2017年04月14日

なんたる踏み台。。。

 神頼みし過ぎて俺の未来がヤバい。の感想をアップしました。
 プレイ中はそれなりに楽しめていたんですが、いざ振り返ってみると内容的には軽いし都合いいしスカスカではあるなぁと、前作嫁探しの複数キャラを使っての段階的な神様存在へのアプローチの面白味がほとんど感じられなくて、簡素なキャラゲーそれだけになってしまっていたなぁと。
 これはこれで割り切っていい、とも言えるのですが、改めて一人のライターで整合性が保たれる割に簡素になってしまうのと、複数で齟齬があってもそれなりに重厚さを担保出来るのとどっちがいいのか、と問われて悩んでしまうそんな今日この頃を更に痛感させられるところでもありました。書かなかったけど星恋でもこれはちょっと思ったのよね。。。
 まあ個人的には花夜という伏兵的な所でのキラーキャラが出てきてくれたので、買って良かったという満足感はそれなりにありましたが、人様に胸を張っておススメできるかというと微妙なライン、そんな作品でしたね。

 トリノラインはシロネ、沙羅とクリアしてコンプリートです。
 うーん、夕梨の展開からしてシロネも先行き不安だなぁ、とは思っていたんですが、まさかその予想をもぶっちぎってほぼほぼ救いのない展開まで突っ切るとか、流石ミノリさんやることが半端ない。。。
 そもそも分岐の選択肢自体に展開を左右するほどの強靭な思想性が加味されているわけでもなく、ぶっちゃけこっちにまで入ってしまえばどう転んでも袋小路ですよ、って話なのは悲しいほどにわかりますが、それにしてもなぁ、と中々に苦しくなります。
 
 一応分岐以降のシロネへの傾倒は、もうそれしか余地がない、という点を鑑みてもわかるところですし、その在り方に寄り添うために自分も、と短絡的な思考に傾斜してしまうのも、元を辿れば事故が原因ではあるのだから仕方ないと言えば仕方ない。その上でその決断が内的要因となってあの結末を導いているわけですからね…………。
 一貫して人と違う思想のフレームを認知し、それを否定する中で人間性のなんだるかを明確化していくプロセスと、それを選び取る人としての生き様、尊さを見せたいのはわかりますが、それにしてもきっついですよねー、特に一番好みのヒロインでこういうのされるとうーん、とはなっちゃいます。面白い、とは思うんですけどねぇ。

 そして沙羅も、それを踏まえて踏み込むべきは、変えていくべきはどこなのか、という観点で見た時に、最初にシロネに傾斜してしまってはもう遅いというのは二人の終わり方の救いのなさで露呈しているわけだから必然的なのですが、こっちはこっちでなんともなぁ、という感じ。
 結局フレーム的には問題の規模を大きくしているだけ、その上で選び取る道も同じ文脈ではあるし、敵役の思想性の薄っぺらさも含めて、最終的に対峙するのがまだあっちだからいいにしても、というのはあります。

 まあ外的要素としては、このルートは単独した形なので、あの事故がなければ必然的にこういうアプローチが形成されていく、という点での不合理はありませんけどね、どちらにせよ完全なる人の様に思考するアンドロイドの形成条件が眉唾である限り、そこでの重みや説得力は付随し切らず、あくまでそれを為す過程で生まれる疑問や思想性、人を人たらしめる概念に意義を見出すべき内容と言えるでしょう。
 沙羅自身もまあ可愛くはあるけれど、基本研究者らしい傲慢さ、独善性も応分に備えているからその点で好き嫌いは出そうですし、色んな意味で尖った作品なのは間違いないですね。
 感想は来週の火曜日までお預けなので、その間にあれこれ考えたいですね。実に評価の難しい作品です、シロネのバストサイズ詐称疑惑も含めて(笑)。

 次は甘夏アドゥレセンスに進みます。
 これこそシナリオ面では微塵も期待しない方がいい、とは思っていますが、これはもう素直に小鳥居&藤咲成分を摂取するために楽しむ、と割り切っているので(笑)。

 フィリスアフター更新。
posted by クローバー at 19:05| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

フィリスアフタークエスト <蓼食う虫も好き好き?モンスター毎の好みを見極めろ!>

フィリス
「ふぃー、たっだいま〜!うーっ、さぶさぶさぶぅっ、イルちゃんイルちゃんっ、杖でボッ、ってしてっ、ボッ、って!!」
イルメリア
「はいはい、ご苦労様」
フィリス
「はぅぅーー、ぬくいぬくい〜、生き返るぅ〜〜♪」

 高所から箒を使って、枯れ木の森周辺の偵察任務を果たしてきたわたしに、イルちゃんは珍しく余計な事を言わずに、杖の先に綺麗に制御された炎を召喚してくれる。
 じんわりと全身に熱が行き渡り、かじかんで凍り付いたようになってしまった手足に血行が戻って痺れを感じ、幾度も撫でさすることでその感覚を払いのける。

キルシェ
「フィリス、ありがとう。それで、どんな様子だった?」
フィリス
「ふぃー、はふぅー」
イルメリア
「…………こら、いつまでぬくぬくしてんの。キルシェの質問にちゃんと答えなさい。それともまさか、実は寒すぎてちゃんと観察してこられなかった、なんてふざけたことは言わないわよね?」
フィリス
「あっ、待って待って火ぃとぉざけないでぇ〜!!」

 …………前言撤回。やっぱりイルちゃん、優しくないっ!

フィリス
「もぉー、ちゃんと見てきたよぉ。それでね、やっぱり枯れ木の森の奥の方…………ほら、妖精の棲息地に分岐する手前あたりの崖が雪崩の影響か何かで崩れてて、そこから山奥にいたモンスターが行き来してるみたいなの」
キルシェ
「…………っっ、確かにあっちは霊峰…………本来人が分け入らない地帯だし、獣道すらなかったから、逆に向こうのモンスターに脅かされる事もなかった」
イルメリア
「霊峰…………そんな曰くのある山なの?」
キルシェ
「言い伝えでは、古代に大地を震撼させる大いなる力を持った邪竜を封印したとか」
フィリス
「うわ、なんか眉唾っぽい!」
キルシェ
「私も嘘くさい、とは思うけど、その信憑性を調査する余地も今まではなかったから。険峻な山だし、一応信仰の対象にもなってるから、わざわざ禁を破って道を開拓しようなんて考える物好きな人もいなかった」
イルメリア
「とはいえ、少なくともその隔離された一帯で、ガラコパス的にモンスターが進化してきた、のは間違いないみたいね」
フィリス
「うん、実際に今までのどこでも見た事のない…………どちらかってーと闇の種族に近いシルエットなのかな?遠くから見た限り、隠密的な動き方してるから、明確にここをテリトリーにしてるグスタフやファングとドンパチしてる感じでもなかったけど…………」
イルメリア
「遭遇してしまえば争いは避けられない、という事ね。厄介な話ね………」

 イルちゃんが杖の先をゆらゆらと揺らしながら思案気に顎を撫でる。
 キルシェちゃんも、思ったより逼迫した事態に、いつもより顔色が青白く、緊張に染まっている。
 そんな二人に、追い打ちをかけるみたいで気が引けるのだけど――――。

フィリス
「…………あとね、もうひとつ気付いたことがあるんだけど」
イルメリア
「なに?」
フィリス
「ほら、地理的に言うとここが枯れ木の森の入り口で、んでこっから向こうに、森の脇から雪洞を通って、南アオロ雪原に抜けていく道があるでしょ。その道の安全を確保するために、氷中炎灯が一定の間隔で設置されてるじゃない?」

 わたしが指さした先にも、ひとつ、ふたつと炎灯が皓々と灯っているのが確認できて、二人もその指先を辿るように現状を確認して頷いてくれる。

フィリス
「それでね、丁度雪洞に入る手前…………ここから雪洞までの距離だと半分ちょっと進んだ辺りかな?そのあたりの炎灯がいくつか燃料切れを起こしていたり、そうなりかけて明滅したりしているんだ」
キルシェ
「っっ、そ、そうなの?知らなかった、定期的に燃料棒は村長に提供して、交換作業に従事してもらってたんだけど…………」
イルメリア
「…………それ、確かに良くない状況ね。あの炎灯の光は、勿論モンスター除けの効果も付与されてるんでしょう?」
キルシェ
「うん、そう」
フィリス
「えっ、そうなの?昔キルシェちゃんに推薦状貰う為の課題で作った時、そんな効果引き出せてたっけ…………?」
キルシェ
「あの時はそこまで求めなかった。でもこの地方の特別な素材を使えばそういう効果を付与できるし、実際にそうでなければみんなの安全を守れない」
フィリス
「…………ふぇー」
キルシェ
「な、なに?」
フィリス
「ううん、やっぱりキルシェちゃんは、ちっさくても立派な、みんなの幸せを一番に考えられる錬金術士なんだなって、へへー♪」
キルシェ
「…………っっ、そこでそんな風に笑うの、ずるい」
フィリス
「えっ、なんで?」
イルメリア
「…………いいのよ、それがわからないあんたの方が」
キルシェ
「ん、私もそう思う」
フィリス
「ええーっ、二人してなんだよもぅっ!」

 こんな風に結託して隠し事をされるのはちょっともやっとするけれど。
 でも二人の表情は穏やかで、それこそリア姉がわたしを見つめる時のような慈愛が感じられるから、まぁいいか、と、その屈託を氷のようにガリガリと噛み砕いて飲み込む。

イルメリア
「それで?フィリスが気付いたのはそれだけなの?」
フィリス
「あ、うん、あんまり地表近くまで一人で近寄るのも危ないかなー、って」
イルメリア
「あら、あんたにしては理性的な判断ね」
フィリス
「しては、が余計だよっ!それでキルシェちゃん、どうする?」
キルシェ
「…………私が決めて、いいの?」
フィリス
「勿論!今までこの近辺の人達を守ってきたのはキルシェちゃんなんだもん、だったらその考えに従うのが一番理に適ってると思うし」
イルメリア
「そうね。もし至らないところがあれば助言は出来るけど、貴女だって錬金術士なら、最初から他人に下駄を預けて傍観するなんて性に合わないでしょう?」
キルシェ
「ふたりとも、ありがとう。ならまず、その燃料切れを起こしてる付近を調べてみたい。街道を歩いている時にも見知らぬモンスターの影の目撃談があるって事は、その新種がどこかに出没してる可能性があるはず」
イルメリア
「そうね、モンスター除け機能が弱まっている地点があるなら、そこを中心に調査するのが合理的ね。それじゃ、慎重に進みましょうか。フィリス、あんたが先頭、私が殿ね」
フィリス
「ほーい。歩いてった方がいいんだよね?」
イルメリア
「そうね、念の為そこまでの地形に変化がないかも、地表の視線の高さからじゃないとわからないかもしれないから」
フィリス
「…………なんかさぁ、任せるー、的なかっこいい事言っといて、結局イルちゃんが仕切ってない?」
イルメリア
「っっ、あっ、あんたねぇっ、揚げ足取らないのっ!いいのよっ、調査はキルシェがするにしても、戦闘は私達の領分なんだからっ!」
キルシェ
「でも、そんな風に振る舞うのが自然と板についてる感じ。イルメリア、鍋奉行タイプ?」
フィリス
「そーそー、一々行儀とか手順とか口喧しいったらないんだよー」
イルメリア
「キルシェまでっ!?もうっ、余計な茶々入れて遊んでる場合じゃないでしょーがっ!!」

 うんうん、肩を怒らせてドスドスと雪を踏み荒らすイルちゃんを見てると和むよね。
 横目で見ればキルシェちゃんも小さく笑ってくれていて、少しは緊張がほぐれればいいなと思いながら、わたしは――――。

フィリス
「だいじょーぶっ!そういうイルちゃんだから、安心して背中を預けられるんだからねーっ!」
イルメリア
「っっ!?」

 息を呑むイルちゃん。
 久しぶりに会心の一本を奪い取った充実感を胸に、踵を返す。
 その後ろをとことこと、けれど思いの外しっかりした足取りでキルシェちゃんがついてくる。流石に雪国生まれの雪国育ちで、そのあたりの経験値はわたしたちの方が余程覚束ないので、注意しながら慎重に進んでいく。

 幸い目的地までは異変も、不意の遭遇なども一切なく――――。

イルメリア
「…………ここ、ね。確かに二本くらい、効果が切れかかっている炎灯があるし、それに――――」
フィリス
「ね?遠目にかすかに見えるあのモンスター、見た事ないでしょ?」
イルメリア
「そうね、ホワイトルートの亜種…………?少なくとも雪の上では保護色とは程遠いから目立ってはいるわね…………」
キルシェ
「…………手強そう」
フィリス
「うん、それなりに武器は揃えてきたけど、出来るだけ遭遇戦は避けたいよね」
イルメリア
「とはいえ、近寄ってみないとわからない事もある。行きましょう」
フィリス
「うん。ほら、キルシェちゃんはわたしと手ぇ繋いでいこ?」
キルシェ
「う、うん、ありがと…………」

 実際にモンスターを遠巻きにして緊張感が蘇ってきたようなので、その手を取ってイルちゃんを追い掛ける。
 まずより近くの、完全に切れている炎灯の傍に寄っていったイルちゃんは、その本体に触れて――――。

イルメリア
「…………冷たい。もう炎が消えてから、大分時間が経過しているわね」
キルシェ
「…………交換用の燃料棒、持ってくるべきだった」
フィリス
「あはは、仕方ないよ。そこまで情報が集まってなかったし、勿論気付いたからには戻って、最優先でって事にはなるだろうけど…………今は、キルシェちゃん的に気付いたことはない?」
キルシェ
「…………思ったより、周りが踏み荒らされてない」
イルメリア
「そうなのよね。モンスター除けの機能が停止して、モンスターが接近しているなら、もう少し雪の状態がぐすついてると思ったんだけど…………新雪と見紛うばかりよね」
フィリス
「でも元々ファングはこの辺までは出張ってこないし、あの新たなモンスターもどこか亡霊みたいにフワフワしてるから、近寄ってきてても痕跡が残らないんじゃないのかな?」
イルメリア
「まだ決めつけられないわね、もう一本の方に行ってみましょう」

 イルちゃんが指さしたもう一本は、更に100mくらい進んだ先の、大きな雪の女王の樹の間近にあった。
 こちらは遠目にもチカチカと頼りない光が明滅していて、今にも消え入りそうな儚さと抒情感を醸し出している。

イルメリア
「っっ!?この辺、向こうとは違うわっ!明らかに何かが近づいた痕跡があるっ!」
キルシェ
「本当だ。これ、でも足跡?それとも…………」
イルメリア
「わからない。フィリス、私はもう少し集中して調べてみるから、周りの警戒を宜しくねっ!」
フィリス
「りょーかーい」

 膝を抱えて雪原にしゃがみ込むなり、熱心にその深さや方向、サイズなどを調べているイルちゃんを、キルシェちゃんがハラハラした面持ちでじっと見守っている。
 わたしも言われた通りに周辺を一渡り見渡して警戒を強めるものの、今のところなにかが近づいてくる気配は全く感じられない。
 念のために、と天を仰いでみると――――。

フィリス
「…………わぁっ!?」

 きらめくように視界に飛び込んできたのは、非常に馥郁と育った雪の女王の実。
 サイズといい、艶といい、傍目から感じ取れる素材力といい、見るからに特上の一品が、枝の高い所に連なるように生っている。

 思わず唾を飲み、そしてもう一度辺り一帯を見回す。
 相変わらずイルちゃんは調査に没頭していて、やはり近づく影はない。
  
フィリス
「…………っ」

 だったら、ちょっとくらい、いいよね?
 魔が差すような心の声に釣られて、わたしは懐からそっと風神のふくろを取り出す。
 うん、大丈夫、ピンポイントにあのいくつかの雪の女王を採取するだけ。あれだけのとびきりの素材、見逃せないよっ!!

フィリス
「…………えいっ!」

 ――――ビュウッ!

 最小限に威力を絞った突風は、過たずに狙った枝を揺らし、わたしの手元に実が吸い込まれるように落ちてくる。
 うんうん、さっすがわたし、ナイスコントロール!と悦に入った瞬間――――。

イルメリア
「ひゃうぅんっ!?」
キルシェ
「っっ!?」
フィリス
「…………へ?」

 枝の先端から零れ落ちた雪の塊が、狙い済ましたようにイルちゃんの首筋を直撃する。
 イルちゃんは文字通り飛び上がって、頓狂な悲鳴が辺り一帯に響き渡る。
 そして、反射的にわたしの方を振り向き、その手にしているものを睨み据え、その上で上空を見上げて、まだ枝が細かく揺れているのを確認したイルちゃんは――――。

イルメリア
「あっ、あんたねぇっ!?こんな時になにを牧歌的に採取なんかに勤しんでんのよっ!!」
フィリス
「えっ、いやっ、あの、そのねっ、ええ、っとぉ…………っ」

 ツカツカと鬼の形相で歩み寄ってきて、胸ぐらを掴みあげんばかりに怒気を振り撒くイルちゃんに、わたしはしどろもどろになる。
 う、嘘でしょぉ〜、な、なんであんなピンポイントにヒットするかなぁ〜〜っっ!?

フィリス
「え、えとっ、ちゃ、ちゃんと見張り、してたんだよっ!?だ、だけど特に何もないし、それでも念のためって空を見上げたらっ、あんまりにも見事に生った雪の女王見つけちゃったからっ!素材としても使えるし、単純に食べてもおいしいからみんなのお土産にもいいかなー、って、つい…………」
イルメリア
「つい、じゃないのよっ!ったくぅっ、なんであんたって子は一々そう緊張感が持続しないのよっ!ちゃんと護衛に来てるって自覚あるのっ!?ええないわよね、ちゃんとあったらこんな身勝手な事しやしないわよねっ!!」
フィリス
「あ、あるよぉ…………で、でもでもっ、張り詰めてばっかりなのも良くないしっ、その、結果的に邪魔しちゃったのはごめんだけどぉ…………」
キルシェ
「…………っっ!?ふ、ふたりとも…………っっ!?
イルメリア
「ごめんで済めば自警団はいらないのよっ!ほんっとにもうっ、今日という今日は性根を叩き直すまでお説教よっ!雪の上に正座よ正座っっ!!」
フィリス
「えぇーっ、それは勘弁っ!も、もうっ、ほんっとに些細な偶然の積み重ねで、悪意があったわけじゃないんだからほらっ、そんな怒んないでよぉ〜〜」
イルメリア
「そうは問屋が卸しますかっ!大体あんたはいっつもそうやって最初に言い訳ばっかり――――」
キルシェ
「ねえっ!!二人とも、やめてよぉっ!!」

 その時、ヒートアップするイルちゃんを遮るように、普段では絶対聞けないような切羽詰まったキルシェちゃんの叫び声が響き渡って。
 二人で振り返ると、キルシェちゃんは必死の形相でこちらに駆け寄ってくる。
 てっきりわたしたちの喧嘩の仲裁がしたいのかと思ったけれど、そのまま怯えたようにわたしの背中の後ろに回って――――。

キルシェ
「二人がおっきな声出すからっ!!モンスター、呼び寄せちゃったじゃないっっ!!」
イルメリア
「え?」
フィリス
「へ?…………ってぎゃーっっ!?いっ、いつの間にっ!?なんかもう魔法陣展開して戦う気満々だしっ!?」
イルメリア
「くっ、精霊織の帳っ!!」

 いち早く立ち直ったイルちゃんが緊急展開した防御の帳が、辛うじて敵の魔力攻撃の第一波を対消滅させる。

フィリス
「あっ、ありがとっ、イルちゃんっっ!!」
イルメリア
「ごちゃごちゃ言うのは後っ!私が防御とバフと足止めはするからっ、あんたもキルシェを守りつつ、効果のある攻撃が何か探っていきなさいっ!」
フィリス
「オッケーっ!よーしっ、ここから反撃だぁーっっ!!」

………………

…………

……


フィリス
「ふひぃ、はふぅー…………っ、な、なんとか、撃退、出来たねぇ…………」
イルメリア
「…………はぁ、はぁっ、ホント、酷い目に、あった、わ…………」

 あまり舐めていたつもりはないのだけど。
 そのモンスターは、今まで大陸各地の強敵モンスターを退治してきたわたしたちのコンビネーションをもってしても中々の難敵だった。
 行動の速さ、定期的な復元力、攻撃の苛烈さと多彩性、このあたりは並の冒険者の装備では相手にならないと思わせるもので、もしも一人だったらやられてしまっていたかもしれない。

 それでもなんとかなった安堵に、イルちゃんと顔を見合わせると、ふんわりと笑ってくれて――――。

キルシェ
「…………もうっ、馬鹿、バカぁっ!二人とも、なにしてくれたのっ!!」
フィリス・イルメリア
『う…………っ』

 しかし、その充足も束の間、今度は後ろでずっとハラハラと戦況を見守っていたキルシェちゃんが怒り心頭にわたしたちに詰め寄ってくる。

キルシェ
「守ってくれる、って、約束したのにぃっ!なのにあんな、二人で騒がしくしてっ格好の標的になってっ、もしかして二人ともやられちゃうんじゃってドキドキさせてぇ…………っっ!!」
フィリス・イルメリア
『ご、ごめんなさい…………』

 こればかりはもう言い訳のしようもなく、二人して平身低頭するしかない。
 まして大元の原因を作ってしまったのはわたしだけに、その軽率さに今更ながらに罪悪感と後悔が込み上げてくる。
 挙句に――――。

キルシェ
「ホントに、ホントに怖かったんだからねっ!だけど良かった、二人とも、無事で良かった、よぉ…………っ!」
フィリス
「あっ!?」

 そこまで捲し立てて緊張の糸が切れたのか、フラッと倒れ込みそうになる小さな体を走り寄って抱きかかえる。
 本当に、普段の言動は大人びていても、まだまだ子供のこの子に、余計な不安と心労を植え付けてしまった事に胸が痛み、せめてもと優しく抱きしめて背中を撫でさすれば、我慢しきれない、とばかりに胸に顔を埋めて嗚咽を漏らし始める。

フィリス
「…………本当に、ごめんね。モンスターの覚知範囲も移動速度もわかってない状況だってのに、わたし、すごく迂闊だったね…………」
イルメリア
「そうよ、心から反省なさい。…………でもそこでカッとなって、火種を広げてしまったのだから私も同罪。まだまだ心の修行が足りないわね。こういう時に、半人前なんだなって嫌でも痛感させられるわ…………」
キルシェ
「ぐす…………っ、ううん、いい。元はと言えば、私が身の程もわきまえずに調査についていきたい、なんて言ったのが、悪い。戦いの途中にチャンスがあっても、私を庇わなきゃならないからってそれをふいにしてるのを見て、すごく、すごく歯痒かった。私も、ちゃんと強くならなきゃいけない、って…………」
フィリス
「…………でも、至らなくても手を取り合って、力を合わせれば頑張って色んな困難を克服していけるよ。だからあまり、自分を責めないで」
イルメリア
「そうね。それに怪我の功名じゃないけど、あのモンスターと戦った事で色々見えてきたものはあるし」
フィリス
「え、そうなの?さっすがイルちゃん、転んでもタダでは起きないねっ!」
イルメリア
「あんたねぇ…………あんただって私と同じものを見てたはずでしょうが…………。でもまぁいいわ、どの道何をするにしても一旦体勢を立て直さないとだし、キルシェのアトリエに帰りましょう。キルシェも、それでいい?」
キルシェ
「…………うん。ちょっと失敗、しちゃったけど…………。これを糧に、きちんと話し合って、これから被害が拡大しないようになんとかしたい」

 二人が疲れを滲ませつつも笑顔を見せる。
 それは間違いなく、傍に居る人に活力を与えてくれる陽性のもので。

 だからわたしも、後悔はこの雪の中に埋めていく。
 過ぎてしまった失敗を悔やむより、それをどう生かすか、その方が余程大切。そうだよね、ふたりともっ!!
posted by クローバー at 14:30| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

神頼みし過ぎて俺の未来がヤバい。

 んーまぁ、体験版やって取り立ててキャッチー、って程ではなかったんですけれど、なんだかんだシリーズ全部追い掛けているのと、普通にキャラはみんな可愛いってところで、ちょい惰性気味ではあるけれど購入。

シナリオ(16/30)

 未来像のイメージこそが。

★あらすじ

 主人公は年頃になってから、頑張って女の子にモテたい!という意欲は持っていたものの、その具体的なイメージを持てず、自分を必死に磨くほどの意思も持てなくて、結果的に各地の縁結びのご利益があると言われている神社仏閣を巡っての神頼み、くらいしかやってきませんでした。

 そんな他力本願では実際にモテるはずもなく、自分でもその虚しさに気付きかけてきたある日の事、いつものように神社サイト巡りをしている最中に、いきなりモニターの中に美少女が現れ、話しかけてきます。
 彼女はいきなり、自分の事を縁結びの神様だと言い放ち、モニターの中と会話が通じている事をなんのギミックかと疑う主人公に対し、画面の中から実体化して飛び出してくることで、その不可思議存在としての力を見せつけます。

 流石に目の前でそんな事になれば相手の事を信じざるを得ず、そして麗、と名乗った自称縁結びの神様は、またしても唐突に主人公に、一年以内に運命の相手と結ばれないと一生DTだ、と非情な通告をしてきます。
 それは、今まで主人公が節操なく色んな神様に縁結びを願ったせいで、運命の因果がこんがらがってしっちゃかめっちゃかになってしまった弊害であり、麗は主人公をそんな運命から救うための手助けにやってきた、というのです。

 その上で、主人公に示された三人の運命の相手。

 黒髪の清楚美人で現首相の娘、七海。
 現役アイドルでみんなの癒しキャラ、鈴奈。
 常に眼帯装備のミステリアス少女、由香里。

 彼女達には今の主人公でも辛うじて運命の糸が繋がっている事がわかっており、そして麗によって授けられた特殊能力「縁カウント」をゼロにする事で、一生を添い遂げる相手として確定する、その為に頑張るか?という話に、半信半疑ながらも主人公は縋る想いで頷いて。
 その為に彼女達が通う格式の高い学園に編入するために、残り一年の大半を勉学その他自己研鑽に充てて、なんとかその舞台に立つことには成功します。

 その学園に通っている従姉妹の真央や、幼馴染の泰然などのサポートにも恵まれて、学園生活にはすんなり馴染めた主人公ですが、いざ目的の三人にアプローチする段になって、学園内に蔓延る不思議な空気に気付かされます。
 それは、首相の娘である七海の事を慮って、或いは憚って、学園の屋上が彼女のための「聖域」と化し、一般生徒や先生達までが空気を読んで近寄らない空間になっていたことで。
 そして奇しくも、主人公の運命の相手たる三人の内の残り二人も、学園で数少ない、その空気を読まずに屋上に通って七海と交流を交わしている間柄であることが判明します。

 真央にやんわりと掣肘されつつも、それでもと屋上に足を運んだ主人公は、はじめてのまともな遭遇で、まず七海のエンカウントを確認してみます。
 するとそこに見えた数字は870000000。
 あまりの途方のなさに、本当に運命の相手なのかとパニックになって思わず詰め寄ってしまい、SPの花夜に撃退される一幕などもありつつ、それでも簡単に挫けるわけにはいかず、少しずつ距離を詰めていく形で屋上常連の面々とも仲良くなっていきます。

 けれど、単に友情を築くのが目的ではない為に、時には彼女達の心を揺さぶる急所を遠慮なくつついてみる勇気を奮いながら、増減する縁カウントに一喜一憂し、それと同時に、この学園内で彼女達が託っている境遇に対する不満も首をもたげ、純粋に何とかしてあげたい、という想いも膨らんできます。
 しかし、主人公自身にも時間は少なく、一定期間内に縁を結びきらなければ一生DT、という呪いは重くて、なればこそ誰か一人にターゲットを絞って真摯に大胆に距離を縮めていく必要があるわけで。

 未だ本気の恋を自覚しているわけでもなく、恋するために距離を縮めていく、そんなアプローチの中でも互いを見知り、惹かれ合っていくことで、彼女らが抱えている問題や葛藤が見えてきて。
 その中で果たして彼らは無事に恋愛関係を成立させ、一生ものの縁を結ぶことが出来るのか?
 これは、恋に憧れる主人公と、普通に憧れる少女達の邂逅が織りなす青春群像を綴ったハートウォーミングストーリーです。

★テキスト

 基本的にノリと歯切れがよく、コミカルながらそれなりにしっかり理路は通っていて、気楽にポンポン読み進められるテキストだなと思います。
 ある程度目的意識が明確に輪郭を持っている物語な分だけ、心情面でのアプローチもテンポが速いですし、そういうジェットストリーム的な運命の変転の中でころりと傾斜していく感情の機微を、やや雑駁ではあれしっかりトレースできていますし、基本的には悪くないと思います。

 全部一人で書いているっぽいので、その点でルート毎の温度差がないのも読み口の点ではプラスですが、その分だけ山場などの厚みはあまりなく、構成の空疎さ、安易さを誤魔化す、というと語弊があるかもですが、ある程度文飾で厚みを持たせて本質的な薄さを糊塗するまでの作り込みに至らずに、物語性としては重みなく終わってしまう、その辺を読み口の観点からもフォローは出来ていないな、とは思いました。
 それでも結構世界観としては重たい要素を孕みつつ、それをサラッと前向きに転換していくバイタリティ的な空気感の一貫性は評価できると思いますし、掛け合いもテンプレ的な印象はあれ、ある意味王道的とも言えて、比較的面白かったし、綜合的にはまずまず良かった、と思いますね。

★ルート構成

 最初の一周はメイン三人のみ攻略になります。
 基本的に好感度蓄積選択肢などはなく、あくまでも共通の流れの中で、麗などのサポートもありつつとにかくそれぞれのヒロインとの心の距離を縮める最低限の枠組みは用意されているので、その下地を作った上で、さてより深く踏み込むのは誰にする?という意味合いでのみの選択肢になります。

 ただ、一人クリアすると運命の因果律に変化が訪れた、という建前で、今まで縁がなかった相手との未来が開かれます。
 サブの真央と花夜は選択次第で、この段階でクリアできるようになり、麗に関しては私は一番最後に回したのでわからないですが、一応花夜が攻略できる段階で、そのルートに進むための分岐自体は用意されていたので、一人クリアで平気なのかもしれません。
 ただ一応、程度ではありますけど、物語の全体像や、選ばれなくても前に進めるヒロインのありようなど、総合的に大団円的な印象を紡いでいるのは麗ルート、という感触ですので、最後にしておくに越したことはない、くらいの感覚ですかね。正直大差はないので、メインで断然お気に入りの子がいるならその子がラストでなんの問題もない軽いつくりではあります。

★シナリオ(大枠)

 基本的には恋をすることそのものが目的化している構成の作品ですので、その視座においては展開はテキパキしていますし、余分なものを省いてスッキリ真っ直ぐにヒロインの可愛さ、魅力を引き立ててくれています。
 そして、その魅力を存分に発揮する上での具象的な障害として、「聖域」というシンボルが用意されていますが、それ自体が絶対的要因というわけではなく、本質的にはあくまでもヒロイン個々の立場と境遇がもたらす内的要因を加速させるもの、というのが総合的な枠組みと感じます。

 ただ結果として、現状聖域に逼塞する事がメインの三人の内的要因の打破とも密接にリンクしていいるので、総体的にそこの問題に対処しつつ、同調意識をある程度刺激しながら、より具体的に個々の問題に踏み込んでいく下地を作る、という構成ですね。
 けれどそういう視座で見た場合、共通での下積みが十分か?と問うとそこまでではなく、善意の同調圧力、という元々の問題点がさほど軽いものか、という疑問と釣り合うだけのものとまでは言えないかな、と感じます。

 例えば麗シナリオなんかではその点、二人が結ばれた後にそのあたりを上手くフォローしているのですけれど、そのあたりはもう少し共通で煮詰めておくべき部分だったのではないかな、と感じます。
 このシナリオはいいですけど、他のヒロインに進んだ場合、手を差し伸べられなかった子は、無論それぞれの歩みで少しずつ変化を見せてはいきますが、その幅や限界は感じさせる場面が多いんですよね。
 特にサブルートなんかでは結構ちゃんと、屋上面子と友人の橋渡し的な展開、そこからの空気の循環的な要因がそれなりにきちんとできているくせ、メイン三人だとそのあたりのフォローがおざなりだったりするのは片手落ちかなぁ、と思いますし、勿体ないと思う所でした。

 あと世界観の不可思議面に際しての紐解き、これは正直ザルです。
 神様と言えば、という至極汎用的な要素をごった煮に、かつ恣意的に運用して、便利に山場に用いていたりもしますし、その力の本質的な部分に対するアプローチなんかは全スルーですし、そういう面でのシリアスは微塵も期待しない方がいいでしょう。
 最低限野放図ではない筋道を用意する事で、山谷に僅かなりの必然性を付与して、後はそこまでで紡いだキャラに対する愛着の重さに下駄を預ける、という割り切ったつくりですので、シナリオ面でどこまで楽しめるかは、そのままキャラへの思い入れと比例するタイプの作品と言っていいでしょうね。

 ただテーマ的な部分では一応の一貫性はあって、それは自身の中に確固たる未来像を確立する事の大事さにあります。
 この作品のタイトルが神頼み、であるように、別にここでは、何事も自分自身の努力と意思で切り拓いていけ、なんてヒロイックな話にはなりません。
 むしろ自身の現在地を確かめて、出来ないことは人の力を借りていい、他力本願でもしっかり目的を達成できるビジョンがあるならそれでいい、という話なのですが、結局そうするにはまず望む未来の具体的なビジョンを持たなければどうにもならなくて。

 それは元々ただ恋がしたい、という曖昧な想いで神頼みをしていた主人公と、そして行き過ぎた忖度に対し、自身が本当にどうありたいのか、という現実を見据えられずに流されるヒロイン達、という構図に集約されており、そこを神様の力でまず一歩踏み出し、関係性を強めていく中でより具体的なビジョンを育んでいく、という構図になっています。
 だからある意味では徹頭徹尾神頼みとその応答性が必須要素にはなっているものの、どうあれその願いが具体的であればあるほど寄り添いやすい、というのは人も神も一緒なのだと、そしてそれを望む人が多ければ多いほどその力は強くなるのだと、まあ綺麗事ですが物語としては素敵な、それでいて肩肘張り過ぎないテーマ性を、最後の麗との一幕に象徴的に展開して〆ている、という意味では悪くないのでしょう。

 ただそこに感情と理屈両面での説得性があるかというのはまた別問題で、それをストレートに良かったねぇ、と受け入れられるだけの素地、蓄積があるかと言えば正直ほとんどない、と答えざるを得ないのがこの作品の限界でもあるかな、と思います。
 個々のルートでも思想面ではこのベクトルに沿っての構成になってはいるのですが、スケール感も、それを覆すだけの衝撃要素も特にはないので、概括してしまえば恋で人は強くなる、で話は済んでしまうんですよね。それはひとつの真理でしょうけど、物語としてはいかにも奥行きと醍醐味に欠ける、と言いたくはなります。

 そんななので特に個別評価は書かないんですけれど、どちらかと言うと最初から恋する事を目的に接近しているメインの三人よりも、サブや麗の様に突発的にその可能性が生まれて、という驚きの中からの発展の方が楽しかったりするのがなんとも、というところです。
 特に花夜の展開が個人的にめっちゃ好みだったおかげで、シナリオ面での評価自体はともかく、プレイして良かった的な満足感は担保されたのが救いではありましたかね。

★シナリオ総括

 シリーズ的に見ると妹、嫁探しと代が下るにつれて、シリアス面での奥行きは縮小傾向にあると言えます。
 個人的に妹の時のあれやこれやは裏付けがないくせに大仰でやり過ぎ、と思っていて、その点嫁探しは少しバランスを取りつつ、段階的に重みを付与していて中々良く仕上がったな、と感じたんですけど、今回は逆に流石に簡素に過ぎるなと。
 このご時世で一人で全部書くのは立派ではあるのですけど、そうなると個々の物語の厚みや奥行きが足りなくなる可能性が強まる、というのは難しいところですよね。無論人それぞれ好みはあるでしょうが、常に神様という存在を介在させて、その在り方を多角的に模索してきたシリーズだけに、ここでもそれなりのものは期待はしていたし、そこが肩透かしだったのはやはり評価の面では著しくマイナスになってしまう、というところです。

 これはこれで面白味はありますが、構成的にも画一感は強いですし、これだと本当に尖った部分のない、まろみの強いキャラゲー、というだけでしかないので、その点をどう評価するか、ということになるでしょう。
 ただその方面で特化してる作品なら類例がいくらでも転がっていますし、そこらと相対的に見て特筆するなにかがあるわけではなく、このシリーズならではの味わいを欠損させてしまっているのは私としては残念だった、と総括したいですかね。


キャラ(20/20)

★全体評価

 シナリオ面での棘をなくした分、ヒロインの性格面でも嫌味な部分や重い部分はオミットされて、みんながみんな思いやりがあって懐の深い素敵なキャラにはなっています。
 それが逆に画一的で面白みがないという視点もありますし、元々の聖域にしたって善意によって敷き詰められた牢獄ではあるのだから、そこを打破する上での問題は決して重すぎることはなく、成長面での鮮烈さや個性の多角性はそこまで期待できない、という事でもあり、このあたりは判断の難しいところです。

 個人的にはここまで色々と真っ当過ぎるのも面白味はないなぁ、とは感じましたが、その分均質的にみんな好きにはなれましたし、ちょっと引っかかる部分はあれど、マイナスするまでのものでもないかな、と思いました。

★NO,1!イチオシ!

 なのですが、ここで挙げるのが花夜である、という時点でどこかイケてない感は漂うというものです(笑)。
 ただ本当にこの子はとっても可愛かったんですよねー。勿論見た目や性格、そして当然CV的な面でも元よりすんごく私好み、というところはあったんですけれど、本質的に一番恋愛と遠い所にいて、けれどそれを自覚しての一気の変貌の中に、花夜ならではの柔らかさと朗らかさ、加えて七海との愛情の相互関係の美しさが等分にきらめいていて、あぁ、この関係良いなぁ、と素直に思えました。

 基本こういうSPキャラって、メインヒロインだとするともっと杓子定規だったり真面目だったりで、その意識を恋愛に向けさせていく過程の段取りがめんどくさい、ってのがあるのと、気質的にもっと当たりが強い、堅い部分が目立つので、その辺で好みから外れる場合が多いんですけど、サブという立ち位置だからか、その辺のめんどくささを緩和するだけのクッションと気質を上手く噛み合わせていたのが実にジャスボケだったというべきか。
 恋人になってからの素直クールな可愛さも中々の破壊力でしたし、単調ではあるけど王道的で温かいシナリオとセットで一番お気に入り、と断じていいかなと思います。

★NO,2〜

 次いでだと鈴天こと鈴奈ですかね。
 こういうヒロインも難しさはありますが、いい意味で年上っぽくなくふわふわしてて、素直に頼ってくれたり無邪気に喜んでくれたり、愛らしさに特化しているのが良かったのではないかと思われます。
 由香里もスタイル的には花夜と並んでストライクですが、性格面での難儀さとシナリオ面での奥行きの薄さであまり印象が強く残らなかったんですよね。他ルートでの変貌具合もわかりにくい、という部分も含めてもうちょっと何かが欲しかったなと。

 逆に七海は色々とわかりやすくてちょろくて可愛かったですよね。
 ただ恋愛モードよりも、周りの恋愛をお節介してたり、女の子同士で友達の輪を広げてきゃいきゃいしている時の方が可愛く見えてしまう不思議もありこの位置に。
 麗も当然好きですし、この神様のくせに軽いノリは中々面白いんですけど、その素地の部分とか、好きになっていいとわかってからの軽さとか、もう少し工夫は欲しかったキャラでもあります。
 真央もそのスタンスと一般人的な考え方からして仕方ないとは思いますが、もう少しガツガツ共通の段階から屋上面子と関わりが出来てきてくれればなぁ、と勿体なく感じましたねー。


CG(18/20)

★全体評価

 基本的には可愛らしくロリ寄りの絵柄で好物ですが、過去作と比較してもう一歩出来にムラがあったかなと思うのと、突き抜けて素晴らしい、と感じるところがそこまでなかったので、綜合的な素材量と質の良さは評価しつつこの点数で。

★立ち絵

 ポーズはメイン4人が3種類でサブは2種類、立ち絵のあるキャラ自体は少ないので一人頭がそれなりに多いのはまあ普通、個々の個性の引き出し方に関してはそれなりに面白い工夫や華やかさがあって良かったと思います。
 お気に入りは花夜正面、やや右、鈴奈正面、やや左、やや右、七海正面、麗正面、やや左、由香里やや右、真央やや右あたりですね。

 服飾は4〜6種類とまずまず豊富で、デザインも可愛らしくも新鮮さも加味した中々に面白いものになっていると思います。多少なりやり過ぎ感もなくはなかったですけど、嵌っているものは嵌っていた印象。
 お気に入りは花夜制服、デート服、水着、寝間着、鈴奈制服、私服、アイドル復、水着、寝間着、七海私服、寝間着、麗制服、巫女服、デート服、私服、水着、由香里制服、探偵服、水着、真央制服、私服あたりですね。

 表情差分もポーズに合わせてそれなりには量があり、遊びの要素も多く見ていてコミカルかつ愛らしくてとても楽しめました。
 お気に入りは花夜ニヤリ、ジト目、微笑、照れ目逸らし、鈴奈笑顔、苦笑、照れ笑い、真面目、><、うっとり、しょぼん、ペロリ、七海笑顔、照れウインク、拗ね、ジト目、由香里にっこり、思案、からかい、拗ね、ジト目、麗笑顔、照れ笑い、気まずい、呆れ、怒り、哀しみ、ジト目、真央笑顔、きょとん、ぐるぐるあたりですね。

★1枚絵

 通常88枚と、まずギリギリ水準クラスですが、SDなどの水増し要素もないのでやや寂しさはありますね。
 出来はうーん、正直正確には思い出せないですけど、横向きの時にここまで安定感なかったっけ?とは全体的に思ったな、というのと、七海あたりは流石にメインで安定してましたけど、ガツンと来るほど惹かれるものはなかったんですよね。この辺は山場の薄いシナリオ面も悪いんですが。
 後頻繁に主人公くんの甘いマスクが登場するのには好き嫌いが出るかもしれませんね。

 お気に入りは七海アイス、あーん、お風呂、誘惑、キス、宣言、はじめて、正常位、騎乗位、パイズリ、バック、立ちバック、鈴奈転落、ダンス、歌唱、不意打ちキス、添い寝、愛撫、正常位、69、対面座位、騎乗位、由香里押し倒し、寄りかかり、水着、あーん、ウェディング、はじめて愛撫、正常位、自慰、バック、フェラ、背面座位、麗登場、押し倒し、デート服選び、指輪、ひざ枕、消滅、この手を離さない、騎乗位、自慰、パイズリ、屈曲位、立ちバック、花夜おめかし、手繋ぎデート、愛撫、対面座位、膝座り愛撫、真央キス、号泣、バック、正常位あたりですね。


BGM(17/20)

★全体評価

 意外と「強い」曲が多かったな、というのが率直な印象。
 シナリオの内容や状況に対し、曲が奏でる重みや雰囲気の方が先走ってしまうくらいにインパクトの強い曲が結構多くて、曲の出来そのものは悪くないとは思うんですけど、シナリオとの整合性、バランスの点でちょっと出しゃばってる、と感じる向きもあって、評価に迷うところです。
 質量的には水準ギリギリくらいはありますし、質そのものはかなりいい、と思ったのですけど、もう一点あげるには親和性の部分で足りなかったかな、という判断です。

★ボーカル曲

 全部で2曲。
 OPの『Fate Line』は疾走感と神秘性を程よく同居させてバランスよく纏め上げた中々の良曲で、特にサビの前後半のメロディラインの変化のつけ方がかなり気に入っていますね。
 EDの『キミノオト』もしめやかでかつ柔らかい、この作品の、未来への門出を祝う、という色合いが強く出た染み入るような曲調になっていて中々いいと思います。曲としてはOPの方がより好きですが、どちらも素敵です。

★BGM

 インスト込みで全部で25曲と、量的にはギリギリ水準で、出来は本当に悪く無い、どころかかなりいいと思うんですけど、使いどころの難しい主張の強さが仇になっている部分も時々あったのが勿体無かったな、という感じ。特に『淀気』とか強すぎでしたね。。。

 お気に入りは『春陽』『そよ風』『春眠』『青春の情景』『それ行け!』『楽しいょ〜』『心揺』『想う気持ち』『談』『鈴奈のテーマ』『麗のテーマ』『求めあう二人』あたりですね。


システム(8/10)

★演出

 特に目立つほどのものはないですが、きちんと一般的な部分でのコミカルで躍動感ある演出は引き出していましたし、1枚絵を美しく見せる工夫なども、それが十全に嵌っていたかはともかくなるほど、と思うところはありましたし悪く無かったと思います。
 OPムービーも軽やかで明るくキャッチーで、ワクワクする空気感と程の良い優雅さ、品の良さが噛み合っていて結構好きですね。しかしここでSDキャラデザインがあるなら本編でも使えばいいのに、とかはちょっと思ったりね。

★システム

 こちらも基本的なものはしっかり完備されていますし、ショートカット的な機能の使い出はいつもながらに中々良くいい感じだとは思います。といって特別になにかがあるわけでもないですが。


総合(79/100)

 総プレイ時間は17時間くらい。共通が3時間、メイン3人+麗が2,5〜3時間くらいで、サブ二人は2時間弱程度だと思われます。
 展開的にあまりグダグダしたところはなくさくさく話は進みますし、難しいこと考えずにイチャラブできる、という点では良さもありますか、結びつきの時点で軽いからこそ後々に、というシリーズ特有の不可思議要素と絡めた重さがほぼ払拭されている分だけ印象度は薄いですし、個人的に嫁探しはかなり気に入っていたので、その点で肩透かしだったのはありますね。
 ヒロイン的にも安定して可愛かったですけど、それこそメグリほどの破壊力には出会えなかったですし、総じて特筆できる推しポイントの少ない作品ではあるかな、と。特別にキャラに愛着が湧く、とでもない限り、敢えて手に取るだけのプラス要素は見出せませんでしたね。
posted by クローバー at 05:26| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月13日

まーた劇薬を

 トリノラインは夕梨をクリアです。
 うむぅ、なんつーかまぁ、実にミノリらしい味付けのシナリオだなぁ、とは思うんですけれど、しかし他のシナリオに進んだ時の劇薬度合いも半端ないつくりだなぁ、とは正直思いますよねこれ。

 そもそもからしてのっけから悲劇のバーゲンセールというか、主人公がそんな事になってんのかよ!って話の割に存外悲壮感はなく進んでいって、その上で甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる夕梨ってポジションはまぁ、なんですけど、わかりやすく襤褸出まくりとはいえ、そのエゴ丸出しの接し方はどうなん?とは思いますよね流石に。。。
 最終的に見た時に、それこそ健全な魂は理論で、なんとはなしにほたる思い出しつつ、そういう逃避と思い出作りに走るエゴイスティックな心情も理解できるように組み立ててはいるけれど、それすらも上手くいかずにすれ違いまくってとか、相変わらず尖ってるなぁと。
 かつそれを後押しする、というか、観察者の立場としての沙羅も中々にエゴ全開と言うべきか、少なくともシロネのあれを見た後でまだ三原則を盾にゴーサイン出せるとか中々に厚顔無恥ではあると思ったりねー。

 まあ主人公が一旦リセットされないと、夕梨とこうして向き合う未来はなかったのか?という観点も含めて、色々突っ込み所というか考える余地のあるシナリオですけれど、基本的には訴えかけてくるものは強いし、疑似ぞんざい、アンドロイドの有難味と限界を踏まえつつの理想論に着地している感じで悪くはなかったと思います。ただヒロインとして、このシナリオの展開を通して夕梨が好きになれるかは微妙な気はする。。。
 後は最初に書いたけど、他ルートに行った時どうすんだこの子、ってのもあるし、全体的な面で毒にならないことを祈りつつ次に進むわけですが、うーん、どうも最初の選択肢の二択だともう一方はシロネっぽいんですよね。最初からスキップさせてみたけれど新しい選択肢出ないし、とりあえず流れに乗ってみるしかないか。

 んで景の海のアンノウン後輩ちゃんが小鳥居さんだとな!?やったね、これは勝つる。。。元々買う気満々ではあったけど楽しみが5割増しになりましたぜはっはっはー。
posted by クローバー at 18:55| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月12日

私の戦闘力は…………

 神頼みは麗をクリアして無事にコンプリートです。
 まあ一応ルートロックあるんだろうな、って思って最後にしましたけど、文脈としてはサブ二人と同様に、並行世界の可能性がうんたらかんたらと適当にこじつけて、の展開でいいのかなと思われます。
 正直背景にもう少ししっかりした骨組みがあるかと期待したのですが、かなりざっくりしたものでしたねぇ。本当にそういう概念を表層だけなぞって切り取ったような、取って付けた空々しさはどうしても感じてしまいます、がまぁ、自分にも縁がある、と自覚して照れ照れになる麗はすんばらしくかわゆかったのでもうこれはこれで良し、です(笑)。

 にしても、縁カウントが530000とかどこのフリーザ様ですか、って話ですけれど、ラスボスにしても実にちょろい、チョロ過ぎる。。。
 流石にそのまま一筋縄ではいかないとは思っていたけれど、そこからの変転もすごく概念的で、やっぱりこの物語ならでは、という在り方に根付いてない浮薄な印象は否めなかったですし、体裁としては確かにグランド感はある、他ヒロインにもその関係性の進展の中で次善的な幸せ、道のりを用意しているという意味ではいいんですけど、流石に全体的にかっるいなぁ、とはなりますかね。
 ただ逆にこのシリーズ、特に一作目なんかはその辺色々重くし過ぎてダメダメだったことも過ぎるので、純粋にイチャラブを愉しむという観点ではこのくらいの匙加減でいいのかなとも。シナリオ面でそこまで評価は出来ないけれど、その分キャラの魅力は引き出せていると前向きに考えましょう。
 とりあえず感想は金曜に書ける、と思います。

 んで今日からは満を持してトリノラインをスタート。
 さしあたり体験版部まで終わってこれ書いてますけど、いやーやっぱりシロネの可愛さ半端ないわー、無邪気で甲斐甲斐しくて愛らしくて朗らかで、本当に可愛くて可愛くて仕方ない。くせにえっちぃとか中々にやりおるわい。。。
 攻略順がどうなのか、シロネがロックなのかもまだ不透明ですけど、とりあえず流れに乗ってみて、無難に進めば夕莉からかな。この子だけはロックないと思うし。
posted by クローバー at 18:49| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする