2017年09月17日

フィリスアフタークエスト <改めての出会い!過去の柵を超えて手を取り合おう!>

フィリス
「うっわぁ〜〜〜っ、見て見てイルちゃんっ、星空がすんっごく綺麗っ!なんかピカピカってして、ふんわかなのにシャキーン!って感じもしてすごいっ!」
キルシェ
「ふんわか?シャキーン?」
イルメリア
「キルシェ、フィリスのエモーショナルな言動をまともに受け取ろうとしても骨折り損なだけよ」
フィリス
「うわひどっ!?その言い方冷たいっ!この雪よりも冷たいぞこんにゃろっ!」
イルメリア
「きゃっ!?こ、こらっ、いきなり雪を蹴散らさないのっ!っとに行儀悪いんだから…………」
キルシェ
「フィリスは、イルメリアにわかってもらえなくて悲しい?」
フィリス
「そーだよ悲しいよ〜!うっうっ、普段からあれだけイルちゃんに献身的に尽くしてるのに…………」
イルメリア
「嘘八百並べるのも、嘘泣きも止めなさい。…………まぁあれでしょ、この子の地元の空と比べると、気候が違うからより夜空が澄んでいて、優しい光ではあるけどどこか清冽さも感じる、ってくらいのニュアンスでしょ?」
フィリス
「もーっ、やっぱわかってんじゃーん!イルちゃんってばいけずなんだからぁ!」
イルメリア
「きゃっ!?だっ、だから唐突に抱きついたりしてこないでってばぁ!」
キルシェ
「でも、こうしてるとすごくあったかい。ぬくぬく」
イルメリア
「っっ、も、もぅっ、キルシェまで便乗して調子に乗ってぇ…………」

 両側から腕を取られ困惑顔のイルちゃんを挟んで、キルシェちゃんと目を合わせ含み笑う。

 怖いくらいに夜空は澄んでいても、フロッケの夜は殊更に寒い。
 着込むだけではどうしても凌ぎ切れない冷気を、けれどこうしてくっついているだけで心からの温もりが補填してくれるのは、いつも以上にすごく有難味と歓びを感じられて。

 ぶつぶつ文句は言いつつも、イルちゃんも満更ではないのか擦り寄るわたしたちをそのままにさせている。

キルシェ
「…………でも、こんな風に私達だけ抜け出して、本当に良かった?」
フィリス
「いーのいーの!あんな風にお酒が入っちゃうとわたしたちみたいな子供には身の置き所がないもん」
イルメリア
「確かに、馬鹿騒ぎってああいうのを言うのよね。ソフィーさんまで珍しく顔を真っ赤にして、旧交を温めるのに忙しそうだったし…………」
フィリス
「うん、あんな楽しそうなのに、素面のわたしたちが水を差すのも悪いじゃん?それに介添えはリア姉がしっかり務めてくれるはずだし」
イルメリア
「ま、ああ見えてリアーネさんも未成年なのに変わりはないんだけどね。後で嫌味のひとつくらいは覚悟しておかないと」
キルシェ
「…………私もフィリスちゃんと夜のお散歩したかったわ?」
フィリス
「あははっ、そんな感じそんな感じ」

 そう、今は例の邪竜を撃退した祝勝会の真っ最中。
 キルシェちゃんの心尽くし、という台詞には全くの誇張はなく、村人総出で一番大きな建物である宿屋に宴会の準備が整えられていて。
 村人たちも連日の咆哮の被害で疲れ果てているだろうに、そんな素振りも全く見せずに、むしろ率先して自分達が楽しもうと張り切り、夜半過ぎにはお酒もたっぷりと入って宴も酣、という有様だった。

 そんな空気も嫌いではないけれど、やっぱり少し居住まいが悪いのもあったし、加えてわたしたちの本来の目的を考えれば丁度いいタイミングでもあって――――。

キルシェ
「…………ん、やっぱり。しばらくお手入れする暇もなかったから、大分雪が積もっちゃってる」
フィリス
「んじゃお掃除からしよっか。イルちゃん、ライトつけて〜」
イルメリア
「はいはい」

 イルちゃんがランタンに魔力を籠めると、ぽぅっと世界が暖色に染まる。
 ここまで民家の灯りと星明りだけを頼りに歩いてきたせいで暗順応を起こしかけていた瞳には、その柔らかな光でさえも眩しく映ったけれど、二度三度瞬きを繰り返せばすぐに慣れて、わたしたちは手分けしてお墓の周りに積もった雪を除けていく。

 そう、わたしたちはキルシェちゃんに、この前の様にお墓参りをさせて欲しいとお願いして抜け出してきたのだ。
 この前イルちゃんが気付いた事の真偽を確かめ、そしてわたしたちの新たな関係性を紡ぐために――――。

キルシェ
「…………ん、綺麗になった。おばあちゃん、しばらくご無沙汰してて、ごめんなさい」

 丁寧に磨き上げた墓石を前に満足げに頷いたキルシェちゃんは、そのまま膝をついて静かにお祈りを捧げ始める。
 その神聖な空気に身が引き締まる思いをしながら、わたしは改めて、イルちゃんがライトで照らしてくれている墓石に刻まれた墓碑銘に目を向ける――――。

『フロッケの民の笑顔を守り、慈しみ、共に笑う為に生きた善なる旅人、
 エリス・リッテル(旧姓ミストルート)、ここに安らかに眠る。
 その魂に、永遠の祝福があらんことを――――』


フィリス
「――――っっっ!!」

 全身を、何物にも例え難い切なる情動が貫いた。
 その名はまさしく、こっそりと父さんから聞き出した大叔母のものと一致しており。
 そしてなによりこの墓碑銘が、彼女の来歴と、この地で最期まで幸せに生きた事を鮮明に物語っていて――――。

イルメリア
「…………フィリス」
フィリス
「…………え?あ…………」

 イルちゃんが優しく、わたしの目元をハンカチで拭ってくれて。
 それでようやく、わたしは自分が知らず知らずに涙を零していたことを知った。

キルシェ
「…………?フィリス、どうかした?」
フィリス
「え、えっ、とぉ…………」

 お祈りを終えたキルシェちゃんが、背後のわたしたちの雰囲気を感じ取ってか訝しげな声を上げる。
 いけない、いま振り返られると、また泣いちゃいそう――――。

イルメリア
「キルシェのおばあさん、亡くなったのは一昨年なのね」
キルシェ
「ん、もうすぐで三回忌。そのだいぶ前から死病に憑りつかれてて、それでも最後まで笑顔を絶やさず、村の人の為に奔走してた」
イルメリア
「そう…………すごく立派な人だったのね」
キルシェ
「うん、私の自慢のおばあちゃん。忙しいのに、幼い頃に両親を亡くした私を大切に育ててくれて、いずれ一人でも生きていけるように、って、錬金術の基礎を仕込んでくれた」

