ヒロイン二人でハーフプライスという半端な作りではあったけれど、シンプルに絵がめっちゃ可愛くて好みではあったので購入しました。
シナリオ(18/30)
キュートとハートフルが詰まってます。
★あらすじ
主人公は、いきなり親に一人暮らしをしろと言われて、新しい街で過ごす事になりました。
突然のことに驚きつつも、少し新生活にワクワクしながらやってきた初日、街中で喫茶店のチラシを配っている女の子・千絵莉と遭遇し、彼女を手助けする事でそこに招待されますが、その喫茶店は不思議な事に、耳と尻尾がある獣人、と呼ばれる種族が経営する場所でした。
本来普通の人間にはそれが見えないはずなのですが、何故か見えてしまった主人公は、あれよあれよと彼女達の仲間に引き入れられ、次の日からその喫茶店・セタリアで住み込みで働く事になります。
奇しくも同じ日にやってきたみくりともすぐ仲良くなり、先輩スタッフのナナや苺華にも助けられつつ日々を楽しく過ごしていく中で、女の子達との距離や関係も少しずつ縮まっていって……これはそんな、人と獣人が紡ぐ種族を超えたハートフルな恋物語です。
★テキスト
とても柔らかな雰囲気の作品なので、それに合わせて特に奇抜な部分はなく、丁寧にまったりとスムーズに読み進められるという印象ですね。
裏を返せばインパクトがない、とも言いますが、まあ特に日本語的にも引っ掛かるところはなかったですし、無難な出来、としておくのが妥当なところかなと思います。
★ルート構成
選択肢はひとつだけで、ヒロイン二人への分岐と、ノーマルエンドへの分岐が一発で出てきます。まあゲーム性としては皆無ですね。
全てのルートをクリアすると、タイトル画面からハーレムを選択出来ますが、非常に残念ながらハーレム、と言っても、今作のヒロイン二人だけです。。。
★シナリオ
獣人が経営する喫茶店、という舞台の中で、種族の差やそれにまつわる劣等感などを軽くスパイスとして降り掛けつつ、基本的にはヒロインの愛らしさを全力で楽しむシナリオ、という感じですね。
ルートがあるヒロインはみくりと千絵莉の二人で、それぞれ尺としては流石にフルプライスの1ルート相当はあるかな、と思います。シンプルにフルプライスを二分割した感じですね。ぶっちゃけおまけモードで見ると、明らかにあと二人分のCG枠が用意されていて、いずれ残り二人も出してくれると、苺華大好きな私としてはそこに縋って信じたいところではあります(笑)。
みくりの場合は獣人の中でも、元々人間とは離れた、獣人だけの村で、しかもそこの巫女として生きてきたという背景から、一介の人間と共に歩んでいくビジョンが中々見えにくい、という方向性になりますし、みくり自身の恋愛情緒や世間知らずな部分がそれに拍車をかけ、展開的にもやや雑味のある山谷のつけ方、というイメージにはなります。
全体的に主人公が昼行燈的な雰囲気ってのもあり、その辺はもどかしさもありますが、感情表現が素直でハキハキしているみくりの可愛さは十分堪能できますし、最後も特に問題が解決したわけではない、それでも二人の気持ちはしっかりと定まったという、この舞台の枠内での成長譚としてまとめているのは、ダイナミズムとしては物足りないですが余韻としては丁度いいのかもしれませんね。
千絵莉の場合は逆に、元々家が人間社会にきっちり食い込んでいる、という部分もあり、種族の差、という所よりは、シンプルに自己評価の低さ、劣等感の克服が主題になり、そしてその根幹的な部分が恋愛に関しても中々めんどくさい方向性を紐づけている、というスタンスになると思います。
本質的に努力家で、コツコツ積み上げていけば結構ちゃんと何でも出来る子ではあるのだけど、周りが凄すぎて自己評価が低くなってしまうという可哀想な部分はあり、それ故のめんどくささもそこが土壌としてはっきりしているから愛嬌として機能している感覚です。
それに対しての主人公のどこか茫洋とした、けれど余裕のある考え方や立ち回りに感化されていく事で、自分なりの「大人」を築いていく流れは、成長譚としてみくりよりも明確にメリハリがあって綺麗にまとまっていますね。
ヒロインとしても甘え下手なりに頑張ってアプローチしたり、やっとそれが叶った時の蕩けた雰囲気とかめっちゃ可愛くて、こういう気真面目タイプのウサさんはレアだけど、これはこれで可愛いなと堪能できました。
ノーマルは本当にノーマル、って感じのささやかなつくり、ハーレムもほぼ夢みたいな都合のいい話と展開からのちょっとした挿話、というイメージで、ないよりはある方が嬉しい、程度のものですね。
正直今回の二人のヒロインもすごく可愛かったですけど、この作品では断然苺華に惚れ込んでいる私としては、最初の選択肢のみんなで、で期待を裏切られ、最後のハーレムでも期待を裏切られ(笑)、まぁわかっちゃいたけど不完全燃焼です。。。
上でも触れたように、おまけの回想モードで、明らかに残り二人の枠が用意されているし、いずれ出してくれると期待はします。苺華が攻略出来ないなんてバグだーーー!
ともあれ、絵の可愛さと雰囲気の良さで充分楽しめる作品ですけど、シナリオとしてはありきたり、平凡のきらいも出てしまいますし、評価としてはこの辺になるかなと思います。結局主人公の秘密とかもきちんとは掘り下げていないですし、後々の展開を踏まえての表層的なつくり、という可能性も充分ありますしねぇ。
キャラ(20/20)
★全体評価など
基本的にみんな優しく愛らしく善良で、角突き合わす事があってもそれすら可愛いという造型なので、心安らかに楽しめる一作ですね。
一応ヒロインの成長譚としても綺麗にまとまっている話ですし、苺華が攻略出来ない事を除けば特に不満はないです。。。
ヒロイン、という括りで言えば千絵莉の方がやっぱり好きですかね。
こういう生真面目でひたむきなタイプのロリっ子は本当に愛らしくて素敵ですし、自分の恋心を自覚しつつも、それに素直になれずに振り回されるところとか、甘えたいのに甘えられずにやきもきして、周りに嫉妬を振りまいてしまったりと、ダメなところも可愛さとして見られるすごくいい子だったと思います。
そんなタイプだからエロス的な面のハードル高そう、と思ってたら、そこも微妙に都合のいい設定持ち込んでではあったし、けどそれもしっかり自分を好きになれない点としてスパイスになっている、そこも含めてエロゲヒロインとしての美味しいところをしっかり押さえていた子でもありましたね。
みくりも対照的に天真爛漫でいつも元気だけど、巫女らしい神秘性や不思議さも相応にあって、思考経路が人より奇抜な部分があったり、一般常識に欠けていたりする分、周りが振り回されるけど、それもこの子らしいイメージではありますね。
恋愛的な機微としては明らかに年下の千絵莉より足りてないからこその、真っ直ぐだけどたどたどしいアプローチとかは可愛らしいですし、健康的なエロスも振り撒いていて大変良かったと思います。
ただ本当に、見た目も性格も全てにおいて苺華がど真ん中ストライク過ぎたので、もどかしさは募りましたね。
しっかり者で面倒見も良くて、すごくふわふわしていて優しいけれど締めるところは締める、そういう部分も本当に素敵でしたし、彼女の横に並び立つだけの努力を主人公側に求められそうなタイプだけどそれはそれでアリかと。
今作の出番だけでも本当に超可愛くてお気に入りですし、是非是非ナナとセットでの後編リリースオナシャス!って感じです。
CG(19/20)
★全体評価など
とにかく可愛いに全振りした感じの絵柄で、最高に私好みではあります。まありこさんもいいのだけど、やっぱり私しらたまさんのこの、少し横に広く、ロリ感を全力で押し出した画風超絶に好き。
枚数的にはヒロイン19枚ずつとハーレム2枚で40枚だから、ハーフプライスとして考えれば平均ど真ん中のラインで、立ち絵もそれなりに服飾など多彩で可愛らしかったので、量的にも悪くはないでしょう。
特に良かったのはやっぱり千絵莉に偏ってて、うたた寝、尻尾愛撫、あーん、騎乗位あたりはすごく良かったですね。
特に尻尾ナデナデの白スト最高ー!みくりも一応ユニフォームの時は黒ストのはずなんだが、Hシーンで全く出番なしだったのは無念でござる。
BGM(17/20)
★全体評価など
ボーカル曲は2曲にBGMは15曲とまずこちらも綺麗な平均ど真ん中で、質的にはこのちょっと洋風な世界観に上手く噛み合わせた丁寧なつくり、ってイメージですね。
ボーカル曲はOPEDともに中々いい出来だけど、どちらかと言えばEDの『Wish*upon a star』の方がいいですね。出だしのキャッチーさと、伸びやかな旋律が気に入ってます。
BGMでは『ご機嫌なしっぽ』『シリウスを見つけて』がいい出来だと思いました。
システム(8/10)
★全体評価など
演出はそれなり、という感じで、もう少しケモミミ設定を全面に生かした演出でも、というのはなくはない、という所でしょうか。
ムービーはカラフルでも派手過ぎない作りで結構好みでした。
システム的にはやっぱりワンクッション重いのが面倒なのと、あとムービーの初期設定音量が小さすぎる気がする。そこを弄れないのも含めてちょっと勿体ないかなと。
総合(82/100)
総プレイ時間9時間。共通3時間の個別3時間弱、残りが精々20分くらいのイメージでしょうか。
まあ総量としては値段相応とは言えますし、短いけど優しい世界観はしっかり堪能出来て、見た目がもたらすイメージと期待感は裏切らない、けれどそれ以上のアドバンテージはない、というところです。
本当にフルプライスの分割商法的なつくりなので、取り立てて特色も強くなく、可愛さを楽しめればそれでいい、というユーザー向けでしょうね。私としてはしらたまさんの絵が大好きなので、それだけでも充分満足できましたけどね。。。
2020年02月11日
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