2020年02月20日

サルテ

 凌辱メインなのでどうしようかな、と思ったけど、舞台設定がかなり面白そうだったので、安かったしこっそりと購入。


シナリオ(17/30)

 まぁ救いはない。


★あらすじ

 一国の王女にして、稀代の舞台女優として名を馳せていたサルテは、ある時ふと目を覚ますと、見知らぬ舞台の上に立っていました。
 その奇怪さに、自分の記憶を辿ってみてもそこに至る因果がわからず途方に暮れていたところに、仮面の道化師が現れ、サルテがとある理由で命を落とした事、そして彼の望みが、この舞台でその死の理由を思い出し、演劇として再現する事だと告げられます。
 馬鹿馬鹿しい話だと一蹴したかったサルテですが、自身の顔半分を覆う決して剥がれない仮面と、道化師の手によって細分化された忌々しい記憶の欠片が、それを真実だと告げてきて。

 言いなりになるのは癪ではあったものの、自己の真実を知りたい、そしてそれを一世一代の演技で彩りたいという想いもあって、サルテは敢えてその道化の舞台に登る事になります。
 果たして彼女が背負った宿業とは、運命の悲惨は如何なるものだったのでしょうか?


★テキスト

 演劇を素材にしているだけに、全体的に大仰で芝居がかった言い回しは多くなっていますね。
 ただそれでくどすぎる、という事はないですし、ある程度残虐なシーンも淡々とした筆致でバランス良く描かれていて、文章そのものとしては特に不足なく、スルッと読み解ける形になっているかなと思います。
 ある程度伏線などで明言できない部分なども上手く糊塗出来ていると思いますし、勿論想定できる範囲の仕上がりなので丁度いい塩梅なのではないでしょうか。


★ルート構成

 基本的にはバッドエンド脱落式という感じで、凌辱寄りのゲームとしてはスタンダードなつくりだと思います。
 選択を間違えると即より残虐な凌辱にシフト、という非道なつくりではありますが、そもそも本編のほぼ全てが凌辱、きちんとエンディングに辿り着いてもそれがハッピーエンドか?と問われれば、私は違うと答えてしまうレベルの話なので、程度問題、という気もします。。。

 一応選択肢そのものにルートガイドというか、悪意が滲み出る構図がきちんと可視化されているので、バッドエンドを踏みたくなければ回避は簡単ですけれど、だからと言って本筋で胃が痛くならないわけではないので、もうそこはそういう色合いしかないゲームと割り切るしかないですね。


★シナリオ

 架空のファンタジー舞台の中で繰り広げられる人の業の浅ましさと弱さ、そしてそれに翻弄される者たちを描いた、まあ最初に書いた通り、基本的には救いのない話です。
 なんというか王道的な物語構成だと、そういう人の弱さが先に提示され、けれど物語の中でそれを克服して成長していく、という彩りが強く出るわけですが、その作品はその逆で、完全無欠に見える人間の醜さや残忍さ、虚飾の仮面の剥がれ方を残酷なまでに克明に打ち出しているイメージです。
 冒頭にチャップリンの台詞が引用されているように、傍から見ればこういう、きちんとしている人間の裏側がドロドロ、というのは喜劇的で、ワイドショー的な興味をそそる方向性のつくりとも言えるでしょうね。

 あくまで個人的な趣味としては、こういう人の醜さを暴く形の物語自体はやっぱりそこまで好きではないですね。
 というか、そういうのが好きではないからこそ、上っ面の綺麗事を綺麗なまま提示する事を暗黙的に求められる萌えエロゲ、というコンテンツから離れられないという残念さはあるわけで(笑)、そこはもうシンプルに私自身の弱さの裏返し、奇々怪々な人の業の中で泳ぎ回る根性と気力を持てない引き籠りの業とも言えます。
 ただし、勿論そういう方向性でしか紡ぎえない物語性がある事も承知してはいますし、じゃあ構造的にそれが上手く積み上げられているか?という部分は、感情的評価とは切り離して判断すべきでしょう。

 とりあえず、構造としての面白さは中々ではあった、と思います。
 アイデアとして奇抜というわけではなく、むしろ途中からは読み手にも、あぁ多分そういう事なんだろうな、ってのは見えてくるように、細かい部分でコツコツと伏線を積み上げていく手法は王道的とも言えて、その匙加減が悪くないだけ、読み手を物語に引き込む牽引力はある、とは思えます。

 まぁその合間合間に凌辱が入り込むので、生理的にそういうシーンがダメ、となるともうお手上げですが、凌辱にも方向性と言うか質はありますからね。
 私としては、純粋に暴力のみが主眼になっていたり、グロさが極まってるなんてのはちょっとムリですが、犯されて嫌なのに、身体は浅ましいばかりに反応してしまう、という方向性ならシチュ次第ではアリ、という微妙な節操のなさなので(笑)、今作のそれはアリ寄りではあったと思います。
 この辺りはその被害者たるヒロインの性格などにも関わってくるので一概には言えないですが、今作の場合、サルテのそれはそこまでそそらないのだけど、マリーのシーンは妙にツボに入りましたね。こういう従順で感じやすいタイプに、無体なガマンを強いる形とかはやっぱり好きみたいです。。。

 設定としては大元は聖書、演劇という彩りを意識して、という意味ではオスカーワイルドの戯曲がかなりベースとして機能している感はあります。
 個人的に、塩野七生さんの小説がこの存在に触れた最初なのですが、それだけに悪女にも二面性が、という部分は納得しやすいですし、はたしてその二面性の正体は、という部分での面白い解釈を見せてもらったイメージですね。

 でも結果的に、きちんとしたエンディングルートでも破滅的な着地ではあり、サルテ自身もそれで救われた部分があるのか?ってところで、そこは演劇に全てを賭けた生き様の投影とも言えるのですけど、やはり読後感としてスッキリ、とはいかないですよね。
 大枠としては悪くなくとも、細かい部分での齟齬や不自然さもなくはなかったですし、感情的な好き嫌いもセットで考えると、評価としてはこのくらいに留まってしまうのかな、と思います。


キャラ(18/20)


★全体評価など

 基本的にサルテに対してどういう想いを抱くか、の度合いで物語そのものの印象も変わってくる気はしますね。
 個人的には体験版の時点で、サルテというヒロインにはどうしても裏があるだろうな、ってのは感じたし、それを糊塗する仮面の方向性もそこまで好ましいものではなかったので、その分物語的な評価にも影を落としている気はします。
 まあマリーみたいなタイプの方がやっぱりいいよね、とか言っている時点で、こちらの人間性の劣悪さの証明にしかならない気もしますが(笑)。せめてあの後、この子だけでも幸せになってくれていればいいんですけどねぇ。

 しかし、男キャラまで含めて、徹底的に裏側ではみんなクズ、ってのも逆に凄いつくりではありますよね。。。


CG(18/20)


★全体評価など

 私の好みの方向性とはちょっと違いますけど、妙に艶っぽく肉感的で、嗜虐的な色合いには程よくマッチした絵柄だと思います。
 CGは全部で42枚、小物とかそういうのも含めてなので実質的にはもう少し少ないですけど、値段を考えれば妥当なラインですし、全体の出来も安定してエロかったと思います。。。
 立ち絵の方が基本的には可愛さがきちんと出ていて、日常と非日常の境界線がそのあたりにも色濃く出ているのが面白いですね。やっぱりここでも、基本的にはマリーの方が好み度が高いですねぇ。


BGM(18/20)


★全体評価など

 ボーカル曲が2曲とBGMが17曲で、値段を考えれば豪華な方だと思いますし、質もかなり高いです。
 特にボーカルはOPEDともにいい出来で、OPの『nothing』のギターベースのカッコよさと切なさ、EDの『idiot』の寂寞と叙情感は、ベクトルが違う中でもどこか一体感があってかなり好きですね。
 購入特典でボーカル曲は手に入るのも嬉しいところです。

 BGMも作風にはすごくマッチした雰囲気で、完成度は高いと思います。


システム(9/10)


★全体評価など

 演出はそれなりにしっかりしていて、上手く色々な素材を組み合わせて舞台感、情感を引き出せていると思います。
 ムービーもOPが特にすごくカッコいい出来で、世界観にぐっと引き込まれますし見事ですね。

 システムも特に使いにくいところ、物足りない所はなかったと思います。


総合(80/100)

 総プレイ時間7時間くらい。
 どうしても凌辱メインで、かつ悲劇的な結末を描いたものなので、その点で好き嫌いは出てしまうのは否めない尖った作品です。
 私も好みか?と言われれば、やっぱりプレイしてみて違った、とはなりますし、シナリオの質としても突き抜けるほどではなかったので、そういうマイナス面を捻じ伏せてくるパワーは足りないでしょう。

 ただ総合的な完成度はかなり高いですし、人の業を鮮やかに抉る悲劇寄りの戯曲風味の作品、という意味では、むしろ社会一般的には受け止められやすい面もあるのかな?というイメージは持てますね。
 キャラの魅力とかハッピーエンドとか、そういうのをチラッとでも期待するなら回避推奨ですが、凌辱の方向性と、滑稽な悲劇が嫌いじゃないなら、プレイしてみて損はないかもしれませんね。

posted by クローバー at 05:26| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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