2020年06月16日

天冥のコンキスタ

 なんだかんだでエウの新作だし、天使組、特にレジ―ニアが当初からめっちゃ気に入ったので、多少お安いという所に逆に不安はありつつも購入。


シナリオ(18/30)

 そこは削っちゃいかんでしょ。


★あらすじ

 主人公はかつて高位の睡魔だったものの、意図しない状況で改造を受けて人間の身体にされてしまっています。
 しかしそうなった事で、今まで持てなかった視野を獲得し、改めて自分の真の身体を取り戻す事と、天使と魔族が拮抗するこの地の派遣を握り、新たな魔王として君臨する事を目標に、唯一の味方である睡魔のヘルミィナと二人三脚で、新たな自分の軍勢を作りだす戦いに赴くのでした。


★テキスト・ルート構成

 テキストは基本的に凄く簡素で、そもそもシナリオそのものが鬼薄いので、テキスト云々とそこに情緒を求めるほどのものがない、とも言えますね。
 ルート構成も特に目立った分岐はなく一本道で、面白みのないつくりになっています。


★シナリオ

 少しお安くなって、なにが手抜きされているのかな?と思ったら、まさかのシナリオが一番欠落しているというオチに戦慄します。いや、流石にそこ削ったらもはや売り物としてダメでしょ……。

 誤解を恐れずに短絡的にまとめるなら、この作品のシナリオ、というか会話部分って、

「俺は魔族の王になる(キリッ)。その為にあーしてこーして……」
「きゃーダーリン素敵ー、一生ついていくわー♡」

 この二行のリフレインに集約できてしまう、と言っても、決して過言ではないと思うのですよね。。。

 それなりに魅力的なキャラも沢山いて、元々は敵方、或いは中立だった彼女達をあの手この手で絡め取っていく、という過程はしっかりあるのに、その過程の内実もほぼ全て性魔術の行使に帰結させてしまって多様性なく、そして仲間に引き入れても、ほぼほぼ会話イベントなどがないのはあまりにも勿体なさ過ぎます。
 舵取りがどうであれ、実際的にヘルミィナ以外とはまともな会話すら発生しないのはいくらなんでも、ですし、その分シナリオそのものにも全く深みや多様性がない、単調な行軍のみの構成になってしまっています。

 あちこちを移動しながら、その土地土地の勢力を傘下に収めていく、という方向性は、例えば天結なんかも似たような色合いはありましたけど、ただあちらは軸となる拠点があって、その移動を視覚的に補助するマップもあって、というつくりでした。
 翻ってこっちは、きちんとした拠点もなく、果たして兵站という概念があるのかも怪しい中で、その移動や進軍の困難さが非常にわかりにくくなっています。
 この地方の勢力図の実態など、せめて地図を作って色分けするなどしてあればまだしもですし、一応偵察を使って無理押しはしない、という意識付けはあるのだから、そこを視覚化するだけでもまだマシだったと思うのですけど、本気で色々手を抜き過ぎですね。

 挙句最終局面に至っても、主人公が人間になってしまった明確な理由づけや意図などはっきりとは見えてこないままの決戦になってしまうし、相手方としてもそういう事が出来るのになんでそんな逐次投入しかしないのか?というあほらしい事にはなっていて、正直ひたすら盛り上がりに欠けます。
 まあ唯一、きちんと捕獲して仲間にしていると自分同士の会話が発生するのが面白かったりはしたけれど、ともかくこの作品、ユニークキャラを撃破してしまっていても齟齬が出ないように最低限の展開しか用意していないので、本当にシナリオとしては空疎、そのものですね。
 なんか続編が出るとかいう噂も聞くのですけど、このシナリオの密度でやるならやめとけ、の一言になります。せめて今回のヒロインとの改めてのきちんとした交流やイベントなど網羅した、今まで程度のシナリオ性をセットで作ってくるならまだいいんですが……。折角良ヒロインが多いのに勿体ないの極みですね。
 シナリオとしては6/15くらいの評価です。


