2020年04月07日

神様のような君へ

 超久々にカントクさん原画の作品だったし、体験版もそれなりに面白かった、ヒロインも可愛かったので迷いなく購入。


シナリオ(26/30)

 AIだからこそ、繋がるもの。


★あらすじ

 世界設定は近未来、現代よりもかなりAI技術が進歩して、人々の生活・インフラに密接に関わっている舞台での物語。

 主人公は趣味がハッキングのぼっちでしたが、ある日世界最高のAIと呼ばれるC−AIのハッキングに成功し、無制限のコントロール権限を獲得します。
 ただし、防壁破りは大好きでも、悪事や人様に不必要な迷惑をかけることは嫌う、不可思議なメンタリティの主人公がその命令権で要求したのは、世界中の女の子の中で、自分の好みに合致し、かつ自分を好いてくれている子がいるか調べてくれ、というしょーもないものでした。
 しかし無情にもその検索結果は0件。その無慈悲な事実に主人公は打ちのめされ、それでこの話は終わりになるはず、でした。

 けれど翌朝、主人公の家に、文字通り主人公の好みに100&合致した、かなり浮世離れした格好の女の子・ツクヨミがいきなり押しかけてきます。
 実は彼女は、まだ市販されていないレベルの超高性能ロボットで、主人公の要求を満たすためにC−AIが総力を挙げて作り上げた存在でした。
 勿論その機能は破格で、文字通りネット世界においてはC−AIそのもの、神様の様な存在で、それが自分一人を慕い、全ての要求を叶えてくれる、とわかって主人公は慄き、また同時に、彼女を女の子として愛する事に葛藤を覚えることになります。

 ただ、ツクヨミの存在が、それまでの主人公の灰色で平穏な生活を搔き乱したのは間違いなく。
 親戚と称して学園にもやってきたツクヨミのおかげでいらぬ注目を浴び、それを避けての普段通りのぼっちメシ行動の中で、同じくぼっちの霧香と偶発的に仲良くなる機会を得たり、或いは謂われなき事件に巻き込まれたところ、自称探偵の上級性で、どうやら向こうは主人公の事をよく存じているらしいラナに助けられたりと、じわじわ交流の輪が広がって。
 それは今まで夢物語であった、女の子と普通のリア充のようにイチャイチャできるチャンスでもあり、それは人間とAIという存在の壁をも超えて、複層的に主人公の内部で熟成していきます。

 果たして、主人公が選ぶ道は如何なるものなのか?
 そしてそれは、AI全盛の世界の中で、どういう因果をもたらし、いかなる形で絆を育んでいくのか?
 これは、AIの存在を前提として、想像力で様々な関係性の変化を補った、古き良き時代と新しい時代の恋愛感をハイブリットさせた物語です。


★テキスト

 全体的に歯切れよく、文脈や文意もしっかりしていて読みやすいテキストになっているかなと思います。
 主体を担っているのが、ラノベで活躍しているライターさんたち、という事で、エロゲ特有のテンポや制約に対してどうアプローチしてくるのか、というのは気になる点でしたが、結構なこちら側のライターさんが補佐している事もあるのか、その面でのたどたどしさなどはほとんど感じませんでしたね。
 若干構成的な部分でのリズムが違うな、と思うところはあったにせよ、純粋なテキストとしては必要充分には紡がれていると思いますし、上手く叙述トリックなども盛り込んでいて、似て非なる、一味違う風味も残す事に成功しているのではないか、と感じました。
 総合的に好感が持てる読み口でしたね。


★ルート構成

 最近の作品にしてはしっかり選択肢が用意されていて、それでもルートガイドなどで、ゲーム性をプレイヤーに恣意的に選択させる、というスタイルが取れているのはいい事だと思います。
 特にルートロックはないはずで、メインとなる3人のヒロインに加え、それぞれに対となるサブヒロインがいて、計6ルートがそれぞれにしっかりした分量で用意されています。
 かつルートによってはバッドエンドなどもあり、それがしっかりエロゲ文脈の中でしか発揮出来ない特殊条件を満たした上で配備されているのがナイスで、オーソドックスなADVとしてのゲーム性、と考えればかなり高いレベルだったと見做していいと思います。


★シナリオ

 全体として、非常に挑戦的で意欲的な内容ではないか、と思います。
 統合的なテーマとして、AIが密接に人間の生活に関与している世界観を想定し、特にメインヒロインの3人は、そのAIの助けがなければ今の在り方も許されていなかった、という設定があって、その中で中々に斬新な謎や頓挫、苦悩を提供してくれている、と言えるでしょう。

 無論それは想像で補っている部分であり、設定がそれなりにしっかりしている、とはいえ、どこまでがその世界のAIに可能なのか、線引きそのものは多少ファジーで、当然そうなると、個々のAIが絡む展開がやや恣意的に感じる、という面もあるとは思います。
 でもこの作品は、その恣意性を発想の斬新さ、インパクトと、それがもたらす物語性、ラストのカタルシスで充分に中和出来ている、と思いますし、とりわけ霧香に関わる設定は非常に素晴らしかったなと感じました。
 また同時に、個々のルートでの問題や、それがもたらすメリットとデメリットの擦り合わせがある程度きちんと出来ていて、霧香の抱える潜在的な問題が、潜在的であるままにツクヨミルートで事態を急変させる決定打になっていたり、それを補佐するラナのありようの説得性に繋がっていたりと、横の連関性があり、かつそれがきちんと統合されているのは絶賛していい部分です。

 マイナス点としては、どうしても土台の発想のインパクトにシナリオの面白さが依拠しているので、その分でルート間に多少なり温度差がある事と、それを補填する手際や分量的にも少しムラがある事、ルートによっては全く登場しないヒロインもいる事などですね。
 具体的に言えば、メインルートは霧香>ツクヨミ>>ラナくらいのイメージで、サブもそれに準じる形、トータルで書けば霧香>ツクヨミ>愛彩梨>ラナ=玲音>ソフィアくらいになるでしょうか。

 とにかく個人的には、霧香と愛彩梨のコンビが超お気に入りですね。
 勿論見た目やCVなどの威力も否定はしませんけれど、それ以上にこのルートにおける霧香の持つ裏設定の破格な意外性とインパクト、そして薄気味の悪さは素晴らしく、それを軸にあらゆる部分がスリリングに構築出来ています。

 霧香というヒロインはかなり後ろ向きで、自己肯定感の低いヒロインではあるのですが、しかしこのルートの場合、それがきちんとその裏設定の影響でそう仕向けられていた、という強烈な説得性がセットになっています。
 実はこれを書く前、昨夜俺の姿が透明に!?の冬羽ルートやってたんですけど、同じような自己肯定感が低いタイプのヒロインでも、その土台の積み上げ方が違うとここまでイメージが変わって見えるのか、と改めて実感した次第で、まぁ正直冬羽が恐ろしくつまらなく感じてしまったのは、霧香が凄すぎた反動とも言えるかもしれません。。。

 そういう霧香に対し、霧香とその裏の顔が大好きな主人公と愛彩梨が様々にアプローチして、表の世界に引きだしていこうと奮闘する様はとっても美しく思えましたし、その為に必要な、彼女を縛る鎖からの解放作戦などのダイナミックさ、ドラマチックさも非常に高いレベルで上手に構成されていました。
 ただその裏側に潜むのが単純な善悪ではない、という一面も持っている複雑さも肝になっていて、それ故にその悪行そのものにも、特にずっとぼっちをしてきた二人には共鳴できる部分が多い、という色合いも帯びており、それ故のバッドエンドの組み立て方も面白かったです。
 全体として明るい話、とは言えませんし、ラストも、本当に幸せになるのはこれからだ、という空気感でフェードアウトするつくりなので、そのあたり個性が出ているのかな、とも思いますが、個人的にこのルートだけで名作判定が出せるレベルで好きです。

 当然そのセットになっている愛彩梨も予想以上にいいルートで、彼女は彼女なりに人間的な苦悩を背負っていて、けれど普段はそれを見せずに頑張っていたのだなぁ、というのがよくわかって、霧香ルートの後にやると余計に沁みてきます。
 サブなのに尺もかなり長くて、強いて言えばこのルートはもう一回くらいイチャラブエロスは欲しかったけど、個人的にはかなりお気に入りの話ではあります。ただし、やはりサブというか、霧香の抱える裏設定が重すぎて、それをふまえて見てしまうと、この3人の歩みと頑張りも或いは……という、一握の不気味さと胸糞悪さを残すところも特徴的ですね。

 ツクヨミの場合は、恋愛模様としては特にトリッキーなところはないのですが、やはりそれがAIを介在して、となる時の難しさと、元々のツクヨミの違法な在り方が明るみに出た時の世界的な反応、という部分での醍醐味、ドラマチックさは素敵でした。
 それとこのルートは、上でも触れたように他のルートのメイン二人の設定と上手くバランスが取れていて、ツクヨミルートの展開を動かすキーとしての霧香、その事態に対処する助けとしてのラナのありようが、いずれ長いスパンで見た時に、それぞれの問題を解消するきっかけにもなるのではないか?とは考えられるようになっています。
 それでいて勿論ネタバレなんて無粋な事はしていませんし、この活用法は見事の一言でしたね。

 あと地味に良かったのは、VRを利用した斬新なHシーンの構築と、そこで得た知見が、実はちゃんとラストの大問題解決の為の決め手にも繋がっている、という部分です。
 まあその発想そのものは、絶対にHシーンで埋め込まなくちゃいけないわけではないですけど、いわばエロゲであるからできる一石二鳥的な用い方をしていて、その点私の評価はかなり高いです。
 ただこのルートは、玲音の存在をどう考えるか、という部分でも難しさはありますし、流石に霧香ほどのインパクトやトリッキーさではなくて、AI対決などでの叙述トリックは見栄えしましたけど、このルート単体で考えるとギリギリ名作と言えるかどうか、くらいだと感じています。

 玲音ルート自体は、彼女の目的に対してのミスリードがあっての結びつき、ではありますし、どうしても打算からスタートしている中で、思い入れが強くなる余地が愛彩梨よりは薄いかなー、というイメージですね。
 ツクヨミルートでは、かなりあくどく騙し騙されしながらも、彼女の願いは満願成就している(のだと思うのですが)あたりも、因果関係として釈然としない部分は残りますし、その辺り総合的に見てもう一歩、工夫と言うか、それを必然と読み手に強く納得させる仕掛けはあっても良かったかもしれません。

 ラナルートも出来そのものや発想は悪くないのですけど、他のメイン二人のルートに比べると、分量的にも肉付け的にも、構成バランス的にももう少し足りないな、と感じる面が多かったです。
 ラナ自身が元々主人公好き好きー、をはっきりはさせていたので、恋愛関係に至るステップが軽いのはいいとして、実際にそうなるにあたってのラナの抱える課題の告白から、それが実際的な問題として浮き彫りになるまでのスパンが非常に短いのは気になります。
 やはりそこはワンクッションないと、かなり意図的なイメージを読み手に与えてしまいますし、出来ればそこでもう少しちゃんとしたイチャイチャや、直接的に関係しない探偵業務、他ヒロインとの横の繋がりを少しでも示唆しておく、などの、急がば回れ的な諸々を詰め込む余地は充分にあったのではないか、と思いました。

 ラナの抱える問題もまた重いものですし、その中での長い道のりで心が挫けそうになる場合もある、そういう現実性はわかるとしても、その中からソフィアルートへの分岐があったり、エロゲならではのバッドエンドがあったりと、それは正直重すぎる、とも感じるのですよね。
 ラナルート自体で言えば、綺麗な解決が結局正攻法、人の復元力と生きる意思に委ねられている、という部分も、綺麗ではあれどもう一歩踏み込みが欲しい、具体的に言えば横の繋がりからの手助けや示唆などあれば、と思います。

 一方のソフィアルートでは、どうしてもソフィアの意思が主体となる中での遠回り、科学的なアプローチなので説得性はあるにしても、中々に茨の道という感じで、実際にゲーム内で相当の時間が経過してもいます。
 ソフィアとの分岐手前の部分もそうですが、この状況になって○ヶ月が過ぎた――――的な、テキストだけでの説明は、例えば章立てがはっきりページをめくる、という行為の中で印象付けられて、読み手が区切りを意識してくれるラノベならともかく、ある程度ワイプだけでシームレスに続いてしまうエロゲだと、その蓄積の重さを感じ取りにくい、という面はどうしても出てくると思います。

 なのでこういう部分で、例えばフラッシュダイジェストでもいいから、白黒一枚絵など用いて、こんな風にラナと相対していたんですよ、みたいなイメージを画像で提供する、そういう工夫があれば良かったな、と思います。
 勿論テキストや通常ADVモードでやってもいいのですが、その場合尺的に冗長になってバランスが悪くなりますし、上でも書いたように、このルートに関してはその尺の猶予はラナルートの前半、明るい話で使うべきだったと思っています。

 その辺りのバランス設定が丁寧に工夫されていれば、後半はほぼ同じテキストメイクでも説得性が格段に増した、と思いますし、勿体ないつくりだったと感じますね。
 ソフィアに対する想いを強くしたのは、どうしたってラナへの後ろめたさがある中でも、それを長い時間が少しずつ風化させていった、といいうアプローチあってこそだ、とは言えますし、その時間経過の必要性は私も認めます。
 だからこそ、その時間の重みを視覚的に補完する部分があれば、というのが私の率直な感想です。

 あとこのルートだと、間接的とは言えソシエダが壊滅してるので、それで霧香も一定救われているのかな?と思えるのはありますが、そういう部分を示唆するアプローチがツクヨミルート程はっきりしていないのもマイナスですね。
 正直このルートは、ソフィアルートでの選択といい、ツクヨミの使い方もあまり上手でない、と感じていますし、全体的にもうちょっとなんとかならんかったか、なまじ他の2ルートの出来がいいだけに思ってしまいますかねー。

 ともあれ、総合的には名作判定を出して文句ない仕上がりだったと思いますし、特に霧香ルートは最高でした。
 まさかこの系列で、ここまで読み応えとカタルシスのあるシナリオを楽しめるとは嬉しい誤算でしたし(笑)、ヒロインもとっても可愛くて大満足の出来でしたね。


キャラ(20/20)


★全体評価など

 それぞれに癖のあるヒロイン像ではあり、単純に善人、ってわけでもないキャラもいるので一筋縄ではないですが、総合的には優しく温かいイメージの中で、ヒロインが活き活きと躍動していたと思いますし、それを踏まえての主人公像のバランスも良かったと思います。まあ玲音ルートだけキャラ崩壊していた気もするけれど。。。

 ただ一番好きなヒロインは?と問われると、実は相当に迷う作品なのです。
 純粋な見た目と性格付けならラナ、シナリオ補正含めてだと霧香、総合的なバランスでは愛彩梨という感じで、まあロリ寄りのヒロインに偏るのは私の性癖なので仕方ないとしても(笑)、それぞれが甲乙つけがたい、けれど図抜けたレベルとまでは行かない、という位置で拮抗しているのですよね。みんなギリギリで殿堂に入れるか迷うライン。

 ラナはとにかく真っ直ぐでひた向きで正義感も強く、シンプルにめっちゃいい子!って感じで、主人公に対する距離感やアプローチも微笑ましく、きちんと社会常識や羞恥心などもしっかりしていて、本当に理想的に可愛い子、って感じなのですよね。
 それだけにシナリオの方向性として、その恋人としての魅力を十全に発揮しないままに、シナリオ性の犠牲になってしまっているのは非常に勿体なかったですし、そういう時のラナも普通に可愛いのがまた困るのですけど、社交性の高さなども含めて、もう少し横の繋がりやよりストレートな愛情表現、正義感の発露を楽しみたかったな、というのが本音です。

 霧香はとってもとってもめんどくさい子だけど、そうなるのは当然、と言えるだけのバックボーンを持っていますし、タイプ的にもう一度リプレイするとより好きになるんじゃないかな、と感じています。
 対人関係に慣れていないところからの反応の矯激さなどが、非常に特徴的な立ち絵などからも存分に伝わってきて本当に愛らしいですし、だからこそ一心に慕ってくる様が心に染みる、というのはあり、こちらも出来ればあのエピローグの後の、憂いなく幸せになった世界でのイチャイチャをもう少し見ていたかった感じです。

 愛彩梨の場合、他のサブ二人が完全に当面の問題ありき、での関わりであるのに対し、思惑はあるにしてもそのアプローチが比較的率直な好意から出ていて、またAI絡みの云々一番少ないので、実は結果的に一番まともにオーソドックスなイチャラブ、ラブコメ展開が出来ている感はあるのですよね。
 全部が全部そうなら当然それはサブの分だけ埋もれてしまうのですが、基本どのルートもシナリオ性がやや上位に置かれた構成になっているので、この作品、という枠組みにおいては非常に恋愛模様のキラキラ感が際立っていて、ぶっちゃけて言えば可愛過ぎて萌え死ぬ。。。
 私の場合やっぱりCV小鳥居さん、ってのも大きいけど、この子の純真さと、好きなものに対するひた向きさ、献身性は、腹に一物抱えていたり、重い設定を背負っているキャラばかりの中で、いい清涼剤として機能していたと感じますね。
 自分のルートと霧香のルート、どっちでもすごくいい味を出していましたし、うん、やっぱりこの2ルートだけは近い内にリプレイしましょう。

 その他では、当然ツクヨミはストレートに可愛く献身的でとても良かったですけど、ただ大元の設定から外れて爆発的に可愛い、というところまでのなにかは見せられていないですし、どうしてもそこはシナリオ性優先の弱点にはなりますね。
 この子も最後のシーンから再びの再会で、そこからがイチャラブ本番じゃね?という色合いはあるし、他ルートでも基本主人公の幸せを第一義にサポートしてくれるとは言え、ルートによっては的外れな感もありましたからねー。

 会長も可愛いは可愛いけど、毒もあり過ぎるので特殊な性癖がないとど真ん中に刺さる、という感じではないかも。
 ソフィアも悪くないキャラではあるけど、お姉さんキャラとしての強みを生かせる設定でもないから、インパクトは弱いかな、とは。正直一番迫力があるのって、バッドエンドのシーンだと思うし。。。


CG(20/20)


★全体評価など

 土台の絵柄の好み度の高さに加え、今回は質量的にもかなり素晴らしくて、シナリオとの連動性も含めて見事だったと思います。
 特に良かったのは霧香の立ち絵と、あと服飾ですね。とりわけ今回は制服のデザインがとってもとっても魅力的で、こういうワンピースタイプの白って清楚エロくって最高ですよねぇ。ちょっとアメサラサを思い出しますし、この人がこのタイプの制服好きなのかな、とも思うけど非常にGJでした。

 一枚絵は全部で85枚と、量的には値段相応というラインで、理想を言えば上でチラッと触れた、ラナルートでの白黒フラッシュみたいな演出用の画材があればべストだった気はします。
 でも個々の出来も非常に安定していてエロ可愛いし、流石の一言でしたね。視覚からも最高級に楽しめて本当に幸せでした。


BGM(18/20)


★全体評価など

 ボーカル曲は2曲、BGMは28曲で、質量ともに妥当なラインとは言えるでしょうか。
 OPの『New world』は透明感と近未来感、清々しさがバランス良く塗された綺麗な曲で、ボーカルイメージともマッチしていて中々です。
 EDの『AI』もシンプルながら情緒と安らぎがあり、基本的に俺たちの幸せはこれからだ!的なEDが多い中で、その光景を脳裏に描けるような雰囲気を醸成してくれる優しい曲に仕上がっていると思います。

 ただこの作品、どちらかと言えばBGMの方が好み度が高いですね。全体的な完成度と、ここ一番の破壊力が中々でした。
 特にいいなと思ったのは『おはよう』『冷たい雨』『記憶』『霧香のテーマ』あたりです。それ以外もシナリオ性を邪魔せず丁寧に支えるイメージで見事でしたね。


システム(9/10)


★全体評価など

 演出としては悪くはないけど、これだけのシナリオだからもう一工夫、作り込みを頑張れればもっと素晴らしかったのに、というイメージはありますね。
 勿論立ち絵はそれなりに躍動感あり、1枚絵などを用いての演出もそれなりにスピード感はありましたが、もう少しテクノロジー感というか、現実から乖離したようなイメージを派手に投影した方が盛り上がったシーンはあったかな、とも思います。
 繰り返すように、情感演出を強化した方が良かったと思う部分もありますし、なまじ総合力が高いだけに惜しかったな、と感じますね。
 ムービーはOPもEDクレジットもそれぞれシンプルながら綺麗な構成で良かったと思います。

 システム的には、解像度がやたら高くなったのですけど、ぶっちゃけ我が家のマシーンではそれを享受できるレベルになかったりね。。。
 私の設定の仕方がダメダメなのかもだけど、まともにフルスクリーンプレイができないから微妙なところはあったりしました。
 それ以外の部分での操作性には特に問題はなく、プレイしやすく組み立てられているので良かったです。この下段バーのポップアップ型はすごくいいですよねー。


総合(93/100)

 総プレイ時間は22時間くらいですね。
 大体共通が4時間くらい、そこからメイン3人がそれぞれ3〜3.5時間、サブは2〜2.5時間、それ以外にバッド回収なども含めてこの位のイメージです。
 全体尺としては充分な物量ですし、サブのルートの分量もかなりたっぷりあったので、これは頑張っているなと感じました。
 ただそれでも、シナリオの土台構成の密度が高い分だけ、もう少し下支えをちゃんと、と感じる部分も僅かながらあり、それが補完されていれば歴史的な名作ラインも夢ではなかっただけに惜しい限りです。

 ただ、非常に総合力も高く、シナリオもソコソコ癖はあるけれどそれ以上に斬新な発想とドラマ性の構築で、読み手を没入させる牽引力がある作品であり、絵も非常に可愛いので、是非プレイしてみる価値はある作品だと思いますね。
 まあまだ今年はほとんどまともにフルプライスプレイしてないのですけど、間違いなく今年のトップレベルに入ってくる作品になる気はします。素直におススメです。

posted by クローバー at 06:51| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月08日

HaremKingdom

 SMEEプレゼンツなので、純粋に日常がドタバタ楽しいのは約束されていましたし、ハーレムというコンセプト自体に極端に惹かれるところはなかったものの、安定してヒロインも可愛かったので文句なく購入。


シナリオ(20/30)

 それぞれの幸せを探して。


★あらすじ

 主人公はもうすぐ大学卒業を控えていましたが、特に就職も決まらず、この歳まで様々な理由があって彼女もおらず、華やかさのない人生を送ってきました。
 いつも直ぐ傍には幼馴染の光がいて、女っ気と無縁という事もなかったのですが、自身の境遇や経験が、彼を臆病にさせていたのです。

 しかしそんなある日、前触れもなく突然に、主人公は一緒にいた光とともに謎の光に包まれ、異世界パルエッタへと転生する事になります。
 そこでの主人公は、その世界の礎である特殊な石を唯一使いこなせる特殊な血統であり、すなわちその国の王、なのでした。
 あまりに突然の経緯に驚きつつも、戻る算段もない中では求められるままに王を頑張るしかなく、しかしその石の力は生命力を削るもので、それを防ぐためには女性との性的な刺激を出来るだけ多く受けなくてはならず、暗にハーレムを作る事を要求されます。
 基本的には純愛一穴主義だった主人公は戸惑うのですが、政略や不幸な境遇などで、自分でなければ笑顔に出来ない女の子がこの世界には沢山いる、と自覚してから、少しずつ積極的にアプローチしていくようになります。

 隣国の姫・ソフィーヤ。
 大貴族の娘・シャルローネ。
 奴隷少女・キキ。
 敏腕宰相・マルー。

 それに光を加えた5人との、甘酸っぱくも騒がしいハーレム生活は、この世界と彼らの生き方にどんな光をもたらすのでしょうか?


★テキスト

 このブランドでは大層珍しい異世界ものではありますが、日常が醸し出す空気感はいつものSMEE、という感じですね。
 エッジの効いたギャグや言い回し、奇矯な展開を多発させつつも、それがきちんと全て楽しい日常のため、ヒロイン達の笑顔のため、という理由に帰結していって、ドタバタしつつも最後はほっこり笑える、時にはしんみりと優しい気持ちになれる、そういう構図を、テキスト面でも上手くメリハリをつけてサポートしていると思いますし、読み口としてはいつも通り面白いし楽しい、と言っていいでしょう。


★ルート構成

 比較的共通で選択肢は多いですが、これは単純にシーン回収のため、という感じで、ルート分岐自体は特に制約なく、最後の属性選択だけで決定する、という感じですね。
 この作品は、コンセプト通りにどのルートでもハーレムである事は崩れず、ただその中で主人公やヒロインのスタンスをどうするか?という方向性が少しずつ違う、そしてそれぞれのルートで一応ヒロインの一人が軸となっている、という形式です。
 なのであまり深く考えず、好みのハーレム属性を好きなように楽しんでいけばいいかな、と思いますし、敢えて共通からヒロインの選択を一律に、とまでする必要はないと感じますね。
 勿論シーン自体は回収しないと勿体ないですけどね。


★シナリオ

 異世界ものですけど、そこでの特殊な文化形成とか、新たに持ち込んだものによっての繁栄とか、異国との軋轢とか、そういうドラマチックなものはほぼ味つけ程度にサラッと出てくるだけで、あくまでもエロゲとして、ハーレムでのエロエロと、ヒロインとのキャッキャウフフな日常を存分に楽しむ、という、ブランドイメージそのままのつくりではあります。

 基本的に共通の時点で、ヒロイン個々が胸に抱く葛藤や屈託はある程度解消されて、一対一での関係性は結ばれる事で完結、その上でハーレムの中でどういう立ち位置を摸索していくか、という流れにはなります。
 なので実のところ、この作品は、マンツーマンでのHシーンはかなり少なく、各属性ルートに入ってからは、基本的に3P×3と、全員での6Pが1回と、そこはやや画一的になってしまっています。
 勿論ハーレムが主題なので、そういう面があるのは文句ないのですが、ただその分通常の個別ルート、という趣はほぼなくなってしまっていて、ヒロインの魅力が分散してややぼやけてしまう、という面もなくはないかな、と思いました。

 一応それぞれの属性ルートで核となるヒロインはおり、その生活の中で当該ヒロインが感じた想いや、過去との関係性などが詳らかになる中で、より一層心の距離が縮まって、という展開はあります。
 またここも画一的ではありますが、エピローグはその対象ヒロインがいの一番に主人公の子供を身籠って、ますます幸せなハーレム生活が続きますよ〜、という空気を醸すというものではあります。
 なので個人的には、ハーレムもいいですけど、最後に単体でヒロインにスポットを当て直すなら、その子と1日だけは全てを独占させてのデートやHシーンがあっても、と思いましたし、その方がエピローグとの結びつきもしっかりしていたのではないかなぁ?と感じましたね。

 作中でも言及があるように、ハーレムとして愛されている実感はあっても、時に女の子は、自分一人だけを見ていて欲しいという我が儘な独占欲をうち消せない、という所で、それをある程度フォローしつつ、そこで得たものをハーレムにも還元していく、そういうバランスが属性ルートに入ってももう少しあっても良かったかな、という感じです。
 それと、実数として考えた時に、決して全体でHシーンが多い、というほどではないのかもですが、後半は基本が3P6Pになる中で、どうしてもシチュ的に限界はあるかな、って思えて、むしろそっちより、もっと日常のドタバタを楽しませろー、って気分にならなくもなく。
 
 それは特にプレイを重ねていって、画一的構造に気が付いてしまうとより出てくる感じです。
 なので正直、属性をもうひとつ増やして、そこは完全ハーレム上等の展開、全員プレイもそこだけにして、代わりに上で書いたように、主格ヒロインがいる属性においては、軽めのハーレムプレイ+普通のラブラブH、といくらいの塩梅が一番うれしかったかもなぁ、とは思いましたた。
 その辺は性的嗜好の話でもあるのでなんともですが、やっぱり日常の面白さがメインとなる作風の中で、どうしても本来秘め事であるエロスが、ハーレム前提だとかなりシームレスににぢょうと重なり合って溶け込んでしまうので、その辺りをどう感じるか、は鍵になるのかなと思いますね。

 属性ルート間では、特にどれの出来が素晴らしいとか、どのシチュが最高だとか、そこまで明快に言い切れるほどの差異性はないかな、とも思いますが、個人の趣味としてはキキとシャルがメインの時の形が特に良かったです。
 でもこの二人、年下属性で可愛いのだけど充分にボインなのがねぇ。もう少しスタイル的にははっきりメリハリというか、見た目にはっきりロリっぽい子は正直欲しかったですかね。。。
 全体として際立った不満はないけど、ちょこちょここうしたらいいのに、的な面はあって、そのあたりを踏まえるとこのくらいの点数に落ち着くかな、という感覚です。


キャラ(20/20)


★全体評価など

 キャラとしては文句なく、それぞれに素晴らしい魅力があって良かったですし、脇を支える面々も面白くも温かく、という感じで、ストレスなく楽しめるキャラゲーとしては流石の出来でしたね。

 特に好きなのはやっぱりシャルとキキの年下勢でしたかねー。
 シャルは愛らしさと達観のバランスがとても上手く、手玉に取られるシーンも多々あるのだけど、それも含めての可愛らしさだと充分楽しめる感じになっていて、時々素の顔が覗いて、おずおずと甘えてくれるのが本当に最高でしたね。
 キキは特殊な境遇から救われた恩義、というしがらみから、少しずつ本来の快活な部分、向上心が色濃く出てくる流れが良かったですし、普段から素直で従順で、とにかく主人公の為に何かできるのが幸せ、っていう子犬感が抜群に可愛かったです。

 ソフィーヤも純粋無垢なお姫様って感じで、それでも他のヒロインとの絡みなどで徐々に遠慮がなくなっていって、ころころと楽しそうな様は見ていて幸せになれますし、マルーの駄々甘っぷり、光の複雑怪奇なツンデレっぷりも含めて本当にいいハーレムでしたね。


CG(16/20)


★全体評価など

 ただやっぱり絵はあんまり好みではないなーとも。
 立ち絵は結構可愛いのですが、1枚絵がそこまで好きになれないのと、今回はどうしてもハーレムで、複数ヒロインが一画像に入ってくる構図になって、よりバランスの悪さは出てしまう時が多い気はしました。
 立ち絵も正面はすごく可愛いのに、少し横向きになるとあれ?って感じでもあったりと、正直ここはもう少し頑張れない?という感は出てしまいますかね。

 立ち絵で好きなのはシャルとキキの正面、1枚絵は86枚で量的には水準なのですけど、質的には特にこれと言って琴線に触れるものはなかったかなぁ、というのが正直なところです。


BGM(17/20)


★全体評価など

 こちらも良くまとまっていて悪くはないですが、ガツンと目立つほど突き抜けてるわけでもない、無難な出来、という感覚です。
 ボーカル曲は2曲で、OPは少しばかりの異世界冒険感とワクワクを投影したようなスタイリッシュなつくり、EDは一転優雅な、幸せな生活の空気感をしっかり紡いだ感じで、どちらかと言えばEDの方が好きですが、延々聴き込むほどキャッチーではなかったですかね。

 BGMは全部で31曲とこちらも水準は楽にクリア、独得の世界観に上手く合わせつつ、ここのブランドらしいギャグチックなものやドタバタを助長するものなど、安定していいクオリティになっていますね。
 7.14.18.20.18.31番辺りが特に耳に残りました。


システム(8/10)


★全体評価など

 演出はもう一歩踏み込んでも、という所はありますが、日常的なところでのスピード感・臨場感はしっかり出ているとは思いますし、らしいつくり、という意味では期待を裏切らない感じです。
 ムービーはもう少し軽い感じでもいいのかな?と思う向きもありますけど、まあ悪くはないですね。

 システムは必要最低限ですかね。もう少し洗練、使いやすいあれこれがあってもいいのですが。
 あと選択肢ジャンプは、キーがあるのに何故か共通でスキップ出来ずの不備。なんか私が設定いじくるのミスってる可能性もありますが、結構共通長いので、ヒロイン単独のシーン回収するのに延々通常スキップは厄介でした。
 最近のこの系列の音楽鑑賞画面のデザインは好きなんですけどね。


総合(81/100)

 総プレイ時間は18時間くらいですかね。
 共通が5時間ちょい、各属性ハーレムが2,5時間ずつ、という感じで、全体尺としては水準レベルではあるのですけど、終わってみるとやや物足りなさは募ります。
 それは上で書いたように、Hシーンの画一ぶりと、ヒロイン個々でフィーチャーされる部分がかなり少なくメリハリが出にくい、そして日常のドタバタも分散していて、もう一歩踏み込みが足りない感じなのもあるでしょうか。

 結局ハーレム、というコンセプト自体が、時代性として受ける部分はあったとしても、それが本来の個別ルート的な在り方の魅力とどこまで共存できるのか?という問題提起は出てくる感じで、その点今作はもうちょっと工夫の余地があったように感じます。
 勿論プレイ中は充分に楽しめましたし、悪くはないのですけど、完クリ後に、これはここが特に素晴らしかった!とか、このヒロインの行動や言動が思い出深い!とか、そういう具体的なエピソード記憶として固着しにくい、ぼやっとした印象の作品にはなってしまうのかな、というイメージですね。

posted by クローバー at 05:00| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月28日

風雷戦姫 神夢

 普段はまず手を出さないカテゴリーなんですが、比較的体験版が楽しめたのと、CV飴川紫乃さんの杏那がストライク過ぎて、ついついうっかり買ってしまいましたとさ。


シナリオ(16/30)

 そりゃないよりはあるほうが。


★あらすじ

 主人公は由緒ある家に生まれ、聖域と呼ばれる場所を守る事が日常の一部となっています。
 ある日、家の近くで、それまで存在を噂程度では知っていたものの、実際に目の当たりにするのははじめての妖魔と出会ってしまい、あわや命を取られるか、という所で、空から十二単の女の子が降ってきて。
 彼女に力を貸してほしいと請われ、言われるがままに承諾すると、主人公は突然その少女・神夢の鎧と変化し、神の力を引き出すための依り代となったのです。

 その場ではまた息が合わず、辛くも妖魔を撃退するにとどまって。
 そして改めて、彼女の従者である琳音と、主人公の妹の杏那を交えて話をし、神夢が近年活動が活発になっている妖魔退治の使命を請け負っていると語り、その最大の目的は、主人公の一族が守り続けてきた聖域の封印、そこに眠る妖魔のボスを目覚めさせない事でした。
 更に、成り行きで神夢の鎧になってしまったものの、その契約は実は一生に一人しかできず、かつそのエネルギーを充填するためには二人の仲を深める――――平たく言えばエッチな事をする必要があって。

 いきなり激変した主人公の日常は、それでも騒がしく楽しいものでもあり、けれどそんな穏やかさを妖魔は容認してくれません。
 戦いの最中で、杏那もまたその妖魔対策に携わる一員である事が判明し、他にも助力してくれる存在が現れて、たどたどしいながらも少しずつ、自分たちなりに力をつけ、関係を深めていく主人公と神夢、果たしてその未来に待ち受ける運命とは如何なるものでしょうか?


★テキスト

 まあ良く言えばシンプル、悪く言えば単調ですね。
 この手の作品では珍しく、一台詞で4行表示でもあるので、その点で少しテンポが悪いってのもあるし、別に日本語として違和感があることはないけれど、洗練されているとはお世辞にも言えない感じです。
 あと基本的にエロス中心、特に寝取られメインの作品なのに、そのあたりの描写に対するねちっこさや情熱、フェチ感が薄く、文章的にも画一的でバリエーションが足りない、とは正直感じました。


★ルート構成

 こういうゲームなので、分岐一発でバッドエンド、というのはやたら多いです。
 基本的には仲間を守る、手を取り合って戦う、という方向性を保持すれば、バッド回避しつつ進めるのはそこまで難しくはないと思います。
 バッド自体は、その選択ミスからかなり尺がしっかりあって、妖魔数匹に対してそれぞれの寝取りシチュがガッツリ用意はされているので、回収するとかなり時間を食いますが、ただそれ抜きだと本当にロープラくらいの尺しかないのですよねぇ。

 一応まともなハッピーエンドはありますし、完全なハッピーエンドとはいかないにせよ、神夢以外のエンドもあるので、その点はまだマシかな、というイメージです。


★シナリオ

 まぁなんというか、色々な意味で中途半端な感じはしますね。
 どうしてもメーカー色として凌辱メインの方向性はあるので、そこにまともなシナリオを期待する方がおかしい、と言われればそれまでですし、サルテと比較するならば、きちんとしたハッピーエンドがあるだけでもありがたい、とは言えるのですけど。。。

 まずそのハッピーエンドに関しては、まあしっかり主人公以外に貞操を守りつつ、その絆の力でしっかりラスボスを倒す力を得る、という超王道的な構成ですね。
 最初に成り行きで鎧となってしまった主人公なので、息が合う、心を許し合うまでに時間はかかって、多分序盤だけで言うなら、元々の予定通り琳音がその関係を築いていた方が上手くいったろう、というのは否めません。
 ただ結果的に、人間の主人公と半分神様の神夢がそういう関係になる事が、最強のボス打倒の鍵になっている、という設定ではあり、勿論それに対しての土壌・説得性は薄いにしても、感情的になるほどそれなら、とは最低限思えるつくりではあります。

 でもやっぱり全体としてすごく短いし、バタバタしていて奥行きは薄く、展開としても都合のいい部分は大きいのですよね。
 ラストのオチのつけ方もあからさまではあるし、作品全体として言えばこちらのほうがおまけ、くらいのイメージになってしまうのは仕方ないと思います。
 
 個人的に杏那のEDは結構好きで、まあこの子とイチャエロ出来るのがここだけ、ってのもあるけれど、悲惨な状況でも未来志向の想いを失わず、新たな絆を手に、という方向性はいいかなって。
 琳音の方も、彼女の特殊な立ち位置の中で、それでも、と芽生えた想いの軌跡をしっかりと色付けて、厳しい状況の中で儚い美しさを綺麗に投影できてはいるのかな、というイメージです。

 んで、分量的には多分バッドエンドの凌辱・寝取られ展開の方が3倍くらいの尺はあるのですけど、こちらの内容は、そもそもこの分野に造詣が薄い、という点を差し引いても、あまり目新しさを感じるところはなかったように感じます。
 基本的に堕ちるまでの展開が段階的、であるように見せかけて、実際的にはもう最初の時点でゲームオーバー、という色味は強いですし、堕ちかかって、けれど、みたいな反転の流れも用意されずに、基本的に快楽に溺れて歪んでいくものばかりではあるのですよね。
 神夢というヒロインも、なんというか茶番的ヒロインというか、くっころ的な立ち位置の癖に快楽責めにあまりに弱すぎる感じで、もう少し抵抗と言うか、快楽に染まってしまう過程においてのバリエーション、ガマンを強いる構図はねちっこく突っ込んでいいとは思うのですよねぇ。これだと読み手に、堕ちてしまうのがどうしようもなかった、と思わせるだけの納得、説得力は持ってないと思うのです。

 そもそも基本的にあまりにも猪突猛進で、強大な敵に対していっつも無策で吶喊していく在り方も好ましいとは思えず、もっときちんと相手の能力を分析して、それに対抗する術、身体の疼きに対する対策も練って、みたいな色付けがなにもないのも良くないです。
 それは引いてはヒロインそのものの印象を悪くしますし、やるべきことは出来る限りやった、けれどどうしても届かない、そういうプロセスの丁寧さがあってこそ、悔しい感じちゃうの状況に読み手が昂奮を覚えるわけで、その辺の下積み、多層性が配慮されていない凌辱はあまりそそらないなぁと、正直私は思いましたね。
 無論逆寝取りパターンとか、それなりに工夫はしているつもりなのでしょうけど、どっちかと言うと状況の形式より、過程の価値を深める方が、着地点としては似通ってしまっても意味と価値がある気はして、ぶっちゃけ多分今後この手の作品を買うか、、と言われるとまず買わないので深く考えてもなんですけど、まぁ一言で言えばハッピーもバッドも軽い、浅い、という事にはなってしまうと思います。

 どうしてもヒロイン的な趣味として、馬鹿正直に過ぎる神夢より、杏那の一途さや覚悟、信念の方に惹かれるのはあるし、そういう想いを捻じ伏せての気づかいを蔑ろにして、結果的に悲劇を量産していく構図も含め、もうちょっとやりようはあるのになぁ、と思う作品でしたね。
 それなりにこれは、と思えるところもあって、決して嫌い、とは言わないですけど、物語、としての魅力は正直足りなかったと言わざるを得ませんね。その点は基本全てバッドしかないようなサルテの方が上でしたし、点数的にもそれに準じて、という事になるでしょうか。


キャラ(18/20)


★全体評価など

 正直なところ、最初はともかく、プレイを進めるごとに神夢というヒロインをあまり好きになれなくなっていくところがあったのが致命的ではあります。
 それをある程度杏那の魅力が補ってくれているとはいえ、あくまでもこっちはサブですしねぇ。全体的に出番は多いのが有難かったですけど、悲劇的な結末も多いし切ない限りです。どっちかと言えば杏那視点メインでのスピンオフとか見たい作品ですわこれ。

 なのでキャラとしても断然杏那ラブです。
 勿論CV力が絶大なのはありますが、見た目や性格も基本的にかなり好みの方向ですし、秘めた好意を守る力に転化して健気に頑張る姿にはやはり打たれるものがありました。
 だから短いとはいえ、杏那とイチャラブできるルートが用意されていたのは嬉しかったですし、ついでにそのシーンのシチュも素晴らしかったので、それだけでも買った価値はあった、と言えますね。

 そして、どうして神夢はここまで無謀な猪娘に設定されてしまっているのか……。
 それこそ妖魔が揶揄するように、自分から敗北してエッチな事されたいが故に、と言われても仕方ないですし、この辺もう少しでもなんとかならなかったのかと正直思います。


CG(17/20)


★全体評価など

 絵柄や塗りは流石にちょっと古臭さはありますけど、基本的には可愛いですし、質量ともに安定していて悪くはないと思います。
 立ち絵だと杏那の正面向きと、隊員服がとても可愛いです。

 一枚絵は全部で90枚、ほぼほぼ神夢ですけどボリュームとしては中々ですし、絵の質感とシチュ自体は結構良かったので(そこに至る状況作りがダメなのでそそらない、ってのが勿体無いレベルで)、それなりには評価できるかな、と。


BGM(16/20)


★全体評価など

 ボーカル曲3曲にBGM16曲なので、この手の作品としてはまずまずのラインなのではないか、と思います。
 ボーカルは全て独特の淫靡さと妖艶さを孕みつつ、位置づけに合わせてそれなりにイメージをずらしていて、どれも悪くはない出来かな、と感じます。敢えて言えばハッピーエンドのEDが一番好きかな。
 BGMもあまり奥行きはないですけど、まあ特別ダメって事もなく、作風にはマッチしたつくりだと思います。


システム(7/10)


★全体評価など

 演出面は単調ですね。もう少しバトルシチュや必殺技シーンを単発に頼らずなんとかせいよ、とは思うし、エロいシーンに関しても魅せ方の工夫がもうちょいあってもいいかなぁとは思います。
 システムもかなり古臭く、必要最低限もちょっと怪しい感じで、正直色々使いにくかったですね。


総合(74/100)

 総プレイ時間20時間くらい。
 本筋のハッピーエンドまでが8時間くらいで、神夢のバッドエンドが6ルートあるのかな?それぞれ1,5時間くらい、琳音と杏那ルートの諸々がやはり1,5時間くらいずつの感覚です。
 正直本筋だけ目当てで買うにはコスパが悪すぎるし、といって寝取られ諸々も底が浅くさほどグッと来ない微妙さで、ボリュームそのものはプルプラのラインではあっても、どっちつかずで盛り上がり切らなかった感じです。

 勿論私の趣味に合わなかったというだけで、これはこれで、という見たても出来るのかもですが、やっぱりCVだけに釣られて手を出すのは危険だなぁとは思ってしまいました。
 ただねぇ、それでもほんっっっとうに杏那だけはめっちゃ可愛くて、ここを楽しめただけでも買った意味はあった、とは思えてしまうのが我ながら安いというかなんというか……。

posted by クローバー at 04:31| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月20日

サルテ

 凌辱メインなのでどうしようかな、と思ったけど、舞台設定がかなり面白そうだったので、安かったしこっそりと購入。


シナリオ(17/30)

 まぁ救いはない。


★あらすじ

 一国の王女にして、稀代の舞台女優として名を馳せていたサルテは、ある時ふと目を覚ますと、見知らぬ舞台の上に立っていました。
 その奇怪さに、自分の記憶を辿ってみてもそこに至る因果がわからず途方に暮れていたところに、仮面の道化師が現れ、サルテがとある理由で命を落とした事、そして彼の望みが、この舞台でその死の理由を思い出し、演劇として再現する事だと告げられます。
 馬鹿馬鹿しい話だと一蹴したかったサルテですが、自身の顔半分を覆う決して剥がれない仮面と、道化師の手によって細分化された忌々しい記憶の欠片が、それを真実だと告げてきて。

 言いなりになるのは癪ではあったものの、自己の真実を知りたい、そしてそれを一世一代の演技で彩りたいという想いもあって、サルテは敢えてその道化の舞台に登る事になります。
 果たして彼女が背負った宿業とは、運命の悲惨は如何なるものだったのでしょうか?


★テキスト

 演劇を素材にしているだけに、全体的に大仰で芝居がかった言い回しは多くなっていますね。
 ただそれでくどすぎる、という事はないですし、ある程度残虐なシーンも淡々とした筆致でバランス良く描かれていて、文章そのものとしては特に不足なく、スルッと読み解ける形になっているかなと思います。
 ある程度伏線などで明言できない部分なども上手く糊塗出来ていると思いますし、勿論想定できる範囲の仕上がりなので丁度いい塩梅なのではないでしょうか。


★ルート構成

 基本的にはバッドエンド脱落式という感じで、凌辱寄りのゲームとしてはスタンダードなつくりだと思います。
 選択を間違えると即より残虐な凌辱にシフト、という非道なつくりではありますが、そもそも本編のほぼ全てが凌辱、きちんとエンディングに辿り着いてもそれがハッピーエンドか?と問われれば、私は違うと答えてしまうレベルの話なので、程度問題、という気もします。。。

 一応選択肢そのものにルートガイドというか、悪意が滲み出る構図がきちんと可視化されているので、バッドエンドを踏みたくなければ回避は簡単ですけれど、だからと言って本筋で胃が痛くならないわけではないので、もうそこはそういう色合いしかないゲームと割り切るしかないですね。


★シナリオ

 架空のファンタジー舞台の中で繰り広げられる人の業の浅ましさと弱さ、そしてそれに翻弄される者たちを描いた、まあ最初に書いた通り、基本的には救いのない話です。
 なんというか王道的な物語構成だと、そういう人の弱さが先に提示され、けれど物語の中でそれを克服して成長していく、という彩りが強く出るわけですが、その作品はその逆で、完全無欠に見える人間の醜さや残忍さ、虚飾の仮面の剥がれ方を残酷なまでに克明に打ち出しているイメージです。
 冒頭にチャップリンの台詞が引用されているように、傍から見ればこういう、きちんとしている人間の裏側がドロドロ、というのは喜劇的で、ワイドショー的な興味をそそる方向性のつくりとも言えるでしょうね。

 あくまで個人的な趣味としては、こういう人の醜さを暴く形の物語自体はやっぱりそこまで好きではないですね。
 というか、そういうのが好きではないからこそ、上っ面の綺麗事を綺麗なまま提示する事を暗黙的に求められる萌えエロゲ、というコンテンツから離れられないという残念さはあるわけで(笑)、そこはもうシンプルに私自身の弱さの裏返し、奇々怪々な人の業の中で泳ぎ回る根性と気力を持てない引き籠りの業とも言えます。
 ただし、勿論そういう方向性でしか紡ぎえない物語性がある事も承知してはいますし、じゃあ構造的にそれが上手く積み上げられているか?という部分は、感情的評価とは切り離して判断すべきでしょう。

 とりあえず、構造としての面白さは中々ではあった、と思います。
 アイデアとして奇抜というわけではなく、むしろ途中からは読み手にも、あぁ多分そういう事なんだろうな、ってのは見えてくるように、細かい部分でコツコツと伏線を積み上げていく手法は王道的とも言えて、その匙加減が悪くないだけ、読み手を物語に引き込む牽引力はある、とは思えます。

 まぁその合間合間に凌辱が入り込むので、生理的にそういうシーンがダメ、となるともうお手上げですが、凌辱にも方向性と言うか質はありますからね。
 私としては、純粋に暴力のみが主眼になっていたり、グロさが極まってるなんてのはちょっとムリですが、犯されて嫌なのに、身体は浅ましいばかりに反応してしまう、という方向性ならシチュ次第ではアリ、という微妙な節操のなさなので(笑)、今作のそれはアリ寄りではあったと思います。
 この辺りはその被害者たるヒロインの性格などにも関わってくるので一概には言えないですが、今作の場合、サルテのそれはそこまでそそらないのだけど、マリーのシーンは妙にツボに入りましたね。こういう従順で感じやすいタイプに、無体なガマンを強いる形とかはやっぱり好きみたいです。。。

 設定としては大元は聖書、演劇という彩りを意識して、という意味ではオスカーワイルドの戯曲がかなりベースとして機能している感はあります。
 個人的に、塩野七生さんの小説がこの存在に触れた最初なのですが、それだけに悪女にも二面性が、という部分は納得しやすいですし、はたしてその二面性の正体は、という部分での面白い解釈を見せてもらったイメージですね。

 でも結果的に、きちんとしたエンディングルートでも破滅的な着地ではあり、サルテ自身もそれで救われた部分があるのか?ってところで、そこは演劇に全てを賭けた生き様の投影とも言えるのですけど、やはり読後感としてスッキリ、とはいかないですよね。
 大枠としては悪くなくとも、細かい部分での齟齬や不自然さもなくはなかったですし、感情的な好き嫌いもセットで考えると、評価としてはこのくらいに留まってしまうのかな、と思います。


キャラ(18/20)


★全体評価など

 基本的にサルテに対してどういう想いを抱くか、の度合いで物語そのものの印象も変わってくる気はしますね。
 個人的には体験版の時点で、サルテというヒロインにはどうしても裏があるだろうな、ってのは感じたし、それを糊塗する仮面の方向性もそこまで好ましいものではなかったので、その分物語的な評価にも影を落としている気はします。
 まあマリーみたいなタイプの方がやっぱりいいよね、とか言っている時点で、こちらの人間性の劣悪さの証明にしかならない気もしますが(笑)。せめてあの後、この子だけでも幸せになってくれていればいいんですけどねぇ。

 しかし、男キャラまで含めて、徹底的に裏側ではみんなクズ、ってのも逆に凄いつくりではありますよね。。。


CG(18/20)


★全体評価など

 私の好みの方向性とはちょっと違いますけど、妙に艶っぽく肉感的で、嗜虐的な色合いには程よくマッチした絵柄だと思います。
 CGは全部で42枚、小物とかそういうのも含めてなので実質的にはもう少し少ないですけど、値段を考えれば妥当なラインですし、全体の出来も安定してエロかったと思います。。。
 立ち絵の方が基本的には可愛さがきちんと出ていて、日常と非日常の境界線がそのあたりにも色濃く出ているのが面白いですね。やっぱりここでも、基本的にはマリーの方が好み度が高いですねぇ。


BGM(18/20)


★全体評価など

 ボーカル曲が2曲とBGMが17曲で、値段を考えれば豪華な方だと思いますし、質もかなり高いです。
 特にボーカルはOPEDともにいい出来で、OPの『nothing』のギターベースのカッコよさと切なさ、EDの『idiot』の寂寞と叙情感は、ベクトルが違う中でもどこか一体感があってかなり好きですね。
 購入特典でボーカル曲は手に入るのも嬉しいところです。

 BGMも作風にはすごくマッチした雰囲気で、完成度は高いと思います。


システム(9/10)


★全体評価など

 演出はそれなりにしっかりしていて、上手く色々な素材を組み合わせて舞台感、情感を引き出せていると思います。
 ムービーもOPが特にすごくカッコいい出来で、世界観にぐっと引き込まれますし見事ですね。

 システムも特に使いにくいところ、物足りない所はなかったと思います。


総合(80/100)

 総プレイ時間7時間くらい。
 どうしても凌辱メインで、かつ悲劇的な結末を描いたものなので、その点で好き嫌いは出てしまうのは否めない尖った作品です。
 私も好みか?と言われれば、やっぱりプレイしてみて違った、とはなりますし、シナリオの質としても突き抜けるほどではなかったので、そういうマイナス面を捻じ伏せてくるパワーは足りないでしょう。

 ただ総合的な完成度はかなり高いですし、人の業を鮮やかに抉る悲劇寄りの戯曲風味の作品、という意味では、むしろ社会一般的には受け止められやすい面もあるのかな?というイメージは持てますね。
 キャラの魅力とかハッピーエンドとか、そういうのをチラッとでも期待するなら回避推奨ですが、凌辱の方向性と、滑稽な悲劇が嫌いじゃないなら、プレイしてみて損はないかもしれませんね。

posted by クローバー at 05:26| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月11日

あまいろショコラータ

 ヒロイン二人でハーフプライスという半端な作りではあったけれど、シンプルに絵がめっちゃ可愛くて好みではあったので購入しました。


シナリオ(18/30)

 キュートとハートフルが詰まってます。


★あらすじ

 主人公は、いきなり親に一人暮らしをしろと言われて、新しい街で過ごす事になりました。
 突然のことに驚きつつも、少し新生活にワクワクしながらやってきた初日、街中で喫茶店のチラシを配っている女の子・千絵莉と遭遇し、彼女を手助けする事でそこに招待されますが、その喫茶店は不思議な事に、耳と尻尾がある獣人、と呼ばれる種族が経営する場所でした。
 本来普通の人間にはそれが見えないはずなのですが、何故か見えてしまった主人公は、あれよあれよと彼女達の仲間に引き入れられ、次の日からその喫茶店・セタリアで住み込みで働く事になります。
 奇しくも同じ日にやってきたみくりともすぐ仲良くなり、先輩スタッフのナナや苺華にも助けられつつ日々を楽しく過ごしていく中で、女の子達との距離や関係も少しずつ縮まっていって……これはそんな、人と獣人が紡ぐ種族を超えたハートフルな恋物語です。


★テキスト

 とても柔らかな雰囲気の作品なので、それに合わせて特に奇抜な部分はなく、丁寧にまったりとスムーズに読み進められるという印象ですね。
 裏を返せばインパクトがない、とも言いますが、まあ特に日本語的にも引っ掛かるところはなかったですし、無難な出来、としておくのが妥当なところかなと思います。


★ルート構成

 選択肢はひとつだけで、ヒロイン二人への分岐と、ノーマルエンドへの分岐が一発で出てきます。まあゲーム性としては皆無ですね。
 全てのルートをクリアすると、タイトル画面からハーレムを選択出来ますが、非常に残念ながらハーレム、と言っても、今作のヒロイン二人だけです。。。


★シナリオ

 獣人が経営する喫茶店、という舞台の中で、種族の差やそれにまつわる劣等感などを軽くスパイスとして降り掛けつつ、基本的にはヒロインの愛らしさを全力で楽しむシナリオ、という感じですね。
 ルートがあるヒロインはみくりと千絵莉の二人で、それぞれ尺としては流石にフルプライスの1ルート相当はあるかな、と思います。シンプルにフルプライスを二分割した感じですね。ぶっちゃけおまけモードで見ると、明らかにあと二人分のCG枠が用意されていて、いずれ残り二人も出してくれると、苺華大好きな私としてはそこに縋って信じたいところではあります(笑)。

 みくりの場合は獣人の中でも、元々人間とは離れた、獣人だけの村で、しかもそこの巫女として生きてきたという背景から、一介の人間と共に歩んでいくビジョンが中々見えにくい、という方向性になりますし、みくり自身の恋愛情緒や世間知らずな部分がそれに拍車をかけ、展開的にもやや雑味のある山谷のつけ方、というイメージにはなります。
 全体的に主人公が昼行燈的な雰囲気ってのもあり、その辺はもどかしさもありますが、感情表現が素直でハキハキしているみくりの可愛さは十分堪能できますし、最後も特に問題が解決したわけではない、それでも二人の気持ちはしっかりと定まったという、この舞台の枠内での成長譚としてまとめているのは、ダイナミズムとしては物足りないですが余韻としては丁度いいのかもしれませんね。

 千絵莉の場合は逆に、元々家が人間社会にきっちり食い込んでいる、という部分もあり、種族の差、という所よりは、シンプルに自己評価の低さ、劣等感の克服が主題になり、そしてその根幹的な部分が恋愛に関しても中々めんどくさい方向性を紐づけている、というスタンスになると思います。
 本質的に努力家で、コツコツ積み上げていけば結構ちゃんと何でも出来る子ではあるのだけど、周りが凄すぎて自己評価が低くなってしまうという可哀想な部分はあり、それ故のめんどくささもそこが土壌としてはっきりしているから愛嬌として機能している感覚です。
 それに対しての主人公のどこか茫洋とした、けれど余裕のある考え方や立ち回りに感化されていく事で、自分なりの「大人」を築いていく流れは、成長譚としてみくりよりも明確にメリハリがあって綺麗にまとまっていますね。
 ヒロインとしても甘え下手なりに頑張ってアプローチしたり、やっとそれが叶った時の蕩けた雰囲気とかめっちゃ可愛くて、こういう気真面目タイプのウサさんはレアだけど、これはこれで可愛いなと堪能できました。

 ノーマルは本当にノーマル、って感じのささやかなつくり、ハーレムもほぼ夢みたいな都合のいい話と展開からのちょっとした挿話、というイメージで、ないよりはある方が嬉しい、程度のものですね。
 正直今回の二人のヒロインもすごく可愛かったですけど、この作品では断然苺華に惚れ込んでいる私としては、最初の選択肢のみんなで、で期待を裏切られ、最後のハーレムでも期待を裏切られ(笑)、まぁわかっちゃいたけど不完全燃焼です。。。
 上でも触れたように、おまけの回想モードで、明らかに残り二人の枠が用意されているし、いずれ出してくれると期待はします。苺華が攻略出来ないなんてバグだーーー!

 ともあれ、絵の可愛さと雰囲気の良さで充分楽しめる作品ですけど、シナリオとしてはありきたり、平凡のきらいも出てしまいますし、評価としてはこの辺になるかなと思います。結局主人公の秘密とかもきちんとは掘り下げていないですし、後々の展開を踏まえての表層的なつくり、という可能性も充分ありますしねぇ。


キャラ(20/20)


★全体評価など

 基本的にみんな優しく愛らしく善良で、角突き合わす事があってもそれすら可愛いという造型なので、心安らかに楽しめる一作ですね。
 一応ヒロインの成長譚としても綺麗にまとまっている話ですし、苺華が攻略出来ない事を除けば特に不満はないです。。。

 ヒロイン、という括りで言えば千絵莉の方がやっぱり好きですかね。
 こういう生真面目でひたむきなタイプのロリっ子は本当に愛らしくて素敵ですし、自分の恋心を自覚しつつも、それに素直になれずに振り回されるところとか、甘えたいのに甘えられずにやきもきして、周りに嫉妬を振りまいてしまったりと、ダメなところも可愛さとして見られるすごくいい子だったと思います。
 そんなタイプだからエロス的な面のハードル高そう、と思ってたら、そこも微妙に都合のいい設定持ち込んでではあったし、けどそれもしっかり自分を好きになれない点としてスパイスになっている、そこも含めてエロゲヒロインとしての美味しいところをしっかり押さえていた子でもありましたね。
 
 みくりも対照的に天真爛漫でいつも元気だけど、巫女らしい神秘性や不思議さも相応にあって、思考経路が人より奇抜な部分があったり、一般常識に欠けていたりする分、周りが振り回されるけど、それもこの子らしいイメージではありますね。
 恋愛的な機微としては明らかに年下の千絵莉より足りてないからこその、真っ直ぐだけどたどたどしいアプローチとかは可愛らしいですし、健康的なエロスも振り撒いていて大変良かったと思います。

 ただ本当に、見た目も性格も全てにおいて苺華がど真ん中ストライク過ぎたので、もどかしさは募りましたね。
 しっかり者で面倒見も良くて、すごくふわふわしていて優しいけれど締めるところは締める、そういう部分も本当に素敵でしたし、彼女の横に並び立つだけの努力を主人公側に求められそうなタイプだけどそれはそれでアリかと。
 今作の出番だけでも本当に超可愛くてお気に入りですし、是非是非ナナとセットでの後編リリースオナシャス!って感じです。


CG(19/20)


★全体評価など

 とにかく可愛いに全振りした感じの絵柄で、最高に私好みではあります。まありこさんもいいのだけど、やっぱり私しらたまさんのこの、少し横に広く、ロリ感を全力で押し出した画風超絶に好き。
 枚数的にはヒロイン19枚ずつとハーレム2枚で40枚だから、ハーフプライスとして考えれば平均ど真ん中のラインで、立ち絵もそれなりに服飾など多彩で可愛らしかったので、量的にも悪くはないでしょう。

 特に良かったのはやっぱり千絵莉に偏ってて、うたた寝、尻尾愛撫、あーん、騎乗位あたりはすごく良かったですね。
 特に尻尾ナデナデの白スト最高ー!みくりも一応ユニフォームの時は黒ストのはずなんだが、Hシーンで全く出番なしだったのは無念でござる。


BGM(17/20)


★全体評価など

 ボーカル曲は2曲にBGMは15曲とまずこちらも綺麗な平均ど真ん中で、質的にはこのちょっと洋風な世界観に上手く噛み合わせた丁寧なつくり、ってイメージですね。
 ボーカル曲はOPEDともに中々いい出来だけど、どちらかと言えばEDの『Wish*upon a star』の方がいいですね。出だしのキャッチーさと、伸びやかな旋律が気に入ってます。

 BGMでは『ご機嫌なしっぽ』『シリウスを見つけて』がいい出来だと思いました。


システム(8/10)


★全体評価など

 演出はそれなり、という感じで、もう少しケモミミ設定を全面に生かした演出でも、というのはなくはない、という所でしょうか。
 ムービーはカラフルでも派手過ぎない作りで結構好みでした。

 システム的にはやっぱりワンクッション重いのが面倒なのと、あとムービーの初期設定音量が小さすぎる気がする。そこを弄れないのも含めてちょっと勿体ないかなと。


総合(82/100)

 総プレイ時間9時間。共通3時間の個別3時間弱、残りが精々20分くらいのイメージでしょうか。
 まあ総量としては値段相応とは言えますし、短いけど優しい世界観はしっかり堪能出来て、見た目がもたらすイメージと期待感は裏切らない、けれどそれ以上のアドバンテージはない、というところです。
 本当にフルプライスの分割商法的なつくりなので、取り立てて特色も強くなく、可愛さを楽しめればそれでいい、というユーザー向けでしょうね。私としてはしらたまさんの絵が大好きなので、それだけでも充分満足できましたけどね。。。

posted by クローバー at 05:57| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする