2020年06月29日

ATRI-MyDearMoment-

 アスタさんのシナリオだし、体験版面白かったし、アトリがとても可愛かったのでお手頃価格でもあったりサクッと購入。


シナリオ(23/30)

 前を向くのが人だからこそ。


★あらすじ

 これは、突然の海面上昇で数多の土地が海の藻屑と化し、退廃的な空気が蔓延した近未来を舞台にした物語です。
 かつて事故で母親と片足を失った主人公は、世界の理不尽に立ち向かうために、世界を救うための最先端の学問所であるアカデミーで懸命に努力していましたが、様々な要因により脱落、頼みの義足も失い、母のゆかりの街に逃げるようにやってきました。
 しかし頼みにした祖母は一カ月前に他界し、残されたのは借金のみ、余計に苦しい状況の中、借金取りの女に唆される形で、主人公は祖母の遺産を手にするため、海中のサルベージを行います。

 そこで見つけたのが、世界が華やかなりし時の遺産である自立学習型AIロボットのアトリでした。
 長い間眠っていたからか、様々な記憶を失い、機能的にもポンコツと言わざるを得ないアトリでしたが、その明るさと、真っ直ぐにマスターを支えよう、という気持ちが、ささくれていた主人公の気持ちを少しずつ溶かしていきます。
 アトリに導かれるように、幼馴染の水菜萌にも誘われていた学園に向かった主人公はもしかしそこでもこの街の置かれた境遇と世界の悲惨さを目撃する事になり、けれどそこで懸命に踏ん張る面々を見ている中で、少しでも今をよくするために出来ることはないか、と模索し始めて。

 これは、閉塞した社会の中で、それでも前を向く意思と覚悟を取り戻すための、出会いと別れの物語です。


★テキスト

 いつも通りにニュートラルで読みやすい、綺麗な文章ですね。
 特段に奇矯さはなく、といって個性がないわけではなく、そのバランスの取り方がいつもながら上手だなと思いますし、それぞれのキャラにも難しさ・抱えているものがありつつ、それでも出来得る限り前向きに、という強さが備わっているのがいいですね。
 流石にそこまで長くはない作品だけに、積み重ねという部分での複合性はやや物足りなさはありますけれど、この尺の中ではシンプルかつ丁寧なテキストメイクで、上手く紡がれているのではないでしょうか。


★ルート構成

 少しですが選択肢があり、それ次第でバッドエンドの分岐があります。
 大筋としては一本道ですし、アプローチとしてはとてもわかりやすいものなのですけど、多分このバッドを見ないとトゥルーに辿り着けない、という仕様っぽいのでそこは注意ですね。
 トゥルーは本当に最後の補完、という感じで、エピローグの色合いが強いです。


★シナリオ

 一言で言えば綺麗な物語、ですね。
 様々な苦難の中で挫折を味わい、退嬰的になってしまっている主人公と、それが社会性の中の必然として蔓延してしまっている街において、一歩ずつでもかつての輝きを取り戻す、という意識の中、灯り、という要素を象徴的に扱っての段階的な恢復は、成長物語、というよりは再復の物語と呼んだ方が適切かもしれません。

 それを牽引するのがアトリというロボットの存在であり、そして彼女のあまりにも自然な振る舞いが、果たしてそれでもAIとしての学習の成果なのか?それとも……という部分の綱引きの中で、上手く全体の流れと噛み合って展開しているな、と思いました。
 最初は相当にひねくれ、歪んでいた主人公が、アトリに対しては比較的すぐに心を許す形になるのも、彼女らしさに加えてもうひとつ潜在的なスパイスが、という所もわかりやすく、その結果として本来持っている資質をしっかり発揮し、それが誰かの助けとなって、その輪が広がっていく流れに繋がっているのも素敵なところです。

 まあ正直、灯りにまつわる展開としては、いくら行政に見捨てられた街とは言え、今までの生活習慣がある中で、そこまで自然派的な生き様、諦念に塗れた在り方で停滞し続けていられるのか?というのはありますね。
 少なくとも個々人の努力である程度出来る事はある、というのは、主人公達子供の頑張り程度でもなんとか出来る範囲で見受けられるのに、それまで全くそういう方向に頓着する人がいなかったというのもやや不自然ではあると思います。

 もっともテーマとしては、諦観からの脱却と、それに伴う痛みの許容が色濃く出てくる作品ですので、それを象徴する形としては正しいと言えますし、また諦めが悪い、前向きな未来を信じたい、という意味では、やはり大人よりも子供の方が純粋に向き合える、という意識付けもあるのでしょう。
 紆余曲折ありながらも、アトリの為すべき課題と、それがもたらす未来像に向けて真剣に向き合い、かつての痛みをも噛み締めながら進んでいく様はやはり素晴らしいものに映りますし、その結果としてわかりやすいハッピーエンド、とは言えないものの、その想いがあればこそ存分に生き切れた、という色合いも強く出ているのが印象的ですね。

 ヒロイン、としての立ち位置も、あくまで全年齢ならではのプラトニックな部分からの引継ぎ、想いの継承的な在り方に、生々しさを持ち込まないという意味で上手くバランスが取れているのかな、とは思います。
 想い人の心に、深く根を張った想い人がいる、という状況の中でも、それでも優しく献身的に、自身の想いを貫ける真っ直ぐさと強さもまた光る要素ではあり、それは主人公とアトリだけでは閉塞的なまま紡ぎようのなかったものでもあるので、その人の繋がりの偉大さをもしっかり見せてくれるシナリオだったのではないでしょうか。
 そしてそういう風に為すべき事を成し遂げて、その上で閉塞的な愛に僅かな間だけでも立ち戻る、というのも、あくまで空想科学の進歩の上に立つものなので絶対的な説得性までは有さないものの、限られた状況下の中で貫かれた愛の形としては、とても気の長い、だからこそ美しくかけがえのないものとして映っているのではないか、と感じますね。

 流石に尺の関係もあって、色々飛躍もある作品なので、手放しに傑作、とまで言うのはどうかな、と思いますけど、普通に名作に近いレベルの出来の良さだと思いますし、アトリがとっても可愛いのでそれだけでも癒されますから、プレイして損はないお値段と内容なのではないでしょうか。


キャラ(20/20)


★全体評価など

 環境の中で腐りかけていたり、盲目的になってしまっているキャラもそれなりにいますが、それも最終的には本来の真っ直ぐさを取り戻していく、そういうアプローチを自然とアトリという存在が紡いでいく、という構図がいい作品ですよね。
 あの敵役の男とかも唐突ではありますけど、相対的な社会の流れと歪みの象徴としての存在感ははっきりしていますし、その想いに引きずられるか、アトリという存在をそのまま信じられるか否かがトリガーになっているところも含めて、キャラ聖には短いなりに奥深さがあったなと感じています。

 やっぱり一番魅力的だったのはアトリに他ならず、お世話したい!という気持ちの割にあれこれポンコツで、一々学習しないと出来ないというのはロボットとして中々独創的ではあり、最初から友人となり得る存在として設計されたが故の特別感が色濃く出ているのがいいと思います。
 彼女が歩んできた苦難と、その中で獲得した想いの尊さは本当に光り輝いていますし、人間であればそこで挫けてしまうようなものも、ロボット的な解釈を持ち込む事で上手く乗り越える、或いは糊塗していく、という構成の中に潜む健気さが素敵で、だからこそあの雨中の涙のシーンがひときわ美しいんでしょうね。
 まあロリ可愛くて普通にイチャエロさせろー!って気分は無きにしも非ずですけど(笑)、このテーマ性と繋がりの構図の中では、その生々しさが見えない方が綺麗に映るのも確かなので、仕方ないと納得してあげましょう(偉そう)。

 水菜萌や凜々花もそれぞれに綺麗な心の持ち主で、しなやかな強さを感じさせていいキャラでしたし、竜司の無二の親友感もこういう状況ならでは、という感じで良かったですね。まあもっとも、アトリとの掛け合いが一番面白かった気はするけれど。。。


CG(19/20)


★全体評価など

 水を基調とした背景の美しさに、幻想的な美しさと透明感がしっかりと投影されて、非常にバランスの取れたグラフィックの出来になっていると思いますね。
 CG25枚にSD6枚も値段からすれば豪華な部類ですし、それぞれの出来もかなり良く、アトリの綺麗さとコミカルな可愛らしさを存分に味わう事が出来たと思います。
 やはり特に良かったのは、再会と知った時の夕日越しの透明無垢・無邪気な笑顔と、雨中の涙に尽きますね。この2枚だけでも買った甲斐はあったと断言していいくらい気に入ってます。


BGM(18/20)


★全体評価など

 こちらも世界観に合わせて、神秘的で、けどどこか退廃的な彩りを程よく塗しつつ、そこから前向きな意思を透徹していく流れに合わせた組み立てがバランス良く紡がれていて、よくまとまっている出来だと言えるでしょう。
 ボーカル2曲にBGM20曲ですから数量的にもまずまず、質的にもOPEDともにらしい明るさ、前向きさが投影されたもので素敵だったなと思います。EDはアトリボーカルなので、歌唱力的にはやや微妙かもですけど、だからこそストレートな想いが染み入る感じがいいですしね。
 BGMも突出して好き、ってほどではないですけど、全体的に耳にしていて安らぐいい曲が多かったです。


システム(9/10)


★全体評価など

 演出はすごくいい、とまでは言わないですけど、シナリオに合わせて盛り上がる場面での効果的な紡ぎ方はきっちり出来ていて、メリハリが効いている、というイメージですね。
 世界像そのものがとても美しくも残酷に描かれているので、その中での対比性、というのを殊更に意識して作っているのかな、と感じましたし、水の使い方がやっぱりとても上手だったと思います。

 システム的にも特に使いにくい、という程ではなかったですかね。ジャンプが必要なほど長くもないですし、必要最低限は充分に備えていると言えるでしょう。


総合(89/100)

 総プレイ時間7時間。
 値段の割には尺はしっかりしていますし、得意な世界観でも最低限の積み立ては出来ていて、全体的にバランス良く、綺麗にまとめられた物語だと思います。
 その分濃密な振れ幅や蓄積の妙までは流石に、ですけれど、シンプルさの中に奥深い味わいもあり、世界観の不透明な部分、不確かな部分を自分の想像で補いながら楽しむ、なんてのも乙な感じではないかな、と感じます。
 どうあれ普通にアトリが抜群に可愛いので、それだけ目当てでも充分に元は取れると思いますし、プラトニックでほんのり切ない恋物語が好き、という人にもお勧めできるお手軽な作品ではないでしょうか。

posted by クローバー at 08:39| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月23日

美少女万華鏡ー理と迷宮の少女ー

 なんだかんだで万華鏡シリーズは皆勤ですし、ようやく蓮華が攻略できる、とあらばそれは買わないわけにはいかないでしょう、と。


シナリオ(23/30)

 運命の手綱に託して。


★あらすじ

 この作品は美少女万華鏡シリーズの第5作にして最終作になります。
 ここまでのシリーズは、座敷童である蓮華がいる人形の間に主人公がいそいそと赴き、彼女が持つ不思議な万華鏡の力で、現世とは違う多彩な世界に引き込まれて、そこで繰り広げられる甘く切ない恋物語を観賞する、という構成でした。
 ただ今回は蓮華自身がヒロインなので、万華鏡の物語ではなく、現実下で起こる怪奇事件の謎解きを軸に、そこから蓮華という存在の真実迄を炙り出していく、和テイストの伝奇&SFものという色合いになっていますね。


★テキスト

 ここはいつも通りのテイストで、基本的に装飾過多と言うか、特に色事に関しての台詞回しの多彩な発想にはある意味驚かされますけど、場合によってくどい、という面もあり是々非々、という感じでしょうか。
 まあ物語そのものの会話や、説明の部分にまでその趣味的な構図は持ち込んでいない割り切りがあるので、そこはきちんと仕事してる感はありますし、今回は今まで以上にサスペンス色が強い中で、きっちりその雰囲気を醸し出すテキストに寄せられているのではないでしょうか。


★ルート構成

 基本的には脱落式の構図で、かつ所々でバッドエンドへの誘いもある、やや怖いつくりではありますね。
 正直な印象だと、肉食系女子の猛攻に耐えて一途な愛を貫けるか、って構図が強いので、個人的にあまり浮気したくないなー、って思わせる選択肢でもあったのがアレですけど、まあタイミングとしてはきちんと蓮華と心通わせる前に、というのが僅かな誠実さでもあるのでしょうからねぇ。
 今までより少しお値段が高い分、別ヒロインとのあれそれも組み込んだ、という面もあるのでしょうが、これまでのシリーズとはそこも一線を画しているとは言えるので、そこはプレイヤーの趣味次第でしょうかね。


★シナリオ

 今回はいい意味で様々なエッセンスを取り込んだ作品、と評する事が出来ると思います。
 元々万華鏡の存在そのものが超常的ではあるのですが、今回はそれも含めての和の伝奇要素を軸にしつつ、それをあくまで科学的に、ミステリーとして紐解こうとする暁の存在と並行して、多角的な世界観を演出しているのが面白いところですね。
 結論的に言えばやはり本質として伝奇に寄らざるを得ないのは、蓮華という存在そのもののありようからしても当然なのですけど、それでもある程度しっかりと推理の中で見えてくる事実、怪奇現象は人の手で簡単に生み出せる、という凄味と怖さを丁寧に打ち出せているのは良かったと思います。

 その上で、きちんと蓮華という存在の在り方を多層的に定義し、物語の流れの中で二人の関係性がいかに強固で運命的なものなのか、を、出来る限り説得的に紡ごうとしているのは好感が持てましたね。
 その為に過去作で主人公が追想した物語をある程度再構築し、その中から大切なエッセンスを取り出して、蓮華と未来を生きる為に必要な覚悟と思いを練りあげていく、というのもわかりやすく王道的で、紆余曲折はあるとはいえ最終的にはとても綺麗にまとまった素敵な物語だったな、と思います。

 そのメインストーリーの味わい深さを高める意味での、他ヒロインルートの存在も見逃せない要素ではあります。
 正直個人的な趣味としては、あの肉食変態編集者の月丘女史こと香恋はそんなに好きになれなかったんですけど(蓮華ともよかを可愛い可愛いしてる辺りは好きだけど)、ただああいう形で詰め寄られて、恋愛経験が乏しい主人公がコロッと参ってしまう、というのも有り得ない話ではなく、また当然ながら社会的な視座としては一番健全な恋愛、となります。
 その辺りを蓮華が忖度して、そのささやかな幸せを守るために影で頑張る献身性が浮き彫りになるルートではありますし、どうしても尻切れトンボな色合いは残りますけど、それでも余韻自体は悪くない話ですよね。

 対してもよかルートは素直にバッドエンドと呼んでいいものですし、ぶっちゃけ見た目的には蓮華と同等に好みだっただけにどうしたこうなった、感は強かったりも。
 勿論蓮華が本線である以上、真っ当な恋愛でどうこうではないんじゃないかとは最初から思っていましたけど、その予想以上にもよかの立ち位置が凄絶でおどろおどろしく、その派生でしかエロいシーンも起こらない、というのはやっぱり残念でしたねぇ。
 立場的にはもよか自身にもその種はあるとはいえ、あれだけ大事になったのはそれを操る怨念の強さの方に依拠しますし、どこかでもう少しもよか自身に救いのある流れは欲しかったなぁ、という気持ちはあります。まあ構成上難しいのはわかりますが。
 それと、この怨念が持つ因縁が、ある意味で屋上屋的な要素としての蓮華との運命性の階梯になっている、というのも面白いところではあり、やはりプレイ順としては蓮華ラストにした方がすっきりわかりやすく、感情的な納得も強いというのはありますね。

 蓮華シナリオもそのもよか編の派生ではありますし、あくまでも一途な想いを貫いた結果としての世界像なので、それ自体は説得性があります。
 勿論そこで追った致命的な傷をどうにかするためのありようは力技と言うか、元々の蓮華の不可思議さに担保されたものにはなっていて、そのあたり贅沢を言えば、シリーズを通して仄めかすような部分はあっても良かったのかなとは感じます。
 少なくとも蓮華が今の蓮華である限り、まともな恋愛と生活は望めない、という冷徹な現実の前で、それでも、と足掻く踏ん張りと意思はとても綺麗ではありますが、それを育む過程での心の通わせが、今までの分を取り戻すかのようなひたすらのエロエロラッシュ、というのがどうか?ってのはありますね(笑)。
 勿論エロい蓮華ちゃんは最強なのですけど、いくら状況が二人きりでそれしかない、といっても、本当に間髪入れずにどんどこエロシーンが投入されてしまうので、全体のバランス的な意味でもやりすぎじゃない?と思わなくはなかったですかね。

 まあそれだけ離れがたい想いが強く、現実を直視せず快楽に溺れたい、という弱さの証左でもあったのでしょうけど、どうあれそれだけの契りが逆により離れがたさを演出しているのは確かです。
 その上での選択自体はまあありがちと言えばそうですし、そこまでの外的要因としての因縁を上書きする要素にもなっているので、その発想自体は悪くなく、着地点、結末の彩りもいいですね。
 こういう部分でプレイヤーの没入度を高める仕掛けを組み込んでくるというのも面白いですし、蓮華はどうであっても可愛い、というのも含めて、シリーズの着地点としてはしっかりまとめてきたと思います。
 結局万華鏡で他の人生を除いていた主人公はあなた自身、という、これまた入れ子構造による多角的視座の提供をイメージさせるつくりで、万華鏡というアイテムがそういう神秘性を備えている所からも、整合性の高いモチーフだったのではないでしょうか。

 総合的にもう少しバランスの良さや、構成の工夫は出来たかも、というのはあり、名作ラインまで乗せるのはどうかな?とはなりますが、シリーズの中ではやはり良く出来た方で、これも私個人の感想としては、ほぼシリーズ毎に尻上がりに面白さを増してきた、洗練されてきた印象はありますね。
 価格帯もかなり手頃で、それでいながらこのクオリティ、というのも流石の一言でしたし、時代制にマッチした企画の成功例として価値ある作品、シリーズだったと思っています。


キャラ(20/20)


★全体評価など

 今回は登場人物がそれなりに多いのもありますし、それぞれにしっかり独特の個性と持ち味を発揮していて悪くなく、とりわけやはりようやくヒロインとして当事者になった蓮華の可愛さが炸裂しているのが良かったですよねぇ。
 本当に蓮華は、ささやかな意地っ張りではあるものの基本的に素直で純真で、一途な想いと献身性を兼ね備えていてとても魅力ある子に紡がれていたなぁと感じます。
 見た目的にもやはりかなり私好みで、制服姿とか本当に可憐過ぎてジャストミートでしたし、妖艶さと無邪気さをバランスよく持ちつつも、基本いつもほんのりエロい、というのは素晴らしいですね。。。

 もよかも見た目と表の性格は結構好きだっただけに、もう少しまともにラブラブ出来る展開や、蓮華と仲良くやっていく展開があって欲しかったなぁとは思ってしまいます。
 香恋もヒロインとしては微妙でしたが、脇を固める編集者としての良さは出ていましたし、男キャラの奇人ぶりも含めてインパクトは強くて面白かったです。


CG(20/20)


★全体評価など

 どこまでを純粋な一枚絵と言えるかの線引きはあるのですけど、CG登録数としては全部で87枚、まともに人物が描かれているのはその半分強だとしても、やはり値段から考えればかなり豊富、豪華な物量で、それでいて質的にもまったく手抜きがないのが素晴らしい限りですね。

 立ち絵にしても蓮華の新規分だけでもやたらめったら可愛いし、もよかもとても可愛いしで満足度は高くなっています。
 一枚絵も本当に優美で妖艶で、非常にらしさ満点の意欲を感じる出来と構図になっており、見た目にもインパクトのある素晴らしい出来だったと思います。
 特に良かったのは蓮華の添い寝、正常位、騎乗位、立ちバック、もよかとのお風呂、みんなでご飯あたりでしょうか。


BGM(17/20)


★全体評価など

 BGMは今回の舞台に合わせて和と神秘性を強く打ち出しつつ、かなり綺麗にまとめていて、質量ともにこの値段としては充分な出来になっていますね。
 改めて調べて見ると、ボーカル曲はずっとシリーズ共通だったみたいですけど、それでもやはりいい曲だな、とは思います。

 BGMでは4/6/7/8/12/24/29番辺りが好みでした。


システム(9/10)


★全体評価など

 演出はいつも以上に力が入っていた感じで、特に情感的な場面での見せ方に色々工夫が感じられてそこは良かったですね。
 モーションシーンもいつもよりやや多めで、しかしその点でも不遇なもよか……とはなってしまいますな。やはりロリ需要は蓮華で満たせ、というお達しなのでしょうか。。。
 
 システム的にも悪くはないけど、それなりに選択肢もあるしジャンプ昨日はあって欲しいかな、とは。
 あと地味にタイトルデザインで、どこで終了するのかとかわかりにくくなってません?元々こうだったっけ?


総合(89/100)

 総プレイ時間10時間。
 今までのシリーズより1000円高いものの、元々コスパが抜群にいいシリーズでしたし、その値段の上乗せ分以上に今回の方が過去作より質量ともに充実していたのは間違いないので、その点での不満は一切ないですかね。
 シナリオ的にも万華鏡シリーズの集大成として相応しい丁寧な組み立てと綺麗なまとめ方ですし、同時にこのシリーズはある程度ひとつひとつに独立性があるので、この作品にしても完全にこの最終作だけやっても、そこまで違和感は感じないようにできているとも思います。

 勿論さすがに1〜4作目に比べると、その過程で紡がれた蓮華との思いやらなにやら、連関性が出ている部分はありますけれど、それでも蓮華とスタートの時点でほぼ好き合っている、というのを飲み込んでおけばなんとかなる範疇ですからね。
 その点では例えばナインシリーズより汎用性があると言うか、今からこのシリーズをやるにしても、ヒロインが好みに感じるところだけつまみ食いでも構わない、というのが地味ながら強みでもあるのかな、と思います。
 ともあれこれ単体でもかなり満足度は高い出来ですし、ツンロリ黒髪美少女が好きならば、ついでに伝奇ミステリーが好きならば、充分に期待に応えてくれる作品になっていると思いますね。

posted by クローバー at 07:28| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月16日

天冥のコンキスタ

 なんだかんだでエウの新作だし、天使組、特にレジ―ニアが当初からめっちゃ気に入ったので、多少お安いという所に逆に不安はありつつも購入。


シナリオ(18/30)

 そこは削っちゃいかんでしょ。


★あらすじ

 主人公はかつて高位の睡魔だったものの、意図しない状況で改造を受けて人間の身体にされてしまっています。
 しかしそうなった事で、今まで持てなかった視野を獲得し、改めて自分の真の身体を取り戻す事と、天使と魔族が拮抗するこの地の派遣を握り、新たな魔王として君臨する事を目標に、唯一の味方である睡魔のヘルミィナと二人三脚で、新たな自分の軍勢を作りだす戦いに赴くのでした。


★テキスト・ルート構成

 テキストは基本的に凄く簡素で、そもそもシナリオそのものが鬼薄いので、テキスト云々とそこに情緒を求めるほどのものがない、とも言えますね。
 ルート構成も特に目立った分岐はなく一本道で、面白みのないつくりになっています。


★シナリオ

 少しお安くなって、なにが手抜きされているのかな?と思ったら、まさかのシナリオが一番欠落しているというオチに戦慄します。いや、流石にそこ削ったらもはや売り物としてダメでしょ……。

 誤解を恐れずに短絡的にまとめるなら、この作品のシナリオ、というか会話部分って、

「俺は魔族の王になる(キリッ)。その為にあーしてこーして……」
「きゃーダーリン素敵ー、一生ついていくわー♡」

 この二行のリフレインに集約できてしまう、と言っても、決して過言ではないと思うのですよね。。。

 それなりに魅力的なキャラも沢山いて、元々は敵方、或いは中立だった彼女達をあの手この手で絡め取っていく、という過程はしっかりあるのに、その過程の内実もほぼ全て性魔術の行使に帰結させてしまって多様性なく、そして仲間に引き入れても、ほぼほぼ会話イベントなどがないのはあまりにも勿体なさ過ぎます。
 舵取りがどうであれ、実際的にヘルミィナ以外とはまともな会話すら発生しないのはいくらなんでも、ですし、その分シナリオそのものにも全く深みや多様性がない、単調な行軍のみの構成になってしまっています。

 あちこちを移動しながら、その土地土地の勢力を傘下に収めていく、という方向性は、例えば天結なんかも似たような色合いはありましたけど、ただあちらは軸となる拠点があって、その移動を視覚的に補助するマップもあって、というつくりでした。
 翻ってこっちは、きちんとした拠点もなく、果たして兵站という概念があるのかも怪しい中で、その移動や進軍の困難さが非常にわかりにくくなっています。
 この地方の勢力図の実態など、せめて地図を作って色分けするなどしてあればまだしもですし、一応偵察を使って無理押しはしない、という意識付けはあるのだから、そこを視覚化するだけでもまだマシだったと思うのですけど、本気で色々手を抜き過ぎですね。

 挙句最終局面に至っても、主人公が人間になってしまった明確な理由づけや意図などはっきりとは見えてこないままの決戦になってしまうし、相手方としてもそういう事が出来るのになんでそんな逐次投入しかしないのか?というあほらしい事にはなっていて、正直ひたすら盛り上がりに欠けます。
 まあ唯一、きちんと捕獲して仲間にしていると自分同士の会話が発生するのが面白かったりはしたけれど、ともかくこの作品、ユニークキャラを撃破してしまっていても齟齬が出ないように最低限の展開しか用意していないので、本当にシナリオとしては空疎、そのものですね。
 なんか続編が出るとかいう噂も聞くのですけど、このシナリオの密度でやるならやめとけ、の一言になります。せめて今回のヒロインとの改めてのきちんとした交流やイベントなど網羅した、今まで程度のシナリオ性をセットで作ってくるならまだいいんですが……。折角良ヒロインが多いのに勿体ないの極みですね。
 シナリオとしては6/15くらいの評価です。


★ゲームシステム

 こちらは12/15評価です。
 シナリオを大幅に削った分だけ、SRPGとしての純粋性は高まっていて、実際にプレイ中はそれなりに熱中して楽しめるレベルではあると思います。

 ただ、例えばマイスターシリーズと比較すれば出来る事の多様性はかなり減っていて、まず拠点の概念がなくなり、地域確保や舞台の派遣・撤収という組み立てが出来ず、最初に出したユニットで最後まで押し切るしかない、という形になっています。
 その分最初から全体マップと、伏兵以外の敵の性能はわかるので、それを踏まえての事前準備が大切だよ、となるのですが、これが一々結構面倒ではあります。

 また各マップごとに特殊イベントクリアによるボーナスが定められていますが、実際のところこれ、ほぼ全てきちんと網羅しない限りはどんどん先に進むのが難しくなっていきます。
 というのもこの作品、フリーマップが皆無でレベル上げ、という概念が基本なく、あくまでも一本道、一期一会のマップの中で試行錯誤しなくてはならないので、その道中でサボるとツケがすぐに回ってくる感覚なのですよね。

 私の場合アペンドのスタートダッシュを使えたので、その点楽ですし、制約された状況でのレベル上げとかも好きなので、きちんと全ての特殊イベントもこなして問題なく進められましたけど、あくまでサクサクゲームを進めたい、というユーザー層には敷居が高いゲームシステムに思えます。
 単純な難易度はそこまで高くないと思いますが、きちんとゲームデザインの意図するところに沿ってプレイしないと途端に難易度が高くなる、プレイスタイルの自由度がかなり狭いというのは否めないですし、そもそもお値段お安くして、手軽に遊べる、を標榜しているのに、全く手軽さがなく、同時にシナリオの面白みもなくて作業性ばかりが強い、というのは看板に偽りあり、と言わざるを得ないでしょう。
 まあ元々エウゲーなんて時間泥棒ですから、いきなり本当にライトなつくりになるわけもないので、私としてはそこは気にならなかったですけれど、今まで敬遠していた層が手軽なら、と騙されて手に取ったら、嘘やん!とぶん投げてしまっても仕方ないなとは思うのですけどね。。。

 あとゲーム性の面で気になるのは、捕獲システムが一々面倒くさいのと、基本空を飛べるユニットじゃないとあまり使い物にならない、という部分でしょうか。
 まあ敵も味方も天使が主体の作品なので、そのあたりある程度は仕方ないんですけど、一番楽に捕獲が出来るスキル持ちが主人公しかいなくて、けど主人公が空も飛べない鈍足、というのが地味に一番ストレスになる原因だった気はします。
 せめて成長で移動距離プラスされるかして欲しかったですし、ひとつくらい捕獲ロープ用意して欲しかったですね。特に後半の敵は魅了がかなり効きにくくなるので、一々くそ弱い主人公でとどめを刺しに行くまでのロードマップを考えるのが厄介ではありました。

 ついでに、今回ユニークキャラに開錠持ちがいない、というのも厳しかったですね。
 捕獲ユニットを使えばいいのは確かですけど、それぞれの特性によって行ける場所行けない場所があったりもしますし、そしてそんな主力では使わないユニットまで育てている余裕は基本ないので、アイテム使うくらいしか戦力にならないキャラで一枠出撃枠が埋まってしまうのはやっぱり面倒でした。
 しかも時々、特殊イベントにターン制限があって、その数字に対して物理的な移動距離だけでもギリギリでしか回収できない宝箱、なんて無茶なマップもあるから、まあすべてを網羅しようとムキになると物凄く頭を使う羽目にはなります。それはそれで面白かったのは事実ですけど、やっぱりライト層向けでは絶対にないよなぁ、とはなりますね。

 成長システムなんかはそれなりに面白かったですけど、これもさほど奥行きがあるわけでもないですしね。
 というか、直前に姫狩りプレイしていたせいで、今回も序盤から生贄出しまくって儀式ポイント確保してたら。悪質側にルート分岐しちゃうのか?なんてハラハラして、つい一度もまともに生贄使わずにクリアしてしまったり。。。まあ実際はそこまで気の利いたシステムであるわけもなく、そう考えると10年以上前の作品なのに、余程姫狩りの方がよく出来ているという情けない結論にもなってしまうのでした。
 あとせめて装備枠は、武器防具と装飾くらいは分けて欲しかったなぁ。というか基本これ、防具って出番あるのかしら?あまり地形的にも盾戦略って有効に感じなかったし、そもそも大半の敵が後半は2マス以上の遠距離攻撃持ってるんだしなぁ……。

 あれ、書き始めるとなんかマイナス点ばかりになってしまっていますが、ただ本当にプレイ中かなり楽しめたのは確かです。
 しかしあくまでニッチな気質の私個人の感想であり、やり込み要素も薄いので、よりコアなエウファンには物足りない、逆にご新規様にはやたらと敷居が高い、という絶妙にダメなバランスになっている気はしなくもないですね。。。


キャラ(17/20)


★全体評価など

 正直主人公とヘルミィナ以外、まともに個性を語るのも烏滸がましい程度にしか台詞がないわけで、キャラの魅力云々を問い沙汰するレベルにすらない、と言わざるを得ません。
 素材的に言えばかなり魅力的なキャラはいて、特に個人的には天使ならレジ―ニアとルシエル、魔族側ならセルージャやアンネリースなんかは結構好きでしたけど、基本絡みはエロいシーンだけ、しかもそれすらかなり回数が少ない、まともに意思疎通して和姦風味はもっと少ない、となると、流石に評価としては下げてしまう事にはなりますね。

 敢えて言えば敵役としての魅力が一番強かったルシエルは、その変貌と、最後のオマケHでの優遇っぷりが良かったですけどねー。ホント、もっともっと日常的にあれこれ絡んでくるイベントがないのは致命的ですわ……。


CG(18/20)


★全体評価など

 立ち絵は基本あってないレベルなのですが、一枚絵は一応100枚超えてくるし、出来もいつも以上に安定して凄く可愛かったので、その点では結構満足してます。
 特にレジ―ニアとルシエル関連は好みなのが多かったですねー。レジ―ニアは必殺アクションと最初のH、ルシエルは最後の正常位が大変に可愛かったのです。
 あとザフィエル、ザフィエルもとっても可愛くて良かったです。


BGM(18/20)


★全体評価など

 地味に音楽も今回個人的にヒットしていたりで、つくづくシナリオのダメさが勿体無さ過ぎるところです。
 数的にはボーカル2曲にBGM19曲なので少なめですけど、天使が主体の分曲調も荘厳さが割り増しで強く出ている感じで、日常局からHシーン、バトルに至るまですべて全体的に質が高く、好みのものが多かったですね。
 特に『天魔は永久の交戦を極める』が超好き。なんとなくこれ、くるクルのアゼル戦を思い出すのよね。

 ボーカルもどちらも突き抜けて、という程ではないですが、当たり外れの振れ幅が大きいエウとしては個人的には当たりの部類かな、と。


システム(8/10)


★全体評価など

 演出はやはりかなり薄めで、それはシナリオがこうなので付随して仕方ない部分はあれど、ですね。
 システム、操作性としてももう少し洗練出来る部分はあるのでは、という感じで、色々カスタマイズできるとは言えややわかりにくい部分もあって、もう少し工夫してくれればなぁとは感じました。


総合(79/100)

 総プレイ時間45時間。
 まあ確かにエウゲーとしては短めのプレイ時間で、ただこのプレイ時間の内、シナリオ部分は精々5時間もないのですよね。
 あまりにもゲーム性に特化した作品であり、そこはバランスとしてお粗末というしかなく、流石にこれだとちょと安い程度が言い訳に出来るのか?ってレベルではあります。
 色々いいところもあるだけにもどかしいですが、現状の内容では流石に人様に勧められるものではないですね。追加パッチとか続編とか、そのあたりが網羅されて、多少なり評判がまともになったらでいいんじゃないでしょうか。

posted by クローバー at 05:35| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月11日

シャッフル!エピソード2〜神にも悪魔にも狙われている男〜

 正直設定諸々気になるところは多くて迷ってたんだけど、体験版やったら琥珀がやたらとストライクだったのでこっそり買ってみました。


シナリオ(16/30)

 設定に甘えすぎていませんか?


★あらすじ

 主人公は従姉妹の琥珀とほぼ二人暮らしで、生活能力がない彼女を世話しつつ、てきぱきと家事を終わらせて出来た退屈な時間を愛する平凡な一学生……のはずでした。
 しかしある日、マンションの両隣に神界魔界の王女であるリシアとネリアが引っ越してきて、当然クラスも一緒になり、そしてそれぞれからニュアンスは違えど、主人公の事に注目している、という意図ある発言をもらってしまいます。
 こうしてあっさり崩れた平穏な日常は、更に琥珀の部活の後輩であるきららや、魔界からやってきた特別な存在であるリムスなどによって掻き回されていって、けれどそんなドタバタした賑やかな日々も満更ではない、と思えて。
 今までの固着した生活習慣からの能動的な変化が、気持ちにもまた違う色をつけていく中で、三界に連なる諸々の問題などがきっかけとなって、ヒロインと急接近していく、これはそんなシンプルなボーイミーツガールの物語です。


★テキスト

 全般的に軽やかで、言葉のチョイスが時々怪しいところはあったけど、概ね読みにくいという程ではないかな、と。
 にしても、きららが正統的に小町や鳴の系譜を継ぐ立ち位置に置かれていて、まあシャッフル繋がりでも楓と、という所を見せつつ、しかし流石に中の人のハキハキ感に歳月の重みを感じた、と言ったら失礼ですかね(笑)。まあ小町からはほぼ20年だもんなぁ。
 クレジットにいつもながら雀孫さんの名前もあるけど、このきららの台詞回しの一部以外なんか書いてるのかしら?とはいつもながらに思ってしまう私でした。。。


★ルート構成

 シンプルな好感度蓄積型ですね。
 ただある程度ヒロインが大枠で分かれていて、そのあたりを踏まえて適宜正しい方を踏んでいかないと、というのはありそうで、半端に進めていくとお約束の親友エンドだったりはします。
 まあルートジャンプも速いし、総当たりでもすぐに進められる上、唯一全員の中から一人を選ぶ選択肢があるので、そこを押さえておけば大体平気だとは思いますけどね。
 特にルートロックはないですが、リシアとネリア、きららと琥珀は対になっていて、設定もやや共有している(ただし全体で共有出来ているとは言い難い)ところがあるので、続けてプレイすると少しわかりやすいかな、というイメージです。


★シナリオ

 うーん、全体的にシャッフル!というタイトルの看板イメージに依存し過ぎていると言うか、世界観が大きくて、魔法を前提に比較的何でもありのドタバタが売りとはいえ、それら胡坐をかいてこの作品単体での説得性をしっかり練り込む努力をちょっと怠っているのではないか、というのが率直な感想になりますね。
 世界像としては初代シャッフル!の丁度100年後くらいを設定しているみたいで、その間にゲートにまつわる大災害があり、その復興に初代の主人公やヒロイン達が尽力した、という設定になっているみたいです。

 あと一応正史としてはリシアンサスルートが採用されているのかな?という感じなんだけど、そこはデイジーハーレムルートで良かったのでは?とちょっと思ってしまう罠。
 ついでに言えばキキョウ何処行った?ってのと、血の繋がり的に言えばユーストマのおっさん、あの後更に弟が生まれたんかい、というツッコミは出てきますね。
 魔界側もイマイチ血の繋がりははっきりしていなくて、全体的にこのシリーズ、いつも魔界側が不遇を囲っている気がするけど今回そこまで踏襲しなくてもいいのに、なんて思ったり。
 立場設定やCG構図なんかも明らかに初代を意識したものも多くて、そこまで明確な連関性はないくせに存在感だけは強い、というのも曲者ではありますね。まあプリムラが元気そうなのは何よりだけど。

 ともあれ、結構前作ありきのふわっとした設定恃みの部分が大きい上で、個々のシナリオもやや重みが足りないな、という感じ。
 一応リシアとネリアに関しては、その過去の因縁が巡って、という部分もソコソコ打ち出しているけれど、でもそこでゲート絡みでの時空間自在性を強引に解釈しての、二人それぞれとの思い出構築、というのはなんか雑だなー、って思うし、二人の動機からして子供心の短絡的な色合いが強いです。
 だから少しまともに主人公と絡めば、基本初志はほったらかしで普通にきゃいきゃいイチャイチャしてるだけではあるし、シリアスとのバランス、心情のうねりに対するアプローチの細やかさが絶対的に足りん!とは感じますかね。

 その点まだ演劇部側の方が面白味はあったけど、こっちもこっちできららの病気がかなりの外的要因として立ちはだかるのと、それに恋愛要素を起因として持ち込む曖昧さが気になると言えばなりますかね。
 きらら自身ああいう立ち位置のキャラなので難しさはあるかもだけど、もう少し最初の演劇舞台が終わった後、脚本家としての魅力にどう憑りつかれていったのか、そもそもそうなる下地の部分がもっと具象的に示されるべきではないのか?というのはあります。

 琥珀にしても普段のふわふわおっとり感と、演劇の時の頑張り、ギャップがもう少し明快に提示されて、それがあるからきららもあそこま心酔水しているのだ、というのを、立体的に実証していく作業は欲しかったですよね。
 特に演劇部ルートでそれなりに共通の尺はあるのだし、そこにリムスも関わってくる中で、もっと有機的なキャラの使い方は見出せたと思うのですけどね。リムスの情緒構成、という意味でも、演劇に対するスタンスの学び、解釈の発露はもっとあっていいし、加えて言うなら、その演劇の脚本を取っ掛かりにして、過去に何があったのか、そこで過去ヒロイン達がどういう立派な振る舞いを見せたのか、そのあたりとてサービスとしてもっと具体化し、それを演じる側が意気に思っている、という説得性を紡いでほしかったです。

 その上で、リムスルートは流石に簡素過ぎてもうひとつふたつステップや、シナリオの山谷があって然るべきではあり、それこそプリムラルートの劣化焼き直しみたいな内容なんですよねぇ。
 地味に親友キャラが参謀的活躍をするのも、樹の焼き直しと言えばそうだけど、その重みが初代とは段違いという雑さもあるし、なまじリムスが可愛いだけにもう少し何とかならんかったか、というのはすごく思います。
 きららもやっぱり病気を押してまでやり遂げたい!という熱意を抱くだけの下地を積めていたか?とはなりますし、折角双子の妹とか美味しい新キャラもいるのにイマイチ活かし切れてないなぁと。
 琥珀ルートの場合も、元々の関係性の延長を改めて確認して、というのはらしいスタイルではあるし、それはそれでいいんだけど、問題の方を横恋慕に一極化してしまってそれだけ、というのも物足りない感はあるかなーと。
 まあシンプルにこの作品、家で琥珀リムスと和気藹々してる時間が一番楽しい、というのはあるので、改めて恋人らしい何かを求めなくても、というのはあるのだけど、この展開だとその和気藹々すら消してしまうからなぁ、とそこはちょっと残念なのでした。

 ともあれ、トータルで見て基本的に雑、尺的にも質的にも微妙な個別ばかりで、更に大枠で提示している謎や伏線も置きっぱなし、なにこれ?またエッセンスプラスありきの出し惜しみですか?とはなってしまいます。
 そもそも初代の時代でも、このテンポが良過ぎる超展開と雑さは批判されていたと思うのに、今の時代にそれを踏襲してどうする、と思うし、そういうのはシリーズの持ち味とは言わないでしょう。
 ある意味土台の設定の自由性が相当に高くて、そこに説得性さえ付与できれば結構何でも出来るイメージなのに、ここまで小さくアッサリ風味で、かつ淡泊に仕上げてしまっているのは、フルプライスとしてはやや手抜きだと言わざるを得ないでしょうかね。


キャラ(20/20)


★全体評価など

 まあ逆に言えば、シナリオ設定の大仰さの割にヒロインの嫌味な部分や、核となっている辛い部分がさほど露呈しないので、キャラゲーとしては安心して楽しめる、というのはあるかもしれませんが。
 勿論掘り下げが足りているとは思わないのですけれど、それでもそれぞれみんな可愛かったし割り引くほどの要素はないかな、ってところですね。

 一番好きなのは、私にしては珍しくお姉さんキャラの琥珀で、お姉さんなんだけど甘えんぼで愛らしくて、それでいてちゃんと締めるところは締めてくれる、そういうバランス感がとても良かったなと思います。
 次いでリムスで、こういう勘上の薄いキャラが徐々に機微を、というのはやはりいいですし、プリムラほどの極端な飛躍はなかった分、逆にじわじわと可愛くなっていく感じで素敵でした。
 まあ基本的にこの二人が常駐する自宅イベントが一番楽しかったのはありますね。。。勿論CV的にすごく耳に嬉しいというのも含めて。

 きららも面白いけど、ヒロインとしての深みはもうちょっと欲しいな、という所で、リシアネリアも可愛いんだけど色々面倒な設定もあるからなぁと。特にネリアは、ネリネよりは明らかにスペックも高くて好みだっただけに色々勿体ない。
 そして明らかにシトロンが移植ヒロインとして待機しているのはズルいね。再移植まで行ったら買ってしまうかもしれん。。。


CG(17/20)


★全体評価など

 質量ともに悪くはない、んだけど、明らかに鈴平さん側のヒロインだけ物量が少ないのは残念。というかネリアだけ12枚とかあまりに不憫じゃね?
 立ち絵的には琥珀が抜群に可愛かったのでそこは満足。あと相変わらずだけど、西又さん側の服飾デザインセンスは……。

 一枚絵は全部で85枚と、ただちょい高フルプラだとすると少し少ないくらいではあって、余計にネリア琥珀の枚数少なさが気になりますな。
 出来はそれぞれそれなりに安定はしていると思います。琥珀の最後の病気の一枚絵超好き。


BGM(15/20)


★全体評価など

 出たよBGM回想なし、という感じで、どうしてそういうセコイことするかなぁ。
 ボーカルはOPEDで、それぞれ曲自体はそこまで悪くはないけどインパクトもなし、BGMも耳に強く残る、というほどのものはなかったので、普通に採点しても16だと思うけど、回想なしの杜撰さを咎める意図でマイナス1点ですかね。


システム(8/10)


★全体評価など

 演出も悪くはないし、このメーカーらしさは出ているけど、やっぱりなんかパワーダウンしている印象。つり乙あたりのほうが明らかに細やかで面白かったよね、とは思う。
 ムービーもいつものアニメーションなんだけど、質が良くないですよねぇこれ。特に白ワンピの色の浮き方もう少し何とかならんのか?といつもながらに思ってしまうのですが。

 システムとしては基本的なものは揃っているし、シーンジャンプもサクサクなので特にマイナス点はないかな。


総合(76/100)

 総プレイ時間16時間くらい。
 共通が4時間ちょいで、個別が一人2〜2,5時間とかなり短め、シーン数もシナリオの厚みもなにもかもサッパリ風味で、暑くなってきた夏場には丁度いい……わけあるかい!って所ですかね。
 まあ確かに初代もこれ以上に個別は超スキップ展開でうーん、って感じでしたけど、そういう悪習を伝統と偽って踏襲するのはどうなの?と思うし、明らかに追加要素込みで考えてるよね?というのが透け過ぎていて残念です。
 それでいてお値段はお高めですからねぇ。正直今買うよりは、いずれ出る再移植完全版を待ってからでもいいのでは?と思います。もっとも昨今のエロゲ界の情勢から、そこまで漕ぎつけられるほどのパワーのあるタイトルなのか?って疑念も出てきてしまうのが悲しいところですがね。。。

posted by クローバー at 06:30| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月02日

月の彼方で逢いましょう SweetSummerRainbow

 月かな本編は全体的にハイレベルな作品でしたけど、その中での頭一つ抜けて評価していた雨音にフィーチャーしたFDという事で、お値段も手頃ですしこれは買うしかない!でしたね。

シナリオ(23/30)

 繰り返されて、癒されるもの。


★あらすじ

 この作品は、月かな本編の雨音ルートの、それぞれスクール編とアフター編の更にその後を補完したFDになります。
 当然ですが本編をプレイしている事前提で、一応これ単体でも雨音ルートダイジェストは搭載されているので、最低限「雨音」の物語としては楽しめますが、やはりこのルートはエンデュミオンの謎やその力の部分を多角的に作品全体で示した蓄積があってこそ、なので、私としては断然本編からのプレイを推奨します。


★テキスト・ルート構成

 テキストは本編雨音ルートと当然ながら同一のライターさんで、非常に細やかな感情の機微を丁寧にバランス良く掬い取ってきているな、と改めて思いますし、スピード感、という点ではややもどかしさはあるかもですが、じっくり楽しみたい人には親和性の高い読み口に仕上がっていると思います。

 ルート構成としては、いくらか選択肢は出てきますけどその後の展開が少し変化するくらいで、大枠の流れは当たり前ですが一本道です。あくまでもゲーム性の部分はおまけ程度で考えておきましょう。


★シナリオ

 大枠で見れば本編の焼き直し、補強ですが、そういう細かな段階と、切所での踏ん切り、前を向くための活力と勇気を得る、という意味で、雨音というヒロインにはそういう過程が必要なのだ、というのをきちんと理解してあげることが必要であり、それがわかっていればこのシナリオの価値も大きく感じられるでしょう。

 前提として、雨音の中二病は現実からの逃避であると同時に今の自分を守る殻でもあって、それはなまじ幸せな家族の形を知っていて、けれど突如それが奪われた滑落の経験がもたらすトラウマ、恐怖の裏返しでもあります。
 一度植え付けられた傷は、どうしても瘡蓋になっては剥がれ、また瘡蓋になって、という段階的な治癒を必要としますし、雨音にとってのそれは、どれだけ主人公が献身的に支えていても、畢竟過去の親子関係に依存してしまうのは止むを得ないところです。

 まあそういう視座で言うと雨音はとっっってもめんどくさいヒロインではあるのですが、普段の奇矯な振る舞いと愛らしさがそれを綺麗に糊塗していますし、主人公もことさらそれを意識せず、自然体でその傷に寄り添っているのずこの作品の魅力です。
 それは当然ながら、出会いからラストまでそれこそ15年近くの歳月を共にして、という蓄積を前提に出来るからのやり方で、故に無駄にめんどくささアピールする必要がない、というのもありますね。
 ただやっぱり雨音は、いざ幸せが手に入っている中で、常に自分の立ち位置を確認し、踏み固めてからでないと前に進めない臆病さは見せていますし、そのくせ生きる事に生真面目だから、所々で感情がねじれてしまうわけです。

 スクールアフター編での中二卒業?のくだりとかは、ある意味幸せを手にした自立した存在のテンプレとしての当たり前と、自己の自然が錯綜した中での困惑、苦衷であったと言えますし、だからあそこで、雨音はそれでいい、と主人公がまるごと認めた事が後々に向けての大きな支えになっているのは間違いありません。
 まあその分いつまでも稚気が抜けないと言うか、子供が出来てアラサーになっても、はにゃっ!?とか可愛さ満載の反応が持続しているのは苦笑いにはなりますけれど、それは裏返せば、家族関連でまだ凡ての棘が抜けていない証左、でもあるのですよね。

 このルートにおいては、主人公の小説家としての才能そのものはそこまでマルチなものではなく、あくまでも強い想いを抱いたものを投影する、という形でのみ開花する様相を見せています。
 それはある意味、雨音と人生を寄り添って生きてきたからこそ獲得した特質で、実際この作品では苦労するイメージは薄いのですけど、本義的にはこういう愛着がやや不安定なパートナーを支えていく、というのは大変な事のはずなのですよね。

 主人公にはそれを支えうるだけの愛着の強固な土台があったのは確かですし、逆に言えばその渇望の薄さが小説家としての真っ当な形での体制を妨げていた、と見做す事も出来ます。
 まあうぐいすルートの立場と相反する事にはなるので、軽々には断定できませんけれど、あのルートにしても、うぐいすというヒロインが醸し出す無常観に触発されて、という色付けは出来ますし、どうあれ雨音ルートの世界線に置ける主人公は、いわば雨音の想いに少しずつ寄り添う事で、自分が当たり前に享受していた幸せの本当の価値を一歩ずつ噛み締めて成長していった、と言えるでしょうね。

 物事には時間が解決する、或いは時間の経過が痛みを風化させる、という効能が確実にありますし、この作品のスタイルは、その時間の幅を目一杯有効に使って、決して想いの一本槍で力任せに解決に導いていない、そういう優しい手触りとバランス感が魅力ではあります。
 そしてその中でもその武器を一番有益に組み込めていたのが元々の雨音ルートではあり、それをきっちり更に細分化・段階化する事で、何かを間違えると踏み外してしまう雨音の幸せを着実に手繰り寄せています。
 そういう視座で言えば、展開としては焼き直しであっても、それは雨音にとって全てが必要な過程だったとなるわけで、この話は雨音の境遇や回避的な思想性に親和度が高い読み手ほど、うんうんと頷きながら共感して読み進められるのではないか、と感じますね。

 ついでに言えば、きちんとこの家族の幸せが、丁寧に蓄積され膨らんでいく事で、周りの人間にもいい影響を与えていく、というのは理想的な形ですし、それをある程度しっかり組み込めているのも素敵です。
 まあ既存のヒロインは、政治的配慮からどうしても自身の夢を叶える、という部分はさておき、女性としての幸せはぼやかされてしまうのですけど(笑)、この手の作品で男の親友キャラのその後までしっかり補填しているのは珍しいですよね。
 それは二人が他ならぬこの道を、堅実な歩みと苦難の克服を選んだからだ、というのも本編アフターラストのifが示していて、その延長線で更に、と見せてくれるのはやはり流石の丁寧な仕事でした。個人的に、栞菜が楽しそうに漫画を描けているのは嬉しい光景でしたねー。

 外殻的なシナリオ解釈としてはこんなところで、それはそれとしてのストレートな家族の幸せ、雨音とつきこの可愛さ堪能ゲーとしてもやはり中々の性能です。
 尺自体も結構ありますし、シーン数も特にスクールアフター寄りでポリューミーに織り込んでくれたのは、ロリィコンシャスたる私としてはGJ!と褒め称えるべきところです。。。まあアラサー制服コスプレもそれはそれでアリですが(笑)。
 総じて、雨音のやや癖のあるキャラが気にならず、本編のシナリオのテンポが趣味に合った、というならば、今作も最大限に楽しめると思いますし、満足度の高いFDに仕上がっていますね。


キャラ(20/20)


★全体評価など

 基本的に雨音ちゃん大好きー!なので、そのFDで減点があろうはずはないですね。
 むしろ本編より更に甘々度に磨きがかかって、途方もなく可愛い雨音を存分に堪能できましたし、娘のつきこの愛らしさ、素直な可愛らしさも抜群で、一粒で二度おいしい!という感じでした。

 本当にいつまでも若々しくある雨音ちゃんであって欲しいですし、それでいて仕事ではきっちりキャリアウーマンという面も素敵で、強いて言えば今回はそっちの顔が薄かったので、もっとAI絡みの頑張りは見てみたかった気もしますけどね。
 脇を支えるキャラもやはりみんな魅力的で、優しい世界観の中でとてもゆったり楽しめたなと思います。


CG(17/20)


★全体評価など

 完全新規はCG23枚にSD5枚なのでまあ値段相応、立ち絵は服飾が少し目新しいくらいですし、追加要素としては最低限なのではないかと思います。
 勿論それはそれで悪くはないですし、基本可愛いのですけど、しかしアラサーにもなってその猫パジャマかよ!とは突っ込みたかった。。。
 一枚絵も、存外シーン数が多いのでそっちに結構枠を取られていて、もう少し家族の団らんとかプッシュしてもいいのよ?とは思ったけど、妥当なラインではあるでしょう。出来も先ず先ず安定していますしね。闇姫様コスHが大変エッチでよろしい。


BGM(17/20)


★全体評価など

 新規はボーカル曲が3曲のみで、BGMの追加はないようですね。
 ボーカルはどれも本編より少し明るさが増して、よりつく強い未来像を投影した前向きなものになっているかな、と思いますし、その意味で個人的にさほど奥行きを感じなかった面もあるのですけれど、どれも悪くない出来だと思います。
 敢えて選ぶなら挿入歌が一番良かったかな。元々の楽曲がいいので上手くバランスは取れていましたしね。


システム(9/10)

 
★全体評価など

 演出・システム共にほぼ本編準拠で、丁寧で情感が画面からじわじわと溢れてくる素敵な彩りを提供してくれたと思います。


総合(86/100)

 総プレイ時間8時間くらいですね。
 スクールアフターの方がチョイ長くて4,5時間くらい、アフターアフターが3,5時間くらいのイメージでしょうか。
 ダイジェストもそれぞれ1時間くらいあるので、全て網羅すると10時間くらいで、値段の割に尺自体は結構しっかりしている、このシリーズらしい丁寧さが魅力ではあります。
 逆にダイナミズムとかは薄いのですけど、それは本編の流れを踏まえれば当然ですし、雨音のFDとしては十全に近い出来だったと評価していいのではないでしょうか。益々可愛さを増していく雨音ちゃんをたっぷり堪能出来て大満足です。

posted by クローバー at 06:36| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする