去年も数多くのエロゲーが発売され、その中の少なくない数を手にとって楽しんだものとして、一応総括して評価しておく必要があるかな、とでしゃばった次第です。
対象作品は、2007年に発売した作品で、なおかつ2007年内+一週間くらいまでの間にプレイしたゲーム限定です。単純に去年やったゲーム、だと、発売時期がかなり遡るものも多いのでいたずらに混乱を招くかなと思いましてね。
ちなみにエントリー作品、というかプレイした作品はこちら。
一月発売・・・いつか、届く、あの空に。カタハネ。車輪の国 悠久の少年少女。潮風の消える海に。夏めろ。
二月発売・・・プリミティブ・リンク。
三月発売・・・ましろぼたん。
四月発売・・・アメサラサ。
五月発売・・・片恋いの月。
六月発売・・・E×E。こいとれ。
七月発売・・・リトルバスターズ(非18禁)。あかね色に染まる坂。りりかる☆リリック。Bullet Buttlers。
八月発売・・・聖なるかな。Purely。Step&Steady。テレビの消えた日。
九月発売・・・絶対幸せ宣言。
十月発売・・・はっぴぃ☆マーガレット
十一月発売・・Aster。そして明日の世界より。世界で一番NGな恋。キラ☆キラ。明日の君に逢うために。Magustale。
十二月発売・・Dies irae。タイムリープ。
以上29作品を対象に、普段のレビュー部門別に評価していきます。
基本的にはベスト5で発表したかったのですが、ところによりベスト10になったりベスト3になったりしています。このへんは、それだけ好きなのが多かった&少なかったという意味で解釈してください。少なくとも、自分の好みの尺度を上げ下げしてまで割り当て数にこだわりたくなかったので。
ではまずシナリオ部門から。
シナリオ部門(ゲーム別)
第一位 そして明日の世界より
ノーマル&アフターが神、個別も水準以上の隙がない名作。
第二位 キラ☆キラ
きらりエンド1&2が圧巻、共通ルートの勢いにシンクロ間違いなし。
第三位 リトルバスターズ!
リフレインが珠玉の出来、統一性は完璧ながら、個別のイマイチ感が・・・。
第四位 世界で一番NGな恋
丸戸節は健在、社会風刺の強いテキスト、アクの強いシナリオは間違いなく快作。
第五位 カタハネ
独特の世界観を持つレズゲー(笑)。クロハネ&ココルートは傑作。
シナリオ部門(個別ルート)
第一位 そして明日の世界より ノーマル&アフタールート
父親と爺ちゃんが神、そしてアフターのあの写真は反則。
第二位 リトルバスターズ! リフレインルート
暖かい世界の仕組み、恭介の慟哭、そしてKeyには珍しき大団円。隙のない神シナリオ。
第三位 カタハネ ココルート
クロハネ編のアインの決断と、その願いを守り通したココ。伏線の回収も見事、最後の台詞に感涙。
第四位 キラ☆キラ きらりルート2
人は綺麗なだけでは生きられない、真実を知ったきらりの決断と、続く台詞が全てを象徴する名シナリオ。
第五位 いつか、届く、あの空に。 此芽ルート
天才少女の究極の純愛。人が生きるために必要なこと、それを体現した此芽の可愛さに感涙。
続いてキャラ部門です。
キャラ部門(ゲーム別)
第一位 いつか、届く、あの空へ。
ベクトルを間違えたキャラゲー、なれど此芽の可愛さは絶品、他キャラも抜群のクオリティ。
第二位 明日の君に逢うために
全く隙のないキャラゲー、強気娘二人が最強、演出も可愛さを後押し。
第三位 Magustale〜世界樹と恋する魔法使い〜
キャラの性格とCV・デザインのマッチングが最強、正に萌える為のゲーム。
第四位 そして明日の世界より
変幻自在の立ち絵による感情表現は芸術の域、そして覚醒した御波が可愛すぎ。
第五位 はっぴぃ☆マーガレット
淡いデザインが雰囲気にマッチする、正統派のキャラゲー。演出力&静琉の可愛さでランクイン。
キャラ部門(個別・男)
第一位 八島 宗一郎(そして明日の世界より)
完全無欠の最強爺ちゃん。おいしいところ持っていき過ぎ&ノーマルの涙に思わずもらい泣き。
第二位 棗 恭介(リトルバスターズ!)
グループをまとめる最強の兄貴。理樹&鈴への愛は無限、リフレインでの絶叫とCGに感涙。
第三位 アイン・ロンベルグ(カタハネ)
クリスティナを支える忠実なる騎士、その孤独な戦いと、最後の決断に拍手喝采。
第四位 牛蒡 茂一(いつか、届く、あの空に)
武に生きる鉄壁の門番、その男気の気高さは他の追撃を許さず、正に孤高の名が相応しい。
第五位 ガラ・ラ・レッドウッド(Bullet Buttlers)
正義を愛する最強の公僕、外面とは裏腹な、心に宿る熱き思いは愛しき人を想って。
キャラ部門(個別・女)
第一位 水守御波(そして明日の世界より)
空気の読める病弱はっちゃけお嬢様。表情のバリエーションの多さと、2ndHが激萌え。
第二位 桜守姫 此芽(いつか、届く、あの空に。)
一見完璧お姫様、けど隠れ属性満載、ひたむきに主人公だけを想う一途キャラ。「・・わかってよ」に殺される。
第三位 橘 ミコト(あかね色に染まる坂)
ヒロイン昇格おめでとう、佐本二厘さんののんびり丁寧語キャラはやっぱり最強でした。
第四位 悠久のユーフォリア(聖なるかな)
娘にしたい子No,1、音ちんボイスも完璧、その純真さと、時折見せる芯の強さにノックアウト。
第五位 葉山 悠(タイムリープ)
妹にしたい子No,1、外見性格さることながら、何よりその仕草が愛らし過ぎでした。
第六位 泉水 小夜(明日の君に逢うために)
明日君二強の一角、全方位装備の毒舌ながら、何気にお節介、そして嫉妬も完備の完璧なるツンデレ。
第七位 西宮 静琉(はっぴぃ☆マーガレット)
出ました二厘お嬢様、多少頑固ながらも、その愛らしい言動と、夏服の立ち絵に悶絶。
第八位 ニナ・ジェミニス(Magustale)
金髪ツインズの妹、苦労人属性とドジっぷりがチャームポイント、何気にえっちい子。。。
第九位 月野 舞(明日の君に逢うために)
ナチュラル強気娘、だけど心はごく普通の女の子。かわいい立ち絵とドライな言動のギャップに萌え。
第十位 柚月 沙耶(Aster)
隣人、世話焼き、おっとり、正に完璧幼馴染。あまりにフラグ立ち過ぎの愛されっぷりに悶えます。
続いてCG部門。こちらはゲーム別のみです。
CG部門(ゲーム別)
第一位 いつか、届く、あの空に。
正に萌え絵の極北、あの可愛すぎるデザインと塗りの繊細さで、否応なく期待感を煽ってくれました。
第二位 Magustale〜世界樹と恋する魔法使い〜
濁ったところの全くない、ピュアなイメージのヒロインを描かせたら最強。レナ二ナ可愛すぎ。
第三位 E×E
こちらも正統派の萌える絵。全体のバランスにやや難ありながら、愛らしさは最高クラス。紅葉エロ過ぎ。。。
第四位 明日の君に逢うために
上位三つに比べると癖はあるものの、演出と相俟って躍動感がある、可愛げのある絵柄。目が特徴的。
第五位 テレビの消えた日
七海の可愛さが半端じゃない、全体的に崩れも少なく、丸みを帯びた女性的な絵柄。
第六位 りりかる♪リリック
必殺の絵だけメーカー作品、これだけかわいいのに性格付けが微妙なせいで・・・。
第七位 そして明日の世界より
ぶっちゃけエロゲーの絵に見えない、特徴的な目と、背景含めた塗りの素晴らしさに剋目。
第八位 カタハネ
まるで絵本のような、ファンタジーな世界観に相応しい可愛さ優先のデザイン。ただしエロゲには見えない。
第九位 あかね色に染まる坂
目が四角目で大きいのが特徴的、でも不思議にバランスはいい。ミコトちゃんのウイングブラ可愛すぎ。。。
第十位 はっぴぃ☆マーガレット
一枚絵でのブレが実に惜しい、少女漫画的な絵柄なのに、きちんとエロいという不思議な絵。
続いてBGM部門。今年はボーカル曲の当たり年。
BGM部門(ゲーム別)
第一位 キラ☆キラ
ボーカル曲10曲は圧巻、内容も素晴らしく、BGMにも隙がない。音楽ゲーの面目躍如。
第二位 いつか、届く、あの空に。
2ndOP曲をはじめとして名曲揃い。第二部直前からの、初出の曲の使い方が神でした。
第三位 片恋いの月
ボーカル曲が全部魂を震わす出来。BGMも雰囲気に合った曲揃いで、後はシナリオがなあ・・・。
第四位 Bullet Buttlers
燃えゲーの本領発揮、正に盛り上がる曲のオンパレードで、否応なしにテンションアップ。
第五位 そして明日の世界より
OP曲が神、BGMも名曲が多く、個別ED曲がもう少し頑張れば完璧だったのに。
BGM部門(個別・キャラ専用曲)
第一位 樫原 紗理奈(キラ☆キラ)
ギターの伸びやかなテイストと、徐々に重ねられていく和音が印象的。キャラの雰囲気にぴったり。
第二位 レナ・ニナ(Magustale)
超アップテンポながら、楽器のシンクロ感がきれいな、実に双子のための一曲。何故か好き。
第三位 白石 なごみ(あかね色に染まる坂)
後半のデレシーンに全く合っていない迷曲ながら、あの緊迫感がぴったりの場面も多い、何気にいい曲。
BGM部門(個別・BGM曲)
第一位 名誉の戦い(カタハネ)
後世で誰にも評価されない、隠れた忠義の徒アインのための神曲。最後の演劇シーンで掛かって感動。
第二位 六月の雨に打たれて(いつか、届く、あの空に。)
照陽菜終了間際、優しい時間の終わりを告げる物悲しい神曲。ふたみと此芽の最後の語らいとベストマッチ。
第三位 お砂糖ふたつ(リトルバスターズ!)
リトバスの日常のギリギリの調和を彩る、包み込む愛を感じる名曲。
BGM部門(個別・ボーカル曲)
第一位 split tears(片恋いの月)
片恋いの月最大の山場を彩る神曲。Bメロからサビの流れ、そして歌詞が完璧すぎ。。。
第二位 shooting star(いつか、届く、あの空に)
いつ空第二部の始まりを告げる、あまりにもかっこ良過ぎる神曲。ボーカルがちと迫力不足なのが惜しい。
第三位 a song for(キラ☆キラ)
きらりの遺稿から作られた追悼曲。多度重なる転調は第二文芸部のイメージながら、物悲しさに溢れる神曲。
第四位 リトルバスターズ!(リトルバスターズ!)
歌詞とシナリオのシンクロ率が最強、EDのジャンプアップバージョンに涙する名曲。
第五位 for our days(そして明日の世界より)
すみやかな声が水平線の彼方まで届くような、清涼感溢れる名曲。海のイメージにぴったりです。
第六位 refrain moon(片恋いの月)
片恋OP、明るさと不思議さと物悲しさを微妙にブレンドした、ゲームの内容にぴったりの名曲。
第七位 君の元へ(キラ☆キラ)
緩急入り混じったメロディーと、不器用に歩くイメージの歌詞が、第二文芸部そのもののような名曲。
第八位 Alea jacta est!(カタハネ)
なんて読むのかわからないけど、正にこれから未知の旅だ、というイメージが増幅する、明るい名曲。
第九位 二つ目の空(Aster)
Asterのメインテーマ曲、どこまでも届かない手を必死に伸ばしているイメージの、切ない名曲。
第十位 アマオト(アメサラサ)
曲の題名とは裏腹に力強いボーカルが印象的な、穏やかだけどどこか曇り空の日常を象徴した名曲。
いよいよ残るは総合ランクのみです。
2007年総合ランキング
第一位 そして明日の世界より(93点)
シナリオ・キャラ・音楽・CG、全てにおいて隙のない、文句なしの今年度最良作品。
第二位 キラ☆キラ(90点)
共通ルートの面白さと、きらりルートが圧巻。テキストと音楽だけなら今年最高、演出の不備が痛い。
第三位 リトルバスターズ!(89点)
リフレインの出来は流石の一言、個別に一つでも風子・ことみクラスがあれば、と惜しまれるところ。
第四位 いつか、届く、あの空に。(89点)
癖のあるシナリオと貧弱な演出ながら、その他の項目がほぼ完璧というアンバランスな作品。
第五位 カタハネ(84点)
ココルートの出来だけでも見る価値あり、群像劇の部分があまりキャラ立てに生かされず残念。
第六位 明日の君に逢うために(84点)
萌えゲーのお手本、演出は完璧、後はシナリオだけっ。。。
第七位 Bullet Buttlers(83点)
燃えゲーでは今年屈指の出来、シナリオのなかなかだったのだが、いかんせん絵が・・・。
第八位 Magustale〜世界樹と恋する魔法使い〜(83点)
完璧なキャラ設定に思わず身震い、萌えとはなにか、存分に味わってきてください。
第九位 はっぴぃ☆マーガレット(83点)
これまた高レベルの萌えゲー、お嬢様学校の割に、お嬢様っぽいのが少ないのがちょっと残念。
第十位 世界で一番NGな恋(80点)
異色作にして快作、人のNGな部分を抉るテキストは神の域、しかしそのほかの部分が・・・。
最後に・・・
2007年総合ワースト
第三位 ましろぼたん(70点)
CV買いは気をつけよう、CG・キャラ・シナリオ全てが微妙の、印象度0の作品。
第二位 プリミティブ・リンク(64点)
優良システムが泣いている、主人公KYの凡作。絵も酷いがシナリオはもっと酷い。。。
第一位 夏めろ(63点)
こんなのがシナリオと認められるか〜、とちゃぶ台返ししたいほどシナリオが駄目。絵買いも危険です。
以上、2007年私的エロゲーアワードでした。
二年続けて総合95点超えがでなかったのは残念です。やはり業界は停滞期にあるのでしょうかね。そんな中でも、演出の面から色々な新しい楽しみ方が出てきた年でもありましたし、そしてあらためて優良ライターの力を思い知った年でもありました。中でも11/22のあの三作品は、完全に不作の烙印を押されかかっていた今年のエロゲを一気に活性化させてくれた感があります。
・・・その分明日君あたりが割を食っている感も否めませんが。
この業界も新規メーカーが乱立し、よっぽどの大手でない限り安穏としていられない状況になってきました。そんな切磋琢磨の中で、素晴らしいシナリオと素晴らしい演出&CGの出会いがあることを切に期待する2008年であります。
・・・でも、普通にプレイできるスペックであってください。最近要求スペック高すぎなの多いので。。。