2020年11月05日

<感想>アインシュタインより愛を込めて

 本日の感想は、アインシュタインより愛を込めて、です。
 新ブランドではありますが、もうスタッフの名前だけでご飯三杯食べられる、ってくらい豪華で、とっても楽しみにしてました。

 新島さんは色々癖は強い人で、時に行き過ぎたシナリオになるときもあるけれど、やっぱり鬼才なのは間違いないですからね。
 ナツユメ以来、基本的に関わってきた作品にはほぼ全て触れてきていますし、どの作品にも大小の差はあれ、しっかり思い起こせる名場面がある、というのはそれだけでも凄い事です。

 今回は完全に自分の企画、というのもあり、期待と不安が入り混じったタイトルではあったと思います(笑)。
 どうしてもきみしまさんとのコンビだと、恋カケを思い出しちゃうからね。。。

 さて、今回の作品は果たしてどうだったのか、しっかりと感想として記していきましょうか。


★超私的採点・一言コメント

・シナリオ(26/30)
  振れ幅はあるものの、一点突破力がえぐい。

・キャラ(20/20)
  最低限の掘り下げでも、これだけキャラが立つのは凄い。

・CG(18/20)
  質は抜群、ただ流石に量的な面では足りん。

・BGM(20/20)
  ボーカル曲が全て神。BGMも素晴らしいし文句なし。

・システム(9/10)
  要所はしっかり押さえているし、それなり。

・総合(93/100)
  後半もちょっと上手くイチャラブ盛ってくれれば完璧だったんだが。

★テキスト

 いつもの新島節全開、という感じですね。
 本当にテンポと切れが良く、ともすれば説明不足に思えても、行間から伝わるニュアンスが非常に豊富で、噛み締めるほどに面白く。

 勿論かなり素っ頓狂な部分もあったり、ギャグの方向性も似通っていて、癖は強いです。
 その点初見でこれに出くわすと結構面食らうかもだけど、慣れてしまうとやっぱり味わい深い、と訓練されてしまうわけですな。。。

 今回は全部一人で書いてるみたいなので、その点でも変な紛れがないし、スイスイと没頭しつつ読み進められましたね。
 まあ細かく言えば幾分か設定すっぽかしたり、文章としてんん?ってところがなくはなかったけど、通してみればしっかりテーマに即して芯の太い、読み応えのあるテキストだったと思います。

★ルート構成

 共通の後に、何回か別ウィンドゥ方式でのヒロイン選択があって、そこで一途に追いかけていけば、という構成です。
 一応最初からロミも選べるようになっていますけど、どうもロミは三人クリアするまではルートに入れないようです。

 三人クリア後に、Open thr doorの記載が出て、ロミルートに入れるようになります。
 そしてロミルートをクリアすると、最後にタイトルからグランドルートに入ってクリア、という構成になりますね。

 後はちょこちょこ各ルートに選択肢があったりしますけど、総当たりだったり遊び要素だったりで、本筋に絡む、影響するものではないと思います。
 ゲーム性という意味では最低限のラインですけど、まぁそこはシナリオ性優先の作品でしょうし、仕方ないですかね。



 一応最初から、ロミ以外の三人は選べるみたいです。
 が、個人的には、ロミの直前に唯々菜をプレイするのを強烈に推奨します。

 設定的にも、忍や佳純と違い、唯々菜はロミやグランドの展開に大きく関わってくるキャラになっています。
 更に言えば個別としてのルートの出来が、あくまで私見ですけど、図抜けていいです。

 このルートだけED演出もちょっと違ったりしますし、先にやってしまって期待値上がっちゃうと、流石に忍と佳純が拍子抜けになりそうです。
 この二人はどっちが先でもそこまで大きな差はないかな、と思うし、唯々菜⇒ロミ⇒グランドの流れは本当に綺麗なので、そこだけは押さえて欲しいなと思います。

★全体構成・設定考察

・鯨がもたらしたもの、彗星病とは、そして新世界の鍵とはなにか?
 このタイトルの設定における大半の重要な要素は、さしずめ鯨の到来と、彗星病の影響、で括る事が出来ると思います。
 流石に全てを人の努力を無視して括るのは乱暴かもしれませんが、一括しておいた方が解釈としては楽なのですよね。

 人間が魂、という存在を明快に見つめ、発見できたのも。
 様々な分野で先進的な発明が為され、その中に「心」を持つAIという存在があるのも。
 具体的な連関性・証拠で語れるほど根拠が強くはないですけど、ニュアンスとして、鯨がもたらす情報の認識下での刺激が、人の在り方に多彩な影響を及ぼしているのは間違いないと言えるでしょう。



 共通の流れの中では、どちらかというと恩恵より、その結果の副作用としての彗星病の難しさが主題的に語られます。
 発現するのは、彗星が到来してから生まれた子供に限り、その発生率は一万人に一人程度、という設定になっています。