★ゲームシステム

 こちらは12/15評価です。
 シナリオを大幅に削った分だけ、SRPGとしての純粋性は高まっていて、実際にプレイ中はそれなりに熱中して楽しめるレベルではあると思います。

 ただ、例えばマイスターシリーズと比較すれば出来る事の多様性はかなり減っていて、まず拠点の概念がなくなり、地域確保や舞台の派遣・撤収という組み立てが出来ず、最初に出したユニットで最後まで押し切るしかない、という形になっています。
 その分最初から全体マップと、伏兵以外の敵の性能はわかるので、それを踏まえての事前準備が大切だよ、となるのですが、これが一々結構面倒ではあります。

 また各マップごとに特殊イベントクリアによるボーナスが定められていますが、実際のところこれ、ほぼ全てきちんと網羅しない限りはどんどん先に進むのが難しくなっていきます。
 というのもこの作品、フリーマップが皆無でレベル上げ、という概念が基本なく、あくまでも一本道、一期一会のマップの中で試行錯誤しなくてはならないので、その道中でサボるとツケがすぐに回ってくる感覚なのですよね。

 私の場合アペンドのスタートダッシュを使えたので、その点楽ですし、制約された状況でのレベル上げとかも好きなので、きちんと全ての特殊イベントもこなして問題なく進められましたけど、あくまでサクサクゲームを進めたい、というユーザー層には敷居が高いゲームシステムに思えます。
 単純な難易度はそこまで高くないと思いますが、きちんとゲームデザインの意図するところに沿ってプレイしないと途端に難易度が高くなる、プレイスタイルの自由度がかなり狭いというのは否めないですし、そもそもお値段お安くして、手軽に遊べる、を標榜しているのに、全く手軽さがなく、同時にシナリオの面白みもなくて作業性ばかりが強い、というのは看板に偽りあり、と言わざるを得ないでしょう。
 まあ元々エウゲーなんて時間泥棒ですから、いきなり本当にライトなつくりになるわけもないので、私としてはそこは気にならなかったですけれど、今まで敬遠していた層が手軽なら、と騙されて手に取ったら、嘘やん!とぶん投げてしまっても仕方ないなとは思うのですけどね。。。

 あとゲーム性の面で気になるのは、捕獲システムが一々面倒くさいのと、基本空を飛べるユニットじゃないとあまり使い物にならない、という部分でしょうか。
 まあ敵も味方も天使が主体の作品なので、そのあたりある程度は仕方ないんですけど、一番楽に捕獲が出来るスキル持ちが主人公しかいなくて、けど主人公が空も飛べない鈍足、というのが地味に一番ストレスになる原因だった気はします。
 せめて成長で移動距離プラスされるかして欲しかったですし、ひとつくらい捕獲ロープ用意して欲しかったですね。特に後半の敵は魅了がかなり効きにくくなるので、一々くそ弱い主人公でとどめを刺しに行くまでのロードマップを考えるのが厄介ではありました。

 ついでに、今回ユニークキャラに開錠持ちがいない、というのも厳しかったですね。
 捕獲ユニットを使えばいいのは確かですけど、それぞれの特性によって行ける場所行けない場所があったりもしますし、そしてそんな主力では使わないユニットまで育てている余裕は基本ないので、アイテム使うくらいしか戦力にならないキャラで一枠出撃枠が埋まってしまうのはやっぱり面倒でした。
 しかも時々、特殊イベントにターン制限があって、その数字に対して物理的な移動距離だけでもギリギリでしか回収できない宝箱、なんて無茶なマップもあるから、まあすべてを網羅しようとムキになると物凄く頭を使う羽目にはなります。それはそれで面白かったのは事実ですけど、やっぱりライト層向けでは絶対にないよなぁ、とはなりますね。

 成長システムなんかはそれなりに面白かったですけど、これもさほど奥行きがあるわけでもないですしね。
 というか、直前に姫狩りプレイしていたせいで、今回も序盤から生贄出しまくって儀式ポイント確保してたら。悪質側にルート分岐しちゃうのか?なんてハラハラして、つい一度もまともに生贄使わずにクリアしてしまったり。。。まあ実際はそこまで気の利いたシステムであるわけもなく、そう考えると10年以上前の作品なのに、余程姫狩りの方がよく出来ているという情けない結論にもなってしまうのでした。
 あとせめて装備枠は、武器防具と装飾くらいは分けて欲しかったなぁ。というか基本これ、防具って出番あるのかしら?あまり地形的にも盾戦略って有効に感じなかったし、そもそも大半の敵が後半は2マス以上の遠距離攻撃持ってるんだしなぁ……。

 あれ、書き始めるとなんかマイナス点ばかりになってしまっていますが、ただ本当にプレイ中かなり楽しめたのは確かです。
 しかしあくまでニッチな気質の私個人の感想であり、やり込み要素も薄いので、よりコアなエウファンには物足りない、逆にご新規様にはやたらと敷居が高い、という絶妙にダメなバランスになっている気はしなくもないですね。。。


キャラ(17/20)


★全体評価など

 正直主人公とヘルミィナ以外、まともに個性を語るのも烏滸がましい程度にしか台詞がないわけで、キャラの魅力云々を問い沙汰するレベルにすらない、と言わざるを得ません。
 素材的に言えばかなり魅力的なキャラはいて、特に個人的には天使ならレジ―ニアとルシエル、魔族側ならセルージャやアンネリースなんかは結構好きでしたけど、基本絡みはエロいシーンだけ、しかもそれすらかなり回数が少ない、まともに意思疎通して和姦風味はもっと少ない、となると、流石に評価としては下げてしまう事にはなりますね。

 敢えて言えば敵役としての魅力が一番強かったルシエルは、その変貌と、最後のオマケHでの優遇っぷりが良かったですけどねー。ホント、もっともっと日常的にあれこれ絡んでくるイベントがないのは致命的ですわ……。


CG(18/20)


★全体評価など

 立ち絵は基本あってないレベルなのですが、一枚絵は一応100枚超えてくるし、出来もいつも以上に安定して凄く可愛かったので、その点では結構満足してます。
 特にレジ―ニアとルシエル関連は好みなのが多かったですねー。レジ―ニアは必殺アクションと最初のH、ルシエルは最後の正常位が大変に可愛かったのです。
 あとザフィエル、ザフィエルもとっても可愛くて良かったです。


BGM(18/20)


★全体評価など

 地味に音楽も今回個人的にヒットしていたりで、つくづくシナリオのダメさが勿体無さ過ぎるところです。
 数的にはボーカル2曲にBGM19曲なので少なめですけど、天使が主体の分曲調も荘厳さが割り増しで強く出ている感じで、日常局からHシーン、バトルに至るまですべて全体的に質が高く、好みのものが多かったですね。
 特に『天魔は永久の交戦を極める』が超好き。なんとなくこれ、くるクルのアゼル戦を思い出すのよね。

 ボーカルもどちらも突き抜けて、という程ではないですが、当たり外れの振れ幅が大きいエウとしては個人的には当たりの部類かな、と。


システム(8/10)


★全体評価など

 演出はやはりかなり薄めで、それはシナリオがこうなので付随して仕方ない部分はあれど、ですね。
 システム、操作性としてももう少し洗練出来る部分はあるのでは、という感じで、色々カスタマイズできるとは言えややわかりにくい部分もあって、もう少し工夫してくれればなぁとは感じました。


総合(79/100)

 総プレイ時間45時間。
 まあ確かにエウゲーとしては短めのプレイ時間で、ただこのプレイ時間の内、シナリオ部分は精々5時間もないのですよね。
 あまりにもゲーム性に特化した作品であり、そこはバランスとしてお粗末というしかなく、流石にこれだとちょと安い程度が言い訳に出来るのか?ってレベルではあります。
 色々いいところもあるだけにもどかしいですが、現状の内容では流石に人様に勧められるものではないですね。追加パッチとか続編とか、そのあたりが網羅されて、多少なり評判がまともになったらでいいんじゃないでしょうか。

posted by クローバー at 05:35| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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