<思い出話>
今日のご紹介は、ウグイスカグラの水葬銀貨のイストリアより、OP曲のアズライトの棺です。
底深い謎と人間ドラマがふんだんに盛り込まれた作品イメージにピッタリとマッチした、神秘性と哀切が綺麗に煮詰まった曲ですね。
全体としてゆったりしたテンポながら、メロディラインの繋がりがとても美しくて、冗長に感じる部分が非常に少ないな、と思います。
特に2番のサビからDメロへの繋ぎと、そこから最後のサビに回帰する流れがとっても気に入っていて、派手さはないものの噛み締めるほどに魅力溢れる名曲だと思っています。
ウグイスカグラのタイトルはこれまでに3作品リリースされていますけど、おそらくゲームそのものとしてはこれが一番地味かな、とは思います。
とにかく謎解き、どんでん返しと、これでもかと突き詰めた心理描写のえげつなさが光り輝く処女作の紙の上の魔法使いは本当に傑作ですし、ガラッと作風を変えつつ、しっかりらしさも残したパラレログラムも意欲作でした。
その間に挟まれた、という時点でやや分が悪い面はありつつ、方向性としては一作目と同様、けれどスケール感や奥深さ、徹底性は少し足りなかった、というのがこの作品だと思います。
勿論それでも凡百の作品に比べれば断然面白いのですけど、色んな意味で地味目なのは否めませんからね。。。
ちなみに紙の上の魔法使いは、現代エロゲとしては異端と言っていいOP曲なしのタイトルでした。
ある意味文字通りほぼほぼ作品の内容だけで評価を勝ち取った、という意味でも歴史的な傑作ですし、もしもこれからウグイスカグラに触れてみたい、と思う人がいるなら、素直にリリース順に追いかける事を積極的にお勧めします。
個人的に、来年2月発売のルベルカリアは、現時点でのウグイスカグラの集大成、的なタイトルになる予感がヒシヒシとしています。
まだ体験版やってないので軽々しい事は言えませんけど、演劇、という舞台は、一作目で見せたミステリー性と、三作目までで積み重ねてきたキャラ性・ストーリー性をバランス良く、相乗的に高め合うのにこれ以上ないチョイスに感じるのですよね。
イストリアの話からは逸れてしまいましたけど、メーカーとしては、決して曲数は多くない、けどその分一曲に作品のエッセンスを極限まで盛り込む、というコンセプトが明快なのが素敵だと思います。
なのでこの曲を聴いていいな、と思ったら、是非作品もプレイして欲しいですね。