 ここから見受けられるのは、少なくとも鯨の情報は、新たに生まれる存在の魂により大きな影響を与える、という事でしょう。
 この世界の魂の概念は複雑でわかりにくく、またその本質を輪廻的に捉えているのか、それとも徹底的に排他性を持ったオンリーワンとして捉えているのかも読み解きにくいです。

 ただ少なくとも、主人公の父の発見を基に考えれば、輪廻、というよりは、遺伝子が結合して、新たな生命が生まれた瞬間に、新しく集合的無意識的な世界でも生まれ落ちる、というイメージの方が汲み取りやすいです。
 その上で、基本的に生まれ落ちる新たな魂に、鯨の情報は例外なくアクセスして、鍵を受け取れる可能性を植え付けているのだろうとは考えています。

 けどその情報に対する感度は差があって、それが表向きには彗星病として発現しているのだろうとは思うのですよね。
 少なくともわざわざ限定的に触れていくより、一元的に、と考えた方が合理的ですし、またそれは、潜在的にこの世界には未だない科学知識を引き出す源泉にもなっているのではないでしょうか。



 そしてそれは結局のところ、鯨が鍵の受け取り手を紡ぐための下準備なのでしょう。
 おそらく条件としては、彗星病の因子を生来的に植え付けられていて、その上で肉体と魂の紐づけが弱い、仮死状態に陥る、という事になるのだろうと思います。

 それまでに鍵の受け取り手がいなかったのは、おそらく仮死状態、という部分がネックになっていたのでしょう。
 ただし、主人公がそれを受け取る時点では、既に父親の理論が発表されていて、それはその可能性に辿り着く大きなヒントにもなっていました。

 だからこそ巫女があれだけ危険視したのだろうと思うし、あの時島にいた主人公達も危険因子として排除するよう指示した面はありそうです。
 ただ結果的に、そうやって追い込む事が鍵を渡す最後の決め手になっているのは皮肉なところですね。



 そう考えると、この時の受け取り手がロミこと茜であってもおかしくはなかったはずなんですよね。
 ただおそらく、この時点での茜は自分の命をほとんど大切に考えていなくて、そこに生きるための主体性を持っていなかったはずで。

 要するに、本当の意味で最後の決め手になっているのは、魂の強さだったのかな、とは思います。
 確かに鯨とΣは、鍵を開けさせるのが第一目標だったでしょうが、少なくともその先の、真理を求めていくという姿勢も踏襲して欲しかったはずで。
 それを実現するのに、情報の海に溺れて主体性を見失いそうな弱い魂よりは、きちんと軸を持った強い魂を欲した、と考えるのは不自然ではないと思います。


・「魂」という概念の特殊性・分離化を考える
 ではその根源である、魂と言う概念が、この世界像ではどういう位置づけなのか?
 少なくとも私の受けた印象としては、この作品における「心」と「魂」は置きどころが違うように思うのですよね。

 表現が難しいですけど、心と身体は基本脳の制御下にあって、表層的な人間性を体現するもので。
 けど魂はより深い、目に見えない所に置かれた、より根源的・原初的な人間性、或いは本能的なものを規定して、重大な決断や覚悟が問われるときに、その強度が踏み出せるか否かを決定づけている、揺らがない芯の様なイメージです。



 なんでそんなめんどくさい設定なのか、というのは、思想的なものもあるでしょうけど、この作品としての一義的な要素は、やはり死の概念を超越する可能性を希求するため、となるでしょう。
 身体的な死の先にも、一定の間情報として残る、より根底的な在り方を定義する事で、特にその存在が絶対に捨てられない強い「想い」を世界に残す事が出来るようになっている、というのが肝だと思います。

 勿論それは鯨の知識が前提の知見・技術でしょうし、ある意味では、情報と言う圧倒的な質量に人が安易に踏みつぶされないためのセーフティにもなっています。
 そのあたりは鯨のもたらすものも、両義的、二面的な意味があるものが多く、この作品全体を通して、この二面性と言うのは大きなファクターになっているように思えますね。



 物語としては、心と魂を一定別物として扱う事で、より人の二面性をわかりやすく引き出しているのではないか、と思います。
 どうしても表層的には弱い想い、現実に対しての恨みつらみが出てきてしまっても、根底の部分では確かに違うものが宿っている、そう考えた方が、単純に心に両極的な想いが共存する、というよりイメージしやすいと思うのですよね。

 わかりやすく言えば、ロミの母の妄執と、それが擦り切れた後にふらっと出てきた微かな悔悟などは典型的でしょう。
 グランドでの主人公の分離や、その弱い部分がロミに問うた、ロミの真意なども、そういう表層と根源で切り分けて解釈すると、人間性の本質がよりどちらに比重を置いているか、と読み解きやすい気はしています。

 また、主人公の父にも同じことが言えます。
 自殺に見せかけて殺されたのは確かですが、じゃあ彼が全く自殺を考えなかったか?と言えばそれは違うでしょう。

 少なくとも、彼は自分の理論を正しいと証明するために、自分の肉体を捨てる事も視野に入れていたと思います。
 けどそれを踏み止まらせていたのは、間違いなく主人公への愛と申し訳なさにあったでしょう。

 その準備があったからこそ、殺された後にアインシュタインに魂を潜り込ませることがスムーズに出来たはずで。
 その上で巫女を脅し、主人公を立ち直らせ、最後には改めて威嚇してみせた、その在り方は、本質的な良き父であり、主人公が信じた存在そのものだったと言えるでしょう。

 主人公の魂の芯の部分が、その父親の、理解すれば人は易々とは間違えない、という言葉にあるのは間違いなく。
 そしてそれは、主人公が魂の奥底で、自分が捨てられたのではないか、という表層的な疑いとは切り離された想いを養っていた、強く親子の絆を信じていたからこそ、だったと言えます。

 そういう魂があればこそ鍵として選ばれ、多大な苦労を背負って、それでも踏み止まれたわけで。
 それが心と混在化し、終始強い想いとして苛むものであれば、もっと早くに誘惑に負けていた、というのは確かでしょうし、実際に完全融合の時に完璧には抗えなかったのが証明しています。

 要するに、心とはあくまで肉体に依存するもので、けれど魂は必ずしもそうではないと。
 紐づけはされていて、単体で長くはいられずとも、別の器があれば想いを移植する事は出来てしまう、そういうものなのだと考えておくのが、この作品を解釈していく上では有効なんじゃないかな、と考えています。

・AIの限界、人の二面性の意味と価値
 前項では、心の中に共存する二面性ではなく、心と魂で別個に生まれる人の二面性を考察してみました。
 その上で見ていくのは、ではこの世界のAIに魂はあるのか?という事ですね。

 AIが心を宿す物語、というのは世界に数多あり、その在り処がどこなのか?なんてのはSFの定番中の定番テーマです。
 この作品でも、鯨のもたらす知識の波及によってシンギュラリティが加速し、「心」を持つAIが生まれ、それが世界をより良くする、という意味を与えられて暗躍する事になっています。

 それは一見、世界の為に合理的で有益な対策を立ててくれる、文字通り神のような存在として崇められています。
 けど、Σの世界は、この心を持つAIが作られた事が、滅亡の遠因になっている、と語られているのですね。



 ここで仮説として考えられるのは、Σの世界でも、心の模倣は出来ても、魂の複製や精製だけはどうしても出来なかったのではないでしょうか。
 更に言えば、彼らが求めてやまなかった真理とは、魂の来し方にあったのではないか、という事です。

 心と魂の在り方は、ある意味で人間の不合理性、矛盾の象徴的なものだと思います。
 きっとそのせいで、色々と人は失敗し、回り道し、時に何かを諦めたり、傷ついて立ち直れなくなったり、色々な苦しみを抱く事になります。

 それは、単純に魂の強化、という観点ではマイナスの要素に見えます。
 けれど、挫折や失敗があるからこそ、本当に繋がれた時のかけがえのない喜びがあり、それが揺らがない強さを育むというのも真理です。

 実際に、子供時代のロミや、個別ルートでの唯々菜は、主人公との短い間の関係性の中から、それを掴み取ったと言えます。
 その、魂の芯を醸成する喜びが単一的であればあるほど、それに対する執着も増し、世界の壁に対する突破力になるというのは逆説的な話ですが、それだけ不幸と幸せは表裏一体、という事なのでしょう。



 ともあれ、そう定義した時に、ではおそらく魂を持てていない巫女とはどういう存在なのか?という事です。
 勿論善良な「心」を持ち、機械知性ならではの合理性があれば、その外見は非常に端正で、間違いも揺らぎもなく、揺らぎやすい人にとっての憧れや、依存を産みやすい存在だろうなと思えます。

 ただ、魂がないという事は、二面性を育む余地もない、とも考えられます。
 あくまで一元的に世界を解釈し、その中で常に最善手を打っていく、それは平和的な世界像であれば有効なのでしょう。

 けれど、主人公の父親の死をきっかけに巫女が変化した、と語られたように、魂の領域に関わる死、という未知に対しての正しい対処を、巫女は見出す事が出来ていません。
 結果的に臭いものには蓋、ではないですが、非常に短絡的で暴力的な手段しか打てていない、それがこの世界観でのAI知性のひとつの限界、という事になるのでしょう。



 結局、人は自分の頭で考え、苦労し、挫折し、それでも前に進み、喜びを自分の手で掴むしか、魂を強くすることはできないのだろうと思います。
 そしてAIの、一見「正しい」判断に依存する事は、その魂を弱体化させることに繋がり、やがて種としての強さそのものが薄れていってしまうのではないかな、と感じます。

 どんなに正解のない選択肢に見えても、何かの犠牲が避けられないように思えても、それでも最後まで諦めずに足掻き続ける。
 それは主人公やロミが体現しているものであり、その魂の強さが、想いの強さが、最期には死と言う概念すらも克服する力になるのだ、というのが、あのラストシーンには集約されているのではないかと思っています。


・「唯々菜」であり「ロミ」である理由、自己認識の核
 最後はここまでの三項の補足として、どうしてこの二人の名前が「唯々菜」であり、「ロミ」なのかを見ていこうと思います。

 まあエロゲなんて結構珍しい名前が乱舞するものですけど、それにしても、他の二人、「忍」と「佳純」の普通さに対して、「唯々菜」と「ロミ」は中々普通では目にしない名付けにはなっています。
 それはおそらく、この名前そのものを本人が定義し、そしてそれがその存在である時の生きる意味そのものに繋がっているからでしょう。



 「唯々菜」の場合は、まずわかりやすく、いいなぁ、という憧憬でしょう。
 ただ普通の幸せを求めて、でも決してそれは叶わず、せめて夢の中だけでも理想の家族、理想の普通な生活を、といういじましい想いが、そのままストレートに帰結していると言えます。

 この子の場合、いつ現れたのか、そしていつから唯々菜だったのか?というのも、ひとつ考察のし甲斐がある点です。
 少なくとも主人公が羽と一緒に見かけるシーンまで、影も形もなかったのですけど、だからと言ってそれまで存在していなかったわけではないでしょう。

 ただひょっとすると、同じ重度の彗星病患者として、主人公が切望したものを体現する、という形で、あの場面で初めて受肉した、という考え方もできるのですよね。
 それこそ無意識的に主人公の力が、唯々菜という存在を生み出すブースター、最後のトリガーになっていたかもしれず、そして彼女にとって恋、というファクターも憧れの大きな一端ではありました。

 個人的にはそっちの方がロマンチックでいいなぁ、と思いますし、彼女の憧れの方向性としても、より明確になるのかなとも思います。
 ともあれ、シンプルに真っ直ぐ、ただそれだけでいい、というささやかで切実な想いの投影が、その名前に表現されていると考えたいところですね。



 「ロミ」は色々解釈のしようがあると思います。
 名字だけでなく名前も変えた、というのは、文字通り今までの生活を捨てて生まれ変わる覚悟の表れであり、そしてその選択に、彼女ほど頭のいい子が意味を持たせないはずはないと思うのですよね。

 その上で私が感じたのは、多分「路見」じゃないかなぁ、という事です。
 ずっと真っ暗で、意味も価値もない道を歩いていた自分に、路を見つけてくれたという、主人公への感謝と恩義を忘れないための名前なんじゃないかと。

 ロミはぶっちゃけ、見方によっては主人公以上に重い過去がありますし、結果愛着的なアイデンティティはズタズタな存在だったと思います。
 けどそこに主人公、という存在が現れて、自分の価値を定義してくれて、ある意味それが全て、という歪さはあるのですよね。

 ただ不思議なほど、作中のロミはそういうアンバランスさ、危うさを感じさせません。
 それはやはり、ある程度意識的にそう振舞っている面もあるとは思っていて、特に自分がこの名を名乗る限りは、という、自己暗示的な要素もあるように感じますね。



 どうあれ、そういう少し歪んでいるけれど、でも一途で強靭な強さを魂に纏っている二人なればこそ、魂の領域に踏み込み、新世界への第一歩を臆せず踏み越える意思と想いを紡げたとは感じています。
 勿論主人公にも、そういう自己認識の核となる要素はしっかり定義されている、というのは上でも指摘しましたが、その辺りはまた個別でも都度都度に触れていければいいなと思います。


★個別ルート感想

・ルート別評価&忍・佳純ルート
 ルート別評価は、グランド=ロミ=唯々菜>>>佳純>忍という感じでしょうか。

 忍と佳純はいかにも前座的な扱い、という面もあり、勿論これはこれで普通に面白いけど、ラストに繋がる因果もその時点ではわかりにくい、というのはあって。
 純粋な恋愛ものとしても、少し距離の詰め方や展開の速さなど強引さはあるし、悪くはないけど、というラインに落ち着くと思います。

 反面、唯々菜とロミ、そしてグランドは素晴らしい出来。
 唯々菜も前座と言えば前座なんだけど、彼女だけシナリオの根幹に対する関連度が図抜けて高く、またそれをしっかり投影した素晴らしい内容で、恋愛とシナリオ性のバランスが抜群でした。
 だから評価としては、ロミからグランドの流れが甘い、というよりは、唯々菜の出来が奇跡的に良かった、という位置づけになりますね。



 忍ルートは、忍のチョロインでありつつ、けれど無限の包容力を堪能できるという点では面白いのでは、と思います。
 ただ単純に、経営破綻の流れのポンコツさや、それを踏まえての主人公のドヤ顔差し出口とか、やっぱり少しうそ寒いものはなくもなく、その辺の肌合いがどうか、というのもありますね。

 ヒロインとしても、年上なのにチョロイなー、って感はどこまでも強く。
 そりゃああれこれ親身になって助けてもらえば情も移るし、ってのはわかるけど、恋人までの流れも色々グダグダで、はじめてもなし崩しだし、まあなんというか、きちんとしてない感は強いルート。

 見方を変えると、主人公が一番自分の境遇に真っ直ぐ向き合わずに逃げているルート、とも言えます。
 結果的にその分、自発的な選択肢を奪われて、より過酷な状況に連れ込まれてしまっているし、忍にも余計な苦労と心配を掛ける形になってしまっているのは、恋愛像として幼いな、というイメージです。

 実際なし崩しに触れ合って、好き合って、行き当たりばったりにやりたい事やって、ひとつひとつの経緯の合間の重みが薄いな、ってのもありますね。
 忍は本当に可愛いのだけど、どこかそれでいいの?って不安が付き纏うルートだったし、それでも最後の「おかえり」で救われるものはあったのかな、という感じです。



 佳純ルートは、忍に比べると普通に青春スポ根からのボーイミーツガール感は強いし、基本脇に猛がいて、ワイワイ賑やかなのはいいですね。
 忍ルートよりはまだ横の繋がりが強いし、その上できちんと恋愛もしているけど、ただこのルートは、ライバル打倒の流れを引き延ばし過ぎ、って感はなくもなく。

 実際ロミルートだと、精々数分でサラッとまとめられる範囲のあれこれだし、それはやはり唯々菜と比較しても明らかに質としては薄い、となりますからね。
 ただ、質的な意味ではともかく、その流れの中でより濃密に、真っ直ぐに明るい二人の在り方に感化されて、きちんと自分の病に向き合う覚悟と勇気を得る、という点では意味があったのでしょう。

 もっともそれは、巫女からすれば飛んで火にいる夏の虫、でもあるので、その選択を賞賛していいのか、って部分では引っ掛かりが出てしまうのですけどね。
 結果的に彗星機構側は、充分に酷な処置で対応しちゃってるし、その結果としての二人の道行きは簡単ではない、と思えば、読後感としてスッキリ、とまでは言えないのは仕方ないのかな、と。

 あと、私の読み落としかもだけど、序盤で佳純が夜に一人で泣いていたシーン、あの本当の理由って出てきたっけ?
 まあ理由そのものより、涙を目撃した、という事象そのものが記憶の鍵になっているのだから、それは気にしなくても、とは思うのだけど。

 少なくとも私が記憶する限り、このルートでその内実はスルーされてたから、グランドでの何らかの伏線かと思ったのですがね。
 でもグランドでもそんな感じは全くなかったし、これも少しスッキリしない要因です。まあそれでも純粋な出来としては忍ルートよりは好きかな。ヒロインとしては忍の方が好きだけど。


・唯々菜ルート
 わざわざ単独にする時点で、どれだけお前このルート好きなの?と言われてしまいそうですが(笑)。
 でも本当にこのルートは、すごく全体の尺と質、バランスが抜群で、それでいて突破力も、読後感のそこそこの良さも用意されていて、前の2ルートとはまるっきり注力感が違う気がするのですよね。

 少なくとも最初の切っ掛けの時点で、心情そのものはともかく、ヒロインの中で一番恋愛的な意識を前提に向き合っているヒロインでもあります。
 だからと言ってそういう色を意識して絡んでいるわけではないけれど、それでも他の二人よりも出発点として、きちんと交際の前準備、って空気感を出してるのがいいんですよね。

 唯々菜自身も比較的そういうのを意識させられて、あの人ひょっとして、から想いが高じていく普通さを発揮していてすごく可愛いですし。
 主人公もそれに対してかなりズレた考えなど披瀝しつつも、それでもどこかで一抹の予感と言うか、相性や居心地の良さを或いは、に繋げて考えている感じはあります。



 そういう土壌がある上で、唯々菜の抱える謎自体もかなり特殊で、だからこそ興味をより強く引く、という面があり。
 それに対するアクションが、ある意味でハードルの高い部分をホイホイ超えていく契機になっているのも自然ですし、そんな風に四六時中触れ合っていれば、互いに惹かれ合うのもやっぱり普通だなー、って感じですよね。

 でも、傍目には普通でも、それは本来のこの二人にはとことん贅沢で、まず手に入らない宝物のようなもので。
 だからこその煌き、こそばゆさが本当に優しく滲み出ていて、唯々菜ちゃん可愛い、可愛過ぎる……っ!とならざるを得なかったのです。



 そして、唯々菜が抱える謎と現実に対してのアプローチも、彼自身の力を能動的に使って、という部分で一歩踏み込んでいる感はあります。
 それは一つ間違えば世界そのものすら滅ぼしかねないとわかっていても、それでも手を伸ばさずにいられない、その想いの源泉に、唯々菜を一人にしておけない、と言う純然たる想いが溢れているのが、本当に綺麗ですよね。

 考察でも触れたように、主人公が主人公であるための、唯々菜が唯々菜であるためのアイデンティティの部分を、このルートはきちんと軸として抱え込み、二人で手を繋いで共にいる、という約束に収束させているのが好きなんですよねぇ。
 でもその為には、それぞれが踏み越えなくてはならない試練も、希求した「普通」との別離も、というのが本当に切ない話です。

 それでも。
 それでも、「伝われぇぇぇ」を筆頭に、繋がっている事が全てを振り切っても、何を犠牲にしても大切と言うだけの重みを、二人が短くも濃密なやり取りの中で獲得したのは間違いなくて。

 それをわかっていればこそ、ロミもああいう形で積極的に加担してくれているのでしょうし、ある意味このルートのラストは、彗星機構を、巫女の思惑を出し抜いてはいるのですよね。
 その点でそれなりの爽快感はありますし、「普通」の生き方は出来ずとも、二人にとっての幸せは、守りたいものはきちんとある、というイメージは持てるのが嬉しいところです。

 そして、このやり取り自体は、この後のルートでは流石に濃度は薄められるものの、ベクトルとしてはきちんと息づいて、要所できちんと力になってくれる、というのがまた素敵ですよね。
 改めて、ロミルートの前座として完璧な出来だと思いますし、凄く面白かったです。

・ロミ・グラントルート&まとめ
 ロミルート自体は、やはりかなりシナリオ性に寄っている、という面があります。
 序盤は主に唯々菜の想いを救う為の特捜部活動になりますし、正直、あれ?ロミがヒロインのルートだよね?ってくらいにはなります。。。

 ただ実際、他ルートがパラレル構造であるならば、そういう工程を踏まないと正しい結末に辿り着けないという、細い細い可能性を辿るような厳しさはあって、それを冗長になり過ぎない範囲で綺麗にまとめているのは見事ですね。
 ロミ自身もそれをきちんと必要だと判断し、フォロー出来るところはしつつ、きちんと裏側で様々な方向に可能性の糸を伸ばしていると思えば、極めて献身的なヒロイン、という位置づけは揺るがないところです。



 彼女のそういう一心な想いは、グランド前半で見るように、親との確執と、その中で確たる自己を抱けなかったところでの、主人公との交流による比重がとても大きいわけで。
 いわばロミがロミになった全て、でもあるのだから、本人からすれば当然の行為でも、はたから見ればやはりそれは相当な世話焼きに見えるし、それを人の和の中で重層的に固めている、というのもこのルートの特色になるでしょう。

 要するに、主人公の魂のみならず、ロミの魂も、より多角的な意味と価値、繋がりを持つように構成されているわけですね。
 この時点でのロミは、まだ主人公に関わる問題の全てを解決できるだけの力を持たないけれど、それでもそういう繋がりの強化が、僅かずつでもその可能性に、力になっているのは確かだろうと思います。

 ただ、お互いに感謝の気持ちが強すぎて、同棲生活の中でも相手の助けになる、が一義的で、まるっきり色っぽい空気にならないのも勿体ないなー、とは。
 着替えのシーンとか見ても、ロミ自身に恥じらいや乙女回路はしっかりありそうなもので、でもそれを使命感が蓋しているのも、まあこの二人らしいと言えばそうなんだけど、でもパジャマでのHシーンとか欲しかったよね。。。



 あと、根源的なロミの希望がどこにあったか、というのも、二面性を考える上では面白い観点で。
 実際主人公の危機にあれこれ付き合って、共に消滅してしまう未来像そのものも受け入れていたのは確かだけど、でもその割には基本的に捨て鉢なところが微塵もないんですよねこの子。

 どちらかと言えば、また主人公の方が、どうせ駄目なら、みたいな投げやりな面はあって。
 けどロミが基本的に前向きで、常に事態を打開していく努力と思考を諦めない在り方を体現していればこそ、主人公の在り方もそれに引き寄せられていったという見立ても出来ます。

 そう考えればやっぱり、本当の本心では、二人で普通の在り方に回帰する、それこそ唯々菜と同質の希望を抱いていたと思えます。
 でもそれ以上に、どちらか、ではなく、二人で、というファクターの方が大切で、だからこそ置いていかれた事に対する号泣は胸を打つものがありましたね。



 しかし、そこからのグランドにおいても、ロミの踏ん張りというか、諦めない在り方が、ある意味事態を動かすキーになっているのが凄いところです。
 好きな女を守りたい、的な男の見栄に対して、見た目とは裏腹に、待つ女だった忍と佳純に対して、やっぱり唯々菜とロミは、可能性があるなら諦めない、奪いに行く女という対比にはなっているのが面白いですよね。

 結局それは生育環境から来る、たった一つの大切なもの、に対する飢餓、希求の度合いとも言えますが、特にロミは、その類い稀なる頭脳を武器にした、生来的な気質とセットで、よりそういう面が強調されている気はします。
 実際、この世界の魂と言う概念をきちんと理解しているであろうロミならば、肉体の死が全ての終わりではない、という見立ては出来るでしょうし、それでもあのシーンからすぐにそういう方向に気持ちを切り替えて活発に動いているというのは驚嘆には値します。

 でもそういうロミだからこそ、助けに行かざるを得ないし、その冷静でブレない在り方が、主人公サイドの重心になっている、とは思えます。
 実際この時点でのロミには、ジョーカー的な強みはないわけで、それでも上手く周りを巻き込み、気持ちを盛り立てていく、そういう存在感が明快に備わっていたのかなと感じますね。



 そういうロミだからこそ、慎二の弱さと甘えは殊更に許せなかった、という面はありそうで。
 主人公自身もその色合いはあったでしょうが、より徹底して揶揄し、急所を貫いているわけで、だからこそこのシーン、アインシュタインが守ったのがロミ、なのだろうな、とは感じます。

 父の魂が本質的に、主人公を守るためにのみ存在しているのは間違いない事で。
 けれどここでロミを守ったというのは、その剥き出しの魂そのものに対して、ロミが主人公の絶対の味方であると信じさせた事になりますし、この最後の決め手になっていたのは確かだろうなと思います。

 結局この世界は、死んでも諦めない、が、文字通り現実的に実行可能な概念と土壌を有しているわけで。
 それこそが巫女が忌避し、恐れて触れられないものではある、というのもAIの限界で考えましたけど、ここで巫女を余計に畏怖させているのは、父の雄叫びに同調して、同じ覚悟を抱く少女たちの存在もあるのではないかなと私は思いますね。

 その意味では唯々菜とロミってダブルヒロインに近いところもあったんじゃ、って思います。
 結局彗星病絡みで、彗星が去ってもある程度のものは地球に影響を残していったのでしょうが、最大のものはそれこそ新世界のα、とも言うべき、死を超越した魂の永劫性の獲得が、人を人たらしめる根源として屹立して。

 それを体現できるだけの経験と覚悟、強さを持っている限り、安易に死の先に進めない巫女の介在する領分は限定的にならざるを得ないわけです。
 そういう視座で見れば、彗星病にまつわる諸々は、確かに行き過ぎた力で、破滅のトリガーでもあったけれど、いつか来るシンギュラリティに対する人の処方箋、という価値は付随していたのではないか、と感じます。

 それもまた一種の二面性であり、物事の裏表、矛盾や葛藤があればこそ、それでもがむしゃらに未来に向かっていく強さが得られる、というのがストレートに伝わってくる物語だったのではないでしょうか。
 総合的に見ても、魂の在り方を軸に、そこを分水嶺にしての旧世界的な物語と、そこから一歩踏み出した新世界的な物語がバランス良く配置されている格好ですし、その対比の中で、とりわけ後半のシナリオを面白く積み上げられていた作品だと思います。



★キャラ

 キャラ的には、全体に癖の強いのはいつもの新島さん、って感じですが、やはりその中でも主人公の造型と、そしてメイン・準メインのロミと唯々菜の魅力に尽きますね。

 主人公は嫌味な優等生を装っている影での真っ直ぐさと情の厚さは魅力ですよね。
 ただ対人的には基本ポンコツなので、そのあたりで可愛げもしっかり出していますし、ヒロインにしょうがないなぁ、と思わせる空気の纏わせ方が絶妙です。

 その根幹がどこにあったのか、ってのは上でもある程度触れましたけど、やはりなんだかんだで、幼い頃に確固と確立したアイデンティティの強さ、正しさは強い、って事ですよね。
 だからその後、どれだけ辛い事があっても、安易な思考停止を選ばずに藻掻き続けられたわけで、そうでありながら重苦し過ぎない塩梅・立ち位置でバランスが取れているのが凄いなって思います。



 ロミは本当に素敵な相棒ポジションでしたねー。
 キャラとして包摂するものが多過ぎて、その分純粋なヒロインとしての魅力は若干唯々菜に負けるかな、と思いますけど、全ての裏側で純粋に主人公を支え続けた献身は尊敬に値します。

 確かに女性的な魅力は、性格自体も中性的だし、一般的には薄いだろうと、客観的にも主観的にもロミが自信を持てないのはわかるけど。
 でも個人的にはこういう子本当に超好みだし、だからこそもう少しイチャラブでも頑張ってくれれば良かったんですけどねぇ。



 唯々菜は逆に、ヒロインとしての魅力が天元突破してるわ、って感じです。
 全ヒロインの中でも好き合う過程の丁寧さと素朴さ、愛らしさが段違いですし、それぞれの立場がもたらすどうしようもない境遇に対する切なさも含めて、本当に好き。

 まあ元々体験版の時点で、いや、公式ページオープンした時点でこの子超しゅきぃ!ってなってたのですが、それが本編で更にブーストしたのは凄いなと。
 ロミでも殿堂ラインだけど、この子は殿堂でもかなり上の方に入ってくるくらい、あらゆる要素が好みでしたねー。

 勿論グランドの流れでもかなり美味しいところ持っていきましたし、前半の2ルートで必然的空気だったのを取り返して余りある活躍でした。
 本当に贅沢を言えば、もう一回くらいイチャエロなシーン欲しかったけどねぇ。まあ新島さんのシナリオにそれを求めても、ってのは確かにあるのだけどさ。。。



 勿論他の二人もそれなり以上には可愛かったし、扱いは雑だったかもだけど好きです。
 忍さんは本当に、ひっさびさに新作ふーりんボイスが聴けた、というだけでも印象深いですしね。

 しかし本当に最近、歩サラさんはサブが多いなぁ。まあモーちゃんも面白可愛かったけどね。

★CG

 質的には、いつものきみしまさんでとってもキュートで満足できるものではありました。
 ただ量的にはね……。フルプラでもちょいお高め設定で、全部で75枚、しかもその内まともにキャラCGとなると60枚切ってるから、流石に物足りん。

 結局それはヒロインのHシーンが少ない、って部分にも絡んではくるけど、特にロミと唯々菜は、こういう立場ならもっと優遇してもいいのに、とは。
 ロミで単体14枚しかないのは流石に残念だし、それこそHシーンじゃなくても、もう少しはあっても良かったんじゃない?とは正直思ってしまいます。

 背景は全体的に凄く綺麗だったし、立ち絵も量的に豊富とは言えないものの、出来はとっても可愛くて良かったです。
 けどアレだね、忍の裸エプロンがあって、唯々菜の水着がないのは不満だゾ?

 立ち絵で言えば唯々菜は制服、ロミは寝間着、忍は私服が好みでしたかね。
 表情的には唯々菜は半泣きと困り顔が最高でした。ロミのジト目と驚き顔も好き。 

 1枚絵だと、やっぱり個人的には唯々菜の出来が突出してよかったように感じますなぁ。
 最初の階段絵、お宅訪問での絶対領域、はじめて、立ちバック辺りはめっちゃ好き。後はロミの着替えとか、忍と喫茶店で話し合いとか、あ、みんなで浴衣で夕涼みも、唯々菜のうなじが超好みでした。。。

★BGM

 ボーカル曲は3曲+アレンジで、BGMは28曲なので、こちらは量的には妥当な範疇でしょう。
 その上で、ボーカル曲の出来が全て抜群に素晴らしく、ここしばらくは特典のボーカルサントラが、エンドレスリピート状態になってます。

 OPの『新世界のα』は本当に突き抜けた爽快さがあるのに、きちんとその中に切なさや煩悶が感じられる絶妙な構成とメロディラインがいいですね。
 ラストのボーカル違いも、確かにそれだけで届く味わい、想いの色が変わって聴こえて見事な采配だと思います。まあ流石に延々聴くなら普通の女性ボーカルの方がいいけど。。。

 EDの『願い星』は、逆に際立ってシンプルで、透明感と情緒に突き抜けた曲ですねー。
 個人的にちょっと木漏れ日のバラードを思い出すところもあり、こういう余分な装飾のない真っ直ぐな想いを届ける曲は好きです。

 2ndOPの『Answer』も文句なしにカッコよく、力強く未来に踏み出す覚悟がひしひしと伝わってくる素敵な曲なんですよね。
 本当にこの3曲は甲乙つけがたいレベルで好きですし、全てが殿堂レベルというえげつない強さです。



 流石にBGMはそれに比べると落ちるところはありますが、やはりこちらも水月さんらしい繊細で優麗で、柔らかさの中に切なさが滲む感じがとっても好きです。
 作風にも非常に噛み合っていたと思いますし、このタイトル全体として本当に音楽の出来は大満足しています。

★システム

 演出は、あくまでシナリオで求められる情感的な部分に特化した面はありますけど、その分メリハリはついているのかな、とは。
 ADVとしてはやや大人しい感もありますし、もう少しバトルシーンくらいはドンパチ演出頑張ってもいいのよ?と思わなくはないけど、それがメインの作品ではないですしね。

 ムービーの出来はかなりセンス良くまとまっていて好きですけど、CG枚数が少ない分もあるのか、少し使い回し感が強いのが勿体無いかなとは。

 システム的には、VAのものはお世辞にも便利、とは言い難いけど、まあ最低限必要なものは拾っている、とは言えるのではないかと。
 解像度なども少し小さめなので、その辺気になる人はなるかもだけど、贅沢を言っても始まらないですしね。少なくとも不便、とは思わないので充分でしょう。

★総括

 総プレイ時間19時間。
 共通が3,5時間、個別は選択肢部分も含め、忍と佳純が2,5時間、唯々菜が3,5時間、ロミが4時間、グランドが3時間くらいでしょうかね。

 決して長い作品ではないですし、その分肉付けとしてもう少し、と感じるところも確かにあります。
 基本的に言葉を出来る限り削るスタイルでもあり、筋道としてわかりにくいところも結構ありますけど、噛み砕いていくとある程度はきちんと読み解ける理路が通っているのは流石ではありました。

 ある意味直観的に、読み手の感性に伝わってくるものが大きいですし、今回はそれが全体的にかなりうまく嵌っているとも思います。
 くどくどはしていないけれどそれなりに密度はあって、重量感もある、バランスのいい完成度だったのではないか、とは感じますね。

 その上で、一点突破的なつくりに依拠しているとはいえ、やはり盛り上がるシーンでの最大瞬間風速の破壊力は素晴らしかったです。
 特に唯々菜ルート以降は加速度的に面白くなっていくと思うので、これは普通に新島さんのタイトルの中でもお勧めしやすい部類になるのではないかな、と思いますね。


posted by クローバー at 14:07| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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