2017年11月17日

ノラと皇女と野良猫ハート2

 ノラとと1も面白かったですし、新規ヒロインもロリっ子多めだったし、なによりまたパトに会えるなら、というところで迷わず購入。

シナリオ(24/30)

 歴史があればこその、家族。

★概要

 この作品は、2016年2月発売のノラと皇女と野良猫ハートの続編になります。
 扱いとしてはどこから、と決めつけるのが難しい構成ではあるのですが、基本的には1の共通からヒロインルートに分岐するあたりで、誰も選ばずに進んだ未来、という感じで、そこで改めてパトリシアと対立するアンクライの皇女・アイリスが地上にやってきて、という共通譚が紡がれ、そこから新規ヒロインルートに派生する形ですね。
 既存ヒロインのアフター的なものは、誰かクリアするとそれに付随して、という形で、分量的にいってもほぼおまけ、という位置づけです。

★テキスト

 1の時と同様に、いやむしろそれ以上に、詩性とリズム感を非常に重視した独特な読み口になっているなと思います。
 改めて思うのは、色々思想的に小難しいあれこれを組み込んでいる割に、それを出来る限り簡潔明瞭、かつ斬新な語彙で表現するのがとても上手いなぁ、って所で、短く刻むべきところは刻む、その分延々繰り返して強調すべきところはとことんまでやる、そういうメリハリがはっきり紡げていますし、物語の構造含めて取捨選択、削ることがしっかり出来ているテキストだろうと感じます。

 それ故に敢えて語られない部分も多く、思想的には繋がっていても物語り的な場面としては唐突な語りが混ざり合ったり、二局面が並行して語られていったり、それでも全体的に放縦感を持たせずに、しっかりひとつの物語としてまとめ上げているところは評価すべきですが、わかりやすいか、と言われると多少難解なところもあるのでそのあたりは評価が割れるかも、というところでしょうか。
 個人的には今回も綺麗な言葉の羅列やリズム感、感情面でのセンシティブな叫びの納得感など含めてかなり楽しめたと思っています。

★ルート構成

 上でも触れた通り、アイリスがやってきての共通ルートがあってそこから新規4人のヒロインに分岐、というシンプル極まりないつくりです。
 1同様にこの作品、というかこのライターさんは、あくまでも物語の思想的統一性、詩情感を一番に置いてくるので、その意味では個別に入ってから好感度蓄積、という形でも違和感を持たずにいられるし、ゲーム性という意味では杜撰ですけれど続編でもあると思えばまぁ、ってところでしょうか。

 既存ヒロインの解放順は正確には調べてないですけれど、とりあえずアイリス以外3人クリアした時点で全員見られるようにはなっていたと思います。
 こちらは本当に短いおまけ扱いですので、そちらに期待すると肩透かしですし、箸休め程度に楽しんで基本的には本編ヒロインを後ろに回すべきですかね。

★シナリオ(大枠)

 基本的には仲間の絆と、それぞれが抱える家族の絆をクローズアップした作風であると言えますが、1の時はどちらかというと仲間の絆の方に比重が寄っていて、ルートによっては少し家族との関係の中での足枷を上手く解消できずに終わっているものもあったりで、そういう方面での重さが残る作品でした。
 今回は前作の評判・批判などもある程度汲み取った上で構成しているのか、特に物語の尺的にメインとなるルーシア・ノブチナ・アイリスの三人には、改めてノラ達の仲間となっていく過程や、それぞれが抱える家族との葛藤、過去の軋轢としっかり対峙して、綺麗に大団円を迎えるという、あまり取りこぼすもののない贅沢なつくりになっているなと感じます。

 その上でどのルートでも、読み聞かせの語り手としてのパトがいい存在感を醸しており、彼女が語る昔話=伝説が比喩、或いは暗喩としてしっかり物語に芯と筋道を紡ぎつつ、それぞれのヒロインらしい在り方で少しずつでも現実に、真実にアプローチしていく構成はとてもリリカルで挑戦的でもあったなと感じます。
 概ねそれは破綻することなく丁寧にまとめあげられている、とは思いますが、ただその分、1の時より多少ルートによってはイデオロギー色が強く出過ぎてしまう部分もなくはなくて、それをしゃらくさい、と感じる向きもないではないかもしれません。
 無論そうならないように、しっかりそれぞれのヒロインに感情を移入できるだけの下地を精緻に築いているとは思いますし、その分尺的に中々タフなものになった、という側面もありそうです。

★シナリオ(個別・ネタバレ)

 最初に私の大枠的なテーマ性の解釈をまとめておきましょう。
 
 今回アイリスというヒロインの登場をベースに提示されるのは、死者が本当に死ぬとき=忘れ去られた時、という思想です。
 それは1の時も裏返しにすればそうだった、という面はあって、忘れられたら冥界の存在は立ち行かないから、だから定期的に地上に死の恐怖を振り撒く必要がある、というのがエンド家母親の論理ではあるわけで、それに対しパトが、死の意味をより明確に定義するには、生を正しく定義しなくてはならないと感じて留保していく中での物語、という面がありました。

 そして、生もまた、忘却されれば実質的に死んでいるのと同じ事ではあります。
 無論今の社会の中で全く誰とも繋がらず、誰の記憶にも残らずに生きていく事はほぼ有り得ないことですから、例え微かでもその生は他者の存在によって繋ぎ止められている、と言えますし、これも裏を返せば、他者との繋がりが深いだけ人は生の濃度を増していく、そういう面があるでしょう。
 同時に、死を忘却した生者は、今生きていることに対しての感謝や懸命さを損なう、という視座も含めて、生死が表裏一体であり、共に忘却という概念にその質を左右されるものである、と言えるのではないでしょうか。

 その上でこの作品は、大きく括れば家族との絆の欠落を埋めていく物語、だと私は思っています。
 特にルーシア、ノブチナ、アイリスの3人は、それぞれの過去や境遇の中で、どうしても本来あるべき家族との絆を欠落=忘却している部分があり、それがそれぞれの人格面においても歪みというかめんどくささというか、そういうのを紡いでいます。

 それと対比的というか、主人公のノラもまた早い段階で家族を亡くしていて、本来はそこに欠落を抱えていないとならないのですが、それを母親が生前紡いだ絆の強固さによって糊塗されている、という面があります。
 基本的にあらゆる場面で、死者であるにもかかわらずノラの母はすごく存在感を醸していますし、またナレーションという立ち位置でその見守り感を情緒的に担保しているのもあり、ともあれ母の存在が忘却されない事でより強固に成り立っている仲間との絆あればこそ、正しく真っ直ぐ生きることが出来ている存在、と言えるのでしょう。
 更に、そういう土壌がありつつ、それでも実際にこれ以上母親との、家族の歴史を新たに作ることは絶対に出来ないという寂寥が、それが出来るのにやれない不器用なヒロインに対する、怒りを内包した放っておけない感情の契機として決定的に機能しているのが見事なところです。

 これらを極論的に集約すれば、絆とは紡いできた歴史の重みそのものであり、そこで取り落としたもの、忘却をいかに少なくしていくかによってどこまでも強固に、かけがえのない大切なものに築き上げていける、という事になると思います。
 だからこそ、家族だからと、なんとなくわかっているつもりですれ違っている事や、どうしても埋められない欠落の重さに変わるものを探り、真実と向き合ってそれを踏み越えていく、そういう強さが大切ですし、それを成し遂げた物語だけが伝説として語り継がれる資格を持つ、その繰り返しで生と死の概念は忘却を免れていく――――だいたいこんなところになるのかなと思っています。

 それを踏まえた上での個別評価は、ノブチナ>アイリス>ルーシア>>ユウラシアくらいですね。
 前作ヒロインのエクストラはそれぞれ20分ちょいのおまけ程度ですし、1の時は今回ほど土台のテーマ性が煮詰まり切っていなかった感もあるので、その辺肌合いとしてはちょっと違う感じもあるし、取り立てて評価に差し込むほどの存在感はなかったように思います。いや、確かにパトめっちゃ可愛かったけどね、2本編ではどうしても立ち位置的に不憫さは醸すキャラだし。

 ユウラシアは上で触れた部分の欠落が一番少ない、元々しっかり家族に愛されて天真爛漫に育ってきたヒロインではあるので、結構すんなりと気持ちのままに結ばれるし、自分のやりたい事を少しずつでも形にしていく素直な前向きさもあるしで、母親の容喙、という側面もあるにせよそれは物語のスパイス的な面が強く、全体としては軽めのお話だったと思います。
 その分屈託ない愛情の示しと触れ合いは楽しめた、とも言えますし、総合的に見てその愛に偏重がない、という意味でも稀有なヒロインではあったのかなとは感じます。

 つかね、基本的にこの作品のヒロインって、どこかその生育環境的に無意識の中では愛に飢えている、ってところが強いから、いざ恋人になった時の愛の重さがヤバいんですよね(笑)。
 ただ色々拗らせてるから、そうなるまでのめんどくささも一方ならず、って感じはあるし、それをほぐすためにすんごく尺が必要にもなって、なのにライターさんは好き好んでこういうタイプのヒロインばっかり書くんだよなぁ、とその辺は個人的にあまり肌合いが良くなかった部分ではあります。

 このノラととシリーズって、概ねアレですよ、尺の長さ=ヒロインのめんどくささ、胸のサイズ=愛の重さと考えておけば意外と間違ってない気がするんですけどね。。。
 その意味で、他が重すぎるから相対的に、ってのもあるけれど、フランクで濃ゆい執着を感じさせないユウラシアの在り方は清涼感があったとは見ていますが、その分尺的には短くて済むってのがロリっ子スキーとしてはジレンマ的ではあります。

 ルーシアは過去の事件によって本来の力を失った、という過去から、特に母親やパトと確執、というほどではないにせよ、互いに口に出来ないよそよそしさを抱えてしまっていて、それを糊塗するために思考停止して、自分を妹達を守る剣、としてだけ定義していた部分が強いので、それを解きほぐすのがいやぁ本当にめんっっどくさいわけですよ(笑)。
 いきなりこのルートだと犬の国の王なんか出てきて、そことの抗争になったりと展開的にぶっ飛んでるのはもう気にしない事としても、その過程の中、特に犬恐怖症の克服面でノラに対する依拠を少しずつ少しずつ強めていって、それが同時に、家族の真実と向き合う強さも涵養していく、というつくりはとても丁寧で、個人的にもパトの活躍度が一際高くて楽しいルートでした。

 最終的には全てをさらけ出して尚前を向き、自分、というものを確立していく大団円的な流れにはなっていますし、それを助けるノラと愉快な仲間たち、という構図も燃えるところで、面白いシナリオだったなと思います。
 けどこの人、そうして自己の確立形成において、それまで空っぽだったところにノラ、という存在との恋人関係をボン、と放り込んだところはあるから、その占有率が高すぎて物凄い偏重してるというか、束縛強すぎぃ、愛が重い重い重いっ!って所は誰よりも明確で、ヒロインとして好きか、と言われると正直うーん、とはなりますけれどもね。

 アイリスは流石に2のメインヒロインだけあって、思想性をそのまま体現したような立ち位置の中で、それでも前向きに、ひたむきに新たな絆を、自分にとっての家族の意味を見出していく過程が心打つものがあったとは思います。
 そもそもアイリスの国が忘却を司って、生と死を切り離そうとしていた、その有り様が正しくはない、というのは、それが不即不離・表裏一体の関係だと定義した最初の解釈からも言えるのですけれど、その報復として存在が忘却の上に置かれたアイリスという個人の悲哀は確かなものです。
 まぁどういう経緯であの国にノエルとアイリスだけが残ったのか、ってのも恣意的な部分なのでなんともなんですけれど、どうあれその忘却の鎖から大切な存在を救い出すために、敢えてアンクライの禁忌を束ねて冥界の掟に反逆して見せたノエルのありようはなるほど、とは思わせるところがありました。

 ただ結果的に、それが過ちを積み重ねた歴史だったとしても、それでもアイリスという存在を産み落とした歴史でもある以上、それを知る権利はあるし、立場的にもそこに向き合ってそれをどう総括し、自分の糧にしていくか、という面での必要性は明確にあった、と言えます。
 でもそこを小難しくし過ぎず、パトと対峙する上での、「バカはイヤ!」という喝破ひとつで筋道をつけているのは実にこのライターさんらしい軽妙さだなぁ、って思うし、自分も通った道だからこそ、そのパトの感情的な観念にも説得力がある、というのも凄みを感じさせます。

 その上で、どうしてもアイリスというヒロインには忘却、という根源的な恐怖と諦観が付きまとっていて、表面的には強気でも本質的に憶病で、人との関係に踏み込めないところがはっきりとあります。
 だから少しでもそれが報われると依存を強めるところはあって、いわばチョロイン気質、ではあるのですが、恋愛面においてはその、押せば落ちるんじゃない?って脆さを利用し、かつノラの獣化進行という体質とそれに対する対策として、より深い関係になっていこう!という、やや打算もあるけれど、率直な好意をぶつける構図が紡がれるのも面白いところですね。

 つーか、恋愛面での情緒的な機微が味わいであるエロゲにおいて、ヒロインにド直球でやらせてください!ってお願いする作風は冒険的だし、けどそれを違和感に感じさせない手腕・構成は本当に大胆不敵かつ繊細な手つきだなあと思いますよ。
 普通この手の作品だと、告白を失敗しても幾度もアタックするとかそういう人臭いリアリティは敬遠される傾向にあるけれど、アイリスというヒロインを転ばせるのにはそういう率直な熱情が一番効果的だろうとは素直に思えますし、やっぱりはっきり好意を示されて、自分も一定それを持ち合わせている限りはそれを悪く思えるはずもなく、徐々に転ばされていく流れは面白かったです。

 かつそれが自分に対する自信に直結して、少しずつでもそれまでの常識とかけ離れた自分の国の歴史と対峙し、その責任を背負う覚悟に繋げていく面を並行的に見せているのも効果的だったと思いますね。
 まあそんなこんなですったもんだを経ての大団円、とはなるけれど、この子にしてもそういう成り行きもあるからやっぱりやっぱり愛がひっじょーーーに重いのはあるんだなぁと。
 個人的にはまだアイリスの方がネアカで愛らしく、戦略的幼児退行なんて必殺技もあるから(笑)可愛げを感じるところは多かったけど、胸のサイズ的にも一番愛が重い、ってのはあるんじゃないかなぁと思うしその辺は好みに合うかどうか、ってなっちゃいますけどね。

 ノブチナは珍しく非常にストレートに泣かせに来てるというか、より仲間の絆、家族の絆にスポットを当てた王道的な物語になっているのかなと思います。
 展開的にも、ノブチナの実家がヤクザ抗争に巻き込まれて苦慮しているのと同時に、学園祭の演劇で命の物語を披瀝していくという、より思想性に直結しやすい展開が並列的に用意されていて、それをパトの語り聞かせのシーンが上手く統括していく、という構造面の秀逸さ含めて凄く真っ直ぐだなぁと。
 このルートも含めて、ノラが猫である事を上手く利用した展開が多い作品ですが、特にこのノブチナルートのそれは情緒的でもあり、全体的にはやはり一番出来がいいなぁと思わせますね。

 一方で恋愛面での軽さはあり、それは元々幼馴染としての絆の深さと信頼があればこその拘泥の薄さと、父親との和解に至る前までは、心のどこかで家族の価値を信じ切れていなかったノブチナの、その価値観の変容を具象的に、かつ象徴的に示すための装置としての側面が強いからかなとは思います。
 元々一連の展開で、幼馴染としての信頼とは別個に、こいつちょっといいな、と感じる向きはあって、それがあの猫に変身させて追わせない、というシーンにも鮮明に映し出されていると言えますし、そして家族への葛藤が解された事で、そのちょっといいな、という気持ちを特に力みなく、ぶっちゃけなんとなくでポロッと吐露してしまったのがあのノブチナの告白とは思うので、その点で言えば幼馴染特性を生かした独特な構造、という部分での面白さは多分にあるかなと。

 ただそれは結局、燃え上がるような恋とはまた違う、親友としての信頼の延長線にある気持ちに近いですし、またそれがあって、人柄を存分に知り尽くしているからこそ、いざ恋人になっても許すべきところは許すし、無茶に拘泥することもないという独特なスタンスが確立されていて、その愛のありようは本当に軽やかだとは思うんですよね。その点でも私としては食傷しなくて済む有難い存在です。
 んだけど、その分明確なイチャイチャシーンが多くなくてもその関係性は定義できちゃうから、ってんで、ぶっちゃけHなシーンが少ないのはいただけないなぁと。それ以外が長すぎて力尽きてる感も、実際テーマを補完する、シナリオの流れの中での必要性は確保されている感はあるけれど、純粋にノブチナのHシーンすんごい可愛いからもっと見たかったのは正直なところ。
 この人は本当に、どんなヒロインらしくないヒロインでも、ちゃんと個性に合わせた可愛げを引き出してくるところも大したものだって思いますし、だけどその愛がボインに偏重してるのはロリスキーとしてはぐぬるところであるのですハイ(笑)。

 ともあれ、総合的な水準も高く、前作プレイして今回に期待した部分はかなり綿密にクリアされていて、かつより先鋭的、実験的な恋人の在り方と、家族の絆の普遍的な温かみ、かけがえのなさを両立させてきたのは中々の力技で、大したものだなぁって素直に思います。
 そういう思想面が常に前にある分、物語の構成としてはそちらに寄り添わせて、結果的にその経緯に無頓着だったり、荒唐無稽だったりと、理路の面で納得しにくいところが常に付きまとうのは確かですが、今回も前作同様に、その不備を圧倒的な情緒面の説得性で補えている、稀有な作品の続編として相応しい内容に仕上がっていたと思いますね。



キャラ(20/20)

★全体評価

 非常にめんどかったり、癖のあるキャラが多い、というかそれしかいないといっても過言ではない(田中ちゃんレベルでもちょっと変なとこはあるもんね)作品ですが、その強烈過ぎる個性のぶつかり合いの中でも、しっかりバランスが取れていて誰しもが存在感を失わないのが凄みだなぁと思います。
 純粋に生々しい精神性をかなりえげつなく繰り出してくる分、重かったり苦しかったりもするけれど、その反面としてのヒロインの輝き、魅力を引き出すのも上手ですし、今回は欠落(忘却)からの脱却、という中での成長譚としてもより明確に色づけられており、キャラの印象度では文句なく素晴らしかったと言えそうです。

★NO,1!イチオシ!

 本当はここは新規ヒロインを挙げるべきシーンですけど、でも、でもね、私は敢えて言おう、やはりノラとと全体のメインヒロインはパトリシアなんだと!今回も絶妙にパト可愛いよパトで台満足でした。

 丁度1もサラッとやり直したのでその辺も踏まえて考えた時に、元々パトが地上に、生に対する興味を顕現させる最大のきっかけになったのがノラの眷属化と、その時に心中に芽生えた自覚のない小さな恋の花、という面は揺るがないので、その意味でこの作品は立ち位置的にパトには哀愁が付きまとう、というのはあります。
 けれどあくまでも恬淡と、自分の歩むべき道を邁進した上で、仲間の気持ちを純粋に受け止め、それが満たされるように物語ることでそっと後押しする健気ポジションでもあり、どのルートでもはっきりと存在感を示して、自分がノラに対する責任を放擲して、託すに足る相手かを見極めている面もあり、そのひねたところのない志操、誠実清廉な人柄とへこたれない強さも含め、実にパトらしくて大満足でしたね。

★NO,2〜

 新規ヒロインではやっぱりシナリオ補正もあってノブチナの株が一番上がったかなぁと。
 それまでは軽妙でどこか超然としていたノブチナが、このルートでは生々しい家族との関係に向き合って、その心底に押し込めた心情を赤裸々に吐露していく様が本当に魅力的でしたし、そういう変転を経た上での、元々気を許した仲ならではの恋愛模様の味わい深さ、愛らしさも含めて満足しました。

 当然ユウラシアも可愛かったですが、この子の場合はシナリオ面でそこまで1の時から膨らむ部分も少なかったですし、存分にらしさを振り撒いて愛嬌たっぷりで可愛い、という率直な想い以上に思い入れるなにか、まではなかったかなと。

 アイリスも非常に豪快でありつつも、その奥には繊細な心象を隠し持って、そのアンバランスさがほっとけない可愛さ、というのを明確に打ち出せていましたし、基本的に前向きでノリが良く、熱演も含めて非常に印象的な子ではありましたね。ノエルとのコンビも面白かったですし。
 ルーシアはヒロインとしてはめんどくさ&重すぎでアレですけれど、その生き様含めて共感できるところは多いし印象には残りますよね。

 そしてヤンキーと田中ちゃんはこのまま幸せになれるのだろうかっ?
 あと1の時のめんどくさ筆頭の未知が露骨に遠ざけられてて笑った。。。


CG(17/20)

★全体評価

 ボリュームとしては文句ないところですが、元々そこまで好みの絵柄ではないのと、基本的にボインが乱居する世界ですからね、その辺の好き好きは明確に出る部分じゃないかと思います。
 今回はシナリオ面での補助的な意味でもより効果的に一枚絵を投入している部分もあり、力は入っていると思いますけれど、純粋な好みを超越してまで加点するほどの威力はなかったのでここで、ですかね。

★立ち絵

 新規はアイリスとノエルくらいですし、服飾などもその二人を除けば1のものを踏襲しているので、評価としては控えめにはなりますかね。
 アイリスの正面向きは可愛いですし、私服と水着も素敵です。ノエルのスーツも好き。

★1枚絵

 通常CGとSD、アイキャッチや小物系などごった煮で登録されているのでわかりにくいですが、全体での登録数は150枚超え、通常だけでも100枚は超えているので、値段を踏まえても水準は楽にクリアしてきているのかなと思います。
 ただ絵そのものの安定感はそこまででもないというか、むしろこういう危うさも含めてこの作品らしさって気もするし、悲壮や号泣など、感情を揺さぶる絵もかなり多かったとは思いますけど、それでも特に、とピックアップするほど心に刺さったのはなかったですかね。


BGM(19/20)

★全体評価

 情緒面を下支えする音楽面は続編でありつつほぼ一新、1の時もすごくポリューミーでしたが今回も同様に素晴らしい分量、かつカテゴリ的に非常に多彩な音楽性を組み込む挑戦的な部分も色濃く、仕上がりも安定て高いので中々の見事さでしたね。
 あと日記で挿入歌聴けないじゃん、とかくさしてたけどあれ勘違いでしたごめんなさい。主題歌以外はちゃんと収録されてますね。

★ボーカル曲

 全部で6曲と実に豪華。ただ挿入歌はそれぞれ1回しか出てこないし、どこで流れたかはっきりしないけど。。。

 さしあたりOPの『クライングハート』は名曲。1のOPとイメージを似せて紡ぎつつ、あれ以上にしっかりテーマ性と奥行きを明確にした感じで、かつポップでスピーディーで活き活きとしているのが、このシリーズ作品のOPとして相応しい出来になっていると思います。
 特にサビの後半が好みですね。

 挿入歌では、『Sky Baby』『桜色に染まる坂道』『笹鳴雨』が好みですね。特に笹鳴雨、まさかエロゲでここまでドストレートな演歌を突っ込んでくるとは、って驚きと、でもその浪花節的世界観がちゃんとシナリオにマッチしているところがやっぱり卓越してるなぁと思わせるところです。

★BGM

 新規だけで54曲と素晴らしいボリュームであり、遊び心も含めて非常に多彩なつくりになっていて、かつ1の曲も要所ではしっかり使って物語を引き締めており、全体像としてはほぼ文句ないつくりですね。
 ただひとつひとつの出来としては、完成度高いけど突き抜けて素晴らしい、とまで言えるのはそこまでなくて、強いて言えば『囃子』『蛍雪』あたりがいいなって思いますけど、このシリーズで一番好きなのはやっぱり『月のワルツ』絡みかなぁと思います。


システム(9/10)

★演出

 ここは前作よりレベルアップしている感じで、要所での動きやアニメーションの投入、キャラの動かし方の自由度の拡げ方なども含めて、やはりここは少しずつでも進化を組み込んでいく気概を持ったメーカーなんだよなぁ、と思わせるに足るだけの変化はあったと思います。
 まあそれでも全体的に抜群、とまで言えるかは微妙な線ですけれど、見た目から楽しい、ってのとシナリオのコミカルさがしっかり連動しているのは流石でしたね。
 ムービーは1の方がイメージ的には好きですけど、曲や季節感のイメージ共々綺麗にまとまっていて悪くないと思います。

★システム

 こちらも必要なものはほぼ揃っていますし、特別ななにか、ってのはないですけれど無難に使いやすいですし特に文句はないですかね。


総合(89/100)
 
 総プレイ時間23時間。共通が4時間、個別はユウラシアだけ3時間くらいで後の3人は5時間弱、エクストラ回収で1,5〜2時間くらいの勘定になりますね。
 続編であるだけにしっかり尺も通常の新作レベルか、それ以上のものがありますし、質的にも安定して高く、1の時ほど胸糞悪い展開は控えめに、かつ取り捨てたものを改めて拾い上げるような繊細で贅沢なつくりになっていて、正統進化、という言葉を率直に当て嵌めていい出来だったと思います。

 まあこれはこれで相変わらず独特の癖や思想性の偏りはありますし、ヒロインの贔屓度とか力の入れようなども含めて好き嫌いが出やすい要素は多く、また構成面にもサラッと流すと気付かない程度にさりげなくながら、結構朝鮮的な味付けがされていると思うので、読み手のスタンス、解釈によって大分反響の違う作品にはなってるんじゃないかなって感じます。
 個人的には読み解き甲斐もあり、非常に楽しい作品でしたし、特にパトが期待以上に出ずっぱりで活躍してくれた感があるのでかなり満足していますし、1が好きならより楽しめる作品には仕上がっていると思います。
posted by クローバー at 04:46| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月11日

ヤミと祝祭のサンクチュアリ

 基本的にこういう伝奇ものは好きですし、体験版もそこそこ面白く、悠里とノアが大変に可愛かったのでこれは買っておこう、と。

シナリオ(20/30)

 神の手が奔放過ぎて。

★あらすじ

 主人公は、人ならざる者と対峙するために磨き上げられてきた一子相伝の古武術・出雲流の正統な継承者。
 幼い頃に怪異に襲われているところを助けた縁で仲良くなった、この国きっての財閥の娘・亜梨栖に頼まれて、新座島という離島にある訳アリの学園・神薙学園に従者として編入学する事になり、はじめて地元を離れての生活が始まります。

 亜梨栖が主人公を必要としたのは、かつて亜梨栖の姉がこの島で失踪していて、けれどそれを家の者が誰も問題視しないため、自らの手でその謎を解こうと思ったためで、すなわち向かう場所の全ては敵、くらいの気持ちで、知り得る限り一番信頼が置ける相手に護衛を選んだのです。
 かくしてはじまった島の生活、亜梨栖の友人の悠里との再会や、同じく大きな財閥の娘であるユーリエやクローデットとの出会い、その出会い頭の衝突などでややいざこざはあったものの、思ったほどに明確な妨害や悪意は感じ取れず、むしろそれ以上に不穏だったのは、この島には主人公の本領たる怪異が夜な夜な跋扈している、という事でした。

 最初は人災を頭に置いていた亜梨栖も、この島の不思議さを目の当たりにするにつけ、様々な可能性を模索するようになって、最初は二人きりで進めるつもりだった島の探索などにも誰かの手を借りることを良しとして。
 その選択によってより特定のヒロインと親しさが増していき、けれどその行動が契機となって新たな火種や不穏も発生していく事になります。

 果たして彼らは無事にこの島の謎を解き明かし、いつもの日常に戻ることが出来るのか?
 育んだ新たな絆の先には、どんな未来が待ち構えているのか?
 これは、主人公がこの島で改めて人らしい情緒と愛を学びつつ、様々な形で巣食う島の闇を暴き、健やかな未来への道を切り拓いていく、愛と勇気と信念の物語です。

★テキスト

 全体的にフラットで淡々としていつつ、しっかり密度の高い情報の詰まったこなれたテキストですね。
 かなり島の特異性に対する説明が土台に必要となる中でも、それを上手く会話の流れや状況そのものに散りばめ、決してくどくならないようなテンポを意識している感じで、文章自体も平易で読みやすく仕上げているのでサクサク進められますね。

 裏返して特別な情緒や雅飾があるわけでなく、読み口そのもので心に響く、なんてところはそんなにないのですけれど、総じて丁寧にまとまったいい出来だと思います。

★ルート構成

 基本的には共に歩みたいヒロインを積極的に選んでいけば、というイメージです。
 正直亜梨栖はロックキャラなのかな?と思ったけれど多分そうではなく、基本的に相互間での致命的なネタバレは控えめのつくりになっていますし、選択肢自体も最初に2+2で分岐、そこから更に個別に分岐という、フローチャート形式を生かした枝分かれ型でわかりやすいと思います。

 加えてバッドエンド分岐や、個別でのノーマル分岐などもちらほらありますが、このあたりは後々でも簡単に回収できるつくりになっているので、そこまで気にせず進めてしまって良さそうです。
 一応亜梨栖のトゥルーが正史、的な扱いではあると思いますし、彼女を最後にした方が締まりはいいとは思いますが、無理に順番に拘る必要性はないですかね。

★シナリオ(大枠)

 基本としては、元々の目的である姉の捜索に従事しつつ、けれどその裏側にあるものが予想以上に怪奇に寄ったものであることに気付き、そこと上手く対峙するために誰かと手を組んでいく中で、少しずつ状況や情感に押し流されてベクトルがズレていく、というイメージの物語です。
 どのルートでも最終的な着地点に至る、というわけではなく、あくまでも当該ヒロインとの絆をより強固なものにするのに適切な怪異絡みの事件が起こって、その目先の解決を優先していく内に情理の部分での変化も強く起き、その二人ならではの結論に至っていく形ですので、やはり共通の流れからしっくり噛み合うのは亜梨栖ルートが一番、というのはあるでしょう。

 当然他のルートでも亜梨栖自身はその目的の達成を諦める事はないですが、結果的に見てそこに至るには主人公との二人三脚を維持し続けることが必要になっています。
 この作品の場合、各々のルートに入った時に起こる事件が、本当に二人が結びついた事と因果関係があるのか?と疑問視できる部分が結構あって、クローデットの従者の話やサキュバス封印などは他ルートでも自然に阻害されてたり、或いは発現しないイメージを持ちやすい因果が含められているとは思いますが、雪那関連とか、海坊主とか、そのあたりはその因果を図式化するのが難しい、とは思います。

 ただ結局のところ、亜梨栖ルートで開陳されるこの島の秘密に即して考えるならば、新たに育まれ始めた絆のポテンシャルを最大限に生かすにはどのような試練が必要か、という観点においての容喙、神の見えざる手が介在していると考えることは可能ですし、プラスしてバタフライエフェクト的な観念と並行させることで、ある程度そのファジーさに説得性を持たせているのだろうとは思いますね。

 そして、物語の取っ掛かりにそういう措置を施している事により、純粋に問題そのものに向き合う尺を存分に取れていることと、それに付随して主人公と該当ヒロインが少しずつゆっくりと絆を深め、関係性を変化させていくイチャラブ的な観点をもしっかり並列的に語れている、というのは利点だと感じますね。
 その意味では究極的にご都合主義とも言えますが、なまじ厄介な背景の説明やこじつけをスキップしただけ、物語として深みはありつつスッキリしたわかりやすい構図にもなっていますし、まぁこういう話ですので基本的にエロス成分は薄め、特にシナリオに則した形では、というのはご愛嬌ですが、どのルートも水準をクリアする出来を保持しているかなと感じました。

 ただ一方、そうやって全体の構成を緩やかな結合でまとめている分だけ、メインとなる亜梨栖シナリオで、その辻褄を合わせるような必要性が生まれず、結果として他ルートと尺や迫力、緊迫感の点で横並び程度になってしまっているのは肩透かし、というのもあります。
 一応他ルートを先にやっておくとこのあたりはそういう因果か、と納得できるようなイベントもありますが、ただあの鬼にせよ、悠里の覚醒にせよ、このルート単品で見た時にはなぜそれが起き得るのか、という説得性には当然欠いているし、肉付けも足りないと思えてしまうので、評価が難しいところではあります。

 やはり贅沢を言うならこのルートはロック付でもいいから、あらゆる要素を内包して、それを打破して進んでいく重厚さが欲しかったなとは思いますし、そうであればこそ、最終的な決着に至る為の神の思考の飛躍にもより納得が生まれるのではないでしょうか。
 枠組みとしてはその辺ははっきり不満ですし、よりこの二人ならでは、というものが欲しかったと思います。

★シナリオ(個別・ネタバレ)

 個別評価としては亜梨栖=悠里>ユーリエ>クローデットくらいでしょうか。
 どのシナリオも水準よりは上で丁寧にバランス良くまとまっていると思いますが、一方で突き抜けて面白い、と言える要素が足りていないのも間違いないですね。

 下からサラッと、クローデットに関しては結局終始彼女が元々抱えている柵に、怪奇要素が付随する形で巻き込まれていく、という構図ではあるので、正直あの好き好き攻勢に押し負けて情に流された結果として面倒事に巻き込まれた話、というイメージは強いです。。。
 エリスの逆恨みと能力の発現なんかはまず典型的なところですし、その後の最初に海に沈んでいったアレックスの鬼化なども含めて、基本的にはクローデット側の内在要因が、この島の神秘と結びついて牙を剥いた話ではあり、けれどその責任にしっかり向き合って対峙するクローデットというヒロインの魅力を引き立てるのには確かに有用だったのだろうとは感じます。

 また、エリスの姉が神のインターフェース的な存在だったことも含めて、いつどの時点からそういう関係性が刷り込まれていたのか、というのもあり、それはやはり一度はクローデットが課外授業でA評価に至ったことが起因しているのかな、と思います。
 亜梨栖ルートでも出てきたように、その評価を獲得した上で最終的なテスト、あの発信機の存在に自力で辿り着けるか否かが、そのポテンシャルを、神の介在なしに人がやっていける、と認める分水嶺だとするならば、その時点では一度失格してしまった、けれど可能性はあるから見届け人をすぐ近くに置いておこう、くらいのイメージでいい気がします。

 だから身も蓋もない事を言えば、クローデットに関しては主人公と結びつくことによるプラス面よりも、しっかり派閥を強固にしてその力を存分に奮う方が、社会的な影響力は大きかったんだろうなと、その意味でもクローデットが主人公に傾倒する事で派閥に不協和音が発する事とリンクしている、そんな感じはするシナリオです。
 無論これはこれで面白かったですし、クローデットも気高くも可愛らしくて良かったですが、大枠としてはそういう外れ籤的な側面もあったのかな、と思わせますね。
 そして私エリスを攻略したいんですけど、分岐選択肢パッチはまだですか?

 ユーリエに関しては、元々の彼女の目的が、その血の純粋性というか、強固さを保持するために、怪奇的な方面に理解があり、あわよくばそれを色濃く自身の血にも体現している存在を見つけ出して結びつく事、にあるので、その点で彼女の本領がどこにあるのか、というのは曖昧なイメージになっています。
 このルートの場合なんでここでだけ雪那の盗難イベントが起きるのか、という因果が、上で触れた神の悪戯意外に説明し辛いのが難点ではありますし、その経緯が二人の結びつきを強くしてくれたのも事実ですけれど、そもそもユーリエの家やユーリエ自身がやや内向きな観念を抱いている点も含めて、最初から最大級の影響力を奮える地平に至る筋道はなかったのかも、と思いますね。
 クローデットは恋する事でかえってこの可能性を閉ざしてしまったけれど、ユーリエの場合は、或いはいずれよりこういう怪異に理解のある人材を糾合して、という方向性でなら有り得たのかもしれないですけれど、少なくともこの島で紡げる絆の最大値は見劣っていたと考えます。

 まあそういう下地はともかくとして、そもそもの主人公に対する試しや、それを契機にしての接近、雪那の体質を何とかするために奔走する状況との合わせ技で、ユーリエの謎やその心根をあらわにしていく流れ自体は面白かったですし、危機の解決法としても荒唐無稽さはあれど、この二人ならでは、という意思がしっかり滲んでいて悪くはなかったですね。
 そして私雪那を攻略したいんですけど以下略(笑)。

 悠里に関しては、他三人よりは家柄もそこまでではなく、本人の気質的にも多くの人を束ねて影響力を行使する、なんていうのは土台無理な話ですので、この島が本当に求めている人材の輩出レース、という観点では最初から土俵に乗っていないと見做すことも出来ます。
 それは悠里の両親が、彼女の家に伝わる真の力を未だ秘密にしている事も含めて、少なくとも現状ではどうにもならない部分だったと思いますし、ただそれでもああいう形で島が危機を迎える中で、そのポテンシャルを最大限に発揮する機会を与えられ、それに応えたという意味では、成長度合いとしては一番だったかもしれません。

 またこのルートは亜梨栖&悠里分岐からの派生でもあるので、より本来の目的に近しい流れを汲んではいて、結果的に主人公の気持ちが悠里に傾倒する事で、それに感応する形でああいうサキュバス的な存在が解き放たれる事となった(或いはここは、先生が結局落とし物を見つけられずに、という可能性もユーリエルートで示唆されていましたが、それだと他ルートとの辻褄が難しくなるので、ここも神の手扱いにしておいた方が通りがいいです)、その筋道と互いを意識していく過程の丁寧さは一番良かったと思います。
 まぁ私が悠里を断然好きなので、そのあたり甘く見積もっているきらいはありますが、亜梨栖ルートでは拍子抜けなくらいあっさり顕現する神弓、破邪の力への到達のプロセスも含めて丹念な構成でしたし、イチャラブの素敵さも含めて高く評価したい話ですね。
 そしてノアちゃん以下略。。。いやあの子は一応ノーマル扱いでシーンあるけどさ、流石に足りんよ!基本的にこの作品、ロリ成分が不足してるし、ロリヒロインが不遇だよ!

 亜梨栖に関しては、基本的に他者の力を出来る限り借りずに二人だけでなんとかしよう、という意思の発現が、結果的に分水嶺を超える評価を得る事に繋がっていきますし、枠組みとして見るなら納得は出来ます。
 ただ理路としてならともかく、感情面でこの二人の結びつきはそれだけ特別なんだ、と納得させられるだけの重さがあったか、というと、流石にあの海坊主イベントからの会長の暗躍に至る流れだけでは不十分には思えましたし、また他ルートの伏線を軽く開示して特にその背景面を顧慮しないのも、あまり上手いやり方ではなかった気もします。

 無論オモイカネという神の在り方や、その思想の着地点に関しても大分ファジーなものはありますし、結局静がその巫女として見込まれて、基本的な人格を抑え込まれてああいう役割を果たしていることに際しても、なぜそれに実家が沈黙を保ったのかとか、政治的な側面での謎は完全に払拭されていなかったりと、一応の解決はしているのだけどスッキリしないものも残る話になっています。
 そりゃあトゥルーと言える話なので盛り上がりはしっかりありますが、これも上で触れたように、ルートロックしてでももう少し重々しく、それぞれのルートの特質や、各ヒロインのポテンシャルを引き出すのに一悶着や、なんらかの明確なアクションを用意して積み上げていけばより良かった、とは思ってしまいますし、その点で評価は辛口になってしまうな、というところですね。

 以上、総合的に見て怪奇譚としての面白さと、イチャラブイベントとのバランスを上手く取れている、そつなく面白い作品ではあると思いますが、シナリオゲー、として見た時にはもう一歩整合性の面での甘さ、トゥルーエンドの奥行きの足りなさが目立つ中途半端な内容だったとも思えます。
 なので点数としてもちょっと迷いましたが、他の要素と噛み合わせてもAクラスにはちょっとだけ足りないかなぁ、という所で、少し辛いかもしれないですけどこの点数にする事にしました。
 まあ個人的には悠里ルートの悠里の可愛さを超堪能できただけで比較的満足はしているんですけどね(笑)。



キャラ(20/20)

★全体評価

 シナリオの工夫によって、この手の作品にしてはかなりしっかりキャラ性に向き合う尺と、それによる成長要素をしっかり書けている、という印象はあって、無論それでも足りない面はありますけれど、特に割り引いて考えるほどの部分はそんなにないかな、って感じです。
 勿論厄介なキャラや敵役もぞろぞろいますが、一応純粋な悪という割り振りではなく、それぞれの信念をもって、という点は明快ですし、それでも相容れない以上は対立するしかない、という構造面も含めて、キャラのイメージは強く植え付けられやすい仕上がりだったのではないでしょうか。

★NO,1!イチオシ!

 いやもうこれは断然悠里ですねぇ。体験版時点でヒロインでは一番期待していましたけれど、ここまで純朴で愛らしくて素直で献身的な子だとは、と、思わぬ拾い物をした気分です。
 流石に殿堂ラインに乗るか、というと甘すぎるかなとも思うのですが、基本的に朗らかで常識人で、女の子らしい恥じらいを常に持っていて、他のヒロインがなまじ無駄に露出過多だったりもするから、余計にその清楚さが引き立つというか、本当になにもかも好きで好きで仕方ないですわ。
 この子の場合はトランジスタグラマーなところも、その清楚さとは裏腹に、っていいアクセントになっていると思いますし、個別でのこそばゆく青々しいイチャラブも最高に可愛くて、この子に出会えただけでもこの作品をプレイした甲斐はある、と断言できますね。

★NO,2〜

 一応次は亜梨栖にはなるでしょうか。
 基本的に冷静沈着で目的の為なら手段を択ばないような怜悧な面もあるけれど、その分一度心を預けた相手に対してはとことん真っ直ぐで率直だし、メインヒロインらしい風格、意思の強さ、それでいてしっかり可愛げも併せ持っているので、その点では申し分なかったのかなと思います。
 まあ個人的にはこういう自立性の強いヒロインよりは、悠里みたいな護ってあげたい感じが強い子の方が、ってのはありますけれど、どのルートでも当然のように活躍してきますし印象深いキャラではありました。

 ユーリエも一応腹に一物、という部分はありつつ、それでも本質的には善良でお節介で、見た目通りに朗らかで柔らかく、楚々とした姫君、ってイメージが色濃くて可愛かったですね。
 クローデットもそれとはベクトルの違う、ナチュラルに高飛車だけどそれが愛嬌になっているお姫様ってところで、一心に慕ってきつつ、でも水面下で手練手管を駆使するあたりのしたたかさも含めていい味を出していました。

 後は本当に、ノアや雪那、エリスあたりのロリっ子軍団とイチャエロする展開があればなぁー(しつこい)。
 まぁ構造上、特に後者二人は出会いのタイミング的にも難しいとは思いますが、ノアはその後のアフター的なイチャエロがあってもいいと思うの。。。
 そして会長は最後まで胡散臭いままで面白かったですね。


CG(16/20)

★全体評価

 これはこれで光るものがある、とは思うのですが、本質的な絵柄のイメージや出来としてはあまり好みでもなく評価もしづらく、質はともかく量の面でももう一歩なのでここまでかな、というところです。

★立ち絵

 ポーズはヒロインで2種、サブで1種に腕差分など、という感じで、そこまで多くはないですが、一応それぞれの個性・性格が明瞭に反映されたものにはなっていて可愛いと思います。
 特に悠里の横向きと、ユーリエの頬手当、雪那正面が好きですかね。

 服飾はヒロインで2〜3種類と、必要最低限という感じなのはちょっと残念なところ。せめて水着の立ち絵くらいは実装しておくれ、と思ったね。
 お気に入りは悠里制服、私服、ユーリエ制服、亜梨栖私服ってとこでしょうか。

 表情差分もそれなりに遊びもあって幅は広いものの、そこまで質も量的にも、というのはあるし、こちらも個性に合わせていて画一化していないのだけはいい点ですけどね。
 お気に入りは悠里笑顔、苦笑、照れ焦り、不満、亜梨栖笑顔、怒り、ユーリエキラキラ、睨み、クローデット得意げ、ノア笑顔あたりでしょうか。

★1枚絵

 通常が70枚、SDが14枚で計84枚ですね。
 流石に若干通常絵が少なめかなぁ、とは思いますし、全体の質もある程度安定はしていますが実に綺麗、とまでは言えず、この絵柄ならではの独特の味わいはあっても、という所ですね。
 ただこれ、SDがすごく愛らしいのはあって、色々なSD絵もありますけど歴代でもトップクラスにここは好きかも、ってくらいです。特に悠里が可愛くて可愛くて。。。


BGM(20/20)

★全体評価

 この作品の白眉と言えるのは実は音楽面ではないかと思っていて、本当にボーカル、BGMともに荘厳で神秘的で奥行きのある素晴らしいものが用意されています。
 量的にも水準には達していますし、本当にBGMが素晴らしい出来なので、少し甘いかもしれないですけど満点をつけちゃいました。

★ボーカル曲

 全部で2曲。
 OPの『運命の刻』は、出だしの神秘的なコーラスからの、しっとりした雰囲気でのAメロ、そこから徐々に盛り上がっていく流れも含めて曲としての総合的な完成度が高く、ボーカルの声質ともマッチしてかなりいい曲ですね。サビの後半が特に好きです。

 挿入歌の『Coin』も、非常に透明感と抒情感溢れる、グランドエピローグを彩るに相応しい壮麗なスローバラードで、Bメロ後半からサビにかけての伸びやかさは本当に心に染み入るような旋律で素晴らしいと思いますね。

★BGM

 全部で30曲と量的にも水準はクリアしていて、そして基本的にどれもが重厚なイメージの弦楽器をベースに置いての、じっくりゆったり丹念に聴かせるイメージの曲ばかりで、この閉塞的な印象もある島の土壌、その中で気高く歩むヒロイン達の在り方にピッタリマッチしてくる見事な出来だったと思います。

 特にお気に入りは『凛然とした横顔』『親愛をあなたに』『艶色』『最後に残されたもの』『乗り越えた先に』『折れない心と、断てない絆』『蒼海のエデン』あたり、どれも素晴らしい出来でしたね。というか、Hシーンにこの艶色はあでやかにすぎないか、と思ったりも。。。


システム(8/10)

★演出

 目立っていいところもなかったですが、一応立ち絵も最低限は動くし、バトルシーンの演出も派手さはないもののそこそこ、重要なシーンでの情感演出もしっかり出来ていて、水準には達している出来だと思います。
 ムービーも作風に噛み合った色使いと、幽玄の気配を強く漂わせていて完成度は高いですし、悪くはないですね。

★システム

 やっぱりフローチャートは便利だなぁ、ってのはありますね。今回はチャートからショートカットも容易い、という事で基本セーブ要らずでもありますし。
 それ以外の部分も必要最低限は完備していますし、特にこれといって言及するところもなかったです、というかそろそろこの項目って必要なのかな、あまりに酷いシステムとか、逆に飛び抜けてすごいシステムって滅多に見かけなくなってきたし。。。


総合(84/100)

 総プレイ時間20時間。共通が2+2分岐後分も含めて4時間ちょい、個別もそれぞれ関連のフラグメントまで含めて4時間弱くらいで、後はノーマル分岐とか選択肢回収などでちょいちょいと、というイメージですね。
 それなり以上に個別はしっかり尺を割いて、怪奇譚とイチャラブをバランス良く並列させて楽しませてくれますし、シナリオもやや駆け足な部分はあるにせよ、大元の設定を踏まえてしまえば理解は出来るので悪くはないでしょう。
 ただ一方で、図抜けて素晴らしいと言えるほどのシナリオ、特に亜梨栖は立ち位置的にもそうなって不思議ないのに、という点でやや不満はありますし、ヒロインもボイン専任なのでそこも好き嫌いは出てくるかなと思います。

 手放しでほめられるのはやはり音楽面ですが、そこをメインに買うって人も少ないでしょうし、私個人としてはそれなりに満足できた内容ですけれど、いざ人様にお勧めできる汎用性の高さはあるか、といわれると多少微妙かもしれません。
 少なくともノア目当てだとガッカリしますし(笑)、ただ一人でもお気に入りのヒロインがいるなら損はしないんじゃないかな、とは思いますかね。
posted by クローバー at 04:48| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月07日

忘却執事と恋するお嬢様の回想録

 この低価格路線のシリーズははじめてなんですけれど、絵とヒロインのキャラデザが今回はストライクで、体験版も悪くなかったのでこっそり購入。

シナリオ(17/30)

 情緒的には面白い。

★あらすじ

 主人公は幼い頃に両親を亡くし、かつ大病の影響でそれ以前の記憶がほとんどないという苦労人。
 育ての親の祖父母が亡くなってからは天涯孤独の身で、それでもいつかのぼんやりとした約束の記憶と、そのキーアイテムであるに違いない巻き螺子を心の支えに頑張ってきました。

 ある日ほんの気紛れから学園の屋上に出た主人公は、そこに居合わせた高貴な雰囲気の少女が、懐中時計を見つめながら涙している所に遭遇します。
 その時は声をかける程度しか出来ず、でもどこかその姿に引っ掛かるものを覚えますが、その後の主人公はそれどころではなくなります。

 なんと、働いていたバイト先が給料未配のまま潰れ、そのせいで滞納していた家賃が払えなくなり、仕事場と棲み処をいっぺんに失ってしまうのです。
 途方に暮れる中、主人公は怪我をして彷徨っている一匹の犬を見つけ、生来の心優しさを発揮して手当てし、タグについている住所まで導いてあげます。
 するとそこは見たこともないような大きな屋敷で、そしてそこの実質的な主人が、この前屋上で出会った少女・雛乃でした。

 愛犬を助けてくれたお礼にと食事に招待され、その席で今の身の上を漏らしたところ泊っていってもいい、と言われて。
 その好意に感謝しつつも気後れが止まない中、夜半、主人公は雛乃に連れられて満天の星空が見られるバルコニーに連れていかれます。
 そこで改めて詳しい境遇を問われ、そしてそこで雛乃から、行く当てがないなら自分の執事にならないか、と持ち掛けられるのです。

 それは雛乃にとっては、様々な家柄がもちらす軋轢を避けるための手段でもあり、またかつての記憶のよすがでもありました。
 主人公もまた、どこか彼女には親近感を覚えていたこともあり、その申し出を有難く受け入れて、執事としての日々をスタートさせることになります。

 慣れないながらも懸命に執事として頑張っていく中で、主人公は雛乃が置かれている立場の苦しさや不自由さ、そしてその狭間から見え隠れする本当の雛乃の気持ちに触れていって。
 果たして彼らはかつての運命に導かれた間柄だったのか?
 主人公は彼女が背負っている重荷を解き放ち、心のままに生きるよう導けるのか?

 これは様々な想いが錯綜する中での、一心な想いと家族の絆を綴った物語です。

★テキスト

 比較的特色のないシンプルなテキストかな、と思います。
 その意味で読みやすくはあるんですが、やや語彙のチョイスや言い回しに野暮ったさや軽快さが足りず、ベタっとした雰囲気にはなっていて、丁寧だけど読み口だけで惹き込んでいく魅力にはちょっと欠けるかな、というイメージですね。
 ただ全体的にはきちんと勘所も押さえているし、ヒロイン視点多用という狡さもあるにせよ、概ね感情的な面での変遷はしっかり筋道に沿って仕上がっているので、悪くはないでしょうか。

★ルート構成

 選択肢なしの一本道です。
 本編をクリアした後にアフターストーリーが解放され、シリアス目な展開とイチャラブがはっきり区分化されたわかりやすいつくりになっています。

★シナリオ

 家柄に縛られ、籠の鳥になっている少女を愛の力で救い出す、という、極めて王道的なつくりではあります。
 かつ展開に奇を衒った部分は少なく、序盤から予告されている二人のかつての関係性や想いを、改めて日常を積み重ねることで募らせ、そして自由が今にも奪われる、という危機的な状況の中で本当の気持ちに向き合っていくというシンプルな構図になっています。

 特に雛乃の側の葛藤に多少複雑な仕込みをしてはいますが、でもその結果としてずっと雛乃が家の為、と気負ってきたものが、本当はさの護りたい者達にとって望ましいものではなかった、という気付きに至るまでの経緯がそれなりに情緒面では面白く紡がれています。
 かつ最後も、しっかり何も失われない形での大団円であり、悪役側の下種い思惑をしっかり挫く、という胸のすく構成にはなっているので、短い中でもメリハリはついて悪くない、とは思います。

 ただ情緒的にはともかく、理路の面ではかなりおざなりなのは気にかかります。
 やはり一番のネックになるのは遺言状の有様で、その相手を尊敬しているだけにその判断を尊重せざるを得ない、というのも、大時代的ではありますがまぁわかります。
 でもそれは、その遺言自体がどれだけ厳格に正当性を持っているか、という面でのフォローはあって然るべきで、最後のどんでん返しにおいて、ああいう形で突然に世に現れたものに対し、特に悪役の側がその正当性を疑って追及する、という姿勢が全くないというのはリアリティに欠けるとは言えるでしょう。

 そもそも、あんな場所に、ひょっとしたら見つからなくなるかもしれないのに(実際にそうなっていた)、大切な孫娘の未来を左右するものを潜めておく、という了見がおかしいですよね。
 まず言えるのは最初の遺言、かつてまだこの家が今ほど隆盛していなかった時点での遺言、というのも、時系列的に父親の恋愛結婚のどさくさ、雛乃が生まれるちょっと前、って事にはなりますし、それから10年余りでその頽勢を覆すことが出来たのか、ってのは疑問です。
 少なくともこの祖父の思惑としては、すぐ次の誕生日時点では開陳していい、って判断なのでしょうし、無論分家の言いなりになる情けなさから奮起して頑張った、とも言えますけれど、そこに確固たる理由づけがなにもないのは問題です。せめてこれこれの分野で確固たる立場を築いて、大きく飛躍したんだくらいの説明は必要でしょう。

 しかも雛乃の父親はビジネス面ではボンクラ扱いですし、そこに引き継がれて益々グループが繁栄する、なんてのも眉唾ではあります。
 と言って手術直後の幼い時分から雛乃が実権を握っていたというのも無茶すぎる話でしょう。力関係が分家と逆転するくらいの隆盛をどのタイミングで築いたのか、色々な意味で非常に胡散臭い時系列にはなります。
 
 故に基本的にこのあたりの構図は、最後のシーンの家族愛を強調するためのアイデアを正当化するために無理やりこじつけたつくりなのは間違いなく、もうちょっとまともな配慮があれば不自然さに気が付いて然るべきだったとは思いますね。
 それに当然ながら、正統的な遺言書の遺し方の流儀からも逸脱したところは説得性を大きく毀損していますし、大体それで孫娘をサプライズで喜ばせたかったのかもしれないですけど、元々の婚約云々の話すら知らないところに突然そんなものが出てきても???でしょうに、と、大元の祖父のやり口が頭おかしいのは間違いないです。

 それが不器用な家族愛、と見做せるならそうかもですし、情緒面ではまぁ、とは言えますけど、いくらロープライスとはいえ最低限の理路の下支えは意識しようよ、となります。
 しかもアフターの冒頭で、遺言書焚書未遂事件とか、全く本編では影も形もなかった展開まで捏造して無理矢理後顧の憂いを絶っていますし、でもそのくらい書こうと思えばいくらでも書けたでしょうになんでわざわざ矛盾を作るかな、とは思いますね。

 そういう部分で感心しない作品でしたが、少なくとも雛乃の凍り付いた心を溶かし、愛の力でメロメロにしていく過程や、その先の微笑ましい交流風景、仲睦まじさはそれなりに楽しめましたし、総合的に見てまぁこんなもんかな、と納得できるくらいの水準ではあったと思います。


キャラ(20/20)

★全体評価など

 基本的には雛乃ゲーですし、彼女の境遇と葛藤の有様はそれなりに生きざまに密接したものであって、けれどあまり意固地に過ぎず、少女らしい可愛らしさが少しずつ花開いていく、その過程をしっかり追いかけていたのは良かったなと思います。
 主人公の誠実さも含めて基本的には気持ちいい造型ですし、敵役のあからさまな小物ぶりはともかくとしても、まあ無碍に割り引くほどではないと感じますね。

 それにしても雛乃の、庶民生活体験でのどんよりっぷりは可愛かったです。。。


CG(18/20)

★全体評価など

 元々好みの絵柄に近い部分はありますし、雛乃のキャラデザがドンピシャなのもあって評価は甘めです。

 立ち絵はポーズも雛乃らしく、服飾もフリフリでお嬢様らしい気品と愛らしさがしっかり出ており、表情も存外感情豊かでコミカルで愛らしく仕上がっていて良かったですね。
 1枚絵は全部で25枚とまあ値段相応、やや安定感の面で怪しいところはありましたけれど、基本的にはすごく美麗で可愛いですし満足です。

 特にはじめてのバックのシーンの絵と、その後の添い寝は抜群に可愛いと思います。


BGM(16/20)

★全体評価など

 回想がないのでなんとも言えませんが、OPは爽やかで健やかで、二人の運命的な道筋を煌かせる雰囲気が漂う悪くない仕上がりです。

 BGMもノーブルな雰囲気をしっかり補完する堅調な出来だったと思いますし、水準には達してるでしょう。


システム(8/10)

★演出など

 概ね水準レベルのものは用意されていますし、ムービーもそつなく組み上がっていて特に不満はないですかね。無論際立ってどうこう、ってのもないですけれど。

 システムも必要なものは概ね揃っていますかね。フォントが変えられないのは個人的にはちょい気になりますけど。
 あと初期の音声設定が小さ過ぎじゃないです?まあ調整すれば済む話ですけれど。


総合(79/100)

 総プレイ時間4時間ちょっと。本編が3時間でアフターが1時間ちょっとって感じですね。
 ロープライスとはいえ正直かなり短いです。昨日からはじめてもうこれを書けている時点でお察しでもあります。
 加えて物語の筋道自体は王道的ですし、綺麗にまとまっていて情味の面では悪くないですけれど、それをより説得的に見せる為の工夫がかなり壊滅的ではあり、もっと色々肉付けする余地は見え隠れしているので、その点でも不満は付き纏いますね。

 ただ雛乃というヒロイン自体は非常に可愛く素敵でしたし、そこに目当てを置くなら大きくコケるほどではないでしょう。
posted by クローバー at 12:33| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月02日

もののあはれは彩の頃。

 体験版がそこそこ面白く、全体の枠組みがどんなものか気になったし、琥珀が大変にかわゆかったので購入。

シナリオ(19/30)

 救いは確かにあるけれど。

★あらすじ

 主人公は、目覚めると賽の河原に立っていました。
 なぜ自分がここにいるのか、これからなにをすればいいのか、わからない事が多々ある中で、いきなりサイコロを握らされて自身を駒としての双六に興じることになり、様々な不満と不安を抱えつつ、自らの中で「常識」として確立したそのルールに従って、他のプレイヤーと時に協力、時に敵対しながら上がりを目指す事となります。

 盤の駒として選ばれたのは9人の年若い男女。
 裏表を感じさせず、基本的に親切で協力的なみさきや琥珀、最初から主人公に対する敵愾心を隠さない京楓や縁、友好的ではあるけれど底が知れないクレアや黎、ルールに則って粛々とゲームを進めようとする大嗣や、得体が知れず胡散臭いカラスなど、多士済々のメンバーによって、京の街を舞台にした、自己存在をかけての勝負が数多繰り広げられて。
 その中で主人公は時に不思議な、この世界の「常識」が通用しない別の世界の一端を垣間見ることとなり、その謎をゲームの勝利と並行して探っていく事で、この世界の謎と、本当の意味での上がりを見出し、それを達成するために他のキャラを説得して仲間に加えていく事に。

 果たして彼らがこの場所にと囚われている理由は何なのか?
 その先に待つ未来は、いかなるものなのか?
 そして、この世界で紡いだ絆は、正しくあるべき世界に引き継がれていくのか?

 運命の全ては賽の目に――――これは命を懸けた遊戯の中で、深い信頼と絆を育んでいく、信念と覚悟の物語です。

★テキスト

 舞台が古都・京都という事もあり、作風からもわかる通り非常に和テイストの味わいが強く出ています。
 言い回しや語彙の選択などもそれに準拠して、比較的古めかしいものや小難しいものは頻出するものの、全体のテンポは悪くなく、単語そのものもニュアンスで大体捉えられる範疇には収まっているかな、と思います。
 いわば文飾の面での誇張がちょっと大きい、というのと、後は心理的な鍔迫り合いなどもかなり多く出てくるので、そのあたりで全体的に含みを伴う印象が強くて、文章そのものの美しさと、その背景にある思惑を二重に汲み取っていく事でより楽しさが増すタイプのテキストかな、と感じました。

 少なくとも個人的にはこういう風雅な読み口は歓迎ですし、それでいてきちんとキャラも立っていて、掛け合いなども独特の面白さがあったので悪くないな、と思いますね。

★ルート構成

 この作品にはいわゆるヒロインルート、という概念がかなり希薄です。
 形式としては共通双六マップがあり、その終盤でその次のマップにおいてどういう行動を取るか、誰と組んで進んでいくかを決定する賽の目を用いた選択があり、それを網羅する事で隠されていた最終ルートをクリアできる、という構図になっています。

 一応各々の分岐ルートで主役となるヒロインはいるものの、最終的にはそれを全て重ね合わせた状態で最終面をクリアし、その上で改めて誰かを選ぶ事で後日談的な話が展開するという、恋愛ものとして見た場合には味気ない構成になっていて、普通のイチャラブを期待すると肩透かし、という作品ではあります。

 ただその選択の提示の仕方は、作品のゲーム性と上手くリンクしたつくりになっていて、かつより大枠で見た時にもしっかりその行為の理由づけが為されるという、シナリオ面での意味性が強いものとはなっているので、その面での魅力をどれくらい高く取るかで、このシステムに対する評価も違ってくるのかな、と思います。
 私の考えとしてはシナリオのネタバレとも絡んでくるので、その辺まとめて後で書きます。

★シナリオ(大枠)

 基本的には、思うに任せない賽の目を振り進めながら、同じマスに止まった相手と交流し、上手く協力体制を紡いでいの一番の上がりを目指す、という事になっていきます。
 またその渦中で別世界の夢が紛れ込むことも多々あり、これはキャラによって見えたり見えなかったりするのですが、そのあたりの全体像の仕掛けも非常に精緻に組み上げられています。

 それらを並行して進める中で、本当に信頼出来る相手を見出し、都度都度にコロコロと変化していく盤面の上で、智嚢の限りを尽くして自身の望む未来を勝ち取る――――その過程の波乱万丈ぶりや、どんでん返しも含む多彩な展開のカタルシスはかなり高めに設定されており、エンタメ性の強い面白い作品であることは間違いないと思います。
 
 勿論それぞれのマップのマス目機能や特殊ルールなど、シナリオの都合に沿った恣意的なものではあるのは間違いないのですが、最低限それが後出しにならないようなフォローはあります。
 もっとも、最初にマップが提示された時点で、全てのマスのイベントをしっかり読み込むプレイヤーはそうはいないでしょうし、その意味ではヒントの出し方に意地の悪さはあるつくり、とも言えますね。特に琥珀絡みとかは外側の常識と照らし合わせて、って部分もあるので、その辺はなんとも言い難いところです。

 ただ本当に双六、という部分の醍醐味はしっかり複雑なつくりの中でも維持していて、世界観の独特さも踏まえてハラハラドキドキはさせられますし、ルートによってはかなり残忍な展開もあったりしますが、それも含めて先の読めなさを強調しており、悪くないつくりとは言えるでしょう。
 その上での最終ルートでは、きちんとそれまでの負の遺産を清算できる要素が詰まっており、その過程において色々と物申したい部分はあれど、最後には結果オーライ的な大団円になっているので、その点でもしっかり伏線を上手く風呂敷に包んで綺麗にまとめた作品と評価出来ます。

 けれど、どうあってもそのゲームの渦中で紡ぐ絆、というものは、吊り橋効果的な側面も含めてかなり限定的にはなりますし、当然そんな切羽詰まった状況で暢気にイチャラブを展開してくれるわけではありません。
 なのでそういう部分は全ての問題が解決して、彼らがあるべき世界に戻ってからの付け足しになってしまうのですが、正直それは非常に薄いです。
 勿論絆そのものは盤面の上で育まれているから、それを反映して主人公が選べば即くっつく、というのはいいのですが、そこから画一的に初めて結ばれて、デートしてちゃんちゃん、って感じで終わってしまい、残りのシーンは回想に追加、ってのはやはり味気ないですね。

 一応盤面の中でも残された謎や、彼らがそれぞれに向き合うべき部分は少なからずあるわけで、中々難しいにしてもせめてひとつくらいは、それぞれのヒロインらしいイベントや特色を組み込んで欲しかったな、というのはあります。
 強いて言えばHシーンの傾向にその気質や特色を全振りしちゃってるところがあって、ただ正直そこで差異化されてもなぁ、ってのがあります。
 あくまで私の趣味嗜好で言うなら、やっぱりそういう濡れ場もどちらかの気質が一辺倒に反映する、ってのは良くないなー、と思うし、はっきり言えばみさきのような方向性のシチュを畳みかけられるのは好きじゃないので、そのあたりでももう少し配慮と工夫があっても、とは感じましたね。

★シナリオ(ネタバレ・考察)

 正直個々の二面の面白さの違いとか出来の良さを語ってもあまり意味はない作品かな、ってのはあります。
 どれも基本的に最初から枠組みは固着していて、その中でどう醍醐味を見せていくかってのも恣意的なイメージを強く持たざるを得ませんし、敢えて言うならトリックの出来の良さ、大逆転のカタルシスの強さなどでしょうが、それに関しては理屈はプレイすれば一目瞭然ですし、そこに主人公やヒロインの意思の介在する余地は、やっぱり普通のストーリー性の高い作品に比べてしまうと弱い、とは思うのです。

 一応かるーく触れておくなら、つくりとして一番好きなのは琥珀の二面で、純粋に面白かったのはクレアの終盤かな、って思います。
 トゥルーに関しては、そこまでに紡いだ絆がその道のりを拓く、というお約束的な色合いはかなり強く、鬼札に対するカウンターや黒幕などについても、ミステリーの原則を踏まえて考えればかなり絞りこめてしまうので、トリックとしての奥行きも含めて実は二面よりうーん、ってのはあります。

 かつやっぱりラスボスの思惑があくまでも私利私欲ってあたりも複雑で、上で触れた選択肢が双六の目を操作する事で成し得る、という構造も、実はこのラスボスの行為と重ね合わされていた、という点では、プレイスタンスによってはげぇっ、てなる可能性もあるなって思いました。
 私はどちらかと言うと俯瞰的に楽しむタイプなのでそんなに気になりませんが、主人公に感情移入して進めたい人にとっては、そうしていたつもりが黒幕に操られていた、って内容は気に食わないんじゃないかなぁと。

 また、この舞台が成立した背景と、複雑化した理由についてもかなりおぞましい点はあるんですよねぇ。
 そもそもこの双六が成立するルールとしては、まず盤となる存在、今回はみさきですが、年若くして死に瀕し、それを自覚しつつも生きたい、という想いが、芯が強い存在が必要なのだろうと思います。
 黒幕が教師という仮面をかぶっていたのも、或いはそういう存在を察知する為に便利だったから、とも言えそうですし、その上で用意周到に、いずれ駒にすべき存在を涵養していた、というのも如何なる執念の賜物か、なんて思ってしまいます。

 この点黒幕がそんな風にねじくれた精神性を保持している根底の部分が語られないので、なんとも気味悪さしか残らないってのはありますし、またそうやって過去からの不可思議、形としては救済措置として成立している舞台を私物化していること、その成果を下種な手段で掠め取ろうとしているカラスの存在も含めて、基本的にこの辺は胸糞悪いんですよねぇ。
 それに結局のところ、盤が開くタイミングで毒物によって仮死状態にさせられた主人公と京楓だけが本来の黒幕の意図するプレイヤーだったはずが、自殺未遂とそれに巻き込まれた縁と大嗣、無理矢理黎を手にかけて、それを媒介に乱入してきたカラスなど、それぞれのタイミングが良過ぎるのもうーん、って所です。
 まぁ琥珀の場合動物だから、人間と違って仮死状態にならずとも霊的な世界との距離は近い、って見立ても出来ますし、それにクレアもある程度双六の知識は持っていて、それが開くことを前提にああした、ってのはありそうなのですが、それも含めて運命の導き、というのはなんかスッキリしないのはありますよね。

 黒幕本人にしても、自分の縁である、他者の縁を奪う力を存分に駆使して、幾度となくこの盤で戦い、勝利して、その都度にひとつずつ都合のいい縁の力を現実に持ち帰っていたというのは、まぁつくづく強欲だな、とは思いつつ行動理念としてはわかります。
 ただその場合こいつだけは現実の記憶とリンクしたまま入れる特殊な能力があったのかとか、今回にしても時間軸の動きからして、盤の内部には入っていないと上手く操作は出来ないだろう、ってところから、どうしてそんな特別な立ち位置を保持できるのか、って謎も出てくるとは思います。
 最後の失態も文字通り策士策に溺れるの典型でしたし、結果的に主人公達が全て無事でいられるための道筋を紡いでくれた、という意味ではナイスな踏み台ですけれど、ルールに則ったオチのつけ方も途中であぁあれかぁー、ってすぐ想像がつくし、色々盛り上がりに欠けたなぁ、って気はしていますね。

 クナドの存在に関しても同様で、作風的に中々そこまで踏み込めないってのはあるにせよ、賽の神となった妹が兄を助ける、という情緒的な側面だけを強調して、それが成立する由縁の部分はかなりおざなりに流してしまっているのはありますね。
 そもそも賽の神はどんな不慮の死を遂げた存在ならなれるのか、隠していた道を見つけられたらそれで確実にお役御免となってしまうのか、それともこの役目を遂げることで逸脱が可能になったからああなのかってのも曖昧ですし、死んでから10年、一度も盤が開かれていないってのは、黒幕のありようからしても可能性が薄い中で、そう在り続けられた意味なども把握できないですからね。
 あまり理屈に拘ると無粋、それこそぶぶ漬けでもどない?って話ではありますが、基本的には雰囲気重視、エンタメ色を強めての力技で押し切っている感覚はありました。

 総合的に見て、敵役として存在感のある縁も含めて、理不尽な運命を絆の力で打ち砕く、って構図はシンプルながら心に響くものはあれ、その壁の部分のよすがのなさと雑さは目立って、かつイチャラブ要素との両立もあまり上手くはいっていない、と言うあたりを踏まえると、個人的には面白くはあったけど、あまり高い評価はしたくない、ってタイプの作品でしたね。



キャラ(19/20)

★全体評価

 ヒロインはみんな個性豊かで芯も強く、こういう舞台映えのする造型ではあったと思いますが、そのシナリオに則した美点が強調され過ぎている面と、一方で様々な顔を引き出すだけの展開の奥行きが足りなかった、という部分で、キャラの魅力を余すことなく引き出せているか、と言われると私はちょっと違うかな、と思ったりはしました。
 それに比較的悪役が碌でもない、ってのもありますし、ヒロインにしても状況によっては結構えげつないこともしちゃう構成ではあるので、終わりよければ、で全部水に流すのはちょっとね、ってところで割り引いてます。

★NO,1!イチオシ!

 そりゃまぁここは琥珀になるでしょうねぇ。。。
 当然造型的な趣味が一番に来ますが、純粋にヒロインとしてもこういう素朴で真っ直ぐで、どこまでも飾り気なく慕ってくれる子猫タイプは大好きですし、最後の展開もそりゃあ随分都合の良いこって、と苦笑するしかないとはいえ、まぁこの子とイチャエロするために必要ならいっか、と思えるだけの可愛さは備えていたと思いますね。

 理想的にはもっと日常生活の中での新鮮な驚きや、恋と言う感情を噛み締めての愛らしさを堪能できるイベントがあって欲しい、とは思いましたが、奔放なHシーンのつくりだけでもそれなりには可愛いと思えたのはあります。方向性としてみさきに近いけど、みさきほど特化的な上位感はなくて、より純粋にそれが当然と求めてくる様はいかにもって感じでしたしねー。

★NO,2〜

 次いではクレアですかね。
 色々と気難しい部分もあるけれど、根っこの部分では凄くお人好しで情にも脆く、そもそもここに入ってきた根底的な理由の部分から中々なもので、その点での好感度は高いですね。
 どうしても頭が切れすぎるのと、特殊な縁を持っていることで、懐に入りこむまでは中々に全面的な信を置けない、という、スロースターター的な弱点はありますが、二面の時は本当に可愛かったなーって思いますし、シーン構成などもお気に入りです。

 みさきは基本的には好きなんだけど、色んな意味で強すぎるというか融通が利かないというか、結局縁と対立した根本的な部分はどこまでもついて回るから時々怖いな、ってのはありましたねぇ。
 この声とかも好きなんだけどなぁ、ただラストの後日談個別のシーンシチュがすんごく気に入らないってのも含めて、もう一歩ブーストし切れないところはありましたね。

 京楓はどうしてもスタンス的に盤の中では明確に敵、って構成がほとんどでしたし、元々の関係性があるからそれだけでヒロインとして成り立つけれど、それを読み手に強く説得的に訴えかけるだけの魅力を発するチャンスはそんなになかったな、と、ある意味貧乏籤を引かされていると思います。
 まぁタイプ的にもこういうややガサツな同居系はそこまで好みでもなかったのはあるし、そもそも何年も同じ部屋で過ごしててなにもないとか逆にすげぇな、とは思うんですけどね。。。


CG(18/20)

★全体評価

 基本的にはとても可愛いですし、雰囲気にもマッチしていていい感じですね。
 印象的に塗りの違いもあるのかもですが、ランプ時代よりも美麗になった気はしますし、その分男キャラの適当さとの落差が大きいんですが(笑)、飛び抜けて素晴らしい、と言うほどではなかったものの、期待通りの出来ではあったと思います。

★立ち絵

 ポーズ差分はヒロインで2種類、サブで1種類と基本的には少なめ。まぁキャラの動きで楽しむコミカルな展開がさほどない構成ですから仕方ない、とは言えますが、特別にらしさが出ているか、という面も含めてインパクトは薄かったかなとは感じます。
 可愛かったのは琥珀の正面向きとクレアの正面向きかなぁ。

 服飾もややばらつきはあるものの、ヒロインで2〜4種、サブで1〜2種と、こちらもゲームシステム的な面の弊害もあって少なめではあります。
 無論この舞台ならではの服なども用意はされていて華やかではありますが、やはり全体的にもう一押し、ってのはありますかねぇ。
 お気に入りは琥珀着物、私服、みさき着物、クレア制服、メイド服あたりです。

 表情差分も比較的真面目な作風を反映して遊びの要素は少なめ、その分様々な角度での細やかな機微に応対しているとは思いますが、目立って凄みや可愛さを感じるのは、となるとそこまで印象に残らなかったですね。
 お気に入りは琥珀の笑顔、きょとん、半泣き、照れ笑い、みさき笑顔、不満げ、にんまり、クレア笑顔、照れ焦り、ジト目くらいかなぁ覚えてるのは。

★1枚絵

 通常が80枚にSDが10枚で、計90枚ですね。
 とはいえお値段キュッパチですし、通常の中には男キャラや敵キャラも含めて、ってなるので、全体的な印象としては少し物足りない、ってのはありますね。やっぱりシナリオ含めて、もうひとつくらいはイベントとそれに付随するヒロインの日常絵は欲しかったのは拭えません。
 ただ出来は安定して可愛いですし、特にこれは!って言えるほどグッと来たのはなかったんですが、基本的には眼福であったと言えるでしょう。


BGM(17/20)

★全体評価

 作風を強く意識しての和テイストが前面に押し出されており、どれも奥行きと風情があって中々に総合力の高いつくりになっていると思います。
 ただ質はともかく量的には今一歩ですし、こちらもバランスはいいのですがここ一番!ってレベルでインパクトのある曲は、と言われるとパッと出てこない感じで、シナリオ同様もう一歩突き抜けたところがなかったのは惜しいですね。

★ボーカル曲

 全部で2曲ですね。
 OPの『色化粧』はわかりやすく和ロック、って感じで、爽快なテンポを刻む中で、要所にしっとりした雰囲気を交えた中々の良曲です。
 ただAメロの出来は個人的に相当好みだったんですけど、Bメロ、サビと進んでいく中で微妙になんか違う感が出てきて、悪くはないんですけど色々奇を衒い過ぎた感もあるな、って気がしています。

 EDの『縁道〜ゆかりみち〜』は、様々な苦難の先に見つけた進むべき道を、静かに噛み締めながら手を繋いで歩いていく光景が目に浮かぶような、いかにも情緒的なED曲ですね。
 作風にはマッチしていると思いますが、イマイチメロディ的にはピンとこなくて、サビがあるようなないようなつくりも含めて耳に残り切らずに終わってしまう感じです。

★BGM

 全部で22曲とやや少なめですが、ひとつひとつのコンセプトと奥行き、質の高さはしっかりしていて、総合的に見ればかなりいい出来だと思います。
 特に、と書けるレベルかは微妙ですが、『蘭橙』の和の息吹が転々としていく構成の美や、『愁へ』のストレートに哀愁を誘う旋律の素朴な美しさは気に入ってます。


システム(8/10)

★演出

 ゲーム的な要素もそれなりにある中で、そつなく演出効果でフォローしているとは思いますが、といってバトルシーンの迫力や縁発動の部分でも、基本的には1枚絵に頼っている形ですし、そもそも日常シーンは少ないしで、目立ってこれ、という部分を感じなかったのはありますかね。
 ムービーも彩りの美しさは目を引くものの、突出して素晴らしいとは言えなかったし、全体的に無難、というイメージです。

★システム
 
 こちらは基本的に足りないものはなく、使い勝手は悪くないですかね。
 ただ厳密に言うと、サイコロが回るシーンでセーブできないから、その直前でセーブするか、一々バックジャンプを使うか、って厄介さはあって、そのくらいかなぁ不便に感じたのは。


総合(81/100)

 総プレイ時間22時間。
 共通面、各U面が4時間前後、トゥルー面が3時間くらいで、後は後日談ヒロインルートが回収を含めてひとり1時間弱くらいの勘定になります。

 基本的にはプレイ中は次々に波乱の展開が舞い込んで、その都度に設定と見比べたりしながら先を見据えて楽しむという熱中度はそこそこありますが、ただ恣意的にサイコロの目を操れるシーンも少ないですし、やはりその長い共通とも言えなくもないトゥルーまでの道を踏んだうえでのご褒美、ヒロインとの交流がかなり薄いのは物足りないところでしょうか。
 勿論コンセプトや発想の点での面白さ、総合的なバランスと整合性の高さなどは評価して然るべきですが、舞台設定の不憫さや強欲が絡む気分の悪さ、感情面ではともかく理屈の上での下支えの軽さなど踏まえると、個人的にはどうしても引っ掛かるところの方が多かったとは思います。

 少なくともイチャラブ目当てで買うのはNG、と言ってもいいつくりですし、ゲーム性も見た目ほどは高くなく、純粋にこのヒロインズとこの舞台でのシナリオ展開が楽しみたい、って意味ならアリですが、ちょっと間口の狭いつくりかなぁ、とは感じましたね。
posted by クローバー at 14:50| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月24日

桜ひとひら恋もよう

 体験版やっていつものパラソルだなー、って感じではあったけど、また面白い妹設定を作ってきてそこに期待出来たのと、あと千歳が見た目超好み+小鳥居さんで強力だったので押さえておくかー、という感じで。

シナリオ(16/30)

 妹以外がなおざりやん。

★あらすじ

 主人公は母一人子一人の過程で生まれ育ち、まだ幼い頃にその母の死に目を看取ってからは隣の家の高澤家のお世話を受け、特にその娘の美綾とは姉弟同然に育ってきました。
 高澤家のおかげで世を拗ねずに真っ直ぐ育つことは出来たものの、大切な家族を突然失う恐怖はトラウマとなって主人公の心に深く根付き、そのせいかずっと変わらない思慕を向けてくれる美綾の想いにも応えようとはせずに日々を過ごしていました。

 しかしある時、偶然同じ塾になった紗矢に対して運命的なものを感じ、向こうも幸い此方を好いてくれて恋愛関係に発展するものの、決定的な繋がりを得る前に、沙矢の父親に会いに行った時、主人公の運命は一気に暗転します。
 その父親は主人公を見るなり、主人公が認知していない自分の息子である事を口にし、つまるところ兄妹の関係となる紗矢との交際は決して許さないと豪語し、実際にそれに見合うだけの法的な措置まで取ってきました。
 出会う事すら難しくなる中で、紗矢の、これ以上主人公に傷ついて欲しくないという言葉に心が折れ、想いをずっと残しながらも鬱々とした日々を送るしかなくて、毎度のように何も聞かずにただ甘やかしてくれる美綾の想いにも報いる事はないまま無情に時が過ぎていきます。

 そんな風に燻っていたある春、主人公の通う自由な校風が売りの桑都学園は、経営難によって、今時時代遅れな厳罰主義と規律正しいカリキュラムを謳う北条学園と合併するのでは、と囁かれるようになります。
 奇しくもその学園は、紗矢との仲を引き裂いた憎き実の父が理事長を務めてもいて、それだけで剥き出しの反発心が疼くものの、けれどなにか自分から動く、そんな気概を主人公はどこかに置き忘れていたのです。

 けれど、桜の下で懸命に合併反対を訴え、チラシを配っている桜花の姿を見た時に、このままじゃいけない、と奮い立つものがあって。
 理事長の孫で、未だ小学生ながら次期理事長を自称する桜花を支える、という形で、主人公は合併反対運動に名を連ね、引いては数年越しに、かつて力でねじ伏せられた実の父への反逆を開始します。

 その活動には既に、主人公のクラス委員長で、誰よりもこの学園の校風を愛し、合併に憤っていた芳野が既に参加を決めていて、そして主人公がやるなら、という事で、当然のように美綾も力を貸してくれることになります。
 また今年の新入生で、近すぎる関係にあるのに男女の仲ではない、という不思議な立ち位置の主人公と美綾を、自身のテーマである恋愛研究のモチーフとして扱いたい、と考えている不可思議な少女・千歳も、すぐ傍で二人の関係を見られるなら、と取引する形で活動に手を携えてくれるようになって。

 更には桜花の手引きにより、合併相手の北条学園の生徒会長も参加してくれることになったのですが、その相手はなんと、かつて引き裂かれた最愛の恋人にして義理の兄妹でもある紗矢なのでした。
 手放しで再会を喜びたい主人公でしたが、紗矢は今は二人の関係を極力伏せておきたいようで、ツンツンとした態度で接してきたため、そんな素振りから改めて、一度二人の関係は終わってしまったんだ、という事を主人公は痛感する事になります。
 かくして様々な思惑を持つ面々が集まり、北条学園の親玉である主人公と紗矢の父親、更にその母体となる組織の悪辣な所業を世に知らしめ、壊滅される事によって結果的に合併を頓挫させるという作戦が火ぶたを切って落とされたのです。

 主に紗矢が立案する様々な策戦に従って、時に危険も伴う活動に従事しながら、主人公はそこで色んな女の子の素顔と、今まで良く知っていたはずの女の子の意外な面を垣間見ていく事になって。
 それは今までにない積極的な気持ちを呼び起こすものでもあり、それを大切にしつつ、まずは目的を達するために全力投球を繰り返す事となります。

 果たして彼らは、首尾よく最大の目的である合併阻止に至れるのか?
 それを為した時、主人公の心はどこに向かっていくのか?

 これは、ひとひらの桜の願いが凝っていた主人公の想いを動かし、新たな絆を紡ぐ契機となる、爽やかな愛と絆の青春物語です。


★テキスト

 全体的に雅飾が強かったり、情緒面を殊更に強調したリと比較的癖は強めですが、極端に読みにくいというほどではなく、どちらかというと必要な説明を置き去りにしても感情面のあれこれをメインに据えてくる感触があるので、テンポ自体はスルッとしていて、読み口はまぁ普通、というところです。
 多分恋愛日常の妹シナリオの人が今回は共通も書いてるっぽいけど、流石にあれだけ特化的なインパクトは薄口に仕立てて、その分幅広くキャラ性をしっかり盛り立てることに成功はしているかな、と思います。

 読み物として上等かはともかく、触れ合いの中での機微の拾い方や掛け合いの面白さ、ほのぼの感は独特の味わいがあって好きですし、個別は違うライターさんもいるので大分違った雰囲気にはなりますけれど、総合的には極端ではないけど個性のある、けれど破綻はしていないテキストにはなっていますね。まぁ正直色々肉付けが足りない、と思う向きはありますが。


★ルート構成

 色々思わせぶりな背景を持つヒロインが二人もいるくせに、ヒロイン選択肢自体は非常に画一的で、気になるヒロインを都度都度に追いかけていくだけ、というシンプルなものです。
 誰か一人クリアするとロックが解放され、ヒロイン毎の後日談に、パッチを適応する事で桜花・若菜のミニストーリーを楽しむことが出来ます。

 基本的には味も素っ気もないつくりで難易度もないに等しいですし、ルートロックもないので誰からでも構わないっちゃ構わないのですが、純粋なシナリオの出来としては紗矢が図抜けていると思うので、これを最後にするか、或いは思い切って最初にやってしまうかのどちらかが推奨、ですかね。


★シナリオ(大枠)

 結構体験版の範疇では面倒くさい厄介ごとに首を突っ込む形になっていますが、その時点でも既に茶番的な色合い、あくまでもヒロイン達が一堂に会して活動をする場を作る為だけの活動、という雰囲気は滲み出ていました。
 実際体験版を抜けてすぐに、主人公は紗矢から決定的な証拠を握る為の活動を依頼され、それを達成する事で敵は壊滅、元来の目的である合併阻止という最低限の目標はあっさり達成される事となり、そこから先は純粋なイチャラブシナリオ、という、割り切りがかなりはっきりした構成になっていると思います。

 ただ、その共通ラストの展開でヒロイン確定イベントも同時に兼ねるというかなりの力技を駆使している事で、その淡泊で画一的なつくりが後々の個別での味気なさや整合性の面での疑問を生んでいる側面はあり、正直このあたりはかなり雑だなぁ、と感じました。
 勿論延々と合併運動でシリアスを引っ張って欲しい、と思わせるほど、その中身にしっかりとした土台を組み立てている作品ではないので、イチャラブメインに早々シフトしていくのは悪くない発想ではあると思うのですが、それにしても取り落としたものはかなり多く、そのあたりのフォローをルート間で擦り合わせることのないまま突き進んでいるので、ルート毎の温度差や矛盾が結構見えてしまうのは勿体ないところです。

 一応メインである紗矢だけは、最低限の共通からの余波をしっかりクリアしつつ、生き別れの兄妹としてのらしい恋物語を綴っていて、かつオチもそれなりにしっかりしたハートウォームストーリーに仕上がっていると思いますが、他は尺的にも質的にも、ヒロインが可愛い、という利点以上にシナリオが雑過ぎる、という難点が目に付く内容で、全体的にはあまり褒められたものではなかったですね。


★シナリオ(ネタバレ)

 そもそも論として、この作品ってかなり主人公のスタンスが特殊というか、本質的には恋愛に踏み込むのを忌避するような部分があると思っているんですよね。

 ぶっちゃけ作中でその点ほぼ明言はされていないんですけど、母親とともに寝て、目を覚ましたら隣で死んでいた、というトラウマ体験が、大切なものを失う怖さを必要以上に強調して、実際はじめてヒロインと同衾した次の日の朝とかは、そのトラウマが起こったり、或いはそれが克服されていることを安堵する、そんな描写は比較的目立ちます。
 そうであればこそ、家族同然、という想いと恩義はあれ、ずっと思慕を向けていた美綾に靡かずにここまできた、という背景が説得力を持つわけで、けどじゃあなんで紗矢とは付き合ったのか、って部分に、彼らが持つ本能的な遺伝子の欲求の影を見て取ることは可能でしょう。

 共に愛情に飢えて育った面があればこそ、家族の温かい繋がりを心の深くでは希求し、それを求められる相手と無意識下で認識して惹かれ合うものの、それを自覚することなく恋愛的なものと勘違いしてはじまった、と解釈すれば納得がいきますし、なのでこのあたりはもう少し、主人公の想いを掘り下げ、そういう自分の在り方を自覚する展開の補正は必要だったんじゃないかな、と思っています。
 どうあれ紗矢とも無情に引き裂かれる結果となり、かつ実の父があんなんだったことで、主人公はよりそういう深い関係を結ぶ意義に懐疑的になった部分はありそうですし、総合的に見るとこれはほんっっっとうに美綾にとっては不憫に過ぎる状況なんですよねぇ。

 結果的に見た時に、これだけ想い続けて尽くしてきても、いざ合併反対運動でヒロインズが集結した時に横並びの扱いをされて、かつ他の子と結ばれたときはその心情を忖度して潔く身を引くとか、幼馴染ヒロインにしても中々に無情過ぎる扱いではあって。
 むしろそこを袖にして、元々関係の深い紗矢との焼け木杭に火が付いた、というのはまだしも、他の二人のヒロインにホイホイ流れていく主人公はあんまりじゃないかなぁ、と思うのです。

 その辺も主人公のトラウマが捻じれた事で生成された要因のひとつ、的なフォローが出来ていればまだ緩和されたかもですけれど、そういうのもないまま、基本的にその非情な振る舞いを続けてきたという自覚は美綾ルートでしか総括されないので、その温度差がひっどいなぁとは感じました。
 私は別に美綾は大して好きではないのにそう思うんだから、この子に感情移入してプレイしちゃうと主人公そのものが好きになれないんじゃ、とすら懸念する雑駁さではありましたね。

 それを助長するのが共通の構成、なかんずくラストの、アブソリュート壊滅のための潜入捜査のくだりに、わざわざヒロイン確定イベントを挿入する無茶っぷりです。
 そもそもそのイベント自体、ヒロインとの距離を縮める為にハラハラした展開を演出するための飾りみたいなものではあるし、かつ千歳なんか実際のところ役に立ってたっけ?と思うくらい適当なものではありまして、その流れの中でヒロインの好感度を選択肢で高めていく、という点に折り合いの悪さを感じたのは私だけでしょうか?

 かつその選択の影響によって主人公が最も心寄せるヒロインがほぼ見透かされ、そうなると周りのヒロインが空気を読んでくれるのもあまりに都合がよく。
 缶詰先に意中のヒロインの手紙だけが届けられたりするのもなんだかなぁ、普通に全員分持ってこいや、って思ったし、フラフラになって人格崩壊寸前で家に戻ってくると、その意中のヒロインが出迎えてくれるっていうのも、冷静に見た時美綾以外がそれをしたら不法侵入じゃん、ってちょっと白けたりもして(笑)。
 むしろそれを裏側で甲斐甲斐しく段取ったに違いない美綾の献身と、その影に隠れた悲しみを思えば、なんでこんな無理に共通を圧縮するような雑なつくりにしたかなぁ、と思わざるを得ないわけです。正直このイベントは、全員で励まし、全員で出迎えるで良かったと思うんですよね。

 その上でもうひとつ問題視したいのが、このアブソリュート壊滅の余波に関しての擦り合わせの薄さと、加えて言えばその後をおざなりにすることで、他ヒロインの介入する余地を格段に減らしてしまっているつくり、ですね。
 合併阻止は出来た、それは一先ず最低限の目標達成で目出度い、という所でいいのですが、けれどじゃあ学園がそれで安泰か、と言えば、そもそも学園の合併問題が桑都学園の経営難に端を発している以上そんなはずはないんですよね。
 けれどその点について軽くでも言及し、解決策をなおざりとはいえ提示出来ているのは紗矢シナリオだけで、芳野シナリオなんかはむしろその原点的な問題を置き去りにしたまま情緒的な方向に突っ走っていく軽佻ぶりを披瀝してしまっています。

 だから個人的には、共通の段階で合併阻止は出来た、だけどこれで安泰ではないという認識をチームで共有し、それこそ桜花を正式な理事長に据える為の活動、そこから波及して学院を潰さないための活性化運動にスタンスを切り替えて、このメンバーでワイワイとやっていく土壌を作っておけば、整合性の面でも問題は減りますし、無難に他ヒロインが個別で関わってこられる設定を組み込めるので一石二鳥じゃない?って思いました。
 そうした上で、各々のヒロインが学園を活性化するためにどんなことがしたいか、というフックを作って、そこに主人公が共感を覚える、というのを恋愛的なトリガーを引く、という視座でも最後の一押しに据えれば、まだ紗矢と美綾以外のヒロインに走る違和感も緩和すると思うんですよね。

 主人公にとってはアブソリュート壊滅の流れは、ある意味で母親の敵討ち的な感覚もあるだろうし、憎き父親に一矢報いた、と留飲を下げることで、それまでの自己を総括し、改めて前向きに未来を見据えて動いていける土壌を生成するとも考えられます。
 それを為し、反省もした上で、それでもなお、例えば芳野のこちら側主導での合併案や、千歳の恋愛研究の発端にあるものに対する想いに惹かれるものがある、という筋道を踏んでくれれば良かったな、と思うし、個別もイチャラブ一辺倒に近い凡庸なものから脱却した面白味が積み上げられたと感じるのですよね。

 加えて、紗矢シナリオで発生する父親との軋轢に関しても、全てのルートに波及するのでなく、そのあたりにトリガーを埋め込んでおけばバランスが取れたのかな、と感じます。
 こういう事件で当局の動きが慎重になり、逮捕まで時間がかかるってのはありがちでしょうし、その間に自分を破滅に追い込んだ張本人を追求するなど、いかにも性格の悪いあの父親がやりそうな事ではあるので、そこは動かさない方がいいとは思います。

 ただそれが紗矢のせいだと露見するのに、紗矢が活性化運動に積極的に加担する事がきっかけになって、とすれば、他ルートでは紗矢の家出騒動まで発展しない理由づけになりますし、むしろそれを理由に、あまり積極的に活動には参加せず逼塞している、というスタンスを説得的に紡ぐことも出来るはずで。
 そもそも紗矢だけは通う学園が違うのもあり、その後の活動には他ルートでは最低限、というスタンスを取る事で、ある意味メインヒロインらしいメリハリを個別に強く色づけることも出来たでしょう。
 紗矢ルート自体は非常に出来がいいものの、総合的な部分との齟齬や温度差が歴然ではあるので、その辺がもうちょっとでも噛み合っていればなお素晴らしいシナリオになったと思えるだけに、そのあたりはつくづく残念なところですね。

 ともあれ、共通の部分でこれだけ気になる点が噴出する上で、その弊害を基本的に紗矢以外のシナリオはもろに食らっている、というのが率直な印象です。
 まぁ正直なところ、敢えてそんな風にぶつ切りにして、あくまでイチャラブ特化、という構成を企図していたのかもしれないですけれど、どちらにせよ紗矢以外のシナリオは合格点を出しづらい、全体的に味気なかったり、説得性が致命的に足りなかったり、共通との齟齬が大きかったりと問題点を種々抱えたものにはなっているかなーと思いますね。
 むしろなにも山谷のないおまけの桜花ルートの方が、心情の発端としては納得がいくだけにまとも、に思えてしまうくらいですから(笑)。パッチヒロインのくせに何故か専用のED曲もあるしね。。。

 個別に関しては日記であれこれ語り過ぎている部分もあるので、要点だけサラッとに留めておきます。
 とりあえず評価としては紗矢>>>千歳=芳野>美綾くらいです。紗矢だけ良作の上くらいで、後は概ね凡作だと思います。

 美綾はその立ち位置自体は非常に同情を呼ぶものだ、というのは上で考察しましたし、故にその想いが報われたときの爆発力、圧倒的な愛し方を表現したい、という意図はまぁ、わかります。
 でもそれにしたって、日々のあらゆることそっちのけに近い形でエロエロエロエロ…………と、回想枠こそ他ヒロインと横並びでとどめていますが、そこに記載されないちょっとしたシーンも数多く、正直美綾がエロモンスターにしか思えませんでした。。。

 そしてそのシーンの大概も主人公が美綾にひたすら尻に敷かれ、搾り取られる傾向が強くて、M気質の人ならこういうのもアリ、ってなるんでしょうけど、その辺あまり適性のない私には辛いところでしたね。
 紗矢シナリオもそういう、Hシーンでの主導権争いってのは勃発するのですけど、こちらは一進一退で共に切磋琢磨しつつ成長していく感があるのに対し、一方的に射精管理される状況はやはり好ましくないです。純粋に主導権を争っているHシーンそのものは嫌いじゃないんですけど、程度によります。

 その上このルートは一切合併問題解決後の諸々をうっちゃってしまってもいるので、その点もマイナスですね。
 その点でも共通のつくりのおざなりさ、強引さの失点を取り返せないルートですし、かつあのつくりの中でフラれる美綾は本当に不憫なので、あれこれ含めて複雑ではあるけれど、それでもやっぱりシナリオとしては面白くないです。
 どこまでも主人公に一途、なのはいいとしても、その本願が叶ったところで、改めて未来図を描き、それを学園の発展に波及させて、自分がここで過ごした爪痕を残す、そんなイベントくらいは欲しかったですし、ここまでエロ一辺倒だとどうにも味気ないのはあると思います。

 芳野はまぁ、発想の原点は悪くないと思うんですよね。
 合併問題でゴタゴタしたけれど、いざ相手の学園の実態を知って、その不遇に手を差し伸べたい!と全力で憤るのは、如何にもこの学園を愛し、実際に反対運動に自分から踏み出した芳野らしい在り方ではあり、けれどそれがそもそもの学園の安泰を担保する活動を抜きに、一足飛びに扱われてしまっているのは勇み足に感じてしまうんですよねぇ。

 恋愛面でも別に千歳ほど難しいところはなくてシンプルに好き合っていく形ですし、イチャイチャとエロスのバランスという意味では尺全体からのバランスとしても、内容としても紗矢に匹敵するくらいまともに思えただけに、その合間に組み込む軽めのシリアスの質の悪さが余計に目立ってしまったというべきでしょうか。
 このシナリオに関しては上で触れたような共通の組み立てにしておけば、それだけで解決する些細な齟齬ではありますし、芳野自体はすごく健やかで見ていて気分のいい子で、Hにも積極的でとっても可愛いんですけどね、共通とは別ライターである弊害が大きく出てしまっていますし、勿体ない内容でした。

 千歳も同様に、共通との齟齬が結構大きいのと、あとシリアス面での下積みの圧倒的な足りなさ、純粋なライターの力不足を感じる内容ではあったと思います。
 千歳も主人公同様に幼い頃に両親を亡くし、叔父夫婦に大切に育てられるものの、それでも喪失の痛みを知っていることでどこか恋愛に臆病な面を持っていて、それが恋愛研究なんて頭でっかちなやり方に繋がっているのは衆目の一致するところでしょう。

 そういう子にとっては、まず共通の時点で、勢いで主人公の無事を祝ってキスしちゃう、という画一的な展開そのものがキャラ性からすると少し逸脱している感がありました。
 しかもその後の個別で、序盤から好きって気持ちはあるのに互いに中々踏み込めなくて、ダラダラともどかしいラブコメ展開をかなり冗長に続けてくるわけで、その在り方自体は千歳との相性は悪くない、むしろそれくらい丁寧でもいいと思うのですけど、それだけにじゃあなぜあの時だけ先走った?ってのが違和感として残るんですよねぇ。
 普通あそこまですれば好意は確かなものだと互いに認識しちゃうでしょうし、いくらこの二人とは言えどその辺でまず噛み合ってなかったと思います。これも共通が雑である事の弊害で、芳野ルート同様上の処置が出来ていればどうとでもなった部分ですね。

 その上で、このルートの肝としては、主人公と恋愛をし、人を好きになり、子を産み育てる喜びがどのようなものか、その一端を体感的に知ることで、自分が本当に両親から愛されていた、という確信を得たいというのがあると思います。
 この愛の確信、というファクターは何気に紗矢シナリオでもラストに大きな意味を持っているのですが、その点で意外性と説得性を兼ね備えた素晴らしいオチを用意してきた紗矢シナリオと引き比べてしまうと、この千歳シナリオのオチは三段くらい落ちる、と言わざるを得ません。

 両親の未来先取りムービー、というのは、発想としては別に悪くないと思いますが、その内容に関してはかなり綿密に伏線を敷いておかないと、どうにも恣意的なつくりに見えてしまう弊害もあります。
 しかもこの場合、それまでは毎年そんなに変わり映えのない挨拶とフォトアルバムだったのに対し、この年だけ特別なもの、千歳の将来に対しての祝福となっていました。これもアイデア自体は決して悪くはありません。
 ただ、そういうムービーがこのタイミングで現れるのが必然である、と読み手に思わせるだけの下積みが圧倒的に足りていなかったことで、すごく読み手と中の二人に温度差が出来るつくりになってしまっていたと感じました。

 この手法ですと、どうあれ多少は恣意的に感じてしまうのは避けられないかもですが、それでもいくらかはやりようがあったと思います。
 例えば同じ桑都学園で出会い、結ばれた二人の歳と、今の千歳の歳が同じであることをしっかり繰り返し強調しておいたり、結構茶目っ気があって、時に先走りや空回りも多々あるような、身体は弱いけどその分日々を懸命に生きていた賑やかな両親だった、なんて言及をしっかり打ち出しておけば、多少なりあの内容をかましても仕方ない、と苦笑できる素地にはなるでしょう。
 正直な話、他のルートで主人公が他の子とイチャエロしている影で、この先走りムービーを千歳が一人で鑑賞していると思うと、その寒々しさに愕然としますからね(笑)。

 出来れば叔父夫婦とも主人公がしっかり話し合って、幼い千歳の目には映らなかった二人の苦労や頑張りなどの側面を補完もするべきでしたし、そういう話をして悪戯に悲しませたくない、と考えるかもしれない千歳と一度はぶつかるも、それを乗り越えて、なんて展開も王道的だったでしょう。
 そういう補助線を一切引く努力をせずに、ただ共通でちょっと触れただけのムービーの話題をいきなり終盤で、もうすぐ誕生日、という情報とセットで唐突に引っ張り出してきて、それでお涙頂戴、ってのは流石に虫が良過ぎたと思いますし、工夫次第では地味だけど良シナリオ、って水準に化ける余地は充分にあったと思うだけに残念ですね。
 千歳自体は私の趣味的には最高の可愛さだっただけに尚更、もうちょいなんとかならんかったか、という想いが一番強いです。

 紗矢シナリオに関しては、その中で配慮されているいくつかの問題は、出来れば共通で片づけて統一性を打ち出しておくべきものだった、という認識こそあるものの、総じて隙のない完成度の高い内容だったと思っています。
 ああいう形での同居展開や、その中で巻き起こる葛藤と真実を希求したいという気持ち、そのあたりを上手く寸止めのスパイスにしつつ妹との禁断の背徳的なイチャラブを存分に堪能させてくれる筆致は、流石にあの遥シナリオを書いた人だ、と思わせる凄みがありました。

 まぁキャラ的にあそこまで尖ってはいないというか、遥の場合この作品での紗矢と美綾のハイブリット的な在り方だった気もするんですけど、ともあれそういう過去作との連関でも楽しめつつ(エクストラでのさんはい♪とか超笑ったし)、全体的に密度の高いストーリーでしたね。
 どうしても道徳という全くもって名は体を現さない、ろくでなしの父親に対するヘイトでうんざり、という側面もあるので、この辺好き好みはあると思うのですが、一応そういう流れを血の宿命論的な部分からも補完はしていたし、こういう近親相姦の連鎖ってこの前美少女万華鏡−罪と罰の少女−でも見たけれど、本来血縁の異性は忌避する遺伝子反応が実在する中での一定の説得性は感じるものではあります。

 あの父親が本当に愛していたのは誰だったのか、それが果たせなかったことがああした人格の歪みを加速させてしまったのではないか、そういう生育環境論的な視座からも、ただドキュンなモンスターファーザー、と一概に言い切れないものを有してはいて。
 そのあたりは近親相姦の業の深さ、怖さを相対的に披瀝して、けれどそれでも二人はその茨の道を征く、それだけの覚悟と愛があるのだ、という説得性に繋げようとしているのかな、とも思います。
 そもそもこの人は遥シナリオでも、近親相姦のその先で二人が幸せに暮らしました、という御伽噺的な結論に至るのを敢えて避けているわけで、クインダブルの時がどうだったかはプレイしてないから知らんのですけど、そのあたりは一貫した理念に基づいているのかなぁ、という気はしますね。

 とにかくそういう経緯を踏んで、紗矢がようやく自分の出自の確かなところを確信に至ることで、改めて生じる渇望を、けれどもうそれはどうしようもない、と諦観を抱く中で、ああいう形で綺麗なオチをつけてきたのは中々のトリックだったと思います。
 私も単語の綴りがおかしい、って最初に勘付いたけれど、それでも流石にインドネシア語とまでは発想を繋げにくかったですし、でもよくよく見ていけばそれを示唆する伏線はしっかり引いてあるんですよね。
 その点千歳のそれに比べて非常に重厚で、かつその想いが明快かつひたむきに伝わってくるオチになっていて、この密度の高いシナリオを絶妙な味付けで締めくくってくれたな、と喝采したいですね。

 これは本当に、流石に非の打ちどころはない、とまでは言わないものの、厄介な部分にもしっかり思想性が感じられる精緻に練り込まれたシナリオだと思います。
 それだけに他との完成度の差が本当に勿体ないですし、これ単品だけなら23〜4点つけてもいいかな、って思うくらいなんですけど、他3本で取ると13〜4点になっちゃうので、結局中庸を取るとこの点数に落ち着くという。。。
 まぁ余程凄みのあるシナリオならそのプラス要素をより大きく見積もっても、とは思うのですけど、流石にそこまでではないですしね。



キャラ(19/20)

★全体評価

 基本的なステータスとしては面白いヒロインや脇キャラがいると思うんですけど、そのポテンシャルをシナリオが生かし切れてない面が強いですし、確かに純粋なイチャラブそのものはそんなに質が悪くないんですけど、やっぱりそれってそれだけで完全に切り分けきれるものではなく、良質なシナリオに支えられてこそ、って面も間違いなくありますからね。
 そういう部分や、個別で横の繋がりが頓に薄くなってしまう弊害なども含めて物足りなさはありますし、明確に不快感をもたらすキャラも跋扈しているので、少し割り引いておきたいかな、と思います。

★NO,1!イチオシ!

 シナリオが足を引っ張ったとはいえ、それでもギリギリで千歳が紗矢から逃げ切ったかなぁ、というところ。無論シナリオ補正込みだと圧倒的に紗矢に軍配が上がりますが。。。

 とにかく基本的に見た目があざといまでに可愛いし、ポーズも表情も可愛いし、言動もどこか朴訥ながらユーモアもあって愛らしいですし、CVも個人的にはこういう控えめタイプの小鳥居さんかなり好きなので大歓喜だったしで、概ね期待通りの破壊力を発揮してくれたと思います。
 中々くっつかずにやきもきさせられるとこなんかも千歳らしさが出ていて嫌いじゃないですし、一旦触れ合った後はどんどんそれに傾斜して甘えてくれるのもすこぶる可愛く、色々な意味で非常に満足度は高かったです。本当にシナリオの完成度さえ高ければ殿堂すら視野に入るレベルなんですけどねぇ…………。

★NO,2〜

 紗矢は流石の妹力でした。
 設定的にコテコテの兄妹とは感性の違うところもありつつ、それでも家族、というカテゴリに対する純粋な憧れと、男女としての思慕をひたむきに両立させ、貪欲にその発展を追求していく姿勢は流石だなぁー、と思いましたし、頑張って主導権を握ろうとしても時々ちょろくて逆転を食らってしまうあたりとかも可愛げがあって素晴らしく良かったと思います。

 キャラデザ的にもCV的にも、千歳には及ばないもののかなりの好み度合いでしたし、何気にHシーンの質という意味でも一番良かったなぁと思いますし、この点は期待以上の素敵ぶりでしたね。まぁ総合的に見ると期待以下の部分もあるのでトントンなんですけれど。。。

 芳野も基本的には好きですけど、やっぱりインパクトが薄くなっちゃうのはありますね。最初にクリアしたせいもあるでしょうが、その後が空気過ぎるからなぁ。。。
 こういう快活だけど女子的な感性も繊細に持ち合わせている、って塩梅は好みでしたし、猫口になってニヤニヤしているのがとても可愛かったので意外と拾い物ではありました。

 美綾は正直重いのでキャラとしてはドンマイですが、立ち位置は不憫なのでその辺で切り捨てきれない感はありますね(笑)。
 桜花はしかし9年経っても成長しないとはなんたる、なんたるご褒美(笑)。いや流石に手抜きじゃね?とは思ったけど。
 若菜はまぁ、ヒロインとしてはおまけもおまけだし、紗矢シナリオでの存在感はそこそこあったのでその辺も含めて嫌いじゃないですけどね。


CG(16/20)

★全体評価

 基本そこまでキャッチーで鮮烈な絵柄ではなく、作風にはマッチしているとはいえ抜群に上手い、というほどでも、安定感に長けている、という感じもなくて、かつ量的にもやや不足気味となるとこのくらいが妥当なラインかなと思います。

★立ち絵

 ポーズはヒロインで2種類、サブで1種類ですね。
 基本的にちゃんと個性が反映した味付けになっていますが、それにしても千歳の猫の手はあざとい可愛さでしたな。。。

 服飾はヒロインで5種類、サブで2種類でしょうか。
 学園が舞台の割にそれ絡みの服飾、引いてはイベントが限りなく少ないのは微妙なところではありますが、私服が普段使いとデート用の2種類あるのと、寝間着がきちんと完備されているのはポイント高いと思います。
 お気に入りは千歳制服、デート服、水着、沙矢私服、水着、芳野バイト服あたりは可愛かったですね。

 表情差分もそこまで多くはないですが、ある程度個性で色分けしつつあざと過ぎない程度の可愛さをしっかり引き出せていて良かったですね。
 基本的にみんなジト目とほんわか顔が可愛いなーって感じですし、千歳は猫の手ポーズでの照れ顔とかワクワクキラキラとか絶妙に可愛いと感じましたね。


★1枚絵

 通常75枚にSD12枚で計87枚、パッチ適応済みです。
 やはり単純に通常絵が値段の割に少し寂しい、と感じるところはありますし、シーン数自体は各ヒロイン6回とそこそこ豊富ながら、1シーンに1枚、というパターンがかなり多いのも惜しいところです。
 当然日常の、みんなでワイワイ楽しくしている集合絵などももうちょい欲しかったですし、諸々含めて少し物足りないところでした。

 特にお気に入りは3枚。
 1枚目は紗矢の添い寝、まぁこれは純粋に可愛いというか、安心し切ってる雰囲気と恥じらいのバランス感がいいですよね。
 2枚目は紗矢制服騎乗位、この胸のラインの良さ、破れた黒ストの艶めかしさ、ペタ腰での密着具合など、実に私の好みにヒットしています。
 3枚目は千歳添い寝、これも他の絵に比べて目がパッチリしていて、なんか他の安定感のなさからすると奇跡的な可愛さに仕上がっていると思いますねー。


BGM(17/20)

★全体評価

 特別凄味があるわけでもないですが、安定して雰囲気のいい優雅な空気の漂う曲が揃っていたなと思いますし、ボーカルの豪華さなど含めてもこの点数でいいかなという感じです。

★ボーカル曲

 全部で6曲、OPと桜花まで含めた各ヒロイン毎にEDが用意されている仕様です。
 全部触れていくのは大変なのでスルーしますが(笑)、一番好きなのは紗矢EDの『背伸びをして、キス』、次いで美綾EDの『わたしのありか』ですね。

★BGM

 全部で25曲、ボーカルインストまで含めると30曲丁度なのでまぁ水準クラスと言っていいでしょう。
 基本的には当たり障りないつくりが多いですが、時々耳にうるさいくらい主張してくるのがあり、でも意外とそれが作品にピリッとした独特な緊張感をもたらしている感じもして、総合的には存外まとまっているのかなぁ?というイメージでしたね。

 特にお気に入りは『spring vision』と『彷徨』ですね。
 前者はすごく爽快で軽快な春の息吹を感じさせる出だしのイントロがすごく綺麗で好きです。
 後者は運命の残酷に打ちひしがれて立ち止まるのを、そっと優しく抱き留めてくれる誰かがいる、という、切なさの中に潜む一握の温もりの味付けが絶妙で大好きですね。


システム(8/10)

★演出
 
 まあ可もなく不可もなく、というラインでしょうか。
 ある程度は日常の立ち絵もコミカルに動くし、音や背景などの演出もそれなりには完備していて、特別目立ったところはないですけど悪くはないと思います。
 ただあのHシーンの絶頂間近でチカチカするの、もうちょい上手く出来ないもんですかね?

 ムービーは素朴な味付けでしっとりと見せていて悪くはないですけどまぁ普通、ですね。

★システム

 こちらも特に不備はなく、といって使いやすさも便利さも特別なものはないのでコメントに困るところではあります。
 強いて言えば一応共通の早い段階から選択肢の仕様上のルート分岐が発生するので、シーンジャンプがあればより楽ではあったかなと。大した差ではないでしょうけどね。


総合(77/100)

 総プレイ時間15時間ちょい。
 共通が4時間で紗矢が3時間、他3人は2,5時間前後で、おまけの桜花と若菜で30分ちょい、ってところでしょうか。

 正直全体の尺としてもフルプライスとしてはちょい物足りないですし、そしてシナリオで散々語ったようにより面白い作品にするだけのちょっとした工夫の余地は沢山あるので、それだけでも大分違ったものになったんじゃないかなぁ、と思う次第。
 まぁ正直そこまでシナリオに期待していなかったので、紗矢シナリオの出来の良さは嬉しい誤算でしたし、千歳も期待通りには可愛かったので元は取れているかなー、くらいですね。

 妹シナリオが好きな人ならやってみる価値はある、と思いますが、基本的には微妙なので、あまり力を入れておススメとは言い難いですかね。
posted by クローバー at 14:19| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする