全体評価など

 いつもの事ながら唯一無二のストロングポイントではありますね。ホントみんな可愛い。立ち絵も一枚絵も満遍なく可愛くてそこは満足です。
 ただ量的にはやや少なめでもあるし、ランプの過去作比較でももうちょっとパワーが足りない感じで、そこは割り引いておきます。

 立ち絵だとソフィアの正面にアイの横向きなどは好きで、服飾的にはソフィアのパジャマとひよりの私服、アイの寝間着もいいですね。
 一枚絵は74枚にSD6枚なのでもうちょっと欲しいけど、可愛いのは間違いないです。ただ時々横幅の寸尺間違えてない?ってのがあったけど、画面の問題かな?
 一枚絵だとソフィアの変身、キス、ひよりの自慰、アイ添い寝、風邪引き、背面座位、都立ちバックあたりが好きかな。


BGM(16/20)


★全体評価など

 ここも質量ともにさほどインパクトはなかったですね。シナリオ同様無難にまとまっている感じ。
 ボーカル曲は2曲でBGMは24曲ですが、BGMはアレンジも多いので実質15〜6曲、とにかくコンパクトな印象です。

 ボーカルはOPの清々しさと軽やかさは結構好きで、ランプのOP、って感じはかなりする曲。ヘプタグラムなんか思い出すよね。
 BGMは特に目立ったものはなかったし、可もなく不可もなくです。


システム(8/10)


★全体評価など

 演出も全体的にちょっと弱めな感じ。特に動きが求められる作風ではないとしても、もう少しドタバタ感はあっていいし、要所も一枚絵頼みな感じが否めないですな。
 ムービーはそこそこ好き。曲のイメージと疾走感に綺麗に噛み合っていていいですね。

 システムも最低限しっかりはしているけど、相変わらず動作がもっさりというか、一々適応を押さないと反映されないのとかもうちょっとなんとかならんか?とは思ったり。


総合(76/100)

 総プレイ時間15時間。共通3時間で個別も3時間ずつくらいですね。
 まあ正直全体的に手抜き感が充満しているというか、作り手の作品に対する熱量をあんまり感じない内容ではありました。
 フルプライスとして尺が物足りないとか、シナリオがちぐはぐだとか、そういう不満点ってのは、ある程度やりたい事はわかるけどそこに力量が追い付いてない、って場合が多くて、だからこそ正否の感情も擽られるのだけど、最初からここまで妥協感があるとそれすら喚起しないというね。
 なのでプレイ中ずっと眠くて大変だったし(笑)、まあぬきたしの次、という順番の噛み合わせも最悪だったろうけど、それにしても全体的にシステマチックであり過ぎていて、流石に残念、と言わざるを得ないですね。

 いつも通り絵だけは素晴らしい出来でしたけど、それ以外に推せるポイントはなにもなく、個人的にはスルー推奨です。

posted by クローバー at 05:57| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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