2018年04月19日

空と海が、ふれあう彼方

 ロープラで全年齢と中々ニッチなセッティングではあるけれど、まぁ紺野さんシナリオならそうそう外れはしないだろうと踏んで購入。


シナリオ(20/30)

 青き世界と、青い春。

★あらすじ

 主人公は幼い頃は良く通っていた、祖母が居を構えている小笠原諸島に数年ぶりにやってきました。
 その理由は、祖母が経営している喫茶店がこの夏で店じまいになってしまうと聞いたからで、その手伝いがてら、いずれその店を継ぐという夢の重さと大きさを確かめるためでもありました。

 そんな旅路の途中、朝焼けに輝く船上で、主人公は神秘的な少女との出会いを果たします。
 金髪に蒼い瞳の、日本人離れした美貌を悲しみに曇らせ、じっと海の彼方を見つめる少女・エミリィ。
 彼女が手にしていたスマホを衝動的に海に捨てたことが気に入らず、思わず声を掛けてしまうものの、その場は特に話が膨らむわけでもなく、ただその愁いに満ちた横顔ばかりが印象に残りました。

 そしていざ上陸した父島で、自分を迎えに来てくれる相手を探していると、港で一騒動が起こっている事に気付きます。
 それはどうやら誰かを探しているようで、その誰かとはかの金髪少女……らしいのですが、自分を盾にその追跡をやり過ごそうと必死な様を見て思わず庇い立てしてしまいます。
 一先ず追跡者の手が届かないところまで逃げ、もしもの時の為に自分がこれから暮らす場所を告げてから港に戻ると、そこには記憶にある姿とかけ離れた、とても綺麗に、そして女性的に成長した幼馴染のちさと、その相棒のイルカのQ太郎の姿がありました。
 その姿に少しドキドキしながらも、性格的には変わっていない所を見つけてホッとし、彼女の手引きで島での生活を無難にスタート……するつもりだったのですが、手伝いを申し出た祖母はけんもほろろの対応、中々一筋縄ではいきません。

 それでも、少しでも自分の出来る事を見つけようと前向きに考える主人公は、その夜、かの金髪少女・エミリィが店先を覗き込んでいる姿を見つけ、思わず追い掛けます。
 やがて灯台のふもとに立っているのを見つけ、船上での儚い印象からもしや自殺を考えているのでは、と勘違いして止めに入りますが、結果的にそのアクションに驚いたエミリィは海に転落、主人公も飛びこみなんとか彼女を捕まえるもののそれ以上はどうにもできず、このままでは海の藻屑……という危機一髪のところでQ太郎に助けられ、九死に一生を得ます。

 しかしエミリィは転落の影響で全ての荷物を失い無一文、けれどこの島に来るのに、海に沈んだ宝物を拾い上げるという確固たる目的があり、それでこれからどうすれば、と途方に暮れている所を、祖母が自分の家でバイトしながら過ごしていい、と救いの手を差し伸べてくれます。
 ただしここに来るのに家出騒動を巻き起こしていたエミリィに残された時間は、次の定期船が島にやってくるまで。
 ならばせめてもの罪滅ぼしと、それ以上に好奇心に駆られて、主人公とちさはそのエミリィの探し物に付き合う事となるのです。

 これはとある夏に唐突に訪れた、運命的な出会いとアドベンチャーの物語。
 果たして彼らは無事に目的を達成する事が出来るのか、そしてその先に、出会ってしまった三人の関係性がどう変化していくのか、壮大な空と海を舞台に繰り広げられる、爽やかで甘酸っぱい青春の物語です。

★テキスト

 基本的にはいつものこの人らしい雰囲気ですね。
 シンプルで分かりやすい文言でまとめられつつ、しっかり心理的な機微や葛藤などを行間で表現するのが上手く、演出効果との連動性が非常にしっかりと考え抜かれた筆致になっています。
 キャラの個性的な部分ややり取りの軽妙さ、爽やかさについてもらしさはしっかり踏襲されていて、まぁこの人のここでのシナリオって大抵微妙な三角関係は混じってくるので、その部分での決してプラスなだけではない熱量も含め、青い年頃の面々の勇み足や勘違いなど、ありがちな部分を蔑ろにせず丁寧に拾っていくスタイルはやっぱり好きですし、その上で決してギスギスはしすぎず、きっちりヒロイン同士も仲良くなっていく流れが本当に楽しく、読んでいてスカッとする感じではあります。

★ルート構成

 ルートはエミリィとちさの2本だけ、選択肢的にどちらかにより親和的なものを選んでいけば問題なく分岐するのだろうと思います。もしかすると一定の好感度がないと、最後のお祭りからの個別分岐選択で選べなくなるのかもですが、そこまでは精査してません。
 まあロープライスの中でもある程度最低限のゲーム性を保持しているのはいい事ですし、王道的なヒロインの心情に寄り添う形での選択形式なので、物語の流れとも噛み合っていて問題はないでしょう。

 別にどちらからクリアしても問題はないですが、一応メインはエミリィという位置づけとは思います。

★シナリオ

 大海原を舞台にした、爽快でありつつもちょっと切なく、そしてどこまでも甘酸っぱい青春物語、ってだけでほぼほぼ説明が済んでしまうのですが(笑)、具体的にはかつて島の近くのどこかで沈んだままになっている幽霊船、そこにエミリィの両親が残してきた愛の証を見つけて、今その関係が破綻しかかっているのをなんとか修復するぞ!という部分が根幹になってきます。
 段階的には、最初の期限内で足掻くも上手くいかず、せめて島でのいい思い出を、と主人公とちさが気を配る中で、かえって危険な状況に追い込まれるも災い転じて福をなすという、いかにもなストーリーメイクでしっかり要所要所に引きと、ささやかな謎を散りばめていって、それをしっかり最後に綺麗に回収していく形にはなりますね。

 ヒロインは二人しかいませんし、一応エミリィの動向に関しては些末ながらも外的要因は作用するものの、本質的には三人の関係性がどう変化していくかで、日々の過ごし方から冒険に対するアプローチまで少しずつズレが生じてきて、結果的にそれぞれの少女が抱えたものと主人公が向き合い、それを受け止めて解決していくという王道まっしぐらの流れの中で、しっかり最低限の整合性と幸せの在り処は見出せているので、そう言う部分はロープライスならではのコンパクトなまとめ方だなと思います。

 物語的にも短いのにあまりつらつらネタバレ語るのも無粋ですし、その辺は特に触れずにサクッと済ませようと思いますが(べ、別に書くのが億劫ってわけじゃないんだからねっ!)、大枠としては本当に王道的な、一歩ずつ神秘の謎に近づいていく高揚感と、それに伴って高まる連帯感、信頼関係、やがてそれが一人の少女への恋情へと擦り替わっていく機微をしっかり追いかけていって。
 けれどその恋情が報われるにも当然一山あり、ヒロインの特別な部分により深く踏み込む事でそれを達するとともに、その関係性の変化によって生じる心理的前向きさが冒険の側にもいい影響をもたらしていきます。
 しかししかし、当然ながらその最終目的自体もすんなりとはいかず、しっかり一波乱あってもうダメか、とドキドキさせられつつも、しっかりそこまでに培った絆や努力が反映しての大団円、というお約束を完璧に踏まえている、と言えますね。

 はっきり言ってその構成は、ころげてやみあげてのメインルート部分で見せたものとすごく似ていて、ただどうしてもフルプライスでやれることとロープライスでやれることの差異というか、谷の部分の重さをあまり引っ張れなかったり、逆転劇の要因も複合的でなく、ある程度ヒロイン個人の何かに基づくワントピック的な部分で片づけられてしまうので、その点で過去作に思い入れがあるほど、ややあっさりし過ぎている、という物足りなさを感じる部分はあるかもしれません。
 ただそのあたりを差し引いても充分面白いですし、また実在の小笠原諸島を舞台にした物語、と言う事で、しっかりロケも敢行したのでしょうが現地の美しい風景や空気感をそのまましっかりゲーム内に閉じ込め、高い演出力を駆使して再投影するという補助的なプロセスと綺麗に合致している点での楽しさは過去作以上かも、と思えました。

 全年齢なのもこれでいいような残念なような、基本的にエロゲーマーの私としては物足りなさがないとは言いませんが、物語のテンポを阻害しないレベルでの甘酸っぱい青春恋物語をお手軽に楽しめるという意味ではバランスはとれていたのかな、とは思います。はっきりヒロインの年齢明示している以上、アフター的な要素でないとそういうシーンの追加パッチも作れませんし、そもそもやる気はなさそうですしね。
 ともあれ、値段とボリュームの面で費用対効果が素晴らしいか、と言われるとやっぱり首をかしげたくはなりますし、色々食い足りない作品ではあるものの、このライターさんのイズム的な部分のエッセンスはコンパクトに煮詰まっていると思えますので、むしろ過去作をプレイしたことがない人の取っ掛かりとしては結構お勧めかもしれません。
 これをプレイしてみて楽しい、特に主人公とダブルヒロインのほんのり三角関係のありようが好みだと思えるなら、ころげてやみあげて、引いては夏の雨あたりまで普通に楽しめると思うんですけどね。


キャラ(20/20)

★全体評価など

 まあ基本的に嫌味なキャラとかはいませんし、その辺は島の風土も踏まえての大らかで温かいありようが、最初は心に棘を背負っていたエミリィを本来の無邪気さに染め変えていく、というプロセスがやっぱり楽しいですからね。
 ヒロイン二人も可愛いですし、特に割り引くところはないと思います。

 一応どちらが好きか、と言われると微差ながらエミリィかなぁと。
 これがいかにもこのライターさんのメインヒロインだなぁ、って感じの程よい自信家・楽天家で、それでも変に謙遜も慢心もなく、しっかり海に向かい合う中で等身大の自分を着実に高めていく努力家の面もしっかり見せてくれますし、なによりその一途で淳良な想いの形がやっぱり綺麗だな、と思えるのですよね。
 恋愛模様としても、色々屈託があるちさに比べると本当にストレートに運命の出会い、って彩りで爽やかですし、凄く素敵な子だったと思います。

 ちさはちさで普通に可愛く、ともすれば陰キャラになりがちな重めの設定をそこそこ持ってはいるものの、そこを海を自由に泳ぎ、イルカを共にする自然少女という開放的なステータスを付与する事で上手く性格的にもイメージ的にも中和しているのかな、と。
 こっちは幼馴染ならではの屈託や積年の想い、それ故にエミリィの登場で色々ともやつく部分が隠し切れないという諸々はあって、ただその辺もしっかりエミリィ本人と対峙して想いをぶつけあって、というプロセスの中で綺麗に溶け去っていきますし、本質的にはお人好しでお節介だから、そのあたりも含めていい子だなー、と素直に思えましたね。
 そして妹ちゃんの謎キャラぶりが可愛い。愚姉愚姉言いつつすごく懐いてる感じなのがいいよね。

 そしてQ太郎、シナリオ的にも色々美味しいとこ持ってくし、基本こういう作品では癒し枠の動物キャラなのに、こっそり性格悪い設定だったりするのが面白いですね。でもそれも含めて愛嬌と思わせる匙加減と舞台効果との相乗性は流石でした。


CG(17/20)

★全体評価など

 キャラ絵そのものは決して抜群の水準ではないものの、舞台設定との雰囲気のマッチングという意味ではいいですね。ここまで大自然!ワイルドだろぉ?って感じだと、確かに基井さん絵では可愛過ぎる、ってのはまぁわかる。
 後はやっぱり、単純なヒロイン絵だけではなく、風景の描き込みとかの質の高さは流石の一言で、総合的な質感はハイクオリティに保たれているイメージではあります。

 立ち絵は主要人物はしっかり完備されていて、ヒロイン二人はしっかりポースや服飾などでもそれなりの優遇はされているので、見た目に必要なものはしっかり揃っているしまず悪くはないでしょう。
 
 1枚絵は通常28枚にSD6枚で34枚、まあお値段的には充分でしょう。
 特に良いなー、って思ったのは、ダイビングで魚群を眺める二人、エミリィとのキス、エミリィとのプロポーズあたり。あと二人で海に沈んでいくくだりの1枚絵はシンソウノイズかと思った。。。


BGM(17/20)

★全体評価など

 ボーカル曲1曲にBGM18曲で、値段を考えればかなりしっかり用意されている方だと思いますし、質も舞台設定に合わせて基本的には明るくテンポのいいもの、迫力のあるものが準備されていて、しっかりシナリオを下支えしているかなと感じます。

 このOP曲はいかにも近年のプルトップの集大成的なつくりではあり、伸びやかさと疾走感、爽快感が混然一体となるところに、今作のテーマでもあるアドベンチャア感の投影なのか、メロディラインの意外性・奔放さが加わっている感じです。
 敢えて言えば自由過ぎて掴みどころがない、完成度的な面でちょっと雑に感じる向きもなくはないですし、例えばいざ自分でメロディ覚えて口ずさもう、と思ったらめっちゃ難易度高いなー、って感じですけれど、リピートで聴いていてしっかり聴き手に高揚感を伝えてくるパワーは素晴らしい、熱量の高いこの物語にはマッチした曲だなと思います。

 BGMとしても特に可もなく不可もなく、ではありますが、基本明るい曲やスリリングな曲がメインなので、要所でこそっと出てくる切ない系の曲、『Descending』なんかの印象はかなり鮮明に残っていますね。


システム(9/10)

★演出

 相変わらず背景演出の洗練ぶりと丁寧さは素晴らしいですね。海の質感とか、花火のシーンとか今まで以上の迫力というか臨場感を感じさせましたし、それだけでも満足度は高いです。
 ムービー的にもタイトルカラーでもある青のインパクトをしっかり引きつつ、爽やかでスピード感あるセンスある仕上がりになっていて好きです。

★システム

 まあ相変わらず動作性という意味ではもっさりしてんなー、とは思いますが、概ね必要なものはあるとは言えます。
 が、いつもながら前にジャンプだけがないので、結構しっかり選択肢が出てくる作品だと厄介なのは変わらずの課題ですねぇ。それこそころげてとかみあげてはその辺めっちゃ面倒でしたし、これは尺的にはそこまででもないけど、改善されるに越したことはない、と思いますが。


総合(83/100)

 総プレイ時間7時間。共通4時間弱で、エミリィ2時間、ちさ1,5時間くらいのイメージでしょうかね。
 まあ値段を考えれば尺としてはこんなものか、とも思うのですが、ヒロイン二人とはいえ構成の段階の中で、やや2段飛ばしじゃない?的に感じる部分はなくはないので、その点では薄味に思えるかもしれませんね。
 総合して悪くはないんだけど、作品イメージとしては本当に過去作を彷彿とさせる部分も多いので、上でも書いた通りにこのライターさんの作品やった事がない人の方が楽しめる余地は大きい気はします。

posted by クローバー at 05:20| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月17日

かりぐらし恋愛

 基本的には安定して面白いアサプロですし、コンセプトも体験版も印象良く、とりわけ最初からひよりが妙に好き過ぎて買わない理由がなかったですかね。


シナリオ(22/30)

 絶妙な恋愛力学。

★あらすじ

 主人公はかねてよりの念願の一人暮らしをするべく、幼い頃に暮らしていた街に戻ってきました。
 しかし、当てにしていた元々の実家は、数年に渡る放置の影響でとても人が住めない廃屋と化しており、引っ越し初日から途方に暮れる事に。
 唯一ずっと連絡を取り合っていた幼馴染の杏姉を介して、当時もっとも仲の良かった理兎の家を教えてもらい泊めてもらおうと目論むものの、当時主人公が彼女の事を男だと勘違いしていた致命的な事実が露呈し、当然ながらその場は喧嘩別れ。

 翌日、転校初日に改めてかつての幼馴染四人、杏、理兎、ひより、絢花と話し合う中で、杏が面白半分に、仮住まいを確保できるようになるまでそれぞれの家に順番に泊めてあげよう、と提案し、行く当てもない主人公も恐縮はしつつ、少しだけワクワクしながらその提案に乗っかります。
 しかし幼馴染たち、そしてその家族は誰もかれもが一筋縄ではいかない相手ばかり。
 どこでも自然とトラブルが舞い込むような騒がしい暮らしの中、それでも幼馴染とはいえ久しぶりに再会した男女がひとつ屋根の下で暮らす事で、今まで見えなかったものや気持ちが湧き上がってくるのを押し留められるはずもなくて。

 これは、かりぐらし生活から始まるドタバタハートフルラブコメディです。

★テキスト

 ここはいつも通り非常にエッジの効いたギャグセンスが冴え渡っている感じですね。
 基本的にここの主人公は概ね2,5枚目くらいで、ヒロイン側も程度の差はあれ汚れの要素を多分に保持しているわけで、今回もその伝統はしっかり踏襲しつつ、それでも以前ほど単純ではない、複雑怪奇な乙女心や独特の個性のバランスの中で、しっかり読み口からもヒロインの複雑さが滲んでくるような工夫は感じられます。

 またかりぐらし、という特殊なシチュエーションの中で巻き起こる珍騒動の組み立てや、それに対する反応のソリッドさも流石の出来栄えで、おげ面白い、という言葉があるならそうだろう、というイメージですかね。
 当然のように今作も無駄シリアスや真面目要素は極力薄めに紡がれていますし、それをしっかり下支え、助長するテキストメイクだったと思います。

★ルート構成

 共通で順繰りにそれぞれのヒロインの家に泊まって、その都度にしっかり好感度を積み重ねる事でルート派生の選択肢が発現する、まあシンプルっちゃシンプルなつくりですね。
 ルート分岐の発生自体は3周目のかりぐらしの中での脱落式、階段分岐になっていて、とはいえ別にその階段順にクリアした方がいい、というわけでもないので、2周目かりぐらしまでは八方美人で全員のフラグ立てておいて、その上で好きな子からやればいいんじゃないかな、と思います。

 サブの二人が最初から攻略できるかは検証してないですけれど、奈々子はヒロイン全員と懇ろにならなかった時の最後の救済ルート的な位置付け、丸は絢花ルート序盤からの派生になります。当然どちらもおまけ程度の短さではありますが。
 あくまでも個人的な所感ですが、杏だけはラストにしちゃうと微妙に後味が宜しくない気がするので、それ以外の子を最後に回すの推奨です。

★シナリオ(大枠)

 基本的にはコンセプトに忠実に、かりぐらしの中で巻き起こるアクシデントや急接近、普段見えない顔や緩み、安らぎの中でときめきを育てていく、というのと、それに加えてスパイス程度に幼馴染四人の主人公争奪戦、という色合いも含まれています。
 まあそもそも、如何に幼馴染で、やむなき事情もあるとはいえ、年頃の男を自分の家に泊める、というのが最初からある程度好感がないと厳しいよなぁ、ってのはあって、その点で言うとぶっちゃけ今回の主人公、言動は3枚目だけど見た目は超ベビーフェイスのイケメンに描かれてるから、ただしイケメンに限るパワーが発動している気はしなくもない(笑)。
 あと杏に関しては、ある程度主人公の動向と成長を知っていたという中で、自分を養う候補として最初から唾をつけていた感はあるので、それに託けて、という面もありそうだけど、ただそうだとしたら概ね3/4以上の確率で策士策に溺れる結果になっているのがまたいかにもって感じで笑えるところ。

 ともあれ、それぞれのルートでも明確な成長譚とかしんみりするようなシナリオが用意されているわけではなく、あくまでもこのかりぐらし生活の延長の中で発生する幼馴染ーズの鞘当てや感情の機微、掛け合いの面白さを骨の髄まで引き出して楽しむ感じではあります。
 シナリオ性、という観点は当然あまり評価軸としては機能しないのですが、むしろ余計な雅飾がない分わかりやすく面白い、という面はありますし、それで尺や質的に物足りない、と思わせない水準に仕上げているのは大したものだと感じますね。
 去年のメクラバの時にも触れたけど、こういう方向性の作品の面白さを、シナリオ性の欠如を理由に貶めるのはいくない、と今更に反省している昨今なので、これもそこに準じた評価にしたつもりです。

 また、それぞれの家庭の懶惰狂乱ぶりやその背景なども含めて、多彩な視座での面白さや発想の自由さを感じさせてくれますし、無論かなりの暴走キャラばかりなので時に辟易するところや、本気でないわー、と思う部分もなくはないのだけど、なにかしら自分の生活を顧みて共鳴する部分があったりするのが侮れない所ですかね。
 勿論フィクションとしての荒唐無稽さはくっきりと、むしろエッジを効かせて見せているのですけれど、その根底にある家族愛、或いは理兎に顕著な温もりを求めるメンタリティの部分など、本当に隠し味程度にほろっとさせる要素が無造作に折りたたまれているので、いかにもらしいつくりに仕上げてきたと言っていいと思います。

 個別としても特にネタバレと銘打って隠すほど中身が凄いわけでもないのでサラッと書いてしまいますが、とりあえず評価としてはひより>絢花>>理兎>>>>>杏くらい。

 どうしても個人的に杏は受け入れがたい部分が大きかったです。
 基本的に怠惰で、けれど自分の可愛さと肉体的魅力をはっきり理解しているから、それだけで男を手玉に取っていける、と傲慢に思い込んでいるあたりはやっぱり正直に言えば嫌いです。
 勿論それが遺伝・生育環境的にやむなし、という部分も、そういうダメ女を養う男の器量を楽しむべき、と敢えて肥大化してキャラ性を作っている部分も明示的なのでわかるっちゃわかるんですけれど、やっぱり私の趣味嗜好としては可愛い女の子は甲斐甲斐しくあって欲しいのだ(大時代的)。

 その癖いっちょ前に嫉妬や独占欲は見せたりするし、他のヒロインとの絡みでもあれこれめんどくせぇー!って部分を垣間見せるので、本当に受け止める側の寛大さがないとどうにもならんなぁ、ってのはありますかねぇ。
 むしろ嫉妬に狂う理兎に同情してしまったり、このルートだとひより三周目に入る前に分岐しているので、まだひより自身がそこまで主人公に秋波を送ってこず、嫉妬で打ちひしがれる理兎の代償的な愛を独占してウマー(^^♪ってなってるところの方がほっこりして好きというかね。。。そんなダメヒロインほっといて、二人とカラオケ行こうよと本気で思うのはやっぱりレアケースだと思う。

 せめて個人的にこういう怠惰キャラがロリっ子だったら、見た目から素直に庇護欲を感じてまだ受け入れる土壌はあるんですけれど、他のヒロインや、それこそ主人公にすらおっぱいだけ、と評されるフェロモン全開年上お姉さんでこれをやられると難しかったです。
 まあ裏を返せばかなりストライクゾーンは狭いけど、趣味嗜好がバッチリ嵌る人にはこれ以上ないときめきを与えてくれる存在になり得る尖り方、とも言えますし、ただその辺はいずれどのくらい需要の幅があるのか評判を調べてみたいところではある。

 理兎の場合は、一番最初にプレイした時は非常にストレートに好意を示してくれるし、とても甲斐甲斐しく世話してくれて、だけど甘やかし過ぎずにきちんと「二人」の生活を意識し、楽しんでいるという雰囲気がひしひしと伝わってきて、その初々しさと寂しさの裏返しの甘えのさやかさに、実にこの子らしいとキュンキュンさせてくれたのは確かです。
 ただ他のルートに比べると、ここだけ家族の存在が出てこないのでどうしても多角的な面白さの提供は難しいし、一般的な同棲甘々カップル譚と明確な区別や差異を感じさせる部分での弱さはあったのかな、と最終的には感じますね。

 まあ個人的には、このルートだとひより三周目以降だから、かなりひよりが主人公ラブになってて、髪飾りなんかも全力で見せびらかす方向に走っていて、その繋がりの中で仄かに三角関係と波乱の予感を醸しつつ、でもやっぱり理兎も好きだから、とあれこれ気にかけてくるあたりが素敵でした。ひよりのお泊まりシーンとかめっちゃ楽しいもんね。
 全体的な幼馴染四人の関係性の上でも、基本的にひよりのフットワークの軽さというか立ち位置のバランスの良さはどこでも比較的目立っていて、逆に絢花は年下というのもあるのか、ここまでの2ルートでは個別に入るとほぼ賑やかし以上の強みにはならなかったのは勿体ないところではあるかな、とも思います。まあそこはひよりと仲悪い設定だから仕方ないっちゃないのかもですが。

 でもそういう面があるだけに、逆に絢花ルートはこの子の魅力全開で期待以上にすごく面白かったです。純粋に読み物の内容としてはひよりルートと遜色ないくらいは好き。
 正直この作品、それぞれのヒロインに対しての主人公のスタンスが柔軟過ぎるだろ、って部分はあって、まぁそれもかりぐらし、という気忙しい生活の中で、敢えて我を出し過ぎずに郷に入っては郷に従え、的な精神の発露(というには個性的過ぎるのはお約束でもありますが)としての結果なのかもですが、まあ絢花に対しては最初からお兄ちゃん呼び強要で比較的奉仕的精神を求めているように感じるので、本当に杏ルートの主人公と同一人物か?なぁんて思わなくはなかったり。

 まあその点はむしろ杏ルートの方が異端だと、責任は全部怠惰ボインに押し付ける方向で私の中では処理されていますが(笑)、ともあれこのルートは分岐が一番最初なのもあり、年下の子がその立場を盾にちゃっかり出し抜いた感が強く出ているのと、それを強調するかのような秘密恋愛協定の存在がとても味わい深い匙加減になっていたと思います。
 その付き合いを隠したままに他の家を泊まり歩いたりする中で起こるハプニングややきもき感なんかはすごく面白かったですし、他の三人って比較的恋愛面では臆病というか待ちの姿勢、ってところはあるから、そういう日和りっぷりを眺めて内心悦に浸っている絢花の愛らしさがすごくツボだったりもしました。

 それにこの子の場合は家族が一番個性的で攻撃的でもあり、日々のトラブルやドタバタの醸成には全く素材が尽きない部分もあって、さりげなく妹様分岐なんかもあったりで本当に波乱万丈、って感じが中々に宜しいかと。
 そういう油断ならない日々の中でも、しっかり家族の手綱は握り、ライバルの動向にもセーブを効かせていく絢花の手練手管の鮮やかさも面白かったですし、その中でも白眉はやっぱり理兎のお姉ちゃん懐柔でしょうねぇ。

 理兎だけはもう二周目の段階で主人公好き好きー、が確定しているだけに、理兎⇒杏と順番にクリアしてくる中で、自分のルートの清楚可愛さとは裏腹に、他ルートでは嫉妬丸出しの面倒キャラになっちゃうの?って懸念していたんですが、結果的に他三人のルート全てでちょっと違った形での面白さを出してくれていて、そこは非常に高く評価している部分です。
 しかもその点でも煽りを食うのはひよりだったりするのが、絢花との関係性の中でいい味わいになっているし、ただそういう立ち位置でも別に凹む事なくあっけらかんとしたスタンスでいられるひよりってのはいい弄られキャラでもありますよね。

 おまけにそういうどこか抑圧された恋愛の中で、でもむっつりの絢花は色々我慢できないの!的な形での滲み出るエロさが、一番年下とは思えない破壊力があったりで、そういうシーンの価値としてもこのルートが一番良かったかなぁ、なんて思ったりも。まあ文章的にはなんかもう少し清楚さを残してもいいのよ?って感触はなくもなかったけれど。

 当然この仕掛けの中で、いざ真実を公言、というタイミングでのギャグ的盛り上げ方もお約束的に楽しかったですし、まぁひより贔屓の私としてはそこまで察しが悪いか?って思いはあるんだけど、ただ一応このルートだと三周目には入ってない、かつ年下の絢花相手だから見栄とか意地、先入観もあって、そういう諸々のフィルターが目を曇らせていたという面はありそうではありますね。
 まぁ人間関係性としても、絢花が主格となるならそりゃ最大の当て馬が…………ってのも、共通からの連関性で一貫していたのが大したものですし、このルートは本当に素直に面白かったと思います。

 最後にひよりルートですが、これはやっぱりヒロインそのものに対する贔屓目のフィルターが大きい部分はあれど、物語としてもそれなり以上にしっかり面白かった、というのは確かですね。
 どうしてもひよりってのは他のヒロインからもそこそこ雑に扱われてなんぼ、的なところはあるし、そう言う面をある程度反映しての、恋愛関係公言してるのにお泊り生活継続、ってつくりがまず面白く、各人の過程にカップルで揃って泊まりに行く中で派生するまた別ベクトルの化学反応が本当にキャッチーで楽しかったなぁと。

 そういう仲間的な仲の良さの合間に、しっかり恋人らしいイチャエロも挟みつつ、でもやっぱりひよりとの関係で一番楽しいのは普段の飾り気ない自然体のやり取り、ではあると思うんですよね。
 この辺は共通からもはっきり見えていたとは思うんですが、四人のヒロインの家に順繰りに滞在する中で、基本的にはひよりの家が一番肩肘張らずに過ごしやすい、ってのは間違いなくあったと思うし、バイト先、って部分からも一番馴染み深くなっていく面もありました。
 またひよりとの相性というか、程よく相棒的な、ざっかけないやり取りの中で性別を意識し過ぎずに過ごせる面は、ある意味では元々主人公が男だと勘違いしていた理兎相手に無意識的に求めていたものでもあって、けど最序盤にああいう形で理兎とはぎくしゃくせざるを得ない中で、その代償的な立ち位置としてすっぽり嵌り込んだ雰囲気はあるんですよね。

 だからこそ、いざ恋人になってもガラッと関係性が変わるわけでもなく、あくまで一番自然体のこの二人らしい在り方の延長線でいられるのが、かえって他ヒロインの感情を逆撫でせずに認めていく方向にシフトさせているのもいいなぁ、って思いました。
 また二人とも気働きが良くて、自分から率先してテキパキ物事を進めていくタイプ、かつ人に頼ること自体は躊躇いがない、という所での連帯感の強さも、それを意識的に、杓子定規に紡がねばならなかった理兎や、そもそもそのバランスが程度の差はあれ崩壊している他の二人に比べて、対等で理想的な関係性に映る、ってのは贔屓の引き倒しなんでしょうかねぇ?

 ともあれ、そうやって新たな二人の関係性を周知させつつも、その中で今までの横の繋がりをアップデートしていく過程の面白さと、それぞれの家庭の味を見知る中で、元々親孝行なひよりが辿り着く結論的な部分もお約束ではあれほっこり心温まるものではあって、基本的に母親の暴走がウザい!という意見は出るかもしれないルートですが、それも母一人子一人の密接な親子関係からの派生、と思えばまぁ、ってところでしょうか。
 なんだかんだで恋人関係にスプズブに溺れて、普段のサラッとしている時と、甘々デレデレになっている時のひよりのギャップの可愛さという面でも大満足でしたし、まあむしろ面白可愛過ぎてえちぃシーンでもそっちが先に立ってしまうなんてデメリット(と言い切るのも忍びないが)もありましたが、この子目当てで購入した身としては大満足の内容だったと思います。

 以上、総合的に突き抜けてどうこう、という面はないけれど、コンセプトに忠実に、斬新な視座も含んで非常に楽しい日常と恋愛模様を提供してくれたと思いますし、温度差や好き好みの差は出るにしても、誰かしらの恋愛模様はツボに入ってくるだろうバラエティ、バリエーション込みでそれなりには評価したいですね。
 まあ私の場合どうしても杏ルートの存在が足を引っ張って、点数的にもここが限界かなー、って感じにはなりましたけど、過去のアサプロ作品の中でも個人的には1、2を争う面白さ、好み具合だったと感じています。


キャラ(20/20)

★全体評価

 まあシナリオでも散々触れたように杏だけは徹頭徹尾好きになれないんですけれども、それでも脇に回った時の程よい存在感や、幼馴染の中での波乱素なども含めて必要なキャラだったのは確かだし、そのマイナスを凌駕してくるそれぞれのキャラの個性豊かさと面白さ、そして絢花とひよりの可愛さで充分お釣りがくるというか、概ね大満足できていますね。

★NO,1!イチオシ!

 ここはもうひより一択なのです。
 正直公式でキャラ紹介が出た時から大好きで、体験版やってみたら益々ぞっこん好きになってと、最近ここまで事前の好感度が高いヒロインはいなかったレベルで嵌っていたので本編やってどうかなー、と逆に心配していたのですが、嬉しい事に杞憂に終わりましたね。
 いやー、ほんともうひより可愛過ぎですわ。自分でもなんでこんなに好きなのかわけわからんってくらいに大好きです。シナリオ的な引きがなかろうと問答無用で殿堂入りです。。。

 口調なんかは中性的で雑で気兼ねない感じで、大枠的に見た時にアサプロ特有の汚れヒロイン筆頭なのか、と思わせておいて、実のところ一番まともなヒロインだったよね、ってのはまずあります。
 気安い子だけどきちんと感性的に女の子はしてるし、ボケタイプと見せかけて実はツッコミタイプで気遣い屋さんだったり、地味に家庭的だったりするのもポイント高く、なにより本当に主人公との相性が良くて、ささやかなじゃれ合いとかふざけ合いの中で通う空気感が本当に暖かく愛しいものでしたね。

 恋愛面でもすごく一途で、ぞっこんなところはありつつも、不必要に束縛したりべたべたしたり、って程でもなく、それこそ共通で本人が口にしていたようにある程度理性的に制御出来ている部分はあって、その分甘えていいタイミングではガーッと衒いなくそれをさらけ出せる自然体の部分が本当に滅法可愛いと言わざるを得なかったのですな。
 それに単純に外見的にも一番好みなのは間違いなかったし、なんか作中では金髪ディスが横行していたけれど、そういう弄られ上手な部分も含めていいムードメーカー的な役割をも兼任していて、どのルートでも存在感充分だったのも私的には非常に嬉しいところでした。
 本当に、ここまで一目惚れから青天井に好感度が上がり続けてフィニッシュするというのもレアケースですし、大満足させていただきましたね。

★NO,2〜

 次はシナリオに引っ張られる部分もあって絢花になりますね。
 他ルートだと妹主張程度しか存在感を見せられないのが勿体無かったですが、その分自分のルートでの爆発力は半端なく可愛かったと思いますし、いざやるとなったら手段も選ばない、少しベクトルの外れた優等生らしさを存分に発揮してくれるのも、見方によっては甲斐甲斐しいというか可愛げがあるというか、色んな意味で魅力的でしたね。
 無論通しでお兄ちゃん呼びしてくれるのもポイントは高いですし、癖は強いけどすごくいい子だったと思います。

 理兎は悪くはないんだけど、総合的に見て自分が恋愛主体となった時の普遍的な部分が終わってみればやや物足りなく、むしろ脇で嫉妬キャラ面を強く出しながらの変幻ぶりの方が面白かったりするのがね。。。
 特に絢花とひよりルートでの理兎の独特の可愛さは中々でしたし、終わってみると一番普通そうに見えて一番体張ってギャグかましてたのはこの子の様な気すらするから不思議だ(笑)。

 奈々子は結局ラストまで正体不明で終わってしまうし、独得の味がある面白いキャラだっただけにあそこまで使い捨て感アリアリだったのは勿体なかったですけどねー。


CG(17/20)

★全体評価

 いつも通りに立ち絵はバリエーション豊かで、特徴的な変顔を多彩に取り揃えてのギャグテイストの強みを生かす方向性がしっかり出ていましたし、その分一枚絵との印象での乖離がなくもない、ってのはいつもあるのだけど、でも総合的に見て安定して可愛かった、とは思います。

★立ち絵

 どちらかと言えば立ち絵の方が可愛く評価も高いですね。
 ポーズもそれぞれの個性をしっかり反映した、可愛さと面白さを丁寧に塗した雰囲気が良く出ていましたし、正面向きのひよりと絢花は大変に可愛く眼福でした。

 服飾もそれなりにはバリエーションがあって、きちんとデート服搭載なのは一応恋愛主体の作品としてはポイント高いでしょうかね。あと地味に制服の、ブレザー脱いでいる時の差分がみんなエロいと思うんだなこれが。。。
 ひよりの制服、寝間着、デート服、和メイド、絢花私服、デート服、理兎デート服、パジャマあたりが好き。理兎は髪を下ろしてる時の方が断然可愛いと思う。

 表情差分もこのメーカーなので汚れ的な部分もしっかり搭載しつつ、そのギャップでの可愛さもしっかり細やかに見せられていて大変に宜しいかと思います。
 個人的にひよりの正面向きの素の表情がめっちゃ可愛いなぁと思うのだ。色々感情豊かな子だけど、実のところ黙って澄ましていると普通にめっちゃ美少女だよね。

★1枚絵

 通常74枚にSD10枚で計84枚。
 決して多くはないけれど大体いつもここはこのくらいだし、相変わらずSDがとっても可愛いな、ってのと、1枚絵も立ち絵の雰囲気と少しずれてくるところはあるとはいえ、これはこれで可愛く安定して魅力的に描けているとは思うのです。

 特にお気に入りは理兎着替え、ひより和メイド、カップル記念、膝抱き愛撫、絢花エプロン、立ちバックあたりかなと。


BGM(17/20)

★全体評価

 全体としてはコミカルでアップテンポな雰囲気が強く、それでいてキャラの濃さからは一歩控えて爽やかに下支えするようなバランス感はいいかなと思いますし、要所でしんみりさせてくる曲などの出来は中々良かったなと思います。

★ボーカル曲

 全部で2曲。
 OPの『ふわり恋模様』は清々しく疾走感があって、バックのピアノの透明感がすごくいい味を出していて悪くないんですが、個人的にメロディラインとしてA〜Bメロの出来はかなりいいのに、なんか微妙にサビのメロディにずれを感じるんですよねぇ。
 総合的に、途中までは聴いていて楽しいんだけどなんかサビで肩透かしになる感じで、アマツツミのOPなんかでも似たような事書いたけど、こういうのも竜頭蛇尾というんでしょうかね?
 
 EDの『君が好き』はタイトル通りにストレートな恋愛成就の歓びを示したEDらしいEDで、爽快感と温かさがバランス良く表現されていると思います。
 ただ曲としてのインパクトはまあ普通、ってところで、毀誉褒貶が激しいOPに比べるとすごく無難なイメージではありますね。強いて言えばBメロのコブシの効かせ方が好きで、やっぱり少しサビであれ?ってなる感じ。

★BGM

 全部で23曲と水準にはギリギリ足りないか、くらいですが、質としては安定していますかね。
 基本ドタバタシーンが多いのでそう言う曲調が強めではあり、キャラ曲なんかもどこか遊びが強く出ている中で、ストレートに切ない恋愛観を投影している『please,stay by my side』と『午前三時、ないしょのデート』がすごく気に入ってます。


システム(8/10)

★演出

 まあ普通、ですかね。
 機能的な面よりもインパクト面で面白さを出す特色なので、それも総合して演出力と見做すなら安定して面白いですけれど、機能的な部分を強く出しての、となるとやっぱり旧態依然とした部分は強いですし、そこまで活発にそういう面を採用して勝負する、というところではないんだろうなぁ、って思います。
 ムービーはいつもながら非常にセンス良く、スタイリッシュで洗練されており、曲の雰囲気ともマッチしてかなり好きですね。

★システム

 こちらも特筆して目新しいものやきめ細やかさはないですが、必要最低限は一応完備しているかなと。
 まあジャンプがないので周回プレイとかだと面倒かもですが、そのくらいですかね。


総合(84/100)

 総プレイ時間18時間ちょい。共通が5時間の個別が3時間ずつで、あとおまけの二人が30分ずつくらいのイメージですね。
 全体尺として水準には達していますし、それをまともなシナリオ面の補助なく、かりぐらしとそこからの恋愛関係のドタバタだけで味気なくならずに最後まで埋めきったというのは評価していいポイントで、少なくとも中弛みしてどうこう、って面を感じる余地がそもそもないというのは面白いところです。

 どうしてもヒロインの好き嫌いに幅が出そうなチョイスではありますし、私もその点で多少割引はしましたが、好きなヒロインがいるならプレイしてみて損はないでしょう。
 特に絢花とひよりは可愛いので、個人的にそこは超おススメです。
posted by クローバー at 04:45| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月10日

RIDDLE JOKER

 常に最高の萌えを約束してくれるゆずの新作ですし、今回もキャラデザからCVから鉄板も鉄板だったので、そりゃあ買わない理由がないでしょうと。

シナリオ(20/30)

 本当に暴かれるべきは。

★あらすじ

 舞台となるのは、かつて未知の力であった超能力の正体がアストラルという粒子の干渉に拠るものと判明し、それによって徐々に世界にアストラル使いが増加している世界。
 しかしまだその、体系化すらされていない、個々人の資質によって全く別の能力を有する不可思議で不気味な力を厭うものも多く、制度としても整っていない過渡期の中で、アストラルの力を保持しているものは様々な迫害や偏見とも戦っていかねばならない時代の物語となります。

 そんな中でも主人公は、孤児にしてアストラル使いと、世間から白い目で見られる要素を二重に抱えた不憫な生まれ育ちの中、その力の持って行き所を見失って暴れてばかりでしたが、それを見かねた今の養父に引き取られてからは少しずつ真っ当な生き方を会得していきます。
 そしてその父親が、現状ではまだ法律の関係上大手を振って披露できない組織ながら、アストラルの力を社会正義の為に用いる仕事に従事している事を知り、そこなら自分の居場所もあるかもしれないと、同じような理由で引き取られた義妹の七海と共に、若い身空で非合法組織の工作員として、日々その力を奮っていました。

 そんなある日、アストラル研究の最先端で知られる鷲頭学園都市への潜入捜査を命じられた二人は、身分を偽り、ごく普通のアストラル使いの転入生として学園の寮に入ります。
 その流れの中で、生徒会長のあやせやクラスメイトで寮長の羽月、学生ながらに研究者の肩書を持つ茉優などと知己になり、人見知りの七海にもクラスで早速に千咲という友人が出来て、無難に学園生活に溶け込む事に成功し、それと並行して本来の目的である潜入捜査も進めていく事になります。

 しかしある晩、いつものように潜入捜査の帰り際で警報が鳴り響き、その様子を調べに行くと、生徒会長であるあやせが侵入者に攫われそうになっている場面に出くわします。
 咄嗟に正義感を発揮し、その場を自身の力でなんとか収めた主人公ですが、その結果として主人公の正体があやせに露見し、それと同時にあやせが抱えていた大きな−本人にとっては−秘密である、あやせのグラマーなスタイルが偽乳で作られていたことを知ってしまうのです。

 結果的に、完全に、ではないものの互いの秘密を共有する事になった二人、そしてあやせが襲われた事も事実としてあり、組織の秘密を守るために主人公は咄嗟に、自分の目的があやせの陰ながらの護衛である、と宣言してしまって。
 その本来の目的とは外れた仕事を自分から抱える事になりつつ、しかしその事件は社会の大きな闇へと繋がっているもので、結果的に主人公の目的とも絡み合って大きなうねりとなっていくのです。

 果たして主人公は、その闇を駆逐して学園に平穏を取り戻すことが出来るのか?
 その過程で様々な相手の想いや人柄に触れる中で、今まで考えたこともなかった学生生活の歓びと恋のときめきを知り、その想いは果たしてどこに向かっていくのか?
 これは、社会の大きな力に翻弄されつつも、自身の想いに忠実に真っ直ぐ生きようと立ち向かう、アストラル使いの少年少女たちの成長と絆の物語です。

★テキスト

 舞台背景が結構重めではありますが、読み口自体は概ねいつものゆず、という感じで、軽妙な掛け合いの面白さの中でしっかりキャラの可愛さ、萌え力を引き出していくあたりは安定して面白いと言えます。
 文章的にも特に引っ掛かるところは少ないですし、改めて雅味があるとかそういう事はないですけれど、スルッとテンポよく頭に入ってくるのでその辺は楽でいいですね。

 ただ今回の場合、これは単純にテキストの問題ではないですが、どうしても色々掛け合いの中でリミッターがあるというか、大半のキャラが他に語れない秘密を抱えているので、真っ直ぐ胸襟を開いてどうこう、となりにくく、かえって羽月や千咲のような裏のないキャラのストレートな言動が浮いてしまっている部分もあります。
 その都度に罪悪感や使命感の鬩ぎ合い、という部分での厄介さが付き纏うのも面倒ではあるし、結果的に掛け合いのバリエーションが制約される中で、ヒロイン個々の持ちネタ的な特性部分に逃げ込むパターンがいつも以上に多く、そこは少しバランスを欠いていたかな、とは感じましたかね。

 個別も多少なり温度差やきめ細かさの差異は見え隠れしていますが、ただ一応読み口としての全体の雰囲気の統一感はありますし、基本的には面白かったですけどね。

★ルート構成

 今回は説くにルートロックなどはなく、シンプルに個々のヒロインの好感度を蓄積していくスタイルですね。
 所々、選択肢だけで誰のキャライベントになるのか判別し難い部分はありますが、ジャンプ機能などが充実していますからその辺の総当たりも楽ちんですし、フローチャートも搭載されているので誰を攻略したいのか、という部分でのわかりやすさはしっかり担保されていると思います。

 一応どのルートからやっても構わないとは思いますが、私個人の所感で言うなら、色々と引っ掛かりをプレイ中に残さない、という意味で、茉優⇒あやせの順番は有益に働くと思いますし、出来ればこの二人をラストに回しておくと安定かな、というイメージにはなりますね。

★シナリオ(大枠)

 最初に率直な所感を告白すれば、正直Sクラスをつけたゆずの近過去2作ほどにはのめりこめなかったなぁ、となります。
 基本的な構成スタイルとしてはそんなに変化はないとは言えるのですが、その中でどうしても細かい構成部分での差異と、それによる齟齬が目立っていたのと、それに付随して、最大の武器であるキャラの魅力を十全に引き出す面でのポテンシャルを活かし切れていない感じはするのですよね。

 まず構成スタイルとしては、基本的に最近のゆず作品は、共通の中で大筋、特にメインヒロインにそのまま太く繋がりやすい話を展開しつつ、ある程度共通段階でそれを解決に近いところまで持っていって、その上で派生的な面での他ヒロインルートと、更に深みに進んでいくメインヒロインルート、みたいなつくりになっています。
 今作も一見それを踏襲しているように思えるのですが、しかし細かい設定がもたらす差異が微妙なところで読後感の良さの脚を引っ張っていると感じられます。

 具体的には、あやせルートをクリアすれば明確にわかるのですが、この作品の共通ラストの展開で一応の解決、としている部分が、実際はまだまだ解決に至っていないし、そこで詰めを誤れば今まで積み上げてきた結果まで覆されかねない危険を孕んでいる点が問題だと思います。
 例えばサノバの寧々とか、千恋の芳乃の場合は、あれでも最低限のラインでは当人の目的や幸せが担保されていて、それ以上を望むには主人公が選んでくれないとどうしようもない、という点が明確でしたので、選ばなくてもその後の生活はそれなりに幸せに過ごしていけるのでは?とは思えました。
 でも今回の場合、そもそもの背景的な部分に外的要因が強く、それを主人公側が先制的に掣肘しにくい構図がある中で、ましてあんな爆弾を身近に抱え、本来のあやせと、引いてはこの学園そのものの目的の解決に遠回りでも無事に至れるのか?という部分でどうしても疑義を持たざるを得ない構図なのが引っ掛かります。

 しかもそれが文字通りジョーカー的役割というか、相手が捨て鉢になる中でも、それをされてしまったら全てがひっくり返されて台無し、という危険性を有しているので、そういう設定を持ち込むならばせめて他のルートではそれが発現しない理由づけをしっかりしなきゃならないと思うのですが、しかしそうはなっていません。
 どころか、その最大の爆弾とは筋の違う、けれど大元の問題に連関する事件や状況を各ルートで恣意的に引っ張ってきている、というのが大よそで、敢えて言えばあやせルートに明確にリンクしているのは茉優ルートだけだと思うし、そこは正直かなりうーん……となってしまう部分ですね。

 私の拘りとしてはいつも語っているように、外的要因の扱いが雑なのは嫌なんですよね。
 増してこの設定と共通までの流れだと、主人公サイドが敵方の意思を自在に変化させられるような条件ではないし、主人公が誰とくっつこうがなにをしようが全く影響が波及しない、完全無欠に近い外的要因になってしまっています。
 なのに各ルートで敵方の足掻き方の大小が違ったり、ルートによっては全く音沙汰がなくなってしまうのは都合が良過ぎると思いますし、その辺が話にのめりこめない大きな要因にはなっていると考えています。

 そしてそれが波及する形でもあるのですが、ゆずの最大の持ち味と私的には思っているキャラの掛け合い、特に主人公と、に限定したものではなく、ヒロイン同士の横のつながりの部分まで含めて、舞台設定とキャラ設定によって羽月と千咲以外のヒロインも公言出来ない秘密を抱えている事による制約が大きかったなぁと感じます。
 シナリオ的な意味で言うなら、それまで秘密を打ち明けられずに苦しむも、最後の最後でそれを……的な展開は面白いですし、七海ルートのラストなんかその醍醐味をしっかり出せている、とは思うのですが、その制約がある分だけ、キャラ同士の繋がりの深まりも限定的にとどめられるし、一々踏み込んでいいものか、なんて葛藤が付き纏うのもリズムを阻害する感じはあります。

 特にヒロイン同士の仲の良さ、という部分で、近過去の2作品と引き比べて考えると薄いなぁ、と思ったし、やはりそれはそれぞれの秘密保持、というスタンスが影響しているのは確かでしょう。
 それこそあやせの二重の秘密なんかは、それを告白して幻滅されるかもしれない、という恐怖を克服して語らう事で、より仲を深める導引になる、なんて面もあったと思いますし、七海なんかも主人公と同じ葛藤は持っているけれど、大抵の場面で兄に下駄を預けてしまっていて自分の気持ちを吐露するシーンが少ないので、そのあたりでもう少し工夫があって欲しかったなとは思います。

 ちょっと強引な話ではありますが、この設定でネタバレを気にせず、それを利用してしっかり横の繋がりまで誘引しようと思うなら、むしろあやせルートを一周目限定にしてしまうくらいの思い切りは必要だったと思いますけどね。
 どうしてもこの話、あやせルートで露見する裏側がしっかり解決していないと安心できない構図ですし、その根幹部分をぼかして上手く構成している茉優ルートにしても、まだ本当にそれで大丈夫なの?という疑念を持たざるを得ない面はあるのですよねぇ。
 一応あやせルートでああいう暴走が早々に発現したのは、主人公のアプローチが全く影響していない、とは思わないですけれど、それでもあの立場でいずれは身の破滅、って中、他のルートでは何もせずひっそりトンズラしてくれました、って思うのは難しいですし、それならいっそどのルートでもその問題には最小限触れて、それぞれのアプローチでそこを抑え込みつつ個々の物語に展開していくくらいの力技はあっても良かったのかな、と感じます。

 とどのつまり、この秘密工作員的なスタンスでの物語構成の中で、かつ大元の問題を舞台の外側に重く置いてしまっている事で、それは確かにその舞台の歪と、その中で足掻くアストラル使いの想いを体現する、という面では効果的な部分もあったかもしれませんが、総合的に見た場合そのメリットよりも、個々のルート間での温度差や恣意性、そしてキャラの魅力を十全に生かし切れない、痒いところに手が届かないもどかしさによるデメリットの方が大きかったのではないか、という印象になります。

★シナリオ(個別・ネタバレ)

 上記の点で全体的な評価が削がれた、という上での個別評価は、あやせ>茉優>七海=千咲>羽月くらいです。
 まあ全体的に整っていてバランスは良いですし、羽月でも水準クラスの面白さはあったと思いますが、上の方が結局設定に足を引っ張られて突き抜けられていないイメージですね。

 下から順に羽月シナリオ。
 ここは基本的にヒロインの側には秘密がなく、ストレートに羽月の趣味や想いに共鳴していく中で惹かれつつ、それでも自分の立場でそれが許されるのか、って葛藤が重かったのと、それが一部露見してからの煩悶、そこからの解決編に至るまでまずこのヒロインならではの王道的なつくりでした。

 奇を衒うところはなかったですし、ひとつひとつのイベントの中で、羽月の個性がしっかり反映した独特の反応や機微のありようを楽しませてくれましたし、恋愛模様としてはまずまず面白かったです。
 ただシナリオとしては、ベースとして時代劇の勧善懲悪・信賞必罰がべーすにあり、その上の人情譚への繋ぎという、構成面のロジックを完全に依拠している感はあり、また羽月も将軍様リスペクトし過ぎだろ、って面はあります。
 シナリオ構成としてもそれに合わせた形での事件の発生と解決になっていて、そのトリック的な部分も特に特別さはなく、最後まであくまでも時代劇らしさを貫いてくることでの浮いた雰囲気はあったかなと思います。

 まあ基本的に羽月自体が、この腹に一物抱えた面々の中で、千咲ほど空気も読めないし機微にも精通していないから大抵浮いた感じにはなってるし(笑)、その中でこの子から胸襟を開いてあやせに対する恋情の吐露なんかは良かったですけれど、横の繋がりと言ってもその程度になっちゃいますし難しかったですけどね。

 次いで千咲シナリオ。
 こちらはサブでもあり、より大枠的な事件とは乖離した軽い内容ではあってその点は当然褒められないものの、千咲というヒロインのアクティブさと真っ直ぐな正義感の発露を如実に示す、という意味でのイベント構成は悪くなかったと思いますし、惹かれ合う過程もすごくスムーズで綺麗だったなと。
 他のシナリオよりも主人公側の葛藤が重くないのはサブならではのショートカット、という気もしますが、正直あれがそこまで必要だったか?という面でも難しさはあるので実はこのくらいのシンプルさは肩に力が入らなくていいな、って思いますし、七海との親友関係も含めてバランス良く楽しめて、単純な完成度では結構評価できるんじゃないかと思っています。

 次に七海シナリオ。
 ここは七海が想いを押さえておけなくなる、という過程を共通の選択肢だけにほぼ依拠してしまっているので、それ以外のルートですんなり身を引けている部分との温度差をきちんと証明し切れているか、となるとちょっと軽いかな、とは思います。
 また、より特班関連の問題に直結する人間関係がある中で、あやせルートとはまるで別個の恣意的なイベントの組み立てになってしまっているのはあまり感心できませんが、その分だけその流れの中での七海の魅力と、ダイナミズムとカタルシスを併用しての物語展開には出来ているとは言えますね。あやせもそうですけど、他との整合性を考えないで楽しむのならいい出来、というやつです。

 特に終盤の、自身の生い立ちから来る二重の葛藤を克服して友を頼りにするシーンなんかはやっぱり王道的ですけど楽しいですし、そしてみんなのそれぞれの力を上手く組み合わせて強敵を撃退するバトルのお約束まで含めて楽しかったのは間違いありません。
 七海自身も期待通りに素晴らしく可愛かったし、妹でもあり恋人でもある、というスタンスのバランスは元々の意識の中でも取りやすく、その上で彼女自身の過去までしっかり補填してあるから、そのあたりでの不満はそんなにないですかね。
 ただこの場合、二人の秘密意識は共有されてそこで完結しちゃうから、やっぱり横の繋がりで物足りなさは出てくるんですけどね。

 茉優シナリオ。
 こちらは純粋にヒロインとの関係の変化に置ける心情の変遷の機微とか細やかさの部分、元の関係性が織りなす思いのありようなどの丁寧さは流石の完成度という感じで、かつあやせルートの致命的なネタバレは避けつつも、別の角度からのアプローチで根幹的な部分の問題の対処に触れていっているあたりのバランスの取り方もなるほど、というイメージでした。
 ただどうしてもそれでも踏み込み切れない部分はあるし、結局そのパッチでどうにんしても先生野放しにしてていいのかよー、的な危機感は残ってしまうのがもどかしいですが、ただ地味にフェードアウトさせていた感もありますしその辺気にさせない方向での制御は効いているのかな?と。

 ヒロイン的にはどうしてもやっぱり一番好みから土台としては外れるところでしたが、年上らしからぬダメっぽさとかコンプレックスの強さなども含めて、そこまで年上感がない感じも含めて意外とすんなり好きに慣れたところはありますし、全体としてはやはりそこに至らないと落ち着かない、という一端に届いている部分を含めてそこそこの評価は出来るかなと思います。

 最後にあやせシナリオ。
 こちらは共通からの流れを一番綺麗に受け継ぐ正統派シナリオですし、また結局のところ共通で一定の秘密の共有という特別な意識が内包されている以上、そこからステップアップしていく関係性に一番無理がないし、主人公としてもある程度踏み込みやすいという点での味付けのバランスの良さはありました。
 結局のところ終盤に至るまであやせの側も自分の秘密を保持したままで進んでいくから、特班側のアプローチでも中々進展がなく、というよりこれだけ好き勝手やってるのにそれわ気付けないとか実は無能なんじゃね疑惑もなくはないのだけど(笑)、そのあたりが判明してからの物語の疾走感・盛り上がりは流石に素晴らしかったとは思います。

 ただ結局、その醍醐味の部分が他のルートでの癌になっているという裏腹な部分も含めて手放しで褒めにくいなー、ってのはあるし、そういう意識を持っているならせめて茉優あたりとはもう少し緊密でも、とは思うんですけどね。
 秘密の開示、という意味でも結局あやせ自身が素を見せたのは主人公だけに留まるわけですし、それを読み手が特別感と思うか否かは、読み手のスタンス、俯瞰的な立場か感情移入的立場かによって分かれる気はしますが、私は俯瞰的に物語を楽しむ方なので、出来れば他のヒロインにもどこかで秘密を吐露して関係を深め、その力も借りて、という展開があって欲しかったなとは思います。

 また、一応最低限このルートで、主人公がああまで先生に積極的にアプローチする事で暴発を結果的に早めた、という可能性は見えてきますが、それでも彼女がどうあれ共通の流れの時点で窮鼠なのは間違いないので、せめてこのルートで、それを掣肘する肝の部分を提示しておいて、実は他ルートでは自然にそれを達成していたんだよ、くらいの擦り合わせを組み立ててくれれば、もっと純粋に楽しめたんだけどな、と感じる、アイデア自体は悪くないだけに惜しいルートだと思いましたね。

 以上、総合的に悪くはないですがどこかあっさりしている感じがするのは、全体の統一感・統合性が過去作に比べるとちょっと弱く、キャラの横の繋がりの中での盛り上がりが足りなかったのが直接的な原因になるのかなとは見ています。
 評価としても良作ではあると思うものの、終わってみてあまり印象に残るエピソードやキャラ性ではなかったなー、というのもあり、トータルでの評価はこの辺りが妥当かなと思いますね。


キャラ(20/20)

★全体評価

 シナリオ面でも書いた通り、秘密主義のキャラが多過ぎるせいで関係性の深まりが一定のラインで制限されてしまう気配は濃密にあり、少なくとも過去2作ほどキャラの魅力に浸り切って最高だった!とは断言できないレベルではあったと思います。
 それでもそれはゆず水準で、という話ですし、総合的なラインで少なくともキャラに対して嫌忌を抱いたりとか、とっつきにくさが際立っているとか、そういうマイナス面での癖がないのはいつも通りですから、評価としては割り引くほどではないかなという感じです。

★NO,1!イチオシ!

 最初の好感度通りに最終的にも七海が一番好きですが、それでも殿堂ラインまで届かなかったのが上の部分の影響かなぁと。
 本当にスペックとしては完璧に近く、甲斐甲斐しく気安いとても可愛い妹でしたし、かつ妹でありつつも互いに最初からある程度の異性意識はある、というバランス感の中でのやり取りのこそばゆさとか、いろんな形で絆のありようを確かめる触れ合いとか、非常に初々しくも愛らしく楽しめたと思います。

 CV的にも非常にこの子のしっかり者でありつつも甘えたい年頃、的な甘さを丁寧に引き出していたなと思いますし、口癖的なバカ、アホー、の語尾の奮わせ方とか芸術的に可愛かったなと感じました。
 絵的にも一番出来が良かったイメージですし、トータルで見ても主人公の影に隠れている事が多かったので、なにか特別この子ならでは!というインパクトがあったわけではないのですが、やはり素直に凄く可愛かったなぁ、とは言えますかね。

★NO,2〜

 次点はあやせですね。
 かなり裏の顔との乖離が大きいし、自罰毒舌キャラとして個性的ではありますが、そう言う部分がきっちり愛嬌の範疇で収まっているのがゆずらしい塩梅で、かつ恋愛面に関しては思った以上に初心で可愛らしかったのもポイントは高いです。
 実は品乳というのも私の好みとしてはむしろプラス評価ですし(笑)、色々秘密を抱えつつも飄々と、それでも目標は忘れずにコツコツ歩んでいく強さも含めて、メインに相応しい存在感を放っていたとは思います。

 その次が千咲になるかなぁ、この子が思った以上に可愛かったし、色んな部分で潤滑剤というか癒しになっていた感じ。
 基本的に自主的に横の繋がりを深めにいかない面々だけに、この子のコミュ力が場の空気を和やかにしていた部分はかなり大きかったですし、本人も屈託なく自然体でそれをやれていて、そう言う部分が恋愛観にも素直に波及していてすごく可愛かったなと思います。

 羽月もまぁ可愛かったし、あの古風な拘りとか重たい部分を上手く愛嬌に塗してフォロー出来ていたとは思うけど、全体的にめんどくささがひとしおだったのはあるのと、やっぱりキャラ構成の全体像の中でどこか浮いていた、ってのはありますよねぇ。
 チャームポイントとしての実はむっつりとか、感情の振れ幅の大きさをCV的にも上手く料理してくれていたとは思うし、ほんとうにこれはこれで可愛いとは思うのですけど、それでも上位の面々に比較すると、ってなる感じです。

 茉優も最初のイメージからの伸び幅はそこそこ大きくて、その辺はシナリオの補正もありつつ、予想よりも面白いキャラでもあったし良かったですかね。
 まあゆずの場合ボイン担当でもバランス崩壊まで進まないところはありますし、ベーシックな部分でロリっぽいのはありますからその辺もキャラ性との噛み合いでバランス取れていたかなと思いますしね。

CG(20/20)

★全体評価

 ここは流石の安定感と完成度で文句なしですね。相変わらず抜群に可愛らしくもほどよくエロく、素晴らしいヒロインの魅力を堪能させていただきましたし、SDのレベルも上がっていてあのコミカルさがシナリオの奥行きを支えていたと思います。

★立ち絵

 相変わらず抜群の差分量に支えられた素晴らしい可愛らしさ、感情の機微の細やかさを実現していますし、服飾のセンスなども含めて流石の一言、文句なしですね。
 ポーズとしては七海の正面と千咲正面、あやせの左向きあたりが好きで、服飾は羽月の制服、七海のパジャマと水着、あやせの部屋着、千咲の私服あたりが素敵でした。
 表情差分も本当にコロコロ細やかな変化と、デフォルメ的な遊びの部分も大胆に仕上がっていて良かったですし、特に七海の膨れ顔やあやせの困り顔あたりが好きですかねぇ。

★1枚絵

 通常92枚にSDが29枚、通常分で水準はクリアしつつ、今までよりもSD比率は高くなって、そこでもきっちり差分など用意して楽しませてくれるのでその点は文句なしですかね。
 無論出来も非常に高いレベルで安定していますし、そこから更に特別可愛い!って思えるのもいくらかあるので本当に最高に楽しめました。

 特に好きなのはあやせにゃんにゃん、パッド詰め、はじめて正常位、七海後ろ添い寝、水着立位、羽月壁ドン、立ちバック、千咲騎乗位、ミッション開始あたりですね。

BGM(17/20)

★全体評価

 素材の投入量としては相変わらず豪華ですけれど、元々そこまで楽曲面のフィーリングが合うメーカーではなく、前作は奇跡的に噛み合ったところはあったのですが今回は元通り、かなぁと。
 無論それぞれに悪くはないのですが、ボーカル・BGM通じてガツンと来るところはなかったし、その総合力に対してそのまま一定の評価、そこからの加点材料は特になかったという形です。

★ボーカル曲

 全部で6曲。
 どれも一定の質は保っているとは思いますがあまりインパクトはなく、強いて言うと千咲EDの『陽だまり笑顔で』あたりがいい曲だなー、と思ったくらいですね。

★BGM

 全部で41曲と数量的には充実、いつも通りキャラソンのアレンジなども多いのでそこまで実数的にはどうか、ってのはありますが、場面に合わせた雰囲気作りも含めて無駄のない質の高さは備えています。
 ただやっぱり本質的にここの曲作りは私の琴線に触れないんですよねぇ何故か。今回もこれと言って取り上げたいものもなく、敢えて言えば羽月のキャラソンアレンジバラードバージョンくらいでしょうかね。

システム(10/10)

★演出

 文句なし。
 いつも通りにキャラは細かく動いて躍動感と臨場感があり、画面の使い方も含めてしっかり計算された演出効果がしっかり反映されていて、緊迫感あるシーンでもそれなりにしっかり連動しているのでいい出来だと思います。
 ムービーは完成度としてはやっぱり前作の方が好きだなぁとは思いますが、色使いや雰囲気の作り方はやっぱり好みで良かったと思いますね。

★システム

 文句なし。
 フローチャートまで完備して、プレイ感のストレスは一切ないといって過言でないですし、細かいところまで自分好みに設定できるシステム面の充実度と遊び感まで含めて、どこもこれくらいをベースにしてくれ、と言いたくなるレベルなのは今回も健在だったと思います。この辺も一日千秋の感はありますし、ユーザビリティにしっかり寄り添ってきた結実なので高く評価すべきところです。

総合(87/100)

 総プレイ時間22時間くらい。
 共通が6時間で個別が3〜3,5時間、千咲は1,5時間くらいの計算になります。いつも通りCV聴き込み度合いで多少変動は出てくるでしょうが、ボリュームラインとして単純に見るなら、その点でもやや過去2作には及ばない感触はありますかね。
 無論水準は楽にクリアしていてそこで文句を言うのも贅沢なんですが、結局縦の比較で見た時に全体的にちょっと物足りなかった、というのは正直あると思います。

 今回教訓的に思うのは、やはりキャラの魅力が一番、という点で強みを発揮できるところを、設定面で殺してしまうのはあまり上手い方法ではないな、という所と、より大枠的な整合性を積み立てる力がないなら、やっぱりここまで露骨な外的要因に頼るのは止めた方がいい、という点でしょうか。
 そのあたりのシナリオのダイナミズムが乏しくとも、内容として総合的に面白く出来るのは担保があるわけですし、そこは色々挑戦していかなければならない部分としても、どっちつかずで踏み込むと今回みたいなことになるのかなー、という印象はあります。

 それなり以上に面白かったのは間違いないですけれど、例えばゆず作品プレイした事なくてどれをやるべき?と問われた時には、やっぱりサノバか千恋からの方がいいんじゃない?ってなりますかね。
 無論その辺はシナリオの受け取り方や感性の部分でブレはありますし、こっちの方がいいという層も一定いるとは思いますので、判断の難しいところではあると思うんですけどね。少なくともシナリオ完成度の面では私はあまり評価出来なかった作品となります。

posted by クローバー at 07:25| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月03日

ランス] −決戦ー

 平成という時代を貫いたエロゲRPGの白眉・ランスシリーズの完結作ですから、それはもう何を置いてもプレイしなくては、という話ですね。
 ただし私の場合、シリーズでプレイしているのはリメイクの1と3、それとY以降のタイトルのみですので、シリーズの総括的な感想は書きにくいですし、伏線の見落としなども多々あるとは思います。プレイ自体、一応各エンドは網羅したものの、CGもまだ完璧には埋まり切っておらず、食券イベントなどは半分以上見れていない状況での執筆になりますので、そこはご承知おきください。

 あと今回はほぼ全てネタバレになるので、個人的にあんまり好きではないんですが記事を畳んでおきます。
 一応私なりの攻略指南とか、プレイスタイルなども触れていきますし、ネタバレが嫌な人はスルー推奨です。

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posted by クローバー at 06:26| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月13日

厨二姫の帝国

 まあこれに関しては、体験版の時点でまずダメだ、という感触ははっきりありました。
 ただ個人的な思い入れが強いスタッフ陣でしたし、お布施感覚で買ってみた、というところですね。

シナリオ(11/30)

 文字通りのダイジェスト。

★あらすじ

 主人公は祖母の所有する元廃屋を修理していつの間にか住み着いていた美少女の存在を餌に、家賃の取り立てに行かされます。
 そこにいたのはへっぽこ騎士のステラ、褐色クールビューティーのラグナセカ、そして部屋に引き籠りの厨二姫と、それぞれ確かに美形ながら癖が非常に強い面々で、そして改めて姫と家賃契約を交わしたつもりが、なぜかそれが彼女の特質である勇者としての契約になってしまいます。

 彼女達はこの世界に魔王探索の名目でやってきており、姫としては本来やる気がなかった部分を、偶発的に勇者契約が成立してしまった事で本腰を据えなくてはならなくなり、主人公もその状況を踏まえて、一緒にその廃屋に移り住んで魔王探しを手伝う事になります。
 その活動を嗅ぎつけた、主人公の幼馴染でかなりディープな中二病患者の鈴華も加わって、今までとは一風変わった、美少女たちに囲まれた不可思議な夏休みが幕を上げるのです。

 果たして魔王の正体とは?
 それを打倒し、平和を取り戻すとともに、その過程で主人公の本懐である美少女とキャッキャウフフする野望は叶うのでしょうか?

★テキスト

 全般的に空疎です。
 シナリオでも書きますが、多分プロットだけ出来ていて、それを別の人が最低限の肉付けだけしてリリースした、という感じで、読めなくはないですが基本的に雑、時折日本語としても変ですし、なにより文章に情緒が欠片もありません。
 主人公のお江戸気質的な特性もヒロイン置いてけぼりで上滑りするばかりですし、ヒロインはヒロインで独り善がりだったり暴走気味だったりと、そのあたりの負の要素をテキスト面でバランスを取り、ギリギリのラインで可愛さに転化するのが腕の見せ所になる筈の仕掛けで、そういう配慮が皆無なので基本ウザいだけ、という顛末になり果てています。

 場面と場面の繋ぎ方なんかもお粗末の一言で、本当に面白味を削ぎ落としたダイジェストを読んでいる感覚になりますね。

★ルート構成

 一応いくつか選択肢はありますが、ほぼひとつその該当ヒロインを選ぶ形に持っていけばそれでルート決定と、積み重ねもなにもあったものではありません。
 共通自体かなり短いですし、ゲーム性の点でもほぼ皆無、誰から攻略しようとダメダメな上、シーンジャンプなどはないので作業性としてもめんどいというおまけつきです。

★シナリオ

 テキストで触れた通り、プロットを最低限に膨らませただけのダイジェストが個別の隅々に至るまで徹底されている感覚です。

 プロット自体はそこまで悪くはなくて、例えば姫の祖国とこちらの社会性の差異や、そこに起因する姫の疑念、そしてそれは魔王の正体を知った事でより深くなり、その打開策の一環としてこちらの世界との交流を深めていく、そのあたりをしっかり丁寧に掘り下げていけるのであれば、普通に面白い作品になったとは思います。
 でもその、面白くなる部分のエッセンスを本当にエッセンスのままにしか使っておらず、後は冗長な日常を、全く連続性を感じさせない場面の繋ぎで適当に取りまとめて、最低限シナリオとしての体裁を整え、ギリギリ破綻はしていないレベルで完成と言い張っている水準ではあります。

 ルート毎の整合性も全然取れていなくて、特に根幹となる魔王の正体の部分なんか、姫とラグナセカルートでは共有出来ているけどステラルートはまるで別物、鈴華ルートに至ってはそもそもその核の部分にすら辿り着かず、外縁でごっこ遊びをしているだけで終わってしまう始末です。
 全体的な完成度はともかく、メインの姫ルートくらいはまともであってくれれば、なんて淡い期待を持っていましたが、文字通り夢物語で、尺的にも質的にも褒められたところはあったものではありませんね。

 まあプロットの時点でしっかり着地点までは構築されていたのだろうし、その意味でなまじ筋道としては成立しているのが余計に哀愁を誘うというか、理解できないレベルでは破綻していないのがなんともはや、という感じですよね。きちんと当初の狙い通りに完成していたなら、そこそこの良作にはなっていたはずなので実に勿体ない限りです。

 あと、これは次項でも書きますが、絵が全般的に破綻しているので、やっぱり総合芸術たるエロゲにおいて、シナリオの出来そのものは大切ですけれど、それをより良く見せる意味で絵の出来は大きく印象を左右するんだなぁ、というのが改めてわかる内容です。
 ぶっちゃけどれも低水準なシナリオの中でも、客観的にシナリオ「だけ」で見るなら鈴華が一番ダメかな、とは思うのですが、ただこのルート「だけ」一貫して1枚絵の完成度はまともなので、その差し引きで終わってみるとこのルートが一番マシに思えるし、ヒロインとしても鈴華がなんだかんだで一番可愛かったと思えてしまうのだからなんだかなぁ、って感じです。

 流石にこの作品に関しては、個々のルートの粗を抜き出したり、整合性の不備を実証したりする作業をすることすら億劫というか手遅れというか、全然そこまでやる気が起きないのでこの愚痴めいた感想で素直に閉じておきます。。。

キャラ(17/20)

★全体評価など

 ヒロインの素材そのものは可愛くなる要素をたっぷり保持しているとは思いますが、それを引き出すためのテキストの技巧、シナリオの完成度がほぼほぼゴミですし、1枚絵が出てくるたびに大抵の場合そのちょっと可愛いかも、と思った感情をリセット、どころかマイナスに陥れてくださるので度し難いのです。

 まあ本当に瞬間的な部分での可愛さなどは、特に姫や鈴華には感じるところもあり、鈴華はまだ絵が一貫してまともだったのでそれが最低限のレベルで継続してくれた面もありますが、それでもヒロイン、として推せるほどの魅力を引き出せた部分はないですかね。

 あと地味にばあちゃん酷いよね。。。

CG(14/20)

★全体評価など

 個人的に今までの延期延期パターンって、シナリオがどうしても出来なくて、ってのが大半だったと思うし、その意味でこの作品も同系譜、故にシナリオは死んでいても絵くらいはまともであってくれるかな?と淡い期待をしていたのですが、そこの部分も根底から裏切られるという致命的な内容でございました。

 具体的には、原画クレジットは二人の名前しか出てないですけれど、明らかにもっと多数の手が加わっていて、そして元々の二人が書いたと思しき部分以外の出来は、もう基本デッサンから狂いまくりの、子供の悪戯描きレベルに酷いです。
 そして多分、元々姫とステラ担当の々々さんがまともに描いてる1枚絵は甘く見ても半分くらいでかね。まして本丸のはずの姫の原画なんかほぼほぼ別人のもので、本当に奇々怪々な出来になっていて唖然とさせられます。まともに立ち絵との整合性を保つ気すらない出来で、明快にクレジット詐欺ですね。

 なので、枚数的にはギリギリフルプライスの下限水準にありますが、姫とステラの一部分、そして鈴華以外は粗大ゴミ同然で、立ち絵差分なども元々用意されていたものだけ使っている感じで非常に少なく、なまじその出来がいいだけに切なさもひとしお、となります。
 本当に姫の立ち絵、活き活きとした表情とかはめっちゃんこ可愛いですし、あと鈴華に関してだけは一貫して完成度が高く、全体バランスから贔屓目もあるでしょうが、これだけはお金を出す価値がある仕上がりです。

 この点数もその出来がいい部分に免じての最低限という形で、マイナス面の方がはるかに大きいのは間違いありません。

BGM(15/20)

★全体評価など

 ここは極端にダメ、って事はないですが、ボーカル・BGM共に水準量には全く達していませんし、出来そのものも悪くはないけど目立つところもない、となりますかね。
 強いて言えば水色あたりが好きです。

システム(7/10)

★演出など

 ここも極端な破綻はないですがほんっとうに最低限ですし、演出指定そのものがシナリオの雑さに引きずられてかなり適当なのでどうしようもないかなぁと。
 システム的にも最低限は保持していて破綻はしてないけど、決して使いやすいって事もないですし、基本的に古めかしいですしね。

総合(64/100)

 総プレイ時間10時間。共通2時間、個別も各2時間くらいで、非常に短く味も素っ気もないつくりです。
 短い分だけ、なまじ枚数だけは揃えた破綻した絵が次々と出てきて余計にげんなりするという悪循環まで披露してくれて、本当に久々に、ゲームをプレイしていて徒労という感覚を味わわせてくれました。

 つーか、ここでレビューをはじめた00年代半ばならともかく、採点基準をかなり甘めに設定していて、実際去年なんかDクラスさえ一つも出さなかったというのに、そこで楽々Eクラスを叩き出してくるってもう歴史的な地雷作、と言わざるを得ませんね。
 多少なり、この部分だけはマシなんじゃない?ってささやかな期待すらも真っ向から裏切ってくれる、文字通り「買ってはいけない」にリストアップされるべき作品・内容です。
 強いて言えば鈴華の原画と姫の立ち絵、ステラのある程度の絵の魅力を楽しむために、ワゴンで叩き売りされてたら試しに手に取ってもいいか、位のレベルでした。

 この2018年2月は、この作品にロスト・エコーズ、あとひとつ屋根と大幅な延期の末にリリースされた三羽烏がどんなものか個人的に気になっていたのですが、ロストは感想見て貰えばわかる通り非常にまとも、そしてこれは核地雷と評価両極端になりましたね。
 ひとつ屋根だけは買ってないし、体験版もやってないので評判チラ見してきましたけど、あれは最低限の出来はキープ出来ている感じでしょうかね。キャラと絵は良いけどシナリオが画一的で味気ない、って雰囲気で、なんとなく水平線まで何マイル?を彷彿とさせますが。。。

 ともあれ、個人的な話として何回か書いていますが、私のエロゲデビュー作がゆのはなであるため、このクリエイターネームのラインナップには抗いがたい引力があるのです。
 とはいえここまでの事をしてしまって、もはやこの懐古的なメンバーでのまともな作品が見られる事はないのだろう、という諦めをつけさせてくれた面もありますし、懐かしく愛おしき時代への惜別、なんて哲学的な観念をもたらしてくれた、という意味で、これをプレイした意義はあったと考えておくことにします。
posted by クローバー at 05:14| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする