2019年12月11日

真愛の百合は赤く染まる

 正直スプラッターな展開はえぬじぃ!って感じではあったのだけど、その他要因も含めて百合百合しい関係とエロスは見てみたかったのと、純粋に主人公の真奈美ちゃんが体験版やったら鬼可愛かったので買ってしまいました。


シナリオ(16/30)

 うーんえぐい。


★あらすじ

 主人公の真奈美は生得的に女の子が好きな女の子でしたが、前の学園で親友と呼べる子に恋をしてしまい、想い余って告白をした事で、周囲と大きな軋轢が生じてしまい、いたたまれなくなって転校する事になりました。
 今度は同じ失敗はせず、穏便に学園生活を全うしていくんだと考えていた真奈美ですが、皮肉な事に転校初日に運命的な出会いを果たしてしまいます。
 彼女も漢字違いの愛美といい、隣の席になったその大人びた少女は、初日にして真奈美の真実を言い当て、けれどそれを知っても決して軽蔑も忌避もする事なく、むしろ更に仲よくしようと近づいてきます。
 その親切さに、警戒心を残しつつも絆されていく真奈美は、いつしかまた同じ過ちを、女の子を好きになってしまうという禁忌に踏み込んでしまいますが、実はそれは相手も同じこと、愛美もまた女の子しか愛せない特殊性癖の持ち主なのでした。

 かくして密やかに結ばれ、幸せな日々を送る真奈美と愛美でしたが、その関係はすぐに不穏な空気に呑まれていきます。
 様々な思惑や愛憎が交差する中で、果たして真奈美はようやく手にした真実の愛を最後まで貫く事が出来るのでしょうか?


★テキスト

 全体的に百合もの、という部分もあり、ある程度上品で愛らしい雰囲気を出しつつも、不穏な空気、不協和音のぎこちなさなど非常にメリハリがつけられていて、更には性愛的なシーンから踏み込んでのえぐいシーンに至っても、結構容赦なく強烈な描写が点在していたりして、中々に刺激的な読み口にはなっています。
 文章そのものとしてはきっちり丁寧に組み立てられて、読みやすく感情も伝わってきやすいのですけど、なまじそうであるだけにえぐいシーンのそれもまた、という所で、そこは賛否が出てしまうのは否めないかなー、と感じますかね。


★ルート構成

 ミドルプライスの作品ですが、結構分岐とエンド数は多く、まぁ大抵がバッドエンドなんですけれど(笑)、それなりにゲーム性・攻略性という意味でもやりがいはあるというか、如何にして強烈なバッドを心の準備が整っていない時に踏まずに済むか考えるのが地味に大変な作品ですな。。。
 ある程度序盤に相手のアレコレを受け入れる積極的な愛の姿勢を見せていないと、後半強制的にバッドエンドっぽいですし、まあ正直唯一スプラッターな色合いが出てこないルートであっても、これでハッピーエンドと呼んでいいのかな?という面はありますが、そこも含めてそれなりにテーマに沿って骨太なつくりではあるかなと思います。


★シナリオ

 まあブランド色からしても、タイトルイメージからしても、そういう残虐なシーンが山ほどあるんだろうなと覚悟はしてたけど、それにしてもほとんどが救いのないエンドってのは心に来ますね。。。
 基本的には愛美側の愛憎劇に巻き込まれたというか、自分から踏み込んでいった真奈美が酷い目に合う作品ではあり、まあ愛美と優子の精神性の破綻ぶりはえげつないものではあって、正直どう評価すべきか迷う所は多々あります。

 概ねのスタンスとしては、愛とは相手の全てを真摯に受け止め、受け容れる事、という前提の中で、どこまで真奈美が、レズビアンである以外は至極真っ当な良識人でいたいけな真奈美が、変質的な愛の形を持つ愛美を受け止め切れるのか、というのが、ルート分岐の分水嶺になっているのは疑いのないところです。
 まあ愛美自身がそんな猟奇的な愛の形を育んでしまったのは後天的要因も深くありそうですし、同情の余地もあるとはいえ、ひとつ間違えると狂気に満ちたサディスティックな行為に一気に走ってしまう、その危うさに対しての踏み込みのバランスの難しさは、選択肢の積み重ねからも納得いくところで、そのあたりいい意味でリアル感が出ている、とは言えるでしょうか。

 当然真奈美としても、愛美が運命的な出会いであり、自分に訪れることはないと思っていた幸せを与えてくれる唯一無二の存在だと思い込んでしまうような精神的トラウマが根底にあって、とは言えますし、それだけ狭い世界観の中で、多感な年頃らしい極端さが突き抜けている感じですね。
 とはいえ、やっぱり暴力はいかんですよ、的な部分での、ごくごく普通の感性で生きている真奈美に対しての、二人の自己愛的世界観からのアプローチと嗜虐のありようはあまりにあまりではあって、この子自身そこで反撃する、みたいな勇気は切羽詰まって尚振るえるかわからない、という程度の小心ぶりではあるので、もう少し何かが違えば、というのはあるのですけど、結構高い確率で悲劇的結末に至るというのも、そういう運命・相性として紡がれていると言われれば、仕方ないのかなと思えるだけの説得性は有しています。

 でも、でもねぇ、せめてもう少し普通の形で、真奈美が幸せになれるルートはなかったのかい?ってのはどうしても出てきます。
 ミスリードの対象にされた上に、とばっちりであんな形の退場になってるあの人も不憫そのものですけど、そういう流れに至らないなにか、という組み立ては最初から用意されていないというのが確信犯的ではあり、まあそれだけLGBT的な要素の社会的認知というか、常識的偏見の重さを感じさせるところでもありますかねぇ。せめてもっと素直に、親に好きな子が出来て、受け入れて貰えたの!って言える状況があればよかったんですけれど。
 ……まあその場合、一家まとめて放火でもされそうですけれど。。。

 とにかく本当に酷いルートは極めて陰惨で、特にやっぱり一番バッド寄りの優子主導エンドはヤバいですからねぇ。リアルに凌辱の上に、あれだけ手玉に取られて最後はあんな殺され方って……。正直あの時点で優子完全に油断してるし、いいからそのままへし折って二人で大脱出しなよ!ルート分岐どこー!と思わざるを得なかった。。。
 正直本当に真奈美がすごく普通に可愛らしい女の子で、めっちゃ好みだっただけに色々苦しかったし、作品総合として当然インパクトは充分あって、出来としてもこういう方向性としてはかなり洗練されている、かつ徹底して突き抜けている意欲作だとは思うのですけど、数字的に評価出来るか、と言われると、流石に予想はしてたけど、予想以上に趣味に合わなかった感じですね。
 にくにくも相当にアレだったけど、あちらはまだ人知の及ばない存在の手で、というところでの距離感があったけど、こっちは本当に極限的な、人間的愛憎の詰め合わせって感じで、微かに理解が及ぶだけ余計にえぐい、とは言えるでしょう。まあこういうのが好き、って人もいるでしょうけど、中々人様にお勧めは出来ないというか、お勧めしたら人格疑われそうですよねこれ。。。


キャラ(18/20)


★全体評価など

 いやまぁ、正直本当にベースの真奈美のキャラ性、デザインなどめっっっちゃ好みなんですよねぇ。
 だからそれで、せめて半分くらいは普通にラブラブしてくれれば良かったのですけど、ほぼ全てが猟奇的思考に冒された展開だし、まあ最初から愛美の方にも危うさしか感じなかったけど、それにしてもその愛し方はどうなの?とはなってしまうわけで。
 真奈美にしても、ある程度その不穏というか、普通じゃない部分に気付いていながらも、愛が目くらましして、或いは恐怖に打ち据えられて動けない、みたいな弱々しさからの突き抜けがほぼ見られないのは物足りない、とは言えますし、流石にこの作品で、真奈美以外のキャラを好きになれ、ってのも中々ハードルの高い話だと思いませんかねぇ?


CG(17/20)


★全体評価など
 
 登場人物が少ないとはいえ、ミドルプライスとしては質量ともに中々で、ただ勿論半分くらいはスプラッターではあるので閲覧注意、になってしまうのがなんとも。
 普通のイチャラブエッチとか、真奈美の立ち絵とかはめっちゃ可愛いし、特に真奈美のデート服とパジャマが鬼のように好きなんですけど、まあそういうのを強制的に血の印象で塗り替えていく作品ではあるので……。


BGM(17/20)


★全体評価など

 音楽も意外と出来はかなり良くて、ボーカル曲の不協和と戦慄感は独特の味わいでいい感じですし、BGMもどこか百合らしい耽美さ・幽玄さをいい感じにまぶしつつ、それとは真逆の陰湿・不穏なイメージの曲もしっかり完成度高く出来ていて、雰囲気作り、という意味ではかなり質の高い音楽だったなと思っています。
 でも、正直シナリオがえぐすぎて、いくらそれをしっかり彩っていてもあまり評価できないのはあるよねどうしても。。。


システム(8/10)


★全体評価など

 演出はまあそこそこ、特に派手に動くわけでもないけど、ホラー感というか恐怖感を煽る演出の効果的な使い方は目を引きますし、ムービーも色遣いが鮮やかでありつつも毒々しくて、この作品らしさはすごく出ている、とは思いますけどね。

 システムも特に使いにくいところはなく、そのあたりで不満はないです。


総合(76/100)

 総プレイ時間は12時間くらいですね。
 結構ルート数があるのですけど、正直見なきゃよかったなぁ、ってレベルの胸糞悪い話も多々あるので、ある意味めげずにコンプリートした私えらい、と思うくらいではあると。。。
 しかも普通、最後にわざわざ回想で追加するなら、せめてまともなエンドの後日談かと思いきや、一番猟奇的な流れからのえげつないオチとか、最後まで徹底して狂った愛を突き詰めてきたなぁ、という感じで、近年では稀に見る尖った作品だったと思います。

 まあこれはこれで需要はあるのだろうけど、好き嫌いはかなり大きく出るし、私みたいに百合目当てで恐々買ってみたら、やっぱりそうなるのねー!とダメージを多大に食らう可能性は高いとは言えますかね。
 感情抜きに論理的に言うなら、テーマとの整合性と徹底ぶり、全体の骨組みなどかなり完成度の高い意欲的な作品なんですけど、まあ流石にここまで突き抜けてしまうと、感情抜きに、とはいかないレベルですかね。真奈美ちゃん、ほんまに不憫やで……。

posted by クローバー at 17:42| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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