 そんなわたしの想いを汲んでか、イルちゃんが率先してわたしが尋ねたかったことを柔らかく言の葉にしてくれる。
 キルシェもその問いかけに真摯に答え、けれどそれで故人の思い出が蘇ってくるのか、視線はお墓に向けたままだった。
 それはまるで、まだ時折瘡蓋が剥がれて痛む傷跡を、しっかり噛み締めて思い出に昇華するための神聖な儀式めいたやり取りに感じられて、わたしは益々感極まりそうになる。

イルメリア
「そうなのね。それでキルシェは、村の人に頼りにされていたお祖母さんの後を継ごうと頑張ったんだ」
キルシェ
「うん。おばあちゃんが言うには、私には生来錬金術の才能があるって。それに最期の時、私を天涯孤独の身にしてしまう事だけが心残りだと言うから、おばあちゃんのように村のみんなに大切にされる存在になる、って誓ったの。そうしたら、おばあちゃんは凄く綺麗に笑って、満足げに逝ってくれた。だから…………」

 それ以上は言葉にならず、俯いて声を押し殺すキルシェちゃんの背中を、イルちゃんが優しく撫でさする。
 その素朴で純粋な哀しみと、それを目の当たりにしてごく自然に慰撫する様に、わたしは自身の中で未だ渦を巻く多彩な感情を奥歯で噛み締め、懸命に飲み下す。

 だって、その哀しみを受け止めるのは、本来はわたしでなくちゃいけないのだから。
 自身の激情に呑まれ、イルちゃんの優しさに甘えて、本当に大切なことまでイルちゃんの口を借りて伝えてもらうような、そんな惰弱な卑怯者には決してなりたくないから――――。

フィリス
「…………イルちゃん」
イルメリア
「…………頑張れる?」
フィリス
「うん。…………その、本当にありがとうね」

 その心からの感謝に擽ったそうに笑いながら、イルちゃんはキルシェちゃんの傍らからそっと一歩退く。
 急に背の温もりが消えたことで、顔を上げかけるキルシェちゃんに、そのままでいいんだよ、と伝えるつもりで、今度はわたしがその小さく華奢な背をそぉっと、壊れ物の様に静かに優しく抱きしめる。

キルシェ
「フィ、リス?」
フィリス
「キルシェちゃんは、おばあちゃんが本当に大好き、だったんだね。だからずっと、一人でも懸命に頑張ってきたんだね」
キルシェ
「…………うん。そうすればおばあちゃんの思い出も風化しないし、紡いできたものも守れる。私の寂しさも、いつか時間が癒してくれる、って。…………けど…………」

 わたしが後ろから回した腕に、キルシェちゃんはそっと指を絡めてくる。
 それはまるで、ずっと忘れていた人肌の触れ合いの嬉しさを、温もりを今更に思い出した様な、おずおずとした精一杯の甘え方に感じられて。
 鈍感と散々イルちゃんに揶揄されるわたしでも、その「けど」の後に飲み込んだ想いは痛いほどに伝わってきて。

フィリス
「…………悲しい時は沢山悲しんだ方がいいよ。傷跡をさらけ出して、その痛みに向き合って…………それでね、きっとそういう想いは、誰かに聴いてもらわないといつまでもジクジクと膿んだままになっちゃうと思うんだ」
キルシェ
「…………っっ!…………いいの、かな?私、弱音を吐いても…………ずっと寂しかった、辛かったって、泣き言を言っても、おばあちゃんの期待を裏切ることに、ならない、かな?」
フィリス
「勿論だよ。だよねイルちゃんっ!」
イルメリア
「えぇ。だからもっと、おばあさんとの思い出を私達に教えてくれる?」

 そんな風に優しく水を向けられて、キルシェちゃんの口からはぽつぽつと、やがて堰を切ったように滔々と、心から慕うおばあちゃんとの思い出が語られていく。
 それは大抵がさりげない日常の一コマだったけど、けどだからこそ何物にも代えがたい、愛おしく温かいもので。
 そして――――。

キルシェ
「…………おばあちゃんは、本当に凄かったの。どんな素材を前にしても、一目でその特性を、素材の心からの声を聴き分けて、それを決して蔑ろにする事はなかった。それでもきちんと村の人の注文にも不足なく応えてて…………ずっとずっと、あんな風になりたいって私の憧れ」
イルメリア
「キルシェも、お手伝いをはじめてそういう事が出来るようになったの?」
キルシェ
「うん。最初は本当に微かな、言葉に出来ない想いのようなものしか感じ取れなかったけど、それは天から与えられた稀有な才能だから、世の為人の為になるようしっかり磨いていきなさい、って。私が若輩の身で錬金術士の公認試験に合格できたのも、この力があったおかげだと思う」
フィリス
「ふぇぇ…………本当に凄いんだねキルシェちゃん。わたしなんて最近やっと素材の声が聞き分けられるようになったくらいなのに」
キルシェ
「別に努力して手に入れた力でもないし、他の人に訊いてもあまりそういう感覚はないって言うから…………。だから凄くなんてないと思うし、ズルみたいなものかも、って思うけど」
イルメリア
「…………そうね、確かに私にもその素材の声とやらは聞き取れないけど。でも類稀なる素質があったからと言って、それを自覚して磨き上げ続ける努力をしてきたことは、間違いなく誇っていい事だと思うわよ」

 チラッと横目にわたしに意味深な視線を向けながら、イルちゃんはそういって励ます。
 えーえー、どうせわたしは自分の才能に自覚もなく、この年まで安穏と適当に生きてきましたよーだ!と、胸中で反射的に悪態を返し――――。

フィリス
「「(…………あれ?もしかしてこの話の流れからなら…………っっ!?)」

 ――――今この瞬間こそ、自然にわたしの事を説明するチャンスなんだと気づいて、その重圧に身が強張る。

 本当の事を口にして、今までずっと幸せに生きてきたわたしがいきなり家族面することは、許されるの?
 ずっと懸命に頑張って、おばあちゃんの遺したものを守ろうとしているのに、身勝手にこちらの都合に巻き込んでいいの?

 そんなわたしらしくもない負の想念がぐるぐると胸の内でとぐろを巻いて――――。

キルシェ
「っっ、フィリス、ちょっと、痛い…………」
フィリス
「えっ!?あぁごめんっ、ごめんねっ、強く抱きしめ過ぎちゃったねっ!そ、その、もう離した方がいいかな?」
キルシェ
「う、ううんっ、もうしばらくこのままで、いて欲しい。…………けど、もしかしてフィリス、私にお話ししたい事、ある?」
フィリス
「えっ?ど、どうしてそう思うのっ?」
キルシェ
「だって、元々なにか理由があってみんなでここに来てくれたんでしょ?思わず天の助け、と思って私の、村の都合に思いっきり巻き込んじゃったけど…………でもそれも解決したし、だったら今度は、私がフィリス達の力になる番だと思うから」

 ――――あぁ、やはりこの子は聡明で誠実な子だ。

 だったら、これ以上自分本位な考えで躊躇っている場合じゃない。
 変に搦手を使うべきでもない。

 わたしは、わたしなりの真っ直ぐさと、誠実な勇気で、この子と向き合うんだ。
 そして、本来あるべきだった関係性を、この子が失ってしまった大切な温もりを取り戻してあげるんだ――――。

フィリス
「…………うん、そうなんだ。あのね、今回フロッケに、キルシェちゃんに会いに来た理由はね、改めて自己紹介しよう、って思ったからなんだよ」
キルシェ
「え、自己、紹介?でも、私とフィリスは、もうとっても仲良し…………だよね?」
フィリス
「あはは、そこで首を傾げなくてもいいよぉ。うん、間違いなく仲良しだけど…………でも、もっともっと仲良くなりたい、って、そう思ってるんだ」

 不可思議な話の流れにむずかるキルシェちゃんを優しく抱き留め続けながら、わたしはチラリと横を見る。
 わたしたちのたどたどしいやり取りを、じっと静かに、慈しみの視線で見つめ続けてくれていたイルちゃんは、頑張りなさい、という意を込めて大きく頷いてくれて、それがわたしの胸に最後の一押しとなる勇気を与えてくれる。

フィリス
「――――わたしはフィリス。フィリス・ミストルート、って言うんだよ」
キルシェ
「……………………えっ?」

 キルシェちゃんがその意味を咀嚼するのに、幾許かの間を要した。
 その意味に気付いた途端、グッと顔を上げて墓碑銘に視線を飛ばし、そして思いがけない力強さでわたしの腕の拘束を振りほどき、愕然とした表情でわたしを見つめる。

フィリス
「…………あはは、今思えば遠回りしたなぁ、って思うよ。最初にキルシェちゃんに会った時も、こんなちっちゃい子が!って驚きが先に来て、礼儀に悖る挨拶になっちゃったからね。勿論、わたしもこんなことになってるなんて露とも気付いていなかったけど」
キルシェ
「え?っと、なん、で?どうし、て、ミスト、ルート、って…………?」
フィリス
「墓碑銘にもそれを匂わせることが書いてあるし、おばあちゃんが元々この村の人間じゃないのは知ってるよね?エリス・ミストルートは、わたしのおばあちゃんの妹に当たる人。若い頃に故郷であるエルトナを旅立って、この村に流れ着いた人なんだよ」
キルシェ
「おばあ、ちゃん?フィリス、の?で、でもそれって、偶然名前が…………」
フィリス
「うん、その可能性は全くないわけじゃないけど…………。でもね、そのキルシェちゃんが持っている、素材の声を聞き取る力は、エルトナの街の発展の為に、代々わたしの一族に受け継がれてきた力そのものなんだ。だからごく普通の錬金術士には備わってない、特別な資質なの」
キルシェ
「…………ほ、本当、に?じゃ、じゃあ私と、フィリス、って…………」
フィリス
「うんっ、わたしとキルシェちゃんは…………あ、あれ?おばあちゃんの妹の孫だから…………あや?イ、イルちゃんっ、これってどういう関係っ!?」
イルメリア
「あ、あのねぇっ、なんでそこで頓珍漢なとこに引っ掛かるのよあんたはぁっ!えっと、大叔母さんの孫なんだから、多分はとこって事になるんだろうけど…………でもいいのよそんな細かい定義は!あんたが言いたいのは、フィリスとキルシェが家族だって事なんでしょっ!」
フィリス
「おおっ、それだっ!さっすがイルちゃんいいまとめ方っ!」
キルシェ
「か、ぞく…………?私と、フィリスが…………?」
フィリス
「うんっ、そう言う事っ!えへへ、流石にいきなりこんな事おこがましいかな?わたしが家族じゃ、迷惑かなぁ?一応ほらっ、わたしじゃ物足りないって言うならリア姉だって――――っっ!?」

 高揚と恐怖が綯い交ぜになり、ペラペラと上滑りするわたしの言葉を止めたのは、遮二無二な勢いで縋りついてきたキルシェちゃんだった。

フィリス
「え、えっと、キルシェ、ちゃん…………?」
キルシェ
「…………いたん、だ…………」
フィリス
「え?」
キルシェ
「っっ、わ、私にもまだ家族が、いたんだぁ…………っ!おばあちゃんが死んで、もうこれからずっと一人だってっ、だから自分だけで、この痛みを乗り越えなきゃってっ!頑張って、頑張って、頑張って…………でもぉっ!!」
フィリス
「…………うん、もう一人で傷つき続けなくって、いいんだよ。キルシェちゃんの悲しみは、拙くても全部わたしが受け止めてみせる。だから、もう我慢しなくたって、いいんだよ」
キルシェ
「――――あ、あぁぁぁぁぁぁっっっ!!!う、わぁぁぁぁぁぁぁんっっっ!!!」

 長年目詰まりを起こしていた感情の澱が噴き出すような、それは文字通りの、魂の慟哭、だった。
 ずっとずっと、キルシェちゃんが抱えてきた悲しみを察して余りある滂沱の涙が、みるみるとわたしのコートを湿らせていくのがわかる。

 気付けば、わたしの両の瞳からも再び涙が溢れて。
 ただただその激情が収まるまで、強く強く抱きしめ合い、その原初的な情動に身を任せ続けたのだった――――。
posted by クローバー at 04:27| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月16日

妄想が捗り過ぎる

 FLOWERS冬編をスタートさせて、ただちょっと別件で時間を食ったのであまり進めておらず、今3章に入ったくらいですね。
 秋編ラストの衝撃展開を引き継いで騒擾と不安が蔓延る中での蘇芳の会長就任、そしてそれと並行する形で、概ね予測はされていたけれど、のマユリの消息も伺い知れて、いよいよ最終章、という趣が序盤からビシバシ伝わってきますね。
 ただ今回に限っては実のところ春〜秋編に比べて主要な登場人数が絞られている、という部分もあり、その中で自身の志望が危険な事に繋がる可能性を示唆された分だけ、そこからいかに友人たちを遠ざけるか、に腐心している蘇芳ちゃんがいじらしいやらもどかしいやら、って感じです。
 色々関係性の火種になりそうなところもあるし、楽しみではありますけど中々に先が怖いですねぇ。

 そしてなんだろう、やっぱりどうにも私は、立花の蘇芳に対しての親切だけはどうしても色めいた雰囲気が出過ぎるというか、人間としての信頼度が高いのは間違いないんだけどなんか切羽詰まった時にまたなんかやらかしそうで怖いなぁ、って(笑)。
 各章題も春〜秋のリフレインで、全ての要素を兼ね備えた上でこそ辿り着ける真実、という色味ははっきりしているので、じっくり腰を据えて進めていきたいと思います。

 んで他の時間なにやってたか、ってーと、つい我慢できずに閃の軌跡マガジンとか買っちまって、ついつい全力で熟読してしまったのだ。。。
 でも本当に今回の軌跡は楽しみで楽しみで、ここ3年くらいでコツコツ過去作全部プレイしてきたことがすべてここに集約されているような舞台ですからねぇ。しかもしっかり私の好きな子ばかりピックアップしてきてくれてるし。

 ゲームとしても当然楽しみですけど、人間模様のあれこれがより楽しみではあって、しかし本当に細やかな情報が出てくるたびにダメ人間の私の妄想センサーを刺激してやまないというべきか。
 もうね、正直アガットがティータを子ども扱いしなくなった、なんて読んだだけで色々と捗り過ぎてダメだこれ。くそぅ、光源氏計画良いなぁ…………。
 そしてトワちゃんとの朝風呂とか艶めかし過ぎるし。こっちはこっちで、私の中の公式設定だとリントワだから、トワ先輩の朝風呂密会背徳レッスンとか碌でもないキャッチコピーしか浮かんできません。。。

 まぁ総合的に見て、ヒロインキャラで一番好きなのはティオだろうとは思うんだけど、作品の構成的にもティオは出番が限定的だろうし、逆にトワやティータはひっきりなしに出番ありそうだから、最終的な印象度がどうなるか。
 あとめっちゃ地味なんだけど、ユウナの妹がエスカっぽくて可愛いので、その点でもクロスベル関連イベント多いといいなぁ、とは切に願っております。
posted by クローバー at 17:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月15日

諸々楽しみ

 ブルーリフレクションはもうちょい進めて5章のフリー帰還その2くらいまで。
 ここでまた濃いキャラが出てきたなぁと言うか、史緒の物言いって超敵作りそうだよねぇ。見た目はやたらと可愛らしい感じなだけにそのギャップがすごいというか、ゴーイングマイウェイで面白い子ではありますな。この辺芸術家肌の部分でマッチするのはある、ってところか。
 しかしその前の千紘の話、やっぱしライムすんげぇドライだしー!この二人が色んな意味でまともな存在じゃないのは間違いないだろうけど、その上でのこの意見や性格の食い違いは後々火種になるんだろうなぁ。くわばらくわばら。

 ヤミと祝祭のサンクチュアリの体験版出てますね。
 まあタイミング的に今すぐは無理だけど、FLOWERSが終わったら手を付けてみましょうか。

 んでサガプラの新作情報キター!
 ヒロイン全員が金髪とか、また随分と思い切った割り振りをしてきたけれど、基本みんな可愛いし金髪大好物だし、CVが強すぎるのでこの時点でスルーする選択肢は皆無になったというね。。。
 シナリオ的にもそこそこ楽しみは大きいし、設定的に身分の違いがー的なシリアスは絡んできそうだけど、その辺サラッと流しつつキャラゲー要素メインでやってくれていいんだぜ?って感じかなぁ。
 つかここでドーンとまとめて情報出して、発売まで結構な電撃戦だよね。まさか年内とは思わんかった。またなんか今年は12月がそここ多そうで、去年もそうだったけどアワードの執筆がずれ込む恐怖が付きまといますがまぁ仕方あるまい。

 んでは査収してきたFLOWERS冬編、ゆったりじっくりと堪能していきましょうかねー♪
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2017年09月14日

不甲斐無や

 FLOWERSの春〜秋編感想をアップしました。
 書かなきゃ〜、と思いつつも色々些事に追われて時間も作れず気力も奮えず、色々とギリギリなスケジュールになっちゃってて不甲斐無い事この上ないのですが、とりあえず最低限のお仕事はしたぞ。今日の私は比較的頑張った。。。
 内容としてもふんわりサラッとまとめてしまいましたが、とにかく雰囲気がすごく良くてヒロインズもみんな可愛く、物語としても深みと面白味がしっかり完備していて素敵なシリーズだと思います。私みたいに完結を機にプレイしてみよう、って人もそこそこいるだろうし、結構おススメですよってアナウンスは自信を持って出来ますかね。

 書き物に精力を注いでいたせいで、ブルーリフレクションの方はあまり進まず5章の途中まで。
 こちらも出てくるサポーターヒロインがみんな可愛くていいですねぇ。亜子ちゃんのああいう突撃レポーター的なコテコテキャラも好きだし、千紘のもじもじ不思議っ子の無垢な愛らしさもまた良し。
 まあ見た目的には相変わらずライムが一番好きなんだけど、この子結構、というか相当反応がドライっていうか、目的の為なら手段を選ばないくらいの怖さはあるんだよなぁ。そのくせ日菜子には執着しているところもあるし、強敵戦でユズと手を奪い合って睨んでるのとか頗る可愛いんですけどね。
 明日からは予告通りFLOWERS冬編やるので一休みですが、まぁ冬編はじっくりプレイしても週明け通うくらいまでにはコンプできるはずだし、これはそんなにポリューミーではないって話どこかで見たから、無難に軌跡までにはクリアできると思われます。これはこれで先が楽しみですな。

 フィリスアフター更新。
 最後のバトル大一番くらいは戦闘メンバー(追加キャラはやってないので除外)全員出そうぜ!と思ったはいいものの、オスカーやアングリフはともかく、レヴィってどんなキャラだったかすっかり記憶から抜けていた私だったりね(笑)。
 まぁ基本的にはとことんイルちゃん贔屓のお話だし、刺身のツマみたいなもんだからいいっちゃいいんだけど(酷い)。
posted by クローバー at 19:02| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

FLOWERS 春〜秋編

 元々結構興味はあったんですけど、タイミングとか色々あってプレイできておらず、でももうすぐ完結編の冬編が出る直前にたまさか上手く時間が作れたので、これ幸いと旧作まとめてプレイしました。
 本当はひとつずつ感想を書くのがいいんでしょうし、それだけの質の高さはある作品ですけれど、旧作ではありますしそこまで感想を練り込んでいる時間もないので、簡素に駆け足に三作まとめて、という形にさせてもらいます。

シナリオ(25/30)

 もつれあう恋情の糸の先に。

★あらすじ・概要

 春編の主人公である蘇芳は、見た目楚々として近寄りがたい美人ながら、それまでの生活環境によって引っ込み思案の人見知りでした。
 けれど決して人嫌いなわけではなく、むしろ友達を作りたいと心の底では熱望していて、その為に入学時に学園の側からアミティエという疑似友人を組んでくれるという、全寮制の聖アングレカム女子学園に進学する事を決めたのです。

 学園に来て早々に出会った委員長気質の立花や、幻想的な夜桜の下に佇んでいた美少女のマユリなど、知り合いは出来るものの、生来の臆病さが顔を出してスムーズな交流などは中々に覚束なくて。
 また今年から、それまで二人一組だったアミティエが三人一組に替わり、希望通りに立花&マユリとアミティエにはなれたものの、すぐに打ち解けた雰囲気を醸し出す二人に対し、どうしても壁がある態度になってしまって自己嫌悪を募らせる毎日。
 それでも一念発起してここに来たんだから、と、自分なりに少しずつアミティエやクラスメイトと打ち解けていき、その中でちょっとした事件などを解決したりすることで、元々見た目で一目置かれていたのが、近しい存在から強い信頼を置かれるように変化していきます。

 けれど、そんな彼女達の関係は、時を経るにつれて少しずつ歪みが生じていって。
 それは今までの慣習を覆す三人一組、というありようがもたらす、どうしようもない人の業を孕んだもので、蘇芳もまた人間関係の荒波に翻弄されながら、少しずつ自分の想いに向き合い成長していきます。
 これは女の園で繰り広げられる愛憎と不思議な事件、その経験を経て成長していく純粋無垢な乙女たちの絢爛優美な物語となります。

 当然ながら夏編は春編の続き、秋編は夏編の続きとなります。
 それぞれの話のトゥルーエンドを下敷きに連綿と話は続き、夏編はえりか、秋編は譲葉と主人公格を入れ替えながら、どちらも同じように人間関係や恋の悩みを抱えつつ、同時に学園に跋扈する不可思議にアプローチして、自分たちが望ましい形での解決策を模索していく、ということになります。
 作品全体を包み込む大きな謎は、全編通して見え隠れしつつもまだその尻尾を掴ませず、それぞれの物語が独立した終わり方をきちんと用意されていつつ、大枠ではしっかりミステリーとしての引きを残している、絶妙な塩梅の作り込みになっていると思いますね。

★テキスト

 非常に典雅な日本語と言い回しを好んで用いており、世俗を離れた乙女の園の独特な雰囲気とも上手く親和していて、非常に素敵な読み心地です。
 言い回しには雅飾がそれなりに目立つものの、理路としては比較的筋道が綺麗に通っていてわかりやすく、それでいてきちんと揺れる不条理な乙女心のありようも丁寧に投射していて、特に伝わらない想いやすれ違いの切なさを引きだすのが上手いなぁ、と感じています。

 古典文学や童話、映画からの引用がかなり多いので、私のように無教養な人間にはへぇー、そんな台詞があるんだねぇ、くらいにしか思い入れられない部分も多く、その辺はもったいなく感じるところですが、そのあたりも作風の格調高さに一役買っていて面白いですね。
 まぁいかんせん蘇芳やえりかあたりは、その年で博識すぎるだろう、と思う向きもないではないですがそのくらいはご愛嬌、という事で。

★ルート構成

 最近の作品としては圧倒的に選択肢が多く、しかもそれが即座にどの相手に好感を与えたのか、というのがとってもわかりにくいつくりになっていて、攻略は比較的難解です。
 ただ春編と秋編は、最初はどうやってもトゥルーに進むようなつくりっぽかったですし、トゥルーが最後に出てくる夏編にしても、その追加選択肢自体は簡単なので、面倒なのは派生ヒロインエンドとか、ヒロイン別エンドとかですね。
 バッドエンドも多数ありますが、基本的に推理を間違えた時に、という形ですし、特に踏んでも痛々し過ぎないマイルドな終わり方ですので気にせず進められるでしょう。

 正直推理パートに関しては、特に春編が難解でした。
 トータルで見た時に、蘇芳というヒロインの思考経路の特質をそう位置付けているなら、これだけ基本ノーヒントに近い謎でも解けるのだろう、とその点で納得は出来るのですけど、プレイヤーがそこを読み解くのは、本当にごくごくかすかなヒントを見逃さずにいないと無理なので厳しいですよね。
 夏編からはそこがより論理的かつマイルドになっているので、ある程度しっかり読み込んでいればこうだろう、と推測でも外しにくくはなっていると思います。春編は純粋に豆知識すら試されるからなぁ、最初の二つは特に。

 基本的に最初から誰狙い、とか考えて上手くいく雰囲気はないですし、想いのままに進めて、その上でもう一度回収プレイがてら他の選択肢も拾って楽しむくらいで充分でしょうか。
 結構選択肢次第で、道中誰とつるむかとか変わってくるので、周回プレイ前提のつくりですしそれが楽しいところもあるので。

★シナリオ(全体)

 イノグレというメーカー自体はじめてのプレイだったんですが、このシリーズは元々かなり重いシリアスが売りだった作風を一変して、ミステリィ要素は多分に残すけれど残酷な事にはならない、というのがポイントらしいですね。
 まぁ初見のわたしとしては、え、これで?って思う向きもなくはなかったですが、確かに結果的に誰も酷い目にはあっていないし、それぞれの幸せを得る過程での試練や苦難はあるにしても、そこにはしっかり個人の精神性や状況に伴う必然を用意していて、わたしとしてはすごく納得しやすい構図の作品ではありました。
 勿論未だにいくらか重い謎は残っていますし、冬編はその季節感に見合う辛い展開もかなりありそうではありますが、全体としての方針が明確な分安心して触れられる、と思いますね。

 また、作品全体として、この聖アングレカム学園に流布する七不思議が暗躍しますが、それぞれの物語で紐解かれていったように、あくまでも七不思議は人のありようを比喩的に投影したもの、或いはそれを盾に利用したものであり、すべての事件は人為的な要素で発生している、というのが軸として守られていますので、その点でも私好みの堅実さを感じます。

 基本的にどの話でも、その形に多様性があったりもしますが、三角関係は必ず物語の動因として絡んできます。
 女の子同士の、どこか恋に恋焦がれる危うさも感じさせる一途で純粋な恋模様は、直情的で強い思い込みに繋がりやすいからこそ怖くもあって、そういう駆け引きの面白さや、複雑な関係性の紐解きを楽しみつつ進められるのもこの作品の醍醐味ですね。
 例えば春編なんかは、三角関係のベクトルが普通の恋愛ADVとは少し違うものになっていて、こういうのも百合物語であればこそ許容できるところですし、秋編なんかも男女でアレをやるとドロッドロになりかねない所を、純粋な思慕、プラトニックな関係性に留めることで綺麗事をすごく綺麗に、説得的に見せることに成功しています。

 全体的にはその百合イチャとミステリィのバランスが良く、強いて言えばイチャラブゲー、というより古き良き純愛ゲー、の趣きが強いので、そのストーリーの最後まで本当に結びつく事はなく、その一歩手前での葛藤やときめきを楽しむ方に比重が置かれているので、もっとイチャイチャ堪能させろや!ってきらいはなくはないです。
 特に春編の二人はラストあぁですし、秋編の二人もトゥルーだとそのままフェードアウトっぽいので、夏編のエリチドの順調さがすごく微笑ましく感じられるというか、その点での餓えを辛うじて糊塗してくれている感じですかね。まあ蘇芳ちゃんに関しては最終的に、って期待は持てますけれど。

 以下各季節編ごとにつらつらと。
 旧作ですので特にネタばれなど神経質にはなり過ぎずサラッと進めていきますので、その点含み置きください。

★シナリオ(春編)

 これ単独ですと22点、ってところですね。
 どうしても導入部だけあり、色々学園の特殊性の説明や、脇のキャラ含めてのイメージ付けで尺を取られますし、かつ最初期の蘇芳はすこぶる引っ込み思案で踏み込んでいけないヘタレな子ですので、関係性の進展のもどかしさにうぬー、となるところはあります。

 もっとも、そうだからこそ心が通った瞬間の喜びも大きいし、それが嵩じて、っていうのも納得のいく構図で、けれど本当になんで今年から三角関係を助長するようなアミティエ三人制になったのか、っていうのも、未だに解けない大きな謎ですよね。
 ともあれ、元々のマユリの想いなどの関係もあり、三人の関係性は非常にねじくれた難しいものになっていきますが、そのコンプレックスの部分で共鳴する事で、最終的には蘇芳とマユリの心が通じ合うという事になります。
 ある意味で立花は当て馬と言うか、不憫な役回りではあるのですが、しかし同情を買わせないためなのか(笑)、一時盲目的に自分の恋情に振り回されて、あんな強引で卑怯な手段を講じてしまったのは、いかにも公明正大な立花らしくはなかったわけで、それが恋の持つ怖さだとも言えます。

 蘇芳は蘇芳で人情の機微にはとことん疎いところはあるので、そこから少しずつ成長していって、という部分を見守っていくのは楽しかったですが、謎解きの理不尽さや恋愛関係のいざこざの後味の悪さ、なによりラストの展開の唐突さと不条理さは明白ですので、その点で突き抜けた評価にはしづらいですかね。
 特に二人の関係性に終焉をもたらすべく通告された言い分は、その後のえりか×千鳥の関係性が何のお咎めもなく順調に進展していることを踏まえれば露骨に取ってつけたものだとわかりますし、そこの謎は冬編のお楽しみではありますが、それにしてもそこに肉薄するために蘇芳は夏・秋と水面下で粘り強く頑張って成長してきているんですよねぇ。

 秋編の蘇芳視点なんかで顕著なように、その想いは未だに燻りつつも熱を全く失っておらず、というのは明らかですし、当然マユリの再登場は約束されているわけですが、あらすじ見てる限り一度は突き放されて失意の底に、ということらしいですし、その心の隙間を狙ってまたぞろ立花がアプローチしてくるのかぁ、と思うとそれはそれで微妙ではあったり。。。
 立花も夏秋で大分印象を回復させてきたけれど、なんかあれだよねぇ、この三人の関係ってホワイトアルバム2を思い出すというか、離れてしまった一番好きな人と、常に傍にいる二番目に好きな人的な切ないイメージが濃厚に付き纏います。ホワルバだと雪菜派だったけど、こっちは蘇芳の気持ちもより明白だし、すんなりマユリと結ばれて欲しいんですけどね。。。

★シナリオ(夏編)

 点数としては27点、今のところ夏編が一番好みですね。
 全体として大きく物語の底流が蠢く感じではなく、夏の爽やかな気配の中で、新たな転校生の千鳥と、気難し屋のえりかが織り成す、角突き合わせるところから始まる優美な関係性の進展は本当に微笑ましいものがありました。
 恋の鞘当て役としてのバスキアも存在感はありましたが、春編の時点で彼女は何か隠してる、ってのが明白なだけにあまり心が寄り切らず、やっぱり基本的には千鳥との喧嘩するほど仲がいい、を地で行くような積み重ねが見せどころだと思います。

 夏らしいイベントも多彩にある中で、春の続きとしての蘇芳との関わりも非常に多いですし、他のキャラとも関係がこなれてきての自然さ、雰囲気の良さがより加速度的に上がっており、その上での謎解きも春ほど悲愴感や不条理さがなく、かつえりかの気質を有意に用いての着地点を丁寧に模索しているので、そのあたりでも好感が持てました。
 ともあれ、人をからかうのは好きだけどぐいぐい来られると弱いえりかの可愛さ、真っ直ぐすぎる気質が誤解を招きながらも、本当は心優しいところを徐々に見せていく千鳥との結びつき、愛の育み方はすごく丁寧で綺麗でしたし、それを千鳥のトラウマであるバレエを通じて、というのも素敵でしたね。

 終盤のバレエ発表会のシーンなど非常に盛り上がりもしましたし、後々に切なさが残らない、夏らしく爽快で壮麗な物語だったのもあり、素直に一番評価したいところです。
 まあある程度秋編の二人の夫婦漫才のこなれっぷりに絆された部分もないとは言えないんですが、少なくともこのストーリーだけでもそれを予感させる空気は春秋と違って明確に出していましたからね。冬編でもこのエリチドの活躍には大いに期待です。
 秋編での、譲葉を鞘当てにしての互いにヤキモチ焼かせよう合戦とか超いじらくて最高でしたしねー。。。

★シナリオ(秋編)

 こちらは点数だと26点です。
 他の季節に比べて、秋らしくどこか奥深く情緒的な恋模様になっていて、かつ三角関係の構図としても、ベースとしての譲葉の純愛があれど、それを軸に双子それぞれの想い、愛らしさ、どうしようもない葛藤や傾斜など非常に丁寧かつ説得的に描かれており、一人天真爛漫なネリネさんが時々憎たらしくなるくらいに悩んで悩み通すイメージですね。

 そういう心の繊細な機微をある程度共鳴して持ち合わせているが故の、関係性のままごとめいた、だけど心の底から愛おしい関わりもしっかり綴ってくれていますし、けどそれでも忘れられない想いに対するアプローチ、それが結果的に幼馴染の関係性の根幹にも罅を入れ、全てをリセットしてありたい自分に歩み寄っていく、そのあたりのバランスは流石でした。
 ここまでのイメージと違い、譲葉が思いの外ヘタレというか自己を持たないキャラとして投影されていて、一年生の知り合いたちにあれこれと手を焼かせ、尻を叩かせてってあたりは先輩の威厳もあったものじゃないんですが、逆に春夏ヒロインズの素晴らしい魅力を底上げする役にはたっていますし、それくらいでないと超えられない壁であるのも確かで。

 あまり学園自体に宗教色を強く滲ませてはいなくても、それでも宗教人としての在り方を明確に打ち出している以上、許されない関係は明白にあって。
 それでも、と、今までの全てを捨てて新たな契りを結ぶ覚悟を問われて、ようやくそこに至れた時のカタルシスは非常に大きく、ある意味ではネリネを宗教に依拠した思考を預けるありようから引きずり下ろした、という意味で残酷でもあるのですけど、その先にきっとそれ以上の幸せはある、と思わせる内容ではありました。

 といって、あのタイミングでそこまではっきりと過去を断ち切る必要はあるのか?って気もするけれど、譲葉はともかくネリネにとってはそれが必要なんだったんだろうなと。
 実際に少しでも心が揺れればあの地平には踏み込めない、というのは、他のルートの展開を見ても明らかですし、二重の禁忌を乗り越えるための飛躍、と思えば残念だけど仕方ないのでしょう。正直この二人の改めての恋人としてのイチャイチャはすごく見てみたかったんですけどね〜。

 双子の物語としても非常に出来がいいですし、まぁそのトリックは春にもやったよね、ってところでのマイナスポイントはありますけれど、二人で譲葉に寄り添う感じの一枚絵の破壊力もあり、しみじみと美しいなぁと思わせてくれました。
 あと夏編でも書いたけど、エリチドの活躍がすごく目立っていてそこは嬉しかったですねー。蘇芳は逆に、より水面下で色々頑張ってたみたいですけど、喋りひとつでも春とは別人のように逞しくなって、本当に譲葉はい後輩に恵まれたと思います。。。

★シナリオ総括

 点数は三作の平均で出していますが、総じて百合ものとして上質、ミステリィとしても奥行きがあり、友情譚としても非常に楽しめる内容で、文学的な芳醇さすら兼ね備えており、思った以上に好みにマッチする作風でした。
 まだ完結していない段階で名作、と断じることが出来るのは中々に珍しいですし、本当に明日からの冬編が楽しみで仕方ないですね〜。


キャラ(20/20) 

★全体評価など

 全体的にはとてもキャラの造形は上手く、年端も行かない少女らしい一途さと儚さが良く醸し出されている一方で、どこか退廃的で大人びた雰囲気との掛け合わせがキャラ毎別個に丁寧なつくりだと思います。
 非常に狭い世界の中の、なおも狭い人間関係ではるので、もう少し煮詰まったところはありそうだなー、と思ったり、一クラスしかないのに顔もわからない先輩がぞろぞろいたりする?とか、後はシナリオでも書いたように知的に過ぎる、というきらいはあるものの、総じて魅力的です。

 当然ながら影の部分も持ち合わせての魅力ではありますし、好き嫌いは全体を進めていく中で出てくるかもですけど、基本悪人はどこにもいない世界観ですからね。
 その分神の赦しなど、そちらに傾倒した感もなくはないですけど、どうあれ基本軽快で愛らしいキャラの魅力に対し、敢えてケチをつけるほどでもない、という感じです。

★NO,1!イチオシ!
 
 現状は、と留保をつけつつえりかかなと。
 春編からの独特な立ち位置と、精神性と身体性の乖離、そこを埋めてくれるアミティエにして恋人の登場と、あらゆる場面で実際的な可愛らしさをとことん楽しませてくれますし、この子の憎まれ口と好奇心、不器用な優しさは本当に物語の膨らみをもたらしつつ、暴走を塞ぎ止めてくれているって感じがあります。

 見た目的にも性格的にも相当に好みですし、冬編の活躍や内容次第で蘇芳に譲る可能性はありますけど、それでもこのシリーズのトップ2はゆらがないところでしょうね。

★NO,2〜

 当然蘇芳ちゃんもとびきり可愛いですし、頑張り屋で情熱的なだけに、どんな困難もその熱量があれば平気だよ、と励ましたくなりますね。
 色々出来過ぎな印象もありますけど、その大人な部分と子供の部分のアンバランスさが非常に陰のある美しさと相俟って耽美な魅力に繋がっていますし、次が本当に楽しみです。

 その次だと、んー悩むけど千鳥、かなぁ。
 主に秋編でのガラッと一変した素直な愛らしさが本当に破壊力抜群だった、というのもありますし、結構どこか腹に一物、ってほどではないけど悪戯好きとかも含めて何かを抱えるキャラが多い中、この子は本当に裏表少なくさっぱり爽快なイメージで、そこも見ていて安心するというか。

 双子、特に林檎は可愛いと思いますが、彼女の生き方の選択が正しいものだったのかは難しいところですし、それでも二人が仲良く幸せであれるなら、とは思いますね。
 まあキリスト教的には、自分の才能を韜晦して生きることは許されない神への冒涜なだけになんともですが、そのあたりのアンチテーゼとしてもいい味わいのキャラになっていると思います。


CG(19/20)

★全体評価など

 非常に儚さと美しさを兼ね備え、それでいて年頃の少女らしい淡い耽美さまでをもしっかり注ぎ込んだ、絶妙に幽玄で流麗優美な絵柄だと思います。
 塗りの淡さも相俟って本当に芸術的な雰囲気が溢れていますし、出来も安定していて素晴らしいですね。絶対的に好き、というほどではないですけど、独特の魅力があるのは間違いありません。

 立ち絵に関しては基本ポーズや表情差分は春から変化なく、服飾は季節ごとの制服が別々に用意されていて目に麗しいところです。
 特に秋制服は超好みで、勿論黒スト完備なのが一番の理由ですけど(笑)、春夏の涼しげなイメージから一歩引いた、清楚で気品ある雰囲気がすごくこの学園のイメージにマッチしているなって。

 一枚絵は各季節ごとに45枚ずつ、値段考えればまずまずですし、その中に小物や演出系のもあるので量的には大満足とはいかないでしょうが、その分高いクオリティで目を楽しませてくれますね。
 どの季節も綺麗ですけど、単純に好み度と印象度で言えば秋編が一歩抜けていると思います。譲葉に寄り添う双子の愛らしさや、ネリネの神すら嫉妬するような凄絶な美しさをすごく丁寧に引き出せていて、あと秋編ラストの蘇芳の悶えがエロ過ぎて。。。


BGM(19/20)

★全体評価など

 こちらも連作ものにありがちな音楽の使い回しが一切なく、勿論一定数作品全体のイメージを投影する基幹曲は残っていますけれど、きちんと季節とこの主役となるキャラの恋愛イメージに合わせた曲を用意していて、その辺はいい仕事をしていると思います。
 楽曲の質も凄く透明で繊細で柔らかく、絵と同様に世界観との親和性が抜群で本当に綺麗ですし、ひとつひとつの曲にメッセージ性、奥行きも感じさせる出来で素晴らしいと感じますね。
 まぁそこまでガッツリ聴きこんではいないですし、ボーカル的に全部いい出来だけど突出して、というほどのはなかった分少し割り引いて、ですけど、ここは満点でも文句ないくらいの内容でした。

 ボーカル曲は基本各シーズンOP・EDで2曲ずつに、イベント曲なども少し用意されています。
 曲としては秋編OPの虹の魔法が一番好きで、後は春編のEDもいいですね。秋編はあの讃美歌っぽい、譲葉とネリネが一緒に歌う曲も好きなんですけど、あれは実際にある曲っぽいですしね。

 BGMも各シーズン平均15曲にアレンジそこそこ、と、値段を考えればかなり豪華な水準で用意されており、どれもいい出来で耳に優しく響きます。
 流石にシリーズ通貫しているだけあり、アングレカムやモノローグはすごくいい曲だなと感じますし、他も特別にこれは!ってまで聴きこんでないのでアレですが、聞けば聞くほど好きになれそうな曲が結構あったなと思いますね。
 流石に冬編はこの辺もしっかりやりたいところです。


★システム(8/10)

★演出など

 演出に関してはシリーズが進むにつれて少しずつ特色が出てきているというか、遊び心が増えているというかで、目立って動くものはないけれど、要所での面白さ、破壊力は中々ですね。
 夏から搭載したうるうる目とか、秋編のハロウィンリッカなんかは素晴らしいインパクトでしたし、そして当然物語の要所での情感演出の構図の切り方は工夫が凝らされていて、盛り上がりをしっかり下支えしてくれていると思います。

 システム的には必要最低限、ってところで、ジャンプ機能は搭載されているのでそこは便利ではあります。これだけ選択肢があるとスキップだけでは中々ね。
 ただ本当に最低限ですし、使い勝手も普通、デザインセンスの良さは流石ですし、ギャラリーの充実度も評価出来ますけど、もう少し細やかでもいいかな、と思う所はなくはないですかね。
 まぁある意味、世界観をあまりゴテゴテ機能性で飾って壊したくないタイプの作風ではありますし、これはこれで充分と言えなくもないんですけど。


総合(91/100)

 総プレイ時間は33時間くらい。
 基本各シーズンで10〜12時間くらいの範疇で、値段を踏まえると物語としてはかなりポリューミーではあるし、といって中身が薄っぺらい事は決してなく、隅から隅まで面白さが詰まっていて見事ですね。

 無論やや癖はありますし、百合ものの常套とはどんななのか、ってガイドラインがない中では評価もしづらいですが、少なくとも一般的な萌えゲーのノリとは大きく一線を画した風雅で文学的な情緒が薫る印象であり、展開も柔らかくなっているとはいえきついものも多いので人を選ぶところはあるでしょう。
 それでもキャラの魅力と物語の構成の妙、奥行き、美しさなどは一見の価値がある出来に仕上がっていると感じますので、百合に興味があるならプレイしてみて損はしないシリーズではないかな、と思います。

 どうしても夏秋に比べると春だけは弱さがありますけれど、そこは導入編としてのどうしようもなさはありますので、ちょっと突っかかるところはあっても気にせず先に進んでもらえればいいんじゃないかとは感じますね。 
posted by クローバー at 15:23| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする