2020年06月23日

美少女万華鏡ー理と迷宮の少女ー

 なんだかんだで万華鏡シリーズは皆勤ですし、ようやく蓮華が攻略できる、とあらばそれは買わないわけにはいかないでしょう、と。


シナリオ(23/30)

 運命の手綱に託して。


★あらすじ

 この作品は美少女万華鏡シリーズの第5作にして最終作になります。
 ここまでのシリーズは、座敷童である蓮華がいる人形の間に主人公がいそいそと赴き、彼女が持つ不思議な万華鏡の力で、現世とは違う多彩な世界に引き込まれて、そこで繰り広げられる甘く切ない恋物語を観賞する、という構成でした。
 ただ今回は蓮華自身がヒロインなので、万華鏡の物語ではなく、現実下で起こる怪奇事件の謎解きを軸に、そこから蓮華という存在の真実迄を炙り出していく、和テイストの伝奇&SFものという色合いになっていますね。


★テキスト

 ここはいつも通りのテイストで、基本的に装飾過多と言うか、特に色事に関しての台詞回しの多彩な発想にはある意味驚かされますけど、場合によってくどい、という面もあり是々非々、という感じでしょうか。
 まあ物語そのものの会話や、説明の部分にまでその趣味的な構図は持ち込んでいない割り切りがあるので、そこはきちんと仕事してる感はありますし、今回は今まで以上にサスペンス色が強い中で、きっちりその雰囲気を醸し出すテキストに寄せられているのではないでしょうか。


★ルート構成

 基本的には脱落式の構図で、かつ所々でバッドエンドへの誘いもある、やや怖いつくりではありますね。
 正直な印象だと、肉食系女子の猛攻に耐えて一途な愛を貫けるか、って構図が強いので、個人的にあまり浮気したくないなー、って思わせる選択肢でもあったのがアレですけど、まあタイミングとしてはきちんと蓮華と心通わせる前に、というのが僅かな誠実さでもあるのでしょうからねぇ。
 今までより少しお値段が高い分、別ヒロインとのあれそれも組み込んだ、という面もあるのでしょうが、これまでのシリーズとはそこも一線を画しているとは言えるので、そこはプレイヤーの趣味次第でしょうかね。


★シナリオ

 今回はいい意味で様々なエッセンスを取り込んだ作品、と評する事が出来ると思います。
 元々万華鏡の存在そのものが超常的ではあるのですが、今回はそれも含めての和の伝奇要素を軸にしつつ、それをあくまで科学的に、ミステリーとして紐解こうとする暁の存在と並行して、多角的な世界観を演出しているのが面白いところですね。
 結論的に言えばやはり本質として伝奇に寄らざるを得ないのは、蓮華という存在そのもののありようからしても当然なのですけど、それでもある程度しっかりと推理の中で見えてくる事実、怪奇現象は人の手で簡単に生み出せる、という凄味と怖さを丁寧に打ち出せているのは良かったと思います。

 その上で、きちんと蓮華という存在の在り方を多層的に定義し、物語の流れの中で二人の関係性がいかに強固で運命的なものなのか、を、出来る限り説得的に紡ごうとしているのは好感が持てましたね。
 その為に過去作で主人公が追想した物語をある程度再構築し、その中から大切なエッセンスを取り出して、蓮華と未来を生きる為に必要な覚悟と思いを練りあげていく、というのもわかりやすく王道的で、紆余曲折はあるとはいえ最終的にはとても綺麗にまとまった素敵な物語だったな、と思います。

 そのメインストーリーの味わい深さを高める意味での、他ヒロインルートの存在も見逃せない要素ではあります。
 正直個人的な趣味としては、あの肉食変態編集者の月丘女史こと香恋はそんなに好きになれなかったんですけど(蓮華ともよかを可愛い可愛いしてる辺りは好きだけど)、ただああいう形で詰め寄られて、恋愛経験が乏しい主人公がコロッと参ってしまう、というのも有り得ない話ではなく、また当然ながら社会的な視座としては一番健全な恋愛、となります。
 その辺りを蓮華が忖度して、そのささやかな幸せを守るために影で頑張る献身性が浮き彫りになるルートではありますし、どうしても尻切れトンボな色合いは残りますけど、それでも余韻自体は悪くない話ですよね。

 対してもよかルートは素直にバッドエンドと呼んでいいものですし、ぶっちゃけ見た目的には蓮華と同等に好みだっただけにどうしたこうなった、感は強かったりも。
 勿論蓮華が本線である以上、真っ当な恋愛でどうこうではないんじゃないかとは最初から思っていましたけど、その予想以上にもよかの立ち位置が凄絶でおどろおどろしく、その派生でしかエロいシーンも起こらない、というのはやっぱり残念でしたねぇ。
 立場的にはもよか自身にもその種はあるとはいえ、あれだけ大事になったのはそれを操る怨念の強さの方に依拠しますし、どこかでもう少しもよか自身に救いのある流れは欲しかったなぁ、という気持ちはあります。まあ構成上難しいのはわかりますが。
 それと、この怨念が持つ因縁が、ある意味で屋上屋的な要素としての蓮華との運命性の階梯になっている、というのも面白いところではあり、やはりプレイ順としては蓮華ラストにした方がすっきりわかりやすく、感情的な納得も強いというのはありますね。

 蓮華シナリオもそのもよか編の派生ではありますし、あくまでも一途な想いを貫いた結果としての世界像なので、それ自体は説得性があります。
 勿論そこで追った致命的な傷をどうにかするためのありようは力技と言うか、元々の蓮華の不可思議さに担保されたものにはなっていて、そのあたり贅沢を言えば、シリーズを通して仄めかすような部分はあっても良かったのかなとは感じます。
 少なくとも蓮華が今の蓮華である限り、まともな恋愛と生活は望めない、という冷徹な現実の前で、それでも、と足掻く踏ん張りと意思はとても綺麗ではありますが、それを育む過程での心の通わせが、今までの分を取り戻すかのようなひたすらのエロエロラッシュ、というのがどうか?ってのはありますね(笑)。
 勿論エロい蓮華ちゃんは最強なのですけど、いくら状況が二人きりでそれしかない、といっても、本当に間髪入れずにどんどこエロシーンが投入されてしまうので、全体のバランス的な意味でもやりすぎじゃない?と思わなくはなかったですかね。

 まあそれだけ離れがたい想いが強く、現実を直視せず快楽に溺れたい、という弱さの証左でもあったのでしょうけど、どうあれそれだけの契りが逆により離れがたさを演出しているのは確かです。
 その上での選択自体はまあありがちと言えばそうですし、そこまでの外的要因としての因縁を上書きする要素にもなっているので、その発想自体は悪くなく、着地点、結末の彩りもいいですね。
 こういう部分でプレイヤーの没入度を高める仕掛けを組み込んでくるというのも面白いですし、蓮華はどうであっても可愛い、というのも含めて、シリーズの着地点としてはしっかりまとめてきたと思います。
 結局万華鏡で他の人生を除いていた主人公はあなた自身、という、これまた入れ子構造による多角的視座の提供をイメージさせるつくりで、万華鏡というアイテムがそういう神秘性を備えている所からも、整合性の高いモチーフだったのではないでしょうか。

 総合的にもう少しバランスの良さや、構成の工夫は出来たかも、というのはあり、名作ラインまで乗せるのはどうかな?とはなりますが、シリーズの中ではやはり良く出来た方で、これも私個人の感想としては、ほぼシリーズ毎に尻上がりに面白さを増してきた、洗練されてきた印象はありますね。
 価格帯もかなり手頃で、それでいながらこのクオリティ、というのも流石の一言でしたし、時代制にマッチした企画の成功例として価値ある作品、シリーズだったと思っています。


キャラ(20/20)


★全体評価など

 今回は登場人物がそれなりに多いのもありますし、それぞれにしっかり独特の個性と持ち味を発揮していて悪くなく、とりわけやはりようやくヒロインとして当事者になった蓮華の可愛さが炸裂しているのが良かったですよねぇ。
 本当に蓮華は、ささやかな意地っ張りではあるものの基本的に素直で純真で、一途な想いと献身性を兼ね備えていてとても魅力ある子に紡がれていたなぁと感じます。
 見た目的にもやはりかなり私好みで、制服姿とか本当に可憐過ぎてジャストミートでしたし、妖艶さと無邪気さをバランスよく持ちつつも、基本いつもほんのりエロい、というのは素晴らしいですね。。。

 もよかも見た目と表の性格は結構好きだっただけに、もう少しまともにラブラブ出来る展開や、蓮華と仲良くやっていく展開があって欲しかったなぁとは思ってしまいます。
 香恋もヒロインとしては微妙でしたが、脇を固める編集者としての良さは出ていましたし、男キャラの奇人ぶりも含めてインパクトは強くて面白かったです。


CG(20/20)


★全体評価など

 どこまでを純粋な一枚絵と言えるかの線引きはあるのですけど、CG登録数としては全部で87枚、まともに人物が描かれているのはその半分強だとしても、やはり値段から考えればかなり豊富、豪華な物量で、それでいて質的にもまったく手抜きがないのが素晴らしい限りですね。

 立ち絵にしても蓮華の新規分だけでもやたらめったら可愛いし、もよかもとても可愛いしで満足度は高くなっています。
 一枚絵も本当に優美で妖艶で、非常にらしさ満点の意欲を感じる出来と構図になっており、見た目にもインパクトのある素晴らしい出来だったと思います。
 特に良かったのは蓮華の添い寝、正常位、騎乗位、立ちバック、もよかとのお風呂、みんなでご飯あたりでしょうか。


BGM(17/20)


★全体評価など

 BGMは今回の舞台に合わせて和と神秘性を強く打ち出しつつ、かなり綺麗にまとめていて、質量ともにこの値段としては充分な出来になっていますね。
 改めて調べて見ると、ボーカル曲はずっとシリーズ共通だったみたいですけど、それでもやはりいい曲だな、とは思います。

 BGMでは4/6/7/8/12/24/29番辺りが好みでした。


システム(9/10)


★全体評価など

 演出はいつも以上に力が入っていた感じで、特に情感的な場面での見せ方に色々工夫が感じられてそこは良かったですね。
 モーションシーンもいつもよりやや多めで、しかしその点でも不遇なもよか……とはなってしまいますな。やはりロリ需要は蓮華で満たせ、というお達しなのでしょうか。。。
 
 システム的にも悪くはないけど、それなりに選択肢もあるしジャンプ昨日はあって欲しいかな、とは。
 あと地味にタイトルデザインで、どこで終了するのかとかわかりにくくなってません?元々こうだったっけ?


総合(89/100)

 総プレイ時間10時間。
 今までのシリーズより1000円高いものの、元々コスパが抜群にいいシリーズでしたし、その値段の上乗せ分以上に今回の方が過去作より質量ともに充実していたのは間違いないので、その点での不満は一切ないですかね。
 シナリオ的にも万華鏡シリーズの集大成として相応しい丁寧な組み立てと綺麗なまとめ方ですし、同時にこのシリーズはある程度ひとつひとつに独立性があるので、この作品にしても完全にこの最終作だけやっても、そこまで違和感は感じないようにできているとも思います。

 勿論さすがに1〜4作目に比べると、その過程で紡がれた蓮華との思いやらなにやら、連関性が出ている部分はありますけれど、それでも蓮華とスタートの時点でほぼ好き合っている、というのを飲み込んでおけばなんとかなる範疇ですからね。
 その点では例えばナインシリーズより汎用性があると言うか、今からこのシリーズをやるにしても、ヒロインが好みに感じるところだけつまみ食いでも構わない、というのが地味ながら強みでもあるのかな、と思います。
 ともあれこれ単体でもかなり満足度は高い出来ですし、ツンロリ黒髪美少女が好きならば、ついでに伝奇ミステリーが好きならば、充分に期待に応えてくれる作品になっていると思いますね。

posted by クローバー at 07:28| